2001年2月のレビュー

 


2001年02月28日(水)   SPECTER

   あすかCL-DXコミックス   如月弘鷹:絵

雑誌CIELにて連載された、SFもののお話がコミックスになりました(^^)わりと早かったですねえ。雑誌掲載されたものだけで、後書き以外には書き下ろしはないです。ある日高校生は偶然友人と一緒に事故にあってしまいます。その事故を起こした運転手は感染病にかかっていて、主人公と友人はその血から感染してしまいますが…。

誰が敵で、誰が味方か判らないドキドキの展開でした。実はCIELは購読してないので(^^; ラストを知らなくて(立ち読みしそびれた(笑))余計に新鮮に読めました。正直なところ、「そのラストシーンまでの間が読みたい間が!」と思った…のは私だけではないと思いたい(笑)めちゃめちゃ成長してた主人公が、素敵でした…。やっぱりでもこれは主人公受けなんでしょうかねえ?(素朴なギモン)

私的評価 ☆☆☆☆
(題材がSFもので、それもちょっと…なんというか触手系というか(笑)苦手な方もいらっしゃるかもなと思いつつ読みました。初回とラストでも、随分絵が変わってらっしゃいますね。)


2001年02月28日(水)   少年☆周波数 予言者の階段

   あすかCL-DXコミックス   佐久間智代:絵

タイトル「少年☆周波数」は将棋の世界を描いたお話ですが、これは番外編にあたり、内容としては短編集の扱いになるのではと思います。表題作は、本編に出てくる北川名人と家鋪名人との中学、高校生時代の出会い(というか親しくなったきっかけ?)を描いたお話で、他に戦国時代物(家康とその妻築山御前のお話)と、不思議な琵琶をもつ雑色のお話のシリーズが収録されています。

表題作ですが、2人とも可愛いです(笑)<名人たち>一見破天荒に見えて、実はいろいろと計算している(笑)北村名人がさすがって感じ。この底知れなさは大人になってからもあるよなあと思いつつ。家鋪名人も、人の良さは相変わらず(笑)ですねえ。この時代があって、一流棋士としての彼等があるんだなと思うと、面白かったです(^^)他の短編も、どきどきしたり、ちょっと切なくなったり、楽しんで読めました。ぜひお手に取ってみてくださいね。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(「少年☆周波数」シリーズだけではない内容ですが、損はないと思います。ぜひ読んでみて下さいね。)


2001年02月28日(水)   一緒にいたねをたくさん

   シャレード文庫  花川戸菖蒲:作  角田緑:絵

今月一番楽しみにしていた作品、雑誌シャレードに掲載されている「本屋さんシリーズ」の2冊目になります。雑誌掲載された「一緒にいたねをたくさん」「あしたのために幸せでいよう」と書き下ろし「きのうより嬉しいが待っている」の合計3編が収録されています。尤書堂という大型書店につとめる青山と望のお話です。前巻にて無事同居生活を初め、ラブラブ街道突っ走り中な2人ですが、一緒に暮らしていく上でのいろんな悩みや不安、変化を抱えて試行錯誤の毎日で…。

えへへ、青山が可愛い〜♪いつでも一生懸命で、自分の責任と思って空回りしてしまったり、でもそれをちゃんと反省も出来て、気が付けば望に抱き締められているだけではなく、きちんと望を理解して抱きしめ返していて、成長してるんだなあとちょっと感動です。ひょっとしたら、このお話は「青山成長物語」なのかも(笑)とくに書き下ろしでは、随分と余裕で大人な青山と、その青山をべた甘に甘やかしたい(笑)望とがイイコンビでした(笑)これから2人がどうお互いを高めあっていくのか、楽しみでなりません。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(期待以上に楽しませてもらった感じの1冊でした。待ってた甲斐があったなあと読んでいても嬉しかった。購入してすぐから何度も読み返した作品です。)


2001年02月28日(水)   Lovely Stile 2

   ディアプラスコミックス    佐久間智代:絵

雑誌ディアプラスに掲載された、不思議な親子ものを描いたお話です。主人公の高校生は、自分の母親が実は男ではないかという疑惑を持っています。でもその母が大好きで、2重3重のタブーに立ち向かって(?)います。そのうち、同級生に迫られたりと回りが騒々しくなってきますが…。

雑誌掲載のものだったので、全部読んでいましたね。なんだか天然な主人公で、振り回されまくってる回りのキャラがおかしいです。今回「実は父は●●だったんだ」とか、いろいろと謎がはがれてきて(笑)でも気になるところでおしまいなので、今めっちゃめちゃ続きが読みたくてしょうがないです。早くでないかなあ〜。

私的評価 ☆☆☆☆★
(佐久間先生の作品って、ほんとに笑えて好きだなあ〜。「もっと違うところで悩めよ違うところで(^^;」と突っ込みをいれてしまいます(笑)続きはいつだ〜!)


2001年02月28日(水)   ハピネスのかたち

   ルビー文庫   真船るのあ:作  成神護:絵

真船先生の新作は、可愛い高校生が主人公のお話です。主人公の高校生は、容姿が整っているがために、今までもいじめられたりしたことがあるため、「顔のいい人」というよりも「ノリがイイやつ」として見られたくて、演技をしています。ある日悪ノリが過ぎて、当り屋まがいのことをしてしまった彼は、相手の男性にいきなり拉致されて、山奥の別荘につれて行かれてしまいますが…。

うーん、最近作風ちょっと変わったでしょうか?<真船先生>単純オバカ系な受と実は猪突猛進だけど、外面がいい攻め…どっちかっつーと逆の方が好み(爆)でも今真船先生のマイブームはこっちらしいです(笑)でもなあ…いきなり強姦しちゃうってのもちょっと引いてしまいました(^^; やっぱり無理矢理はいかんでしょう、いくら理由があっても…。テンポはよくて楽しいんですが、やっぱり苦手項目なんですねえ、まあしょうがないか。(^^;<身体からの関係

私的評価 ☆☆☆
(ドタバタコメディ系なお話です。私はひっかかっちゃったけど、あんまり気にしない方は絶対楽しめると思います。楽しい作品です。脇キャラも注目度高し(笑))


2001年02月28日(水)   スキまでの距離

   ルビー文庫   鹿住槇:作  起家一子:絵

これは新作ではなくて、前にあすかノベルズで書かれた「君」シリーズのリニューアルだそうです。情報を知らずに、新作だと思って購入したのでびっくりでした。今後、書き下ろしも含めてもう1冊文庫が発売になるそうです。主人公は、「イイ声」な放送部員。放送部から見えるグラウンドでいつも一生懸命に練習をしている陸上部員の少年が気になっています。ある日、悪友の新聞部員に恋をしていることを勘付かれて「彼の本命はだれ!」と派手に書き立てられてしまいますが…。

懐かしいですねえ〜。可愛いお話で、ノベルズの時も楽しんでよんでいました。ノベルズの時はイラストは橘皆無さんだったかな?(うろ覚え。間違えてたらゴメンなさい)もう、処分してたので、「間違えて買ってしまった〜」とは思わないですが(^^; ノベルズお持ちの方や完全新作を期待してた方はどうぞお気をつけて。数年前の作品なだけに、今よりも展開が可愛くて、いかにも「青春!」って感じです(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(可愛いし、懐かしい〜。けっこう初期に読んだ作品だと思います。次作では、書き下ろし分も入るそうなので、楽しみが増えますね(^^))


2001年02月27日(火)   恋愛サバイバル

   ラピス文庫   近藤あきら:作  こうじま奈月:絵

「校内恋愛のススメ」で出てきた脇キャラ秀吉画伯と、その恋人で超人気俳優の真清とのお話。もちろん前作主役カップルの秀頼と啓も出てきます。天才となんとかは紙一重…を地で行くような個性的な美人の秀吉は、恋愛についてもあまり感心がなく、つき合っている真清に対しても、ワガママ放題です。ある日、彼のマンションを訪れた秀吉は、女性の声の留守電を聞き、はじめてそこで自分達の関係について深く考えてみますが…。

前作は、秀頼のヘタレぐあいがすっごい好きで(笑)読んでたんですが、この作品は、ほとんどが秀吉側寄りの視点のせいもあるのか、淡々としてて、ラブラブ度も低くて(^^; 「あれ?こんなもん?」って感じでした。もっと無意識にいちゃついてんのかと思ってたらしい(笑)脇キャラ使い回し(受キャラに横恋慕するのが同じキャラ(^^;)というのもなんだかなあ(^^; 期待してたからだとは思うんですが、物足りない作品でした。

私的評価 ☆☆★
(秀吉の女王様っぷりが、ちょっと都合よすぎるのかなあ(^^; うーん、残念。)


2001年02月26日(月)   恋愛戦略の定義

   キャラ文庫   ふゆの仁子:作  雪舟薫:絵

全編書き下ろしのサラリーマンもののお話。ある清涼飲料会社と、その子会社(今は別会社ですが(^^;)が舞台になります。主人公は子会社に勤めるサラリーマン。師事を受けていた上司と過去に関係があり、彼自身もゲイです。ある日、親会社が主催するセミナーに出席するため、道を急ぐ彼は、同じセミナーに出席しようとする青年に出会いますが…。

企業ものですね。けっこう専門的な分野だったりして、慣れるまでにちょっと時間がかかったかも。主人公ですが、最初は一夜の相手と思っていたのに予定が狂って(笑)どんどん引きずり込まれていく感じで(笑)主人公が冷静になれずにジタバタしてるあたりはおもしろく読みました。ただ、盛り上がりのわりには、青年の素性がありがちというか、安直だったのは残念な気がするなあ。注文つけ過ぎ?(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(身体からの関係、なんですが、それはあまり気にならなかったですね。それより収拾の付け方が気になった(^^;)


2001年02月26日(月)   サムシング・ブルー

   キャラ文庫  高坂結城:作  雁川せゆ:絵

小説キャラに掲載された表題作と、その続編書き下ろしです。主人公は一生懸命に頑張る優等生な高校生。でもその自分が、本当にそれでいいのか…という自問自答をしながら毎日をすごしています。自分の家の隣で偶然見かけた男の人が、気になっていた高校生ですが、ある日声をかけられ、いろいろ話をする内にすっかり意気投合して…。

健気な高校生が、可愛いです。一生懸命で、頭をグリグリ撫で回したくなっちゃいますね(笑)大人な余裕で支えてあげる攻キャラも好き。なんだかホッとするお話でした。続編も、脇キャラが横やり入れてきたりする定番な展開でしたが、楽しんで読めました。

私的評価 ☆☆☆★
(久しぶりに高坂先生らしい作品だった感じですね。)


2001年02月26日(月)   夢幻のレクイエム

   ダリアノベルズ  ゆらひかる:作  如月弘鷹:絵

ダークウォーカーシリーズの2冊目になります。前作では、夢の底で出会ってラブラブになった(笑)雄郷と智己の闇歩きコンビ(^^;ですが、今度の舞台は地上です。相変わらずラブラブしつつ、学校生活を営む彼等に、またもや夢の底の魔物が接近してきて…。

いやあ、正直続くと思ってませんでした(^^; ラインナップ見てびっくりしたんですよね。終わったと思ってたから。今度は地上で、学校に行きながら仲良く過ごす2人ですが、イヤな新キャラが現れて、すっかりかき回されてしまいます。すっごい大騒ぎになるのに、エンディングがその割には簡単すぎて物足りないなあ…と思わないでもないですね。クライマックス寸前まではすごくワクワクしただけに残念。前作でも思ったんですが、たぶんクライマックス寸前が一番書きたかった所だったんだろうなと思います…が、余韻を残すためにも、もうちょっとその後も丁寧に書いてもらえたらもっとよかったかなあ〜。

私的評価 ☆☆★
(もともと世界観としてはすごく好きなだけに、要求もより厳しくなっちゃうのかもな…(^^; ゴメンなさい。)


2001年02月26日(月)   罪より甘い吐息

   エクリプスロマンス  きたざわ尋子:作  佐々成美:絵

続編を楽しみにしていました、「甘い罪のカケラ」のシリーズです。書きおろしで、遺体から情報を読み取る事ができる保険の調査員のおぢさん(笑)匡一郎と、人の死期を悟ることができ、匡一郎とHをすることで、恭平の意識の中にあるものを読み取る事ができてしまう智雪とのお話です。前作で同居し、新たに高校に編入することになった智雪ですが、また新たな事件に巻き込まれていきます。

特殊能力を扱ったお話ですが、それに絡めての2人のぎこちないやり取りが和みます。なにげに匡一郎さんったら独占欲強いし(笑)言葉少ないながらも、ちゃんと大切な事を伝えあい、より深く結びついていく2人がいいなあ♪と思います。智雪くんの健気さも可愛い〜♪2冊合わせてどうぞ。

私的評価 ☆☆☆☆
(前作を読んだ時は「続きが読みたい!」と思いつつも、続編予定とは思っていなかったので、こうして読めて嬉しいです〜。)


2001年02月26日(月)   君にとどくまで

   エクリプスロマンス  可南さらさ:作  蓮見桃衣:絵

小説エクリプスに掲載された学園もののお話と、その続編書きおろしです。雑誌掲載は2編あって、1つは1つ違いの幼馴染み同士の年上小悪魔誘い受け(笑)もう1つは、過去持ちの毅然としたタイプの少年と、それを口説く(笑)生徒会長とのお話。書きおろしは、両方のカップルのその後を交えつつ、幼馴染みカップルのラブラブ(笑)を書かれています。

どちらの作品も、雑誌掲載時にめちゃめちゃ好きだった作品なので、ノベルズ化を心待ちにしていました。…でもまた例のごとく、1作目と2作目がイコールで繋がってなかったらしい…(笑)蓋をあければ健気な受キャラたちと、実はそれに振りまわされてるのかもしれない(笑)攻キャラたちがとっても好きです(^^)「大事な事を見失わず、一途でいられる」強さがいいなと思う。ぜひ読んでみて下さい。お気に入りな1冊です。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(テンポもいいし、思わずクスッと笑うシーンもあり(笑)ぜひオススメします〜。)


2001年02月26日(月)   渋滞

   エクリプスロマンス  水壬楓子:作  天野かおる:絵

小説エクリプスに掲載された表題作と、その続編書き下ろし。それから小説ファッジ(懐かしいな(^^;)に掲載された「イブの夜の恋人」の合計3編が収録されています。主人公は高級ホテルの宴会係のチーフを勤める真面目なサラリーマン。実はゲイですが、カミングアウトはしていません。ある日結婚披露宴を行っていた時、ふらりと会場から出てきた青年は、茶髪にピアスという派手な身なりの美人さんで…。

ワガママ受に振り回される大人攻って感じですかね(笑)最初はなんてワガママな!という感じの受なんですが、蓋を開けてみればめちゃめちゃ健気(笑)でもちょっと言葉が足りないよね君たち(笑)と思いつつ。続編でもドタバタ大騒ぎしてくれます。「イブの夜の恋人」は、逆に「強引攻と真面目受」ですが、これもテンポよくて楽しめました。

私的評価 ☆☆☆☆
(ふふふ、雑誌掲載の時に好きだったんですよ、この作品。…題名だけじゃ全然判らなかったけど(笑)読んでみれば嬉しい作品でした。)


2001年02月16日(金)   HARD CANDY -ヤってもいい−

   SHYノベルズ  尾鮭あさみ:作  高星麻子:絵

近未来もの…なのかな?気弱で美人でいぢめられ体質な(笑)少年と、ひょんなことから知り合った殺し屋のおぢさん(笑)とのお話です。全編書き下ろし。少年は、過干渉な母親からなんとかして抜け出したくて、不良グループに入りますが、金があるだろうと目をつけられ、虐められます。そんなある日、アヤシイ人に「無敵になる薬だ」と妙な薬をもらって飲んでみると、やたら強くなっていて…。

ううむ、あらすじが出会いのとこまで行ってないや(笑)まあいいか。SHYノベルズの前作でも同じような感じだったんですが、「どたばたコメディ」って感じですね。殺し屋と生活を共にしている、シリアスな状況にもかかわらず、なぜかHのことしか考えてなかったり、受キャラのヘタレたバカっぷりは笑えます。攻も、ほんとにいいのかこのキャラで(^^;深く考えないでワハハと笑い飛ばせる作品かな。笑いたい時にどうぞ。

私的評価 ☆☆☆
(あんまりドタバタすぎるかなとも思いつつ…。キャラクターが好みではなかったかな(^^;)


2001年02月15日(木)   恋はハリウッド級★

   ビーボーイノベルズ  高橋英里花:作  高座朗:絵

小説BEaSTに掲載された大学の若い教授(講師?)と、その教授に熱烈な求愛行動を繰り広げる美形双子、そしてその双子の父がまきおこすハタ迷惑な(笑)どたばた恋愛劇「金銀ファンタジア」と、その続編書きおろしです。主人公は、引っ込み思案で優しい、大学の教授。なぜか困った双子たちに気に入られてしまい、あわや貞操の危機におちいったり、大変な日々を過ごしています。でも主人公には、忘れられない相手がいて…。

いやあ、そんなグレード高くて天才な双子なんか居ないって(苦笑)と思いつつも、あんまり破天荒なもので笑ってしまいますね。双子の父が、忘れられない相手、でもあるので、私はついついこちらのカップルが好きで応援してしまいます。双子いい加減に諦めろー(笑)書きおろしでは、父が記憶喪失になってしまい、思い出させるために、双子と受がいろいろと(めちゃくちゃなぐらいに)策を講じますが、これがまたバカバカしいネタ満載で、大笑いしちゃいました。これは、絶対コメディだと思うんですが、違いますでしょうか(^^;

私的評価 ☆☆☆
(濃度の濃さ(なんのだ(^^;)は保証します(笑)バカバカしくてワハハと笑えるお話。シリアスは求めちゃいけません(笑))


2001年02月15日(木)   ラブ・ミー・テンダー 2

   ビーボーイノベルズ  ひちわゆか:作  如月弘鷹:絵

TOKYOジャンクシリーズ外伝のラストになります、ラブ・ミー・テンダー2です。オール書き下ろし。これと、今月発売の小説b-Boy掲載の「ラブ・ミー・10$(テンダラー)」で、外伝シリーズ(朔夜と恭介シリーズ)は完結のようですね。最初は「登場人物がどう重なるんだ?」という感じの話でしたが、途中…「真昼の情事」あたりからドキドキしっぱなしだったので、無事完結して嬉しいです(^^)

いわゆる多重人格障害をもつ朔夜ですが、今回のノベルズはほとんどが交代人格である「サクヤ」で語られています。エタニティ3で出てきた、幼い少年はやはり朔夜で、その壮絶な過去が語られ、思わず胸をつかまれる思いで読み進めました。結果、人格統合がされ、本来の朔夜に戻りますが、多少安直さはあっても、「こうあってほしい」と望んだ形のエンディングであったことが嬉しいですね。後半はナギさんと貴之、そしてオネエな医者(笑)という3巨壁(大笑)が出てきて、恭介ってば大変(笑)柾が名前だけしか出てこなかったのはちょっと残念だけど、12年経ったって相変わらずな彼らでした(笑)頑張れ恭介〜(笑)

私的評価 ☆☆☆☆★
(「認めて欲しい」「愛して欲しい」という心の叫びをきちんと聞き取り、読み取れたのは恭介の愛でしょうね。いくらオイシイところをナギさんが取っていっても(笑)恭介がいなければどうにもならなかったと思う。どうぞ、2人が幸せに過ごせますように…。)


2001年02月15日(木)   STOP!先生っ

   ビーボーイノベルズ  磯崎なお:作  明神翼:絵

小説b-Boyに掲載された、元気なサッカー少年と、その家庭教師とのお話と、その続編書きおろしです。元気なサッカー少年は、サッカーが大好きで、勉強がおろそかになっているため、家庭教師をつけられてしまいます。なんとかして家庭教師をやめさせたいあまりに、いろいろとイタズラをして追い出そうとしますが、手強い相手で全く利き目がありません。親友の思いつきで色仕掛けをし、その写真をネタに脅そうと思い付いた主人公は、家庭教師に「抱いて!」と言ってしまいますが…。

いやはや、フェチってコワイわね(笑)というお話ですね。(とくに続編は(笑))家庭教師、実はショタコンなんですね。イタズラも利き目がなくて当たり前、自分の趣味ストライクゾーンど真ん中(笑)な少年を前に、そんなイタズラぐらいで止める訳がないという。ドタバタ喜劇的なお話でした。個人的にショタが苦手なんで(^^;(とはいっても中学生ですが)まあ自分の中ではオススメ度は低いですが、ワンちゃんみたいなお子さま達は可愛いです。まるで家庭教師たちが飼い主みたいですよね(笑)明るく楽しいお話なのでショタ苦手でない方はぜひ。

私的評価 ☆☆☆
(明神先生のイラストが相乗効果でショタちっく(笑)でした。)


2001年02月15日(木)   Fetish

   ビーボーイノベルズ  かわいゆみこ:作  石田育絵:絵

名作エゴイストシリーズの、番外編他を集めた短編集。同人誌の再録と、書きおろし、WEB上で掲載された話を日記風にして収録してあります。主に白井と古谷のラブラブ話(笑)ですが、一部白井の辛い過去を書いた(出会い前の)話も入っています。

正直、「なぜ今?」という疑問はあります。嬉しいんですが、こういう本が出れば自然と読み返したくもなります。…が、今エゴイストは絶版でして、普通に本屋では手に入らず、また手放している人も多い(それだけ古い作品とも言えますが)中の番外というのがなんとも不思議で(^^;びっくりでした。内容は、1〜2巻の容赦ないほどの厳しい内容とは打って変わってラブラブ光線を発してます(笑)2巻が自分でも非常に辛い思い出である阪神大震災のシーンで終わっているせいもあってか、なんだかホッとした作品でした。関係ないですが、一ケ所、地元民として、「間違ってないんだけどなんか違うー(爆)」と思ったのが地名の表記。灘区御影、という地名が出てきますが、御影と名のつく地域は半分以上東灘区に存在するんですよね(^^; もちろん、灘区にも御影とつく地域はあるので、その地区のことだと思うんですが、ついつい違和感が(笑)普段は東灘のイメージなんですよ、私にとっての御影って。駅名にもつきますが、それもどっちも東灘だし(^^;生まれ育った地元民ならではのジレンマでした(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(しょーもないジレンマ書いてすいません(^^; 懐かしさと安心と共に読みました。前作2冊を読み返したくなる本でした(^^; お持ちでない方は御注意を…禁断症状がでます(爆))


2001年02月09日(金)   弟達の追跡事情

   ビーボーイコミックス   水上シン:絵

オススメ掲示板にてオススメしていただき、手にとりました。中華風な世界のお話ですね。表題作のシリーズ3編と、他短編が3編収録されています。水上さんのデビューコミックスですね。表題作は、兄同士がラブラブな恋人同志で、なんとかして目を覚まさせたいと画策する弟たちが、なぜかお互いを意識してしまい…というお話です。

最初に描かれてから、コミックス発売まで相当日数が経っていて、随分絵柄も変わられてますね。とくに受キャラの変貌はすごいものが(笑)攻めキャラの顎が長いのが気になりますが(^^;全体に丁寧で可愛い絵だし、お話のテンポも定番な流れとはいえ、楽しく笑わせてもらえた感じです。和むコメディって感じかな?

私的評価 ☆☆☆★
(楽しく読めました。今後も期待したいですね(^^))


2001年02月09日(金)   銀の闇迷宮 3

    ゼロコミックス  如月弘鷹:作画  ゆらひかる:原作

D・ウォーカーシリーズの最終巻になります。闇歩きの女の子なつみと、同じく闇歩きの竜都、沖田先生が活躍するファンタジーなお話。雑誌ZEROに掲載されたもので、描きおろし等はないです。けっこう長かったシリーズですが、大団円、ですね(^^)

アクション部分の絵は圧倒されそうになりましたねえ。結局闇歩きの活躍で世界は救われたわけですが(^^; 内容があんまり残ってないのはなぜ(爆)楽しんだのは竜都となつみの可愛らしいやり取りと、如月さんの麗しいイラストって感じでした…。ゴメンなさい(^^;

私的評価 ☆☆☆
(今後関連として、ダリアノベルズのダークウォーカーシリーズ(同世界の別キャラのお話?)も発売予定だそうです。ファンタジー好きな方はチェックかな?)


2001年02月09日(金)   1Kアパ→トの恋

    GUSTコミックス  富士山ひょうた:絵

小説エクリプスで掲載されていた「1Kアパ→トの恋」がコミックスになりました(^^)ひょうた先生の初コミックスになります。描きおろしもあって、嬉しい1冊になりました。このシリーズは2カップル出てくるんですが、私は同級生同士で、気の迷い(?)から身体の関係を始めた2人の方が好きですね。受キャラが住んでる家が1Kのアパートなのです。ちなみにもう1カップルはそのお隣に住んでて、同居している大学生とフリータ−のカップルです。

絵が綺麗、上手いというよりもなによりお話の組み立てがすごくいい方だと思うんですよね。絵は荒い方だと思うんですが、流れが自然で、すっと引き込まれていくようなお話だから、さり気ない表情がとても情感がある表情になるんだと思います。一緒にドキドキして、一緒に泣いて、一緒に笑えるお話。描きおろしのラストは思わず笑いそうになりましたが(笑)ラブラブで幸せなお話で、これも大好き(^^)ぜひシリーズで続いて欲しい作品です。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(小説ならば行間、漫画ならばネームではなく人物の表情や動きで読み取れる部分ってあると思うんですよ。その部分を持ってる方って少ないと思う。私はひょうた先生のお話が大好きです。)


2001年02月09日(金)   雨上がりの風

    クリスタル文庫  藤堂夏央:作  潮見知佳:絵

多分これも小説b-Boyに掲載されたものだと思うのですが、東大法学部で勉強している苦学生のお話と、そのお相手キャラの視点からの書き下ろしです。主人公は、父が冤罪で逮捕され、その後苦労して勉強し、東大法学部に入った頭はいいけど他人とかかわり合うのを遠慮するタイプの大学生。そんな彼にも、高校時代からの親友はいました。20歳になったので、援助を受けていた叔父からの援助打ち切りを受けて、バイトしつつ勉学に励み、挙げ句の果てに脳の血腫が破れて倒れてしまいます。後遺症で、海馬(記憶を司る部分)が損傷し、「新しいことを覚えることができない」記憶障害を持ってしまいますが…。

はっきり掲載誌は覚えてないけど、内容はすごく覚えています。すごい話だなと思って読んだ覚えがあります。「新しく覚える事ができない」のは今の自分に当てはめようもなくて、どれだけの不安だろう、と思うと思わずぞっとしてしまいますね。まあ、思い出して記憶障害は治るんですが、本当はそんな簡単なものではないと思うし、その辺りはもっと踏み込んでも良かった気もするんですが(安直な治り方なので(^^;)でも、改めてこうして読めて、嬉しかったですね。ただ、書き下ろしの相手キャラの視点はあんまりいらなかったかなあ(^^;もうちょっと、主人公には自立した形でいてほしかったです。個人的に。

私的評価 ☆☆☆★
(昔に雑誌でのみ掲載されたものって、けっこう多い(つまりノベルズ化があまりされてない)ってことなのかなあと思いつつ。この作品もいろいろと考えるところの多い作品でした。)


2001年02月09日(金)   恋ならいいのに

   アイスノベルズ   麻生玲子:作  明森びびか:絵

全編書き下ろしのサラリーマンもののお話です。主人公は割とやり手で几帳面なサラリーマン。雨の中を歩いて帰ろうとする主人公に、声をかけたのは、高校時代の後輩らしき男で、その後も何度か顔をあわせるうちに段々親しくなっていきます。実はその後輩は、高校時代から主人公が好きだったのでした。あんまり貞操観念のない(笑)後輩は、沢山のSEXフレンドを持っていて、実はそのうちの1人は、高校時代の先輩で、おまけに主人公の親友で…。

主人公が健気な作品ですね。ここまで健気だと可愛い(笑)逆に、攻キャラがあんまり貞操観念がないタイプなもので「どこが良かったんだろう(爆)」とか思ってしまいました。主人公が相手に攻を選んだのがいつなのか、イマイチ判らなかったなあ(^^;(ワタシなら親友をとるぞ) 酔っぱらって寝てしまった主人公にイタズラしたり「あらら(^^;」という強引さ加減でした。まあ、好みですよね。私は優しい方が好きなので(笑)好みからはちょっとはずれてたかなー。

私的評価 ☆☆☆
(主人公の親友が出てくる事で、三角関係っぽくなって、より面白くなります。テンポや内容の濃さはあるので、健気な受けが好きな人に。)


2001年02月09日(金)   こういうときにそうくるか

   アイスノベルズ   五百香ノエル:作  紺野けい子:絵

小説アイスにて3回連載した、下町商店街の食堂「さくらや」を舞台にしたお話です。書き下ろしはなく、掲載時のまま…だと思います。主人公は次男で、通訳を目指していた青年。今はフリーターをしています。過去、エリートサラリーマンの外人と関係があり、辛い別れを経験しています。ある日、その別れたはずの彼が、また日本にやってきて、なし崩しに再度関係を持ってしまう主人公ですが…。

主人公だけの話でなく、まわりの人…他の兄弟たち…の話も絡めて、けっこうテンポよく、笑いながら楽しめるお話です。コメディ色が強いですかね。五百香先生の好みなタイプだとのことですが<攻めキャラ>なるほど、楽しんで書かれたのかなーという元気の良さ、というかノリの良さが全面に出ていました。コメディチックですが、ちょっとシリアスシーンもあり。楽しく読みたい人にオススメの作品。

私的評価 ☆☆☆★
(雑誌掲載時にも面白かった作品。ハイカラなばーちゃんがけっこう好きかも(爆))


2001年02月09日(金)   海と媚薬

   ショコラノベルズ   杜楓子:作   えのもと椿:絵

小説ショコラに掲載された表題作と、その5年後を描いた続編書き下ろしが収録されています。杜さんの作品の中では、ポップでちょっとコメディチックなところもある、「しんどくない」お話すね。主人公は小説家を夢見ていろんなバイトをしている青年。ある時期、宅急便とかの仕分け作業のバイトをしていました。そのバイト先で知り合った友人と、仕事が変わっても付き合いを続けていましたが、段々とその友人を性的な相手として意識するようになってしまい、戸惑いを隠せない青年ですが…。

雑誌掲載のお話が、けっこう好きでしたね。即物的だなあとは思いますが(苦笑)でも、気持ちがストレートに身体にも現れてしまう、というのはまああることかなと。が、続編の話がちょっとなあ(^^; 親子関係が上手くいってない脇キャラをモデルにして小説を書いて、それが進まないから実の親に会いにいけってのはちと乱暴すぎやしないでしょうか。もっと葛藤もあり、繊細な気持ちがあるわけでしょうし(^^; ちょっといただけなかったなあーと思いました。

私的評価 ☆☆★
(まあ、ついつい「自分の子が、そういう立場になったら」とか思っちゃうから余計にダメなんでしょうけども(^^; もう少しデリケートなお話だと良かったんですけどね(^^;)


2001年02月09日(金)   ヴァニラな欲望

  ショコラノベルズ  和泉桂:作  水木かおる:絵

完全書き下ろしのお話で、旅行中のパリで出会ったビール会社のエリート社員とバックパッカーとのお話です。出張中のパリで、観光しようとした青年は、スリに航空券やカード、パスポートなどを盗まれてしまいます。呆然とする青年に、日本人のバックパッカーが、声をかけ、テキパキと事後の処理をしてあげます。そして日本に帰り、仕事中に偶然バイク便(自転車の方ですが)を利用した青年は、自分の失敗を見られたバックパッカーの少年と再会しますが…。

文中にもありましたが、さながら「野良猫をてなづける」過程を見ているようなお話でした(笑)青年がどんどん少年に惹かれていく様子が見ていて思わずニヤリとしてしまいますね。ただ、少年の「家に帰れない、世界中を旅したい」という『自由という名の不自由』の理由が、なんだかたいした事ではなくて(^^; 「なんだ、そんなことか(^^;」と拍子抜けしてしまった…。もっと大事かな−と思ってたもので。前半で盛り上げ過ぎてしまったのかな?…それとも少年がオコサマ過ぎるのかしら(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(ここしばらくの底辺をさまよう苦悩って感じはなく、軽くよめるお話だったと思います。)


2001年02月09日(金)   ロマンチック・ウルフ

   SHYノベルズ  たけうちりうと:作  金ひかる:絵

イギリスを舞台にした「リセッター」たちのお話です。(リセッターとは、盗難され、贋作が代わりに飾られていたりする世界的な美術品を、本物に秘密裏にすり替えて元に戻すお仕事)主人公は…誰なんだろう(笑)3人、重要人物が出てくるんですが、1人はリセッターの一員であり、大学の図書室勤務のウィリアム。もう1人は、オオボケ青年、研究に夢中で歩けばトラブルを持ってくるタイプの羽田兄弟次男の宙(ソラ)、そしてもう1人、ウィリアムの恋人であり、リセッターを陰ひなたで支え、自分も活躍しているダニエル。話は、宙が失敗をして下宿を追い出され、あたらしい部屋へ引っ越しをするところからはじまります。ある寡作の作家の彫刻をリセットするお話です。

私は、密かに宙が大好き(笑)ウィリアムとダニエルの恋物語であるように見えて、じつは地球規模の愛で宙がウィリアムを愛しているところがすごくすごく、愛しいです。ウィリアムの葛藤、ダニエルの嫉妬と苦悩、そして2人のあり方が宙がいて増幅された感じがします。宙の「この地球には愛する人がいる、その愛する地球を守る研究だから僕は儲けようとは思わない」というエンディングの台詞には、思わず感動してしまいました。なんて大きい愛なんだろう。きれいごとではなく、こういう愛もありだなあと、思ったお話。ぜひ御一読を。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(羽田兄弟は、同人誌で弟幹が学生の頃の話(今後SHYノベルズにて発刊予定)と、「ラブサピエンス」で妹の動物学者森が脇役で登場していますね。実はけっこういろんなところで人間関係交錯してて、楽しいです。)


2001年02月08日(木)   雨の結び目をほどいて

   ディアプラス文庫  松前侑里:作  あとり硅子:絵

2冊目になるのかな、松前さんの作品です。小説ディアプラスに掲載された表題作と、その続編の書き下ろしが2編収録されています。主人公は天然ボケな高校生。母子家庭でしたが、親の再婚で、いきなり兄が2人も出来ます。ずっと憧れていた相手と、人気漫画家が兄弟になり、幸せな家庭を築きはじめたやさきに、母を事故でなくし、自分の居所がないような、そんな不安に苛まれる彼ですが…。

2度ほどくり返して読んで、やっと馴染めたです(^^; 主人公の天然ボケ加減と、憧れていた相手(実は同じ高校の先生と生徒同士(^^;)とのやりとりもけっこういいし、お話自体は面白いんだけど、なぜか私のなかにすんなり入ってこない。なんでかなーと思ってたら、どうやら関西弁に違和感があったらしい(^^;用法が間違っている、とかではなくて、自分で持っているイメージと異なるため、カラーに合わなかったみたいでした。関西弁だからこその利点をつかっているシーンもあるから余計かな(^^;自然な使い方をするのは難しいでしょうね(^^;個人的に、書き下ろしで主人公がよっぱらっちゃったお話は好きですが(笑)

私的評価 ☆☆☆
(どことなく、薄い印象があった作品でした。なんでかなー(^^;)


2001年02月08日(木)   Spring has come!

   ディアプラス文庫  月村奎:作  南野ましろ:絵

小説ディアプラスに掲載された表題作と、その続編書き下ろしが収録されています。月村さんの新刊は、なんとも「月村さんらしい」作品でしたね。主人公は、両親の離婚で、家事を引き受けなければならなくなった長男気質のキマジメ高校3年生の少年。大学も、家から通えるところでと成績はよかったけど近くの大学に推薦が決まっているが、今の自分の状況や家の状況に納得できずにいます。ある日友人に教えてもらって訪れた惣菜屋さんは、元気でほがらかな青年が店主で、憎まれ口をたたきつつも、だんだんと癒されていく主人公ですが…。

月村さんらしい、という表現をしましたが、非常に主人公の心理描写が細やかで、すっと彼の心情を理解できます。主人公なりの葛藤やもどかしさ、悩みが共感しやすい作品でした。お相手の惣菜屋店主も、過去を持っていて、だからこそ「強い」し「主人公を理解できる」というあたりも溶け込みやすかった。自分で痛みを知っているからこそ、相手のつらさもより判りやすいのではと思います。ヘンな言い方ですが、「安心して主人公を任せられるな」って感じ(笑)まるで母ですな、これじゃ(^^;

私的評価 ☆☆☆☆★
(書き下ろしでも大して進展はないですが、なくても平気。2人の精神的なスタンスが、徐々によりそっていくあたりが魅力。ぜひぜひ御一読を。)


2001年02月08日(木)   HEAVEN

   ディアプラス文庫  桜木知沙子:作  麻々原絵里依:絵

桜木さんの新作は、ちょっと今までとは雰囲気が違う感じな作品。小説ディアプラスに掲載された表題作と、続編&高校生編が書き下ろしで収録されています。主人公は、ちょっと事なかれ主義な青年で、もうすぐ高校時代の同級生である恋人との結婚を控えています。ある日、高校の同窓会に出席した主人公は、高校の時に関係があった相手の消息をきき、また偶然出会ってしまいます。その相手は高校のころから強引で、まるで嵐のように主人公を巻き込んでいくタイプでしたが、相変わらずで、引き寄せられるかのように、主人公はまた関係を持ってしまいますが…。

桜木さんには珍しいんじゃないかな?という強引系な話。あまりにも強引すぎてちょっとなんだか引いちゃったかな(^^; 主人公が婚約間近であった、というあたりが余計に自分としてはネックだったみたい。これもある意味主人公が優柔不断なのかなあと思います。もちろんそれだけではないし、間の心理描写や2人の葛藤も判るんだけど、どうにも相手に感情移入ができなかったんですね(^^; どちらかというと穏やかな方が好みだよ、ということで(^^; 高校時代やその後編も、どうも「同じ事の繰り返し」っぽくて、ちょっと期待とは外れちゃったかなあ。

私的評価 ☆☆☆★
(最近特に、強引なキャラは苦手になってますなあ(^^;年のせいかしら…)


2001年02月08日(木)   おまえとイキたい

  ラキアノベルズ  御木宏美:作  雪舟薫:絵

御木さんの、他社進出(笑)第1弾ですね(昔ビブロス、今ショコラ専属って感じなので(苦笑))しばらく迷ったんですが、イラストさんが好きな方だし、まあ…と思って手に取りました。主人公は新宿二丁目でバイトをしている青年。いろんな男性にアプローチをかけられつつも上手くあしらいつつ、日々を過ごしています。そんな彼が一途に思っているのは、親友で海外を飛び回っている青年で、でも知られたくないという思いを抱く主人公は、身体を持て余すあまりに、アプローチをかけられていた男性とベッドインしますが…。

いや、なんといっていいものか(^^; 「理解ができない」…なによりこれが一番的確でしょうね、読了後の感想としては。とにかく「なんで?」という疑問がいくつも頭を過ります。おまけに、必要以上になんだか下品な感じです(^^;さらに、主人公の気持ちが判らないし、今までそんなこと匂わせもしてないくせに好きだという相手役も判らない。当て馬になったキャラに同情しますよ(^^;挙げ句の果てに「あなたとは一緒に死のうとは思わない」って…おいおい(^^; 随所に引っ掛かりを感じてしまうので、さらっと読めなかったです。

私的評価 ☆
(いや、わかってたんですけどね、こうなりそうなことは。ここ最近こいきシリーズでも色濃くなっている「独りよがり」的な部分が、拡張された感じでした。)


2001年02月08日(木)   純愛ロマンチシスト

  ラキアノベルズ  遠野春日:作  御園ざぼん:絵

遠野さんのラキア初ノベルズは、書き下ろしです。遊び人な大学生が、行きつけのバーのマスターに勧められて参加したのは仮面パーティ。そこで不思議な相手に出会い、一夜を共にします。相手が忘れられなくなった主人公は、自分の大学の講師であることを知り、アプローチをくり返しますが、主人公自身にも、そして相手にも、恋人がいて…。

非常に大人なムード漂うお話でした。しかし…うーむ、どこかで読んでるのかなあ、この話の原形(^^; いや、確かな記憶がある訳ではないんですが、知ってる気がしたので。主人公とその相手との気持ちは真摯でいいとは思うんですが…、主人公の元恋人にしろ、相手の恋人にしろ、ちょっといきすぎというか、憎まれ役すぎて私には馴染めませんでした。いい人ばかりじゃダメだろう、という意見もあるでしょうが、「好きは免罪符ではない」というのも思うんですよね。「好き」の言葉だけで相手を振り回していいもんでもないだろうし、それを許容しつづけてきた(過去の話であれ)というあたりがちょっと、苦手かなあ…。

私的評価 ☆☆☆
(ようは、主人公たちの優柔不断な部分が、あまり好みではないのでしょうね。もう、これは個人の好みなんで(^^; アダルトテイスト(ヘンな意味ではなく)が好きな方にはオススメだと思います。)


2001年02月08日(木)   プラトニック・ポルノ

  ラキアノベルズ  しんがいわかこ:作  やまねあやの:絵

小説ラキアに掲載された演劇もののお話「アンダーグラウンド・ラウンド」と、その続編書き下ろしです。主人公は、サラリーマンをしつつ、脚本を手掛けている青年で、小劇団にいつも脚本を書き下ろしています。今回の公演は、準主役に客演が入る事になりますが、その俳優はなんとAV男優で…。

本誌掲載時にも、けっこう興味深く読んでいたお話でした。小劇場系のアマ演劇というのは、ある意味非常に厳しいものもあり、また「他人を蹴落とさなければのし上がれない」という部分もあるのが事実だと私は思っているので、逆に自然なお話として、自分の中に入ってきた気がします。続編では、すごく攻に似たキャラが出てきます。なにも知識なく、この2人の話を脚本に書いてしまい、それがまた昔の出来事にオーバーラップする…というのはちと出来過ぎな気もしないでもないんですが(^^;勢いとテンポでしっかり読ませてくれるからオッケーかな(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(もっと攻がしっかりしてて(笑)もいいような気がしますが、でも、このぐらい控えてた方が、ラストが盛り上がるのかなあ。割とオススメな1冊です。)


2001年02月05日(月)   Eから恋をはじめよう

   オヴィスノベルズ  堀川むつみ:作  ほたか乱:絵

堀川さんの新作は、高校のパソコン部を舞台にしたお話。主人公は、できのいい兄がいる、元気だけどちょっとオバカな高校生。兄にあこがれつつもやはりコンプレックスも抱いていて、兄の卒業した高校に入ったはいいものの、いろいろ比べられている。ある日兄が作ったパソコン部の人に呼び出され、部室に入った主人公は、そこで1人の少年に出会うが…。

いや、なんか非常に身近なお話でしたね<パソコンとかネットとか(笑)この作品中にある、ネット関連の話だけ切り取って初心者に読ませたらいいかもって感じで(笑)さすがにサイトをお持ちの堀川さんならではだなと思います。ところどころ、ハッキングネタとかもあり、ツッコミ所もかなりあるんですが、まあ、ファンタジーと思えば(笑)いいかなと。天然で可愛い受キャラ、けっこう好きです。

私的評価 ☆☆☆
(ラストまでいって初めて見えてくるものがあります。途中は「?」と思ったりもしますが、読み終えてみれば納得の作品でした。)


2001年02月03日(土)   恋をするのはおうちの事情 2

   エクリプスロマンス  西条公威:作  有藤せな:絵

少し遅れましたが、無事発売されましたね。「恋をするのはおうちの事情」の2巻。完全書き下ろしです。1巻で幸せになったはずの2人に、またもや試練が訪れます。ラブラブ新婚生活のはずが、攻の昔の恋人が戻ってきて、受に「出ていけ」と罵詈雑言をなげつけ、自分の居場所を見つけられない受は、とうとう同居していた家を出ていってしまいますが…。

前作でも、相当びっくりした(笑)んですが、西条さんの今までの作風とはかなり違った作品でしたので、今回どうなるかなーと思っていましたが、路線は変わらず、優しい感じのお話でしたね。もちろん、レイプとかもあって、しんどいところはあるんですが、根底に流れる2人の気持ちや不安、トラウマなんかが、今までの路線より緩和されてる感じでした。ラストのおまけは攻キャラ視点で、これがけっこう興味深い話になっていました。2冊合わせて、楽しんで下さい。

私的評価 ☆☆☆☆
(2人ともにある不安は、2人で一緒にいることで、いつかなくなるものなんだろうなと思います。どうぞ2人ともが安心して過ごせますように…と思わず祈ってしまった作品でした。)


2001年02月01日(木)   若旦那、空を飛ぶ

    パレット文庫  たけうちりうと:作  今市子:絵

たけうちりうとさんのパレット新シリーズは、大正ロマンの時代モノのお話です。小田原を舞台に、大店の若旦那や総領息子たちばかり6人が集まって、探偵のまねごとをする「こゆるぎ探偵倶楽部」を作りました。首謀者は酒屋の跡取り息子楓で、彼を中心にいろいろな些細な事件を解決して行きますが…。

楓は、実は大工の跡取り息子祐太朗と恋仲です。この2人の恋模様に絡めて、いろいろな事件があり、解決していきます。その中には、はっとさせられるような優しいやりとりもあり、思わず笑ってしまうようなやりとりもありで、読み終えた後、非常に和やかな気分になるお話でした。時代を考えれば、彼らの将来は、「それぞれ妻帯者にならざるを得ない」と決まってしまっていますが、でもそれでも寄り添おうとしている彼らの気持ちが、私は好きです。今先生の情緒あるイラストもぴったり。ぜひ和みたい人にオススメの1冊です。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(あ、もちろん続刊予定ですので、まあ、プロローグみたいな感じかなあ。たけうちさんの作品がツボにハマった方は、絶対オススメですので読んでみてね。)


2001年02月01日(木)   ダブル・クラッシュ

    リーフノベルズ   剛しいら:作  桃八号:絵

剛しいらさんの初リーフノベルズかな?元気印なヤンチャ高校生ズのお話。主人公は、魚屋の息子でヤンキーが入った男の子。幼馴染みでライバルなお隣さんと、なにかといえば競い合い、けんかしています。スキー研修に出かけた主人公は、スキー場で、自分にそっくりの綺麗な男の子に出会いますが…。

うーむ(^^; なんだか納得のできないお話でした(^^; テンポはいいといえばいいんでしょうけど、収拾がついてないというか(笑)ネタバレですが、主人公とそっくりの子は、想像どおり(笑)双子ちゃんなんですよね。んで、共鳴しちゃって、Hをするとわかってしまうという(^^;定番中の定番でしたね。でも、初めてさんが、共鳴してるからって感じまくるってのは、いくらなんでも無理がありすぎて、面白いとは思えなかった。ギャグに走りたいんだろうけど、主人公の言動もなんだか下品すぎてね(^^; お腹いっぱいって感じかしら(笑)

私的評価 ☆★
(うーん、剛さんの話はシリアスの方が好きなのかな、どうやら(^^;)


2001年02月01日(木)   Blue Rose

   iNovels   榎田尤利:作   金ひかる:絵

魚住くんシリーズで人気の榎田先生の新作です。リーフ出版の姉妹会社で、よりアダルト(笑)路線なアイノベルズから発売されました。主人公は、「青」という名前の男娼ですが、視点はどちらかというと相手よりですね。3話収録されていて、どれも「青」が一週間買われて「愛」を売る、お話です。

けっこういろんなところで賛否両論があるようですが、私はこの話、嫌いではないです。…が、あんまりにも中途半端すぎて勿体ない感じが強かった。最初読んだ時は、1話目がすごく好きで、あっという間に1週間が過ぎて去ってしまうのが口惜しくて、他のを冷静に読めなかったんです。しばらく経って、やっと冷静に読めたんですが、2〜3話目にももちろんいいところはあるのだけど、やっぱりどれもが中途半端になってる感じで…。物足りない思いでした。なにより「なぜ身体を売るのか。」「なぜ『愛を売る』と銘打つのか」が全然説明がなくて。どうやら続編があるということで逆に納得したぐらいです(^^;
まだ、私には「青」は未知数なキャラなのだと思います。

私的評価 ☆☆
(ううーむ(^^;これ、評価に困るなあ…。続編で「なぜ」の答えがあるのならば、評価は上がるとは思うのですが…。今の段階の評価だとこうなってしまいますね。)