2001年12月のレビュー

 


2001年12月26日(水)   きみは過激なエピキュリアン(快楽主義者)

   ルビー文庫    春原いずみ:作  高久尚子:絵

今年最後のレビューは、春原先生の新シリーズです。前にルビーで出されていた「すれちがいの純情」シリーズの脇キャラが主人公になって、ちょっと大人なお話になって登場です。主人公は、実は地方の大病院の御曹子ですが、東京に出て勤務医をしている青年。留学から帰ってきたといういわく付きの美青年医に、からかわれ、翻弄されまくっていますが…。

前のイラストが氷栗先生で、今回は違う方なので、イメージがちょっと変わりましたね。前のシリーズとくらべると時系列はこちらの方がかなり前で、だからこそかなり強烈な(笑)部分もあります。別物として読んだ方が楽に読めるかもしれませんねえ。ノリとしては、ちょっとコメディチックな部分と、なんだかめちゃめちゃシリアス風の部分が混在していて、不思議な雰囲気のお話でした。まだまだ出会い部分というか、導入のあたりだけなので、続編を心待ちにしています。

私的評価 ☆☆☆☆
(春原先生の柔らかいイメージも保ちつつ、なんだか新しい雰囲気のお話になった気がします。続きはいつでるんだろう。楽しみだなあ。)


2001年12月26日(水)   絶対の領分 2 口説かれ上手の恋人

   ルビー文庫    鹿住槇:作  高永ひなこ:絵

思ったより早かったですね。昔あすかノベルズにて発行されていた「絶対の領分」が書き下ろしを含めて文庫化されました。主人公は、顔が取り柄と姉に良く言われる美少年。紆余曲折で1巻に恋人になったのは、かっこいい優等生な人ですが、それを見て幼馴染みが主人公にアプローチをはじめてしまい…。

うーん、書き下ろしはともかく、再録された部分は、いろんな意味で若いよなあ〜って感じですね。きっと鹿住先生、今なら使わないシチュエーションとかも多かったんじゃないかなあ。だからこそ、その後の書き下ろしのギャップも楽しかったですが(笑) 書き下ろしは、ノベルズでは書かれなかった「2人のお初のシーン(笑)」です。どんな感じなのかなあと思ってた人はぜひぜひどうぞ。

私的評価 ☆☆☆★
(懐かしい雰囲気いっぱいの作品でした。続編も無事に発行予定とのこと、楽しみです。)


2001年12月24日(月)   いとし愛しと言うこころ

   ルチルコレクション    竹美家らら:絵

まさかという感じなんですが、なんとこれが初コミックスになります。竹美家ららさん、というよりは「黒泉ららさん」の方がまだ親しみがある方も多いかも。主にイラスト中心のお仕事をされていましたが、ルチルにて書きためた作品がコミックスになりました。一応シリーズで、髪結い(散髪屋?…って美容師って言った方がいいか)とその恋人が交わす会話や、幸せな状況が、寓話風に描かれています。

ちょっと難しいところも、判りにくいところもあります。でもそれを凌駕してあまりある、雰囲気の良さは、竹美家先生ならではだと思うのです。こころにじんわりくる台詞や言葉は、登場人物だけではなく、読んでいる私達の心まで癒してくれそう。2度、3度とじっくり読んで、噛み締めて欲しい、そんな1冊でした。

私的評価 ☆☆☆☆★
(いやあ、和みコミックス連発で、嬉しい悲鳴です。これも発売が危うくなって、どきどきしました(^^; 無事でてほんとによかった。)


2001年12月24日(月)   真綿の王国 1

   ルチルコレクション    南野ましろ:絵

ほわほわほわーんとした、ましろ先生ワールド再び!(笑)ルチルで掲載されていたらぶりーなうさぎのぬいぐるみマンガがコミックスになりました。予定になってから急に、ソニーマガジンズがコミックス部門撤退を決めて、どうなることかとハラハラしましたが、無事幻冬舎に引き継がれて発売になり、ほんとにほっとしました。主人公は、無愛想な大学生。犬猫子供におびえられる三白眼で強面の彼ですが、実は彼が大好きなのはぬいぐるみのうさぎ、麦太で…。

いやあ〜、やっぱり可愛いわあ〜♪(ごきげん) 月と専制君主が終わったと聞いた時はちょっと残念だったんですが、こっちも可愛くてめちゃめちゃ好きかも〜。全部知ってるにも関わらず、全く飽きない和む1冊でございました。なにがって麦太が可愛すぎ!ぬいぐるみだけに単純に純朴に好きの感情放出してて(笑)ボケっぷりも天然で、たまらんですな〜。存在自体はファンタジー入ってるし、ちょっとシュールと言えばシュールなんですが(笑)いろんなこと吸収して大人になって、でも可愛い麦太ちゃんで居て欲しいなあと思ってしまいました。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(こういうラブリーなモノには実は弱い私(^^; ツボにストライクでした。まってた甲斐がありました。)


2001年12月22日(土)   スレイヴァーズ・ラヴァ

   エクリプスロマンス  華藤えれな:作  雪舟薫:絵

何度も発売予定に上がっては延期が続きましたが、ようやく発売になりました。元は雑誌小説エクリプスに掲載されたお話で、人気があり、続編が書き下ろしでノベルズになりました。ある大会社の御曹子で勝ち気な美人の受と、昔から受が対抗意識を燃やし続けた使用人として共に育った攻とが、まるで主従関係が逆転したかのように新たな関係を築いていきますが…。

いやはや、さすがにここまで同じパターンだと食傷気味かな(^^; 最初は割と面白かったんですが、段々パターンにはまって来てしまって、とくに今回の続編は余計に「危ない目にあう受とそれを助けるヒーローな攻」パターンに落ちいってたかも。ほとんど受キャラ視点なので、最後に攻キャラ視点だったのは興味深かったですが、あんまり深く考えて行動してなかったのね(^^;<攻 思わず苦笑いでした。一応これで完結なのかな?前作と合わせて読むと、うつりかわりは楽しめると思います。

私的評価 ☆☆☆
(ネタ的にどうしてもきついなあと思いつつ、…よく考えたらこのカップルも言葉が足りないのか?(苦笑))


2001年12月21日(金)   アヌビスは微笑む(上)

   コバルト文庫  藤堂夏央:作  浅見侑:絵

藤堂先生の新作は、以前同人誌で書かれていたシリーズのリライトで、ミステリー仕立てになっています。上下巻完結のようなので、下巻と合わせてもイイかなあと思いつつ。主人公は、親同士の結婚によって義兄弟になった2人の大学生たち。独立して2人で暮らしはじめますが、1人は純朴直情タイプ、1人は浮気者で快楽主義なわがままタイプで…。

同人誌で読んでいたので、あまりにキャラが変わっててびっくりでした。どっちかというと同人誌のキャラの方が好きだったなあ(^^; 同人誌は、クライシスの番外編(高校編で登場したキャラの話)として出てきたので、別物とするためにキャラを正反対にしたのかなあと思いますが…。ミステリ仕立てで、同人誌のリライトなので、ネタを知ってるのが惜しいと言えば惜しい(^^; いくらリライトでも、大筋の話までは変更できないだろうしなあ。はじめて読むのだったらもっと楽しめただろうなと思うとちょっと残念。下巻もどう変化しているのか、楽しみにしています。

私的評価 ☆☆☆
(同人誌バージョンを知らない方にはオススメ。次巻は3月ごろの予定のようです。)


2001年12月21日(金)   壬生狼伝 3

   パレット文庫  秋月こお:作  ほたか乱:絵

新撰組の沖田総司を扱った時代物のシリーズ最終巻です。主人公は、新撰組へ隊員として参加し、沖田の恋人となった美少年(笑)です。3巻目では、池田屋騒動ののちの沖田と恋人のラブラブっぷり(笑)と、その活躍が描かれています。

最終巻ということで、どこまでをお話にするのかなあというのは、私も気になっていました。悲劇のヒーローみたいなものですから、病魔におかされて死んで行く沖田と、その後に出てくる真打ちの恋人(おい(^^;)というイメージを勝手に持ってたんですが、最後までラブラブでしたね。私の方が汚れてる…?(苦笑)ちなみに、沖田が死を迎えるまでは書いてありません。言わば全盛期までで止めてあるので、悲劇が苦手な人でも大丈夫です(笑)却って潔いエンディングだったなあと思いました。途中「おいおい(^^;」というシーンもあるにはあったけど、概ね楽しめた作品でした。

私的評価 ☆☆☆★
(でもやっぱり、どうにも沖田は受けくさいのだった(^^; 先入観ありすぎかしら?)


2001年12月19日(水)   あふれるほど愛して★

   HONEYアイスノベルズ  島みのり;作  かんべあきら:絵

同人でも組んでいる島先生とかんべ先生のコンビのお話です。前にも別の会社で出されてたので、うっかり同シリーズとかなのかなーと思いつつ手に取った1冊でした。主人公は風呂屋の次男坊。兄はすでに料理人として修行をつんでいるため、自分が風呂屋の跡を継ぐと決めています。そんな彼は、幼馴染みの少年が大好きで…。

なんか惜しい話だったです(^^; 性格設定とか、けっこう好みなのに、話の流れがかなり苦手路線で(^^; もうちょっとゆっくり話が進んでいればなあと、読みながら残念がっておりました。やはりレーベルがエロエロ系だからでしょうか、なんだか妙に濡れ場度が高く、なおかつその脈絡がなくて(^^; ちゃんとあんたら言葉で気持ちを伝えろよ(^^;と思ってしまう。それさえなければ、結構すきなんだけどなあ…。

私的評価 ☆☆★
(大幅に好みからずれてたら、諦めもつくんですが(苦笑)微妙に好みの部分もあるだけに、余計残念。)


2001年12月19日(水)   逢魔

  エクリプスロマンス  十掛ありい;作  華門ゆき:絵

雑誌エクリプスに掲載された時代もののお話と、その続編の書き下ろしです。主人公は鬼と呼ばれる種族の1人。鬼の討伐にあい、一族を失います。気を失った彼を成敗するはずの武将は、主人公を殺すのではなく、隠れ家へと連れていきますが…。

雑誌掲載時は、けっこう時代ものでも面白くて「おお?」と思ってたんですが、続編がちょっとなんだかなあという感じでした(^^; 雑誌掲載を知っていただけにね(^^; ちょっとネタバレなんですが、主人公のお相手は、雑誌掲載のラストにこの世を去るんですね。なのに続編というのが(^^; 結局幽霊なんじゃん(苦笑) まあ、ファンタジーだから、何でもありなんだろうけど、さすがにそれはどうかなと思ってしまいました。全体に面白かっただけにちょっと残念。続編じゃなくて、まだ2人でいる時のいちゃいちゃらぶらぶっぷりでも良かったのになあ…(こだわってるらしい<私)

私的評価 ☆☆☆

(いくらファンタジーといえど、やはり納得できない時はそれが気になってしまいますね(^^; 無理に「続編」じゃなくてもいいと思ってるから、余計にそう思うのかな。)


2001年12月19日(水)   お花の王子さま

    ショコラコミックス    甘野有記:絵

小説ショコラやコミックショコラなどに掲載された、ファンタジーもののお話がコミックスになりました。主人公は、普通の大学生。しかし、種をうえて水をやっていたらいきなりその種からちびちびキャラ「花ちゃん」が誕生します。彼は平安時代の人間だといい、騒動を巻き起こしたり、主人公に猛烈アプローチをしますが…。

わははは(笑)まとめて読むとより可笑しいですなあ〜。雑誌掲載だと単発ですからね。「どこからこういう設定が(笑)」と突っ込むところは多々あれど、やっぱりその不条理をおかしさに変換できてるあたりはさすが甘野先生かと。花ちゃんのある意味一途な姿がより笑いを誘うのかもしれませんね。一瞬ほろりとする場面もあったりしますし。少々の無理設定でもいいから笑いたいと言う方、ぜひどうぞ〜。

私的評価 ☆☆☆★

(甘野先生のコミックスはどうも和み系ギャグが多い。お気に入りです♪)


2001年12月19日(水)   恋と倹約のススメ

    キャラ文庫   真船るのあ:作   橘皆無:絵

真船先生の書き下ろし新作です。主人公は、線の細い少年で、大学に進学を決めています。彼は厳しい父に干渉されてきたことで、精神的に不安定で、会食障害(一緒にご飯が食べれない)も持っています。緊張が高まる中、合格発表を見に行く途中で具合を悪くしてしまった主人公ですが、そんな彼に声をかけてくれたのは…。

真船先生初の「気弱受と強引攻」のカップルでした(笑)いやあ、なんだか新鮮ですねえ。強引そうに見えて、やさしい攻キャラと、その優しさに段々癒されて行く受キャラがいいコンビです。妙に食にこだわりがある攻キャラが面白いなあと思いつつ。最後にはお互いがちゃんと主張しあっていい関係を築いていて、和みました。ちょっとトラウマ系なお話でもありますが、面白かったです。難を言えば、もうちょっとお互いに気持ちを伝えあう形ならもっと好みだっただろうなあ。

私的評価 ☆☆☆☆
(ここ最近の1人称の作品とはちがって、シリアス色が強めでしたね。どちらかといえば、今回の本の方が好みです。続編、あるのかなあ?)


2001年12月19日(水)   足長おじさんの手紙

    キャラ文庫   染井吉乃:作   南かずか:絵

雑誌「キャラセレクション」に掲載された表題作と、その続編書き下ろしです。主人公は、事情があり、大学を休学している少年。出版社でバイトをしています。いろいろと複雑な事情があって、彼を支えてきたのは、ある作家とやり取りしていた手紙でした。その相手に少しでも近付きたいとバイトをはじめた主人公ですが…。

雑誌掲載の時も、ちょっとうるうるしてしまった、ツボにはまった作品でした。そして何より、雑誌掲載の方のエンドマークのその後がめちゃめちゃ気になってて(笑)ぜひともこうして続編を読みたいと思っていたので、嬉しい1冊でした。作品としては、かなり「虹の入江」のカラーに近いものがありますね。偶然が重なって起こる運命の出会いを描いています。主人公たちの優しさや強さが切ない1冊でした。書き下ろしがもっと長ければもっと嬉しかったと思ったほど、もっと読みたかったなあ。なんだか懐かしい色調のお話でした。

私的評価 ☆☆☆☆★
(染井先生らしいような、そうでないような。後書きの「迷子」の例え話も判るような気もしますし…。でも、やっぱりなんだか自分にとって支えになるような、作品でした。)


2001年12月15日(土)   恋のウィーク・ポイント★

   リーフノベルズ  池戸裕子:作  九条AOI:絵

池戸先生の初リーフノベルズです。主人公は、芸能系の高校に通うカワイイ少年。スタイリストの姉と2人暮しです。学校のクラス劇で兄王に溺愛される弟王子役に抜てきされた主人公ですが、実は彼は、誰にも言えない秘密を持っていて…。

まあ平均的な感じでしたね。リーフだけに、「いつもよりよりいちゃいちゃしております」っつー感じでしたが(笑)他のリーフにくらべれば、心理描写も細かくて読みやすかったです。いつもの池戸さんよりはいちゃいちゃエロエロ度高め(笑) やっぱり出版社のカラーってあるんだなあと思いました。全体に派手な感じに見えて、ちゃんと地に足がついてる感じの雰囲気もあって、よかったかなと思います。

私的評価 ☆☆☆
(めちゃめちゃオススメ…というわけにはいかないですが、わりと良かった方かな?)


2001年12月15日(土)   不機嫌な純情

   ビーボーイノベルズ  岩本薫:作  円陣闇丸:絵

小説b-Boyに掲載された表題作と、その続編書き下ろしです。主人公は、モデルの仕事をはじめた甥っこを持つ、元映画研究会の青年…といっても撮る側というわけではなく、プロデュース中心でした。久しぶりにそのサークルの同窓会に参加して、久しぶりに会った仲よしの後輩は相変わらず無口でかっこよくて…。

雑誌掲載時に、めちゃめちゃ好きでした、この話。そのくせ、タイトルをきっちり覚えてなかったので、今回読んでびっくり(笑)そういやイラスト円陣さんだったよなあ(^^;(鈍すぎるって(^^;)自分の気持ちを自覚するのに時間がかかる、ちょっと内向的な2人ですが、それだけにいろんなことを乗り越えて2人で頑張ってる姿は嬉しいですね。この作品、最初に甥が主人公の話があって、それからこの話が出来たそうですが、できたら甥が主人公の話も読んでみたいなと思いました。

私的評価 ☆☆☆☆★
(続編で出てくる女性キャラも、いいアクセントになっててけっこう良かったし、やはり岩本先生の作品はけっこうツボのようです。)


2001年12月15日(土)   彼らの恋愛生活

   ビーボーイノベルズ  ひちわゆか:作  如月弘鷹:絵

同人誌で書かれた「TOKYOジャンク」シリーズの番外編を集めた短編集です。全部持ってる同人誌でしたので、作品自体よりも、イラストがつくというのがかなりの原動力でした(苦笑) 収録されているのは、主に貴之&柾のラブラブっぷりが書かれているものと、草薙氏とそのハニーが垣間見れる作品などです。どれも短編のなかにいちゃいちゃラブラブが入っているので、ラブラブ度は今までの中で一番かもしれないなあ(笑)

同人誌を知らない人は絶対必見です〜。事件もなく、ノーテンキにラブラブな彼らが楽しめます。同人誌で全部持ってる方は、ちょっと勿体ないかもですが(加筆訂正はほとんどなさそうだし、書き下ろしもないし)まあでもイラスト目的でも美味しいかもしれないです。イラストはもちろん書き下ろしですので。なんとなく、和む1冊でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(来月は書き下ろしあるのかな?来月の新刊が楽しみです。)


2001年12月13日(木)   罪深く抱きしめて

   ラキアSE-Xノベルズ  バーバラ片桐:作  円陣闇丸:絵

勢いとイラストで手にとった1冊でした(^^; バーバラ先生の新作です。主人公は強引な姉に関係を強要させられ、我慢の限界になってしまって、姉をベランダから突き落としてしまいます。そんな場面を目撃していたのは姉の旦那で…。

…もう、がっくりきました(^^; 同じハード系のレーベルから出ていても、もうちょっと緻密で、内容のある作品を今まで読んできただけに、この内容のなさと薄っぺらさには愕然としましたです。だって、キャラクターたちに「なぜ」とか「どうして」って気持ちが全然ないんだもの。回数だけはやたら多い濡れ場シーンとか、SMまがいなことしてみたり、殺人はするわ脱獄して逃亡するわ、立てこもるわ、よくもまあこれだけ詰め込んだなと言う感じで、よく最後まで読めたよなあ私…と遠い目になってしまいました(^^;せっかくの円陣さんの絵がなんだか勿体なかった。後書きで「エロに挑戦」みたいなこと書かれてますが、そんなの挑戦しなくていいから、もうちょっと内容のあるお話を書いて欲しかったです。久々に買ったのを後悔した1冊でした(^^;

私的評価 ☆
(この話って「男性同士である必然性」さえもなかった気がする。主人公を女の子に置き換えても全然違和感ないんだもの。こういう作品が増えると悲しいよなあと思いました。)


2001年12月13日(木)   あの月に届いたら

    ラキアノベルズ   神奈木智:作  佐々成美:絵

全編書き下ろしの新作です。出会い&カップル成立編と、その後のラブラブ&紆余曲折編の2編が収録されています。「今宵の月のように」のシリーズですが、前作までの主人公たち、小泉兄弟のお話ではなく、2冊目「嘘つきな満月」に出てきた脇キャラのお話になります。主人公はイイ人止まりなサラリーマン。ほんとに人がよくて、のほほんとしたタイプです。高校時代に小泉兄弟の次男と仲が良く、彼にほのかな恋心を持っていたことを自覚している彼は、「自分はひょっとしてホモなのかも」と某2丁目へ足を踏み入れます。その彼が出会ったのは…。

最初に「今宵の月のように」シリーズであることは判っていたのですが、まさか今までに出てきてたキャラとは思わずに読み進めていたので(鈍い(^^;)びっくりでした。同じシリーズものでも、「前作を読まなくても十分楽しめて判る」作品だった気がします。小泉兄弟も出てはきますが、きちんと主人公たち2人が主人公を全うしているからこそなのかなあと思いつつ。健気で頑張る受キャラが可愛かった〜(^^)

私的評価 ☆☆☆☆
(基本的にこういう作品は好みですな。定番といえば定番な部分もありますが、それでも楽しく読めました。)


2001年12月13日(木)   誘惑

    ラキアノベルズ   葉澄梢子:作   のもまりの:絵

葉澄先生の新刊は、全編書き下ろしで、昔だされていた同人誌の焼き直しだそうです。主人公は、割と苦労知らずでマイペースにすごしてきたスポーツジムのスイミングインストラクター。有閑マダムたちをコーチしつつ、けっこう楽しい日々を送っています。そんな彼がある日出会ったレストランのウエイターは、不思議な雰囲気をもつ美しい青年で…。

うーん、ちょっと好みから外れてたかなあ(^^; なぜかというと、けっこう小悪魔な受キャラなんですが、最初から最後までそうなんですよね。ペースを乱されて必死になる姿なんかもなくて。私は基本的には健気なキャラが好きなのもあって、なんというか計算尽くで行動しちゃう余裕しゃくしゃくの受がどうにも受け入れ難かったらしい。あんまり本心も明かさないしね(^^; 攻キャラにとっては惚れた弱味なのかもだけど、私には受キャラがあんまり魅力的ではなかったのでしょうね。 これはもう好みの問題だからしょうがないよなあ…。私は小悪魔受けがスキよという方は大丈夫だと思うので読んでみて下さいね。

私的評価 ☆☆
(あと、ちょっと絵柄も苦手だった(^^; 相乗効果でちょっと読みづらい1冊でした(^^; ゴメンなさい。)


2001年12月12日(水)   一緒に暮らそうよ

  アイスノベルズ  高尾理一:作   高宮東:絵

今月2冊目の新刊ですねえ〜。高尾先生の書き下ろしです。主人公は、小学生で両親の離婚を経験し、それからずっとおばあさんと2人ぐらしを続けてきた「結婚を夢見る」サラリーマン。でもなかなか相手にも恵まれずにいます。そんな彼の家に、下宿することになったのは、なかなか可愛い容貌の大学生。おかしな共同生活が始まりますが…。

なんというか、地味な作品でしたね(^^; こういう地味さ、けっこう好きなので私は全然オッケーなのですが、ちょっと読者を選ぶかも知れないなあ。相当早くにどちらもの気持ちはわかったし、却ってなかなか進展しないのがもどかしかったりもしますが、こういうのんびりゆったりなのもたまにはいいかなと。まあ、できればもうちょっと盛り上がりがあってもよかったですが(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(ところどころにあるエピソードなんかはけっこう面白いです。キャラクターに華があまりないから、地味なのかもしれんなあ(^^;所帯くさいしなあ(^^;)


2001年12月12日(水)   恋はhigh interest

  アイスノベルズ  うえだ真由:作  金ひかる:絵

うえだ先生の新刊は発売が1ヶ月延びました。全編書き下ろし(…のはず(^^;ひょっとしたら雑誌掲載かもしれませんが自信がないです(^^;)で、銀行マン同士のお話です。主人公は、大手銀行でそこそこ営業成績もあげている若手の銀行マン。異動によってやってきたのは、新入研修の時に仲良くやっていた同期生で、独身寮でも仲良く2人で鍋を囲んだりしますが…。

けっこう仕事描写メインで、そのあたりは楽しめたんですが、難をいうならば気持ちを自覚してから後がなんだか急ぎ足だったなあと思います。2編にわかれているんですが、別にわける必要はなかったような気がするなあ。…だからどこかで雑誌掲載されてたかも…とない記憶を絞り出してるんですが(苦笑)もっとゆっくり展開してくれた方が好みだなあと思いつつ、でもとても読みやすく楽しめる一冊でした。同じ銀行モノでも、この話はなんだか「地に足がついてる」作品な気がします。しっかりしたお話を読みたいならオススメかな。

私的評価 ☆☆☆★
(うえだ先生の作品も比較的私好みが多いです。しっかりした話が多いので難点もありますが全体に楽しめるのだな。)


2001年12月08日(土)   30秒の魔法 1

  ディアプラス文庫  松岡なつき:作  カトリーヌあやこ:絵

雑誌「小説ディアプラス」に掲載された作品と、その続編で別キャラの話が書き下ろしされています。今も継続して雑誌連載されるらしいお話です。主人公は、映像関係の仕事に憧れて、単身アメリカに渡った少年。親戚にあたる花屋の主人(これがゲイでドラァグクイーン(^^;)の手伝いをして生計を立てています。そんな彼が出会ったのは「感動を演出する」という不思議な仕事をしている青年。吸い寄せられるかのように、惹かれあう2人ですが…。

これを読んで思い出しました(^^; 少し前に出てたビブロスのノベルズとやたら似てるよなあ(^^;と(苦笑)日本人で、単身アメリカに渡ったり、頼った相手がゲイでドラァグクイーンだし(笑) もちろん、かなり別のテイストに仕上がってはいますが、なんとなく使い古されたネタに思えてしまうのは、割と続けて読んでるからかな(^^; 好きなだけに、気付いてしまうとちょっと残念。ちなみに作品的にはこっちの方がより好きです。

私的評価 ☆☆☆★
(できればもっと主人公の話を沢山読みたかったかなあと思います。続刊を楽しみにしています。


2001年12月08日(土)   もうひとつのドア

    ディアプラス文庫  月村奎:作  黒江ノリコ:絵

月村先生の新刊は全編書き下ろしです。主人公は、家庭に恵まれず一人立ちして生活している十七歳の少年。苦しい生活をしながら、義理の父にたかられたりしつつ、日々をすごしています。そんな中、バイト先のパン屋さんで出会った父娘連れが気になり、言葉を交わすようにもなりますが…。

いやあ、なんというか心臓を引き絞られるような、そんな作品でしたねえ…。突っ込みどころはあるんですけど、そんなのもう気にならないぐらいに引き込まれる作品でした。ある意味イタイお話でもあるのかなあとおもったりもします。家庭環境ゆえに人を信じきれず、それでも信じたい、信じようとする主人公の健気さに涙が浮かびます。決して彼らが進んだ一歩は大きいものじゃないけど、確実に「現在の自分…それも自分がどこかで『なんとかしなくちゃ』と思っている自分…」を変えるものなんだろうな。なんだか読み終えて、励まされたような、そんな感覚になりました。

私的評価 ☆☆☆☆★
(月村先生らしい作品ですね、ほんとに。イラストの方は「古張乃莉」先生の別名だそうです。とっても合ってていい感じ。)


2001年12月08日(土)   シュガー・クッキー・エゴイスト

    ディアプラス文庫  五百香ノエル:作  影木栄貴:絵

雑誌「小説ディアプラス」に掲載された表題作と、その続編というか別キャラ中心のお話の書き下ろしが収録されています。主人公は、おもいっきりゲイな教職免許を持つ青年。その特性(?)を生かし、何やら事件が起こっている高校へ臨時採用として赴任して、その事件を調べることになりますが…。

ここのところ、五百香先生の作品で多い「エロエロドタバタ喜劇」という感じの強いお話でした(^^;嫌いじゃないんですが、私はもうちょっと落ち着いてるほうが好きかなあ。個性的なキャラが沢山出てくるため、なんだかお互いで打ち消し合ってしまってて、散漫なイメージになっちゃうんですよね…。読み終えた後に「…なんだったっけ?」という感じになっちゃって勿体なかったかなあと。五百香先生はあんまり普通の学園モノよりも、大人モノやファンタジーの方がスキかも。

私的評価 ☆☆★
(ちょっと点数からいかなあ(^^; 雑誌掲載の時も「ん〜?(^^;」という感じだったんで、つい(^^;)


2001年12月08日(土)   下僕の恋

    ショコラノベルズ  高尾理一:作  小笠原宇紀:絵

高尾先生の久しぶりのノベルズは、全編書き下ろしです。主人公は、突然の両親の死によって、大企業をつぐことになった跡取り息子。本来は跡を継ぐべきだったのでしょうが、彼は画家としての素質もあってイギリスに在住していました。親の死を迎え、日本に戻った彼を待っていたのは、彼の片腕になる青年。最初こそきびしい彼に反発を覚える主人公ですが、だんだんと距離は縮まってきて…。

とっさに「下僕もの」と言われて想像するのは、「タカビーな御曹司と忠犬なしもべ」…私のこういうののイメージは、どうもミラージュ系なキャラたちなんですが(笑)このお話は、多分大筋ではそういう雰囲気を狙ってはいると思います。でもそれぞれのキャラがけっこう素直で健気で、全然不快感もなくて、楽しく読めました。「嫌な奴だよな」みたいな質問をする主人公。いや、君が嫌な奴だったら世界全員嫌なやつだって(^^; と思わず突っ込み(笑)をしたくなっちゃいます。少しずつ少しずつ距離を縮めていく2人がとってもいいなと思う。そうそう、それから冷静に判断を下せる聡明な主人公がすてきでした(^^)

私的評価 ☆☆☆☆☆
(やっぱりこれだけ2人の気持ちを緻密に描いて貰うと感情移入もしやすいですね。1つだけ、絵が私の好みからかけ離れていて、それだけがひそかに残念…。)


2001年12月07日(金)   陰陽師 蘆屋道満 地の巻

    クリスタル文庫  剛しいら:作  水上有理:絵

平安時代の陰陽師を題材にしたお話の完結編になります。主人公は、晴明の敵役として名高い蘆屋道満と、それを取り巻く人々です。前作にて不思議な童子と出会い、事件の予感を覚えた彼らですが、それは案の上的中してしまい、その童子がかの有名な安倍晴明として都に現れて…。

正直、どういうエンディングになるのかというのが楽しみな作品でした。すっかり史実とは逆の配役なわけで、かといって全く違う流れにしてしまうのは、名前が安倍晴明であり蘆屋道満である以上は無理だろうと思っていたのです。フタを開けてみれば、なるほど、という感じのお話になっていました。まあつじつまを強引に合わせたっぽいところもありますが(結果的に無駄になってる気がする伏線もあったりして(^^;)でもこれなら納得できるなあと思います。下手に現代物だと「おいおい(^^;」と突っ込むようなものも、歴史ものだとけっこう様になるんですね。 

私的評価 ☆☆☆★
(前後編という形で、うまくまとまってるなあと思いました。陰陽師ネタとしては面白く新しかった気がします。)


2001年12月04日(火)   渚でドラマチック

    パレット文庫   池戸裕子:作   明神翼:絵

これもシリーズものです。前作「渚のロマンチック」の続編にあたり、前作にて恋人になった幼なじみ同士のその後を描いています。幼なじみでまるで兄弟のようだった2人が、その関係を壊して新たに「恋人」という関係を築くまでには、やはり紆余曲折が山のように存在していて…。

いやあ、脇キャラ救済も一緒にしてしまってて一石二鳥(笑)な感じですなあ。脇から横恋慕してたライバルキャラにもちゃんとお相手が出てきて、憎めなかっただけによかったなあと思います。…やったことはあんまり許せないですが(苦笑) ただ1つ、前作でセクハラまがいのことをやったキャラだけは、生理的に好かないというのもあって、もう出てきて欲しくなかったんですが(^^; まあ話の流れ上、そういうわけにもいかなかったのかな(^^; 

私的評価 ☆☆☆
(読者はわがままですな(笑) 好きなキャラはどんどん出て欲しいし、嫌いなキャラは見たくないものです(苦笑))


2001年12月04日(火)   Wコン・ハピネス

    パレット文庫   鹿住槙:作   藤たまき:絵

わりとすぐに続編が出ましたね。Wコンシリーズの2作目です。前作にて義兄弟となり、同居人となり、そして恋人同士となってしまった主人公2人のその後を描いています。ラブラブな生活を送っているかと思いきや、却って2人ともがぎこちなく、不安を抱える日々ですが…。

適度にからんでくる脇キャラのおかげで、読んでいる側もドキドキハラハラ、落ち着かなかったですね(苦笑) ちょっと無神経なお母さんの言動には、思わずムカっとするシーンもありましたが、それでも理解を示す主人公は可愛かった。大人のこういう言動で、傷つく子供もいるのかもなあと妙なところで反省してしまいました(^^;

私的評価 ☆☆☆
(なんだか読む観点がちと違った気がしないでもないですな(^^; 多分前後編だった…はずなので、前作と合わせてどうぞ。)


2001年12月03日(月)   放蕩長屋の猫

    SHYノベルズ   榎田尤利:作   紺野けい子:絵

榎田先生の新作は、今までのシリーズとはちょっと違う感じの作品です。ある古ぼけた長屋(アパート)に住むカップルと、その隣人兼管理人とのお話です。主人公は、売れないイラストレーターで、同居している年下の恋人に半分養われつつ日々を過ごしています。彼は恋人を甘やかしていて、浮気しているらしき形跡があっても、あまり責めずに穏やかでいます。そんな相手に調子づいてしまっている恋人は、浮気をくり返して…。

うーん、今までの作品よりかは、テンプレートくさくはなかったです。ただ、どうにもこの浮気性な恋人が腹立たしくてむかついて(^^; 途中で隣人の横恋慕(受にね)が判ってからは、「たのむ、この隣人とくっついてくれ〜」と願ってたんですが、さすがにそれは有りませんでした。この隣人がめちゃめちゃいい男だったから余計だな(^^; 微妙にこちらの期待した路線から外れてるんですよねえ。まあ、そういう作品もありとは思うけど、もうちょっとカップルにするなら、読者側にも魅力を伝えて欲しいなあと思う。無い物ねだりかなあとは思うけど、あれでは受キャラの母性(父性?(苦笑))愛がなくなったら終わりじゃん…(^^;と突っ込みを入れてしまいました。

私的評価 ☆☆☆★
(あと、やっぱり女性キャラが魅力的ですなあ(^^; 今回も結構中心人物として出てきました。そんなに違和感はなかったけど、でも一度女性なしの作品も読んでみたいなあと思います、やっぱり。男性同士の話なんだしさ(^^;)


2001年12月01日(土)   デジタルな陶酔

    リーフノベルズ   水上ルイ:作   杜山まこ:絵

デジタルシリーズの2巻目になります。間に「ネットワークシリーズ(同じシリーズの別キャラ話)」が2冊入っているから、そんなにシリーズとしては少ないわけじゃないんですが、そんなに久しぶりだったっけ?という感じでした。時系列はちゃんと並んでいて、ネットワークの2冊があった後のお話です。主人公は、凄腕のハッカーの青年。前作にて助け出した恋人とラブラブな日々を送っていますが、世界に名を轟かせているある人物を助け出すために、極秘の任務を請け負うことになって…。

いやあ、毎度ながらなんというか仰々しいというか(苦笑)今度は「見た目は普通のパソコンだけど、中身は凄いんだぞ」というコンピューターが出てきました。…なんかどう凄いんだかもう判らないですが(^^;そしてまたもや拉致される受キャラたち…、パターンですなあ(苦笑)まあ、ワンパターンなりに楽しめる部分もあるんですが、もうちょっと落ち着いた小さな世界でもかまわないと思うんですよねえ…。そんなに世界飛び回らなくても、十分ドラマティックにできると思うんですが。

私的評価 ☆☆★
(テンポはいいんですよね。ただ、型にはまってる気がすごくするので、もうちょっとフェイクかけてみたり(笑)違うことしてもかまわない気がするなあ。…同じパターンすぎてちょっと飽きてきたかな(^^;)


2001年12月01日(土)   しなやかな熱情 〜さらさら〜

    リーフノベルズ   崎谷はるひ:作   蓮川愛:絵

崎谷先生の2冊目のリーフノベルズです。実はこの作品、同人誌で展開されたことのあるお話の出会い編でもあって、おまけにイラストが蓮川先生ということで、とっても楽しみにしていた1冊でした。主人公は、駆け出しの画家で、あるきっかけで自信を失い、傷心旅行のような形で、信州のある町へ旅立ちます。そんな彼がその地で出会ったのはなにやら事件のようで、美貌の刑事にうやむやのうちに容疑者だと思われてしまい…。

どうにも私もこだわりがあって、副題の「さらさら」が取れません(笑)同人誌の方のタイトルがこれだったんですね。印象的だったので、このタイトルでも良かったかもなあと今も思いつつ。出会い編ということで、同人誌を先に読んでいる私にとっては、知っているシーンもあってすごく楽しめる作品でした。同人誌は受の1人称だったんで、余計にそう思えたのかな。この作品自体は攻寄りの視点の3人称で、この作品だけ読むと、ひょっとしたら物足りないかもしれないと思います。ぜひ続編で、同人誌の方も再録してもいいから出して欲しいなあと切に願います。とっても崎谷先生らしい、切なさと優しさに溢れた作品でした。

私的評価 ☆☆☆☆★
(多分崎谷先生の同人誌は、もう品薄で中々手に入らないと思うけど、でもできるなら同人誌とセットで、ぜひぜひ試してみて下さいね。)