2001年6月のレビュー

 


2001年06月29日(金)   スキの領域(テリトリー)

     ルビー文庫    鹿住槇:作   起家一子:絵

スキまでの距離シリーズの完結編になります。あすかにて連載されていたものと、完結編の書き下ろしが収録されています。これでちゃんとエンドマークまでが読めたことになります。前作でド派手な告白劇を繰り広げた挙げ句、答えとして「嫌いじゃない」と想い人に言われ(笑)でもラブラブ街道まっしぐらな声優ばりの声の持ち主の主人公ですが…。

そうそう、そーいやこういう展開だったなーと(笑)思い出しては懐かしがっておりました。ラストシーンはもちろん初めて読むわけで、なんだか読んでみれば納得。ちゃんとこうしてラストまで読めて良かったなあとつくづく思います。初出からはかなり時間がたっているにも関わらず、そう感じさせないあたり、鹿住先生の作品が確立されているのかなあ。ちょっといじっぱりだけど天然ちゃんな受キャラも、ちょっと間抜けなとこがあって憎めない好青年な攻キャラも、どちらも私は大好きで、非常に楽しめた1冊でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(あすかノベルズ時代を知っている人も、初めて読む人もぜひどうぞ。定番、王道ですが、安心して読める作品です。)


2001年06月27日(水)   僕らがもう大人だとしても

   キャラ文庫   菅野彰:作   二宮悦巳:絵

気が付けばもう7巻とは。長く続いていますね。「毎日晴天!」シリーズの新作は、ようやく大元の主人公達に話が戻り(笑)大河と秀のお話です。前作にて紆余曲折があったものの、やっと落ち着きを取り戻した勇太と真弓の子供組の次は、なぜか秀の様子がおかしくなってしまい、朝御飯の出し巻き玉子の味付けなんていう低次元な争いが元で、とんでもない大騒ぎに発展してしまう帯刀家ですが…。

ついついドタバタ&子供達の勢いで忘れてたんですが、秀ってこういう人だったよなあ…という1冊でした。自分にないものをねだるわけではなく、ないことに対して罪悪感を持ってしまう彼が、切ないです。やっと、おさまるところにおさまってくれた2人がどうにも愛しい1冊でした。さり気なく龍兄が明信の隣にいてくれるのも幸せでいい感じ(笑)久々にボロ泣きせずに読めた作品でした(泣きツボにははまらなかった…という意味で、面白くなかったわけじゃないです)

私的評価 ☆☆☆☆☆
(言葉だけでは伝わらないなにかが、抱き合うことで伝わったのかな。不安は残っているけど、この1冊で大河も秀も、なにかを乗り越えた感じですね。)


2001年06月27日(水)   二重螺旋

   キャラ文庫   吉原理恵子:作   円陣闇丸:絵

吉原先生の初キャラ文庫です。全編書き下ろしで、タイトルで匂わせていますが、近親モノのお話です。後書きでも吉原先生が書かれていますが、「ボーイズラブ」というよりも「JUNE」という感じの内容になっていました。主人公は、ある幸せな家族の次男坊。仲の良い夫婦である両親、出来が良く憧れの的の長男、気が強く長兄が大好きな長女、自分とやんちゃ坊主な3男の6人家族。いつまでも幸せでいると思っていた彼等ですが、いきなり家庭崩壊に直面してしまい…。

うーん。すっごくしんどかった…(^^; なんだか容赦ない刃物で斬り付けられているかのような感じのお話でした。読んでいても救いがなくてね。要は次男と長男の関係なんだけど、その話は後半ちょびっとだけ(^^;で、それまでに回想シーンやら夢でのシーンやら、前後しまくっててちょっと分かりにくい部分もあったかなあ。なにより、「これで終わりは辛い!」と真剣に思いました。なんにも解決してないよう〜(T_T)彼等の未来はいったいどうなるんでしょう?気になって仕方がないです。…そして、一体なにが「伝えたかったテーマ」なのかも良く判らない…。ちょっと残念。

私的評価 ☆☆★
(これは次巻への引きなのか、それともこれでおしまいなのか、どっちなんだろう…。はっきりしてくれ〜!(心の叫び) 円陣さんのイラストは絶品でした(笑))


2001年06月27日(水)   アプローチ

   キャラ文庫  月村奎:作   夏乃あゆみ:絵

雑誌小説キャラに掲載された、高校生の寮生活モノのお話と、その続編書き下ろしです。雑誌掲載時にかなり寸止め(笑)気分を味わった作品だったので、こうしてちゃんと続編が読めて嬉しいです。主人公は、接触恐怖症をもつ転校生。寮生活の中で、接触なしというのはむずかしく、精神的も辛い主人公に、さり気なく救いの手を差し伸べてくるのは、寮長の先輩。憎まれ口を叩きつつも、さり気ない優しさに癒されているのに気付く主人公ですが…。

雑誌掲載の時は、「好きだと気付き、接触恐怖症の原因が取り除かれるまで」の話だったので、ようやくなんだかまとまった…という印象ですね。時間軸自体は1年たってるけど、関係は全然進んでないという(笑)しかし、主人公の心の動きや後ろ向き加減(笑)なんかは、まさに月村先生らしい作品でしたね。寮長の我慢強さに拍手(笑)この焦れったい感じを楽しんで下さい。あ、それと続編で意外なカップルができててびっくりでした。この2人のお話も読んでみたい気がします。

私的評価 ☆☆☆☆
(人との距離の取り方って難しいよなあ…といろいろ考えてしまいました。)


2001年06月26日(火)   さみしい夜のひみつ

   ダイアモンドコミックス  水野透子:絵

ふふふ、やっぱり買ってしまいました(笑)水野先生の3冊目のコミックスです。実はとーってもバリバリのショタ!(私はショタが苦手な方)なんですが、でも私は水野先生のキャラクターがとっても好きで、買ってしまうのでした。今回はファンタジー世界ではなく、現代のお話で、幼馴染みものなど短編を中心に収録されています。どれもしっかりやっちゃって(^^;ますが、でも可愛いんです〜(ジレンマ)

私が水野先生の作品を好きなわけは、攻も受もすっごく相手にラブラブなことと、受キャラとか、子供キャラが可愛い(ほんとに可愛いんですよこれが)ことなんです。今回も、幼馴染み同士の話で、回想シーンに「幼稚園の時に『離れたくない』から『キセージジツ』を作る!」というやり取りがあって、「キセージジツ」ってなに?と2人首をかしげ、判らないなりに「なんか大きいもの作るんだよ!」と2人でペタペタと作っている(もちろん想像図)というシーンがあって、ノックアウトされてしまいました(笑)もう、めっちゃめちゃ可愛い〜(じたばた)苦手を凌駕してしまう可愛さ、ショタが苦手でなければ、一度お試し下さい。

私的評価 ☆☆☆☆
(たぶん書き下ろしで、短編のその後を4コママンガでフォローなさってます。これも全部可愛い(笑)少々受が縮んでしまっても、気になりませんとも!(笑))


2001年06月25日(月)   毎日晴天! 2

    キャラコミックス  二宮悦巳:作画  菅野彰:原作

雑誌キャラでずっと連載されていた「毎日晴天!」のコミック化第2巻です。1巻の内容がこれで終了。そのまま引き続いて雑誌では「子供は止まらない」が連載されるようです。帯刀一家と共に暮らしはじめた秀と勇太ですが、馴染みつつもなんだかぎくしゃくした部分があって…。

うーん、漫画化の妙を見た感じがしますね。毎日晴天!の文庫の方では地の文で読み流してしまっていたであろう部分が、絵で入ってくるとこんなにも鮮明になるものかと、ちょっと感動を覚えてしまいました。特に心理描写が多い7、8話目が印象深いです。勇太の目の優しさや厳しさも、大河の情を語る時の表情も、秀の「何かを探し続けているちょっとうつろな目」も、こんなにはっきり飛び込んでくるなんて思ってなかった。ほんとに印象的なんですよ。文庫だけでなく、このコミックスを読むことで、より話を深く読み取れる気がします。文庫は冊数が多くてなあ〜(^^;と思ってる人、ぜひとも漫画の方から入ってみて下さい。オススメです〜。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(同時(実際の発売日はずれがありますが)発売のこのシリーズ、押しも押されもしない、堂々のキャラ文庫の代表作という感じですね。菅野先生、二宮先生合同のサイン会は、早々に整理券がなくなったそうです。)


2001年06月23日(土)   声を聞かせて

    アイス文庫   染井吉乃:作  天堂まひる:絵

いやあ、懐かしいですねえ〜。初出はなんと5年前の96年3月になります。もともとアイスノベルズで出ていた作品のリニューアル版です。イラストが一新されてますね。元は竹森美香先生でしたねえ。旧家に住む兄弟のお話です。主人公は、元気で前向きがとりえの高校生。母親と兄との3人で暮らしています。ちょっとブラコン気味な主人公ですが、ある日兄が普段生活している離れへ用事で行って、なんと兄と見知らぬ男との濡れ場を目撃してしまいます。問いつめる主人公へ兄が言った言葉は…。

全く加筆も訂正もないんじゃないかな。イラストと後書きだけが違うんだと思います。(もちろん今まででているアイス文庫すべてそうです…たぶん) 実はこの作品、どういう風に感想を書こうかと悩んだものでもありました。…というのは、ちょっとネタが特殊なもので、あまり快く読めない方もいらっしゃったらしいんですね。書評サイトでも、否定的なことを書かれてる所もあって。…ただ、私個人としては評価はけっこう高いんです。これこそ「好みやツボは人それぞれ」を地でいってるなと思いますが。…で、ここで書くと長くなってしまいそうなので、別ページに仕立ててみました。
「こちら」から、御興味のある方は覗いてみて下さいね。ノベルズ版で「ダメだった〜(^^;」という方は、どうぞ御無理なさらず流して下さいませ(^^;

私的評価 ☆☆☆☆
(たぶん、読む際の視点の違いが、一番強いと思います。私はこの作品に、とても「染井先生らしさ」を感じるんですよ。ただ娯楽だけでなく、ちょっと考えさせられるようなお話です。)


2001年06月22日(金)   無敵のライバル

   エクリプスロマンス  彼方はるき:作  松本テマリ:絵

前2作がちょっと好みから外れてたんですが、雑誌掲載の時にわりと楽しかった覚えがあって、迷った挙げ句に手にとりました。高校生のお話です。主人公はちょっと背の低いのを気にしているバスケ部員の少年。中学の時のバスケの大会で衝撃的な(笑)出会いをし、それ以来ライバル視されていたらしい寡黙な同級生(こいつもバスケ部員)と、毎日のようにフリースローで対決しては負け続けています。なんとかして勝ちたいと思いながら、罰ゲームとしてカツサンドを買ったり、膝枕をしてみたり(笑)リベンジがなかなかできない主人公ですが…。

わはは(笑)なんて鈍感な主人公なんだ!周りのキャラが思わせぶりなところもあって、読み出してすぐに、相手の気持ちが読者側にはつたわるんですが、全然判ってないのが主人公(笑)おかしい〜(笑)なんだか笑えるお話でした。ただ、続編で何の脈絡もないキャラクターが出てきて、なんだか良く判らなくなってしまったのは残念。脇キャラといえど、もうちょっと説明が欲しかったです。

私的評価 ☆☆☆★
(前2作よりも「無理矢理度」や「ワガママ度」が低いのと、テンポがよくて面白いということもあって、意外に楽しめた作品でした。)


2001年06月22日(金)   お手をどうぞ

    エクリプスロマンス  水壬楓子:作  白砂順:絵

小説エクリプスに掲載されたモデルものマイフェアレディなお話と、その続編の書き下ろしです。主人公はそこそこのモデルの男の子。自分を見い出してくれたカメラマンと同棲していましたが、カメラマンは新しい子に心変わりし、主人公は追い出されてしまいます。ヤケになって高い店で飲みまくり、料金が払えず殴られそうになった主人公を助けたのは、高級服も良く似合う青年実業家。2人は勢いで一夜を共にしてしまいます。そして翌日、拾ってくれた青年は、主人公にむかってある提案をしますが…。

ほんとに、マイフェアレディやプリティウーマンを地でいく感じのお話でした。展開は定番なんですが、受キャラ(モデルくんですね)が健気で、頑張り屋さんでほのぼのしちゃいます(笑)書き下ろしでは、攻めキャラが思わぬ子供っぽいところや独占欲を見せてくれて大笑い。後書きで水壬先生もぽろっと言ってらしたですが、確かに攻めキャラ、妙にスケベおやじです(笑)でもそこがまた笑えていいんですよ、ええ。健気に頑張る受と、ちょっと不器用だけど暖かい攻がいいコンビです。難があるとするなら、イラストが、もうちょっと線の少ない方だったらよかったかなあ。装飾過多な感じで…(^^;

私的評価 ☆☆☆☆
(書き下ろしは、攻めキャラの誕生日ネタなんですが、これもまた定番なプレゼント(笑)にも関わらず、綺麗〜なラッピングに大笑いしました(笑)ここまで徹底してると楽しすぎる〜)


2001年06月22日(金)   熱砂の記憶

   ダリアノベルズ   綺月陣:作  高座朗:絵

綺月先生のひさしぶりのノベルズは、刑事の神崎と、元ウリ専でトラブル召喚&変態さん召喚体質(笑)な那月とのお話の続編です。一応これで完結なのかな?3章構成で、そのどれもにヘンタイさん出演の、ちょっとハードで濃い感じのお話です。ほとんど那月視点で、那月は前作で自分を引き取ってくれた神崎に惚れていて、なんとかして振り向いてもらいたいと画策するものの、神崎は神崎でトラウマがあり(^^;那月の気持ちが受け入れられなくて…。

いやあ…前作でも「こんなにたくさんトラブルがあってたまるかい!」って感じだったんですが、それにまた輪をかけてすごい今回の作品…(笑)ハッピーエンドなんだけど、そう読めないというか、なんかそういうしっとりした雰囲気とはちと無縁ですね(^^; 那月が落ち着かないタイプだから余計そう思うのかな。ドタバタ喜劇ハードラブ版って感じでしょうか。ちょっと同じ高いテンションの話ばかりだったんで、引いてしまいました。もうちょっとしっとり大人な感じでまとまってたらなあ…(笑)

私的評価 ☆☆★
(エロいのが好きな人はまあ、好みかな?とは思います。ギャグだと思って読めばいいのかな、うん。)


2001年06月19日(火)   金曜日はblue

   アイスノベルズ   五百香ノエル:作  門地かおり:絵

本来のアイスノベルズの発売日より1週間遅れで発売になりました。小説アイスにて掲載された、高校生同士のお話と、その続編書き下ろしです。主人公は、野球部員だけど怪我をして、野球での推薦を断念した、物静かなタイプの少年で、同室で親友の小柄で元気のイイ少年を想い続けています。卒業と同時にフェイドアウトするのを覚悟していた主人公ですが、ある日、女装していた主人公の想い人が同じ町内でおこっていた婦女暴行事件の被害者になってしまい…。

これも、なんだかたまらないものがありましたねえ…。レイプとまではいかなくても、性的いたずらを受けてしまった受キャラのショックははかり知れなくて。雑誌掲載の時も、ハッピーエンドだと分かっていても途中がしんどかった。書き下ろしでは、大学生になった彼等に出会えますが、これもまたなんというか「普通」からは遠い話で(笑)五百香先生ならではとは思うんですが、読了感がすっきり…とはいかない、ちょっと重いような感じのお話でした。

私的評価 ☆☆☆
(とっても「2人の世界」なんだなと思います。結局突き詰めればお互いしか見えてないという…(笑))


2001年06月15日(金)   すてきな悪魔 4

   ビーボーイノベルズ   高坂結城:作  蓮川愛:絵

3巻がなかなか出ませんでしたが、4巻は早かったですね。高坂先生のすてきな悪魔シリーズです。同人誌で書かれていた作品と、小説b-Boyに掲載された超短編、それからこれも短編の書き下ろしと、小説ラキア本誌にて掲載されたアンドロイドもののお話が収録されています。2組のカップルが共存しているこのお話、人物関係もちょっと入り組んでいて、1巻から読んでいないと分かりにくいかな…。響の葛藤とみんなの優しさが切ない作品でした。

最初、書き下ろしが少なくて「えっ?」とびっくりしたんですが、どうやら諸事情で書き下ろしの予定だったのが無理になったらしくて、そのかわりにラキアに掲載されたものを収録されたようですね。できたら書き下ろしで、響と真太郎、湊と霧島(なんで霧島だけ名字(笑))のお話が読みたかったので、ちょっと残念(^^; 5巻は予定があるのかなあ?あったら嬉しいのですが…。

私的評価 ☆☆☆★
(蓮川さんのイラストもとっても素敵です。親子の情の通いあいも、すごく切ない作品。ラキア掲載のもけっこう好きです。1巻から読んでみてね(^^))


2001年06月15日(金)   いたいけなケダモノ

   ビーボーイノベルズ   火崎勇:作  陸野千景子:絵

小説b-Boyに掲載されたお話で、割と雑誌掲載時から話題になっていたらしい作品です。掲載作と続編の書き下ろしが収録されています。主人公は、両親をなくし、一生遊んで暮らせるぐらいの財産を持つものの、自分でやりたいこと、やるべきことを見つけられずにいて、お金をいろんな人に使うことで楽しみを見つけている青年。ある日この青年の元に、1人の友人が現れて、その友人は、自分の甥を預かってくれと強引に頼み込みます。納得してはいないものの、追い出すわけにもいかないしと一緒に暮らしはじめる2人ですが…。

うん、確かに雑誌掲載の時にも、衝撃でした、このお話。受キャラがね、健気といえば健気なんだろうけど、なんだかもう不憫という言葉でしか表現できないような境遇に育ってきてて、だからこそ表現方法を知らないんですよね。全てを諦めてしまったかのような受が、唯一求めたのは寄り添ってくれるあたたかな温もりと変わらぬ愛。続編では、本気だからこそ悩む主人公と、その主人公にまだ主張ができずにいる受の、それでも2人で寄り添いあい、あたためあう姿がけっこう感動モノです。いつか、2人だけの世界でなく、もっと世界が広がったらいいなあと思いつつ、でも、今は2人で心を癒しあって、幸せでいて欲しいですね。

私的評価 ☆☆☆☆
(火崎先生の心理描写は、時々容赦ない(^^;時もあって、このお話も、受に感情移入しちゃっただけにすごくしんどかった。でも、読み終えて良かったなあ〜と思える、読みごたえのある作品でした。)


2001年06月15日(金)   レイニー・シーズン

    SHYノベルズ   榎田尤利:作  高橋悠:絵

吾妻&伊万里シリーズの第2弾は、定番といえば定番な「過去の恋人発覚」編(笑)です。相変わらずラブラブな2人ですが、波風たちまくってますねえ。、最初は吾妻を慕っていた吾妻の後輩が、段々と伊万里を頼るようになり、それと同時に吾妻の回りで、データの紛失やミスが相次ぐようになります。段々と余裕をなくしていく吾妻の前に、伊万里の昔の恋人が現れ、吾妻の心のしこりはとれないまま、日々をすごしますが…。

やっぱり、ギャグなんだな、これ(笑)と再認識しました。1巻目はどっちなんだ?(^^;と思ってたんですが、2巻目で確信しました。コメディと思って読めばいいんだな、うん。ただ、その割には時々テーマが重くてしんどい部分もありますね。榎田さんらしいんでしょうけども。今回は吾妻の後輩のもつ過去でしたが、そのしんどい過去の割に、解決方法がキワ様使用ってのは安直すぎる気もします。…まあ、それ以外にイイ方法は思い付かないんですけども(^^; なんか困った時のキワ様って感じでちょっとなあ。女性キャラが魅力的なのは判らないでもないですが、存在感が有り過ぎて(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(キャラクターがそれぞれ自己主張が強くて、ちょっと散漫になってる部分もあるかなあ。…でも、1冊目より楽しく読めたと思います。2冊合わせてぜひ。まだ続刊予定のようです。)


2001年06月15日(金)   一週間と三日遅れの夏休み

    花丸文庫   眉山さくら:作  氷栗優:絵

今まで何度か雑誌には掲載されたものの、これがはじめての文庫になるそうです。海洋高校が舞台のお話で、都会育ちのちょっとひよわなタイプの主人公が、全寮制で海の男だらけの高校へ入学するところから話は始まります。主人公が入ることになった部屋には、3年生の中でもボス的存在の先輩浅海がいて、怒鳴られつつも、かばわれ、助けられています。遠泳の授業で、ビリになりつつもなんとか泳ぎきり、疲労と日焼けで寝込んだ主人公は、みんなよりも夏休みに入るのが遅れてしまいます。そんな中、浅海は主人公を自分の実家につれていきますが、2人きりになった時、思わず強引に主人公を押し倒してしまい…。

面白かったんだけど…(^^; やっぱり強引は苦手(^^; でも苦手ながらも割と楽しめたのは、その後のフォローとかが良かったからかなと。はじめて読むぶん、あまり期待せずにいるので、これも予想外に面白かった作品でした。全体で2章構成になっていて、2章目は、ちょうど1年後でらぶらぶな2人も読めるので、読みごたえはあります。なんやかやといいつつ、主人公にメロメロ(笑)な浅海氏、不器用で好きだなあ(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(気持ちのやり取りの部分で物足りないところはあるんですが、勢いはあります。次の作品が楽しみですね。)


2001年06月15日(金)   23階の恋人

    花丸文庫   小川いら:作  椎名咲月:絵

小川先生の2冊目の花丸文庫は、初サラリーマンものです。家電会社の電気通信部に勤める、ちょっとナンパ顔のサラリーマンが主人公です。親友も同じ部署にいます。海外とのやり取りが多く、悲鳴をあげつつ仕事をこなす主人公が、パンフレットの英訳で困っていたところに、偶然覗き込んでアドバイスをしたのは、同じビルの23階に入っている外資系の化学品メーカーに勤める青年。些細なきっかけで、どんどん距離が縮まっていく2人ですが、よこから親友も名乗りをあげて…。

あ、このあらすじだとまるで3角関係みたいだな(^^; 実際のところ、可哀相な程親友は眼中に入ってません(笑) まあ、いいキーパーソンではありますけどね。すっごくよく働くキャラクターたちで、恋愛よりも仕事の方がメインになってる感じです。そのあたり、私は楽しんで読めましたが、物足りない人もいるかもしれないなあ。あと、仕事の描写ばかりになりすぎて、2人の気持ちの寄り添い方の描写が少ないのも気になると言えば気になる…(^^; でも、全体的に思っていたよりも楽しめた作品でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(1つ前の作品よりは、テンポもよく、予想外に楽しい作品でした。イラストがちょっと雑な感じがしたのは気のせい?(^^;)


2001年06月15日(金)   恋の沙汰も金次第?

    花丸文庫   真船るのあ:作  蓮川愛:絵

小説花丸にて3回連載で掲載された、義理の兄弟同士のお話です。主人公は元気でちょっとソコツな所もある少年。早くに両親を亡くして、血の繋がらない兄と2人だけです。敬愛する兄の指図で、全寮制の高校に通っていましたが、兄に会いたい気持ちを押さえきれず、大学卒業までは会わないと言われていたにもかかわらず、地元に戻って一人暮らしをはじめますが…。

ここのところの真船先生のパターンに入ってますね。元気でちょっと抜けてて直情的な受けと、受けに対して絶対専制君主タイプの攻め(でも攻めは受けにベタ惚れ(笑))です。この話のために、雑誌を買ってましたので、内容は知ってるし、加筆も書き下ろしもないので、あまり目新しい感じじゃなかったのが残念。キャラクターとしてはわりと好きなんだけど、やっぱり私は「ごはんを食べよう」のあたりの真船さんの作風が好きなので、ちょっと違和感が拭えませんでした。

私的評価 ☆☆☆☆
(ほんとに随分作風が変わられましたよねえ。好みの問題なんですが、やっぱりちょっと情けない系の攻めが好きなんだよなあ、私。)


2001年06月15日(金)   たぶん好き、きっと好き

    リーフノベルズ   遠野春日:作  あさとえいり:絵

学生もののお話です。主人公は、美貌を盾にして、後輩を食いまくりつつ(笑)猫をかぶってお取り巻きと一緒に学生生活を過ごす3年生。付き合うものの、全く長続きさせる気はなく、後輩を泣かせ続けています。その泣かされた後輩の1人は、純真なタイプで、親同士の再婚で義理の兄になった人に相談を持ちかけ、義兄は敵討ちをしてやろうと企みますが…。

うーん、なんか噛み合ってない印象が強いお話でした。ゲンキノベルズの「ひそやかな情熱」が良かっただけに、余計に差が出た感じですね。展開が強引すぎるのと、簡単にHに持って行き過ぎるのがなんだかなあと。H自体もSMチックだったり、レイプだったりして、もう、読んでて「もういいわ…」って思っちゃいました。タイトルのニュアンスのとおり、「好きだと言わない関係」を描いていて、それはゲンキノベルズの方も共通なんだけど、こんなに違うものか…と思います。ゲンキノベルズの作品の方が何倍も共感できました。感動できる作品を書ける方なのだから、もうちょっとじっくり展開して欲しかったなあと思うのです。

私的評価 ☆☆
(ほんとに勿体無い。なんでそんなにHする必要があるんだろう(^^; モラルが感じられなくて、ちょっとげんなりしてしまいました。)


2001年06月10日(日)   フラワー・ガーデン

   ショコラノベルズ  七篠真名:作  永瀬由成:絵

書き下ろしで、男性向けエロマンガを書いている大学生の主人公と、7年ぶりに再会した幼馴染みとのお話です。主人公の初恋は、実はその幼馴染みなんですが、あまり自覚してません(笑)しばらく置いてほしいという幼馴染みに逆らえず、でもエロマンガを描いていることを話したくなくて、同じアパートにすむ友人と、部屋を交代させて、一緒に暮らし始める彼らですが…。

終始攻キャラ側の視点に近いので、攻の気持ちはよーく判るんですが、攻が鈍感という設定もあってか、受キャラがよくわからない…(^^;受の方がほんとはしたたかさを持ってるんだろうけど、もうちょっと素直でもいいじゃん(^^;と思う私はちょっと攻キャラが好きなのかもしれないなあ(笑)

私的評価 ☆☆★
(ドタバタ喜劇風です。書き下ろしもバカで笑えます〜(笑))


2001年06月10日(日)   たとえ何を失くしても

    クリスタル文庫  きたざわ尋子:作  赤坂RAM:絵

昔、同人誌で出された近未来アクションもののお話です。かなり加筆訂正されての文庫になります。舞台は近未来の日本。すっかり物騒になり(^^; 銃社会で情報操作によって、治安は地におちた、そんな時代に警察官として生きるボスこと達哉が主人公です。達哉は、ある大物の犯人を追っており、その手がかりとして、あるマンションを捜索します。しかしそこには可愛らしい容貌の少年が1人いるだけで、逃げられてしまいます。とにかくその少年を連れ出し、すっかり懐かれてしまう達哉ですが…。

全く初めて読むんですが、これめっちゃめちゃ好みかもしれない…。ボスの無表情さと、課長の飄々とした態度も好きだし、佑も可愛いし!近未来ものとはいえ、判らないほどの嘘くささもないし、すんなり読めます。受キャラ佑も、風貌や年齢は15歳(下手すると見た目はそれ以下)だけど、内面は決してオコサマではないので、ショタな感じもあまりしませんし、無理矢理でもありません。読んでいて、徐々に寄り添っていく2人の気持ちが、なんとも心地いい1冊でした。これ、続くのかな?続いてくれたら嬉しいなあ。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(きたざわ先生と赤坂先生コンビは、どうにも私のツボを直撃するようですねえ(笑) 先入観なしに読んだ分、より楽しく読めました。ぜひ続編を希望したいです。)


2001年06月10日(日)   無実の恋

    クリスタル文庫   京橋ナルミ:作  果桃なばこ:絵

全編書き下ろしです。主人公は経済を専攻する学生で、ごく普通の青年です。父の知り合いの病院長の息子にあたる青年を、まるで兄のように慕っています。ある日、父が胃潰瘍で手術をすることになり、その病院に入院します。すぐに退院できるものと信じて疑わなかった彼らに、父親の死亡が告げられます。しかもそれは、父の知り合いの院長の執刀ミスによるあきらかな医療ミスで、愕然とする主人公たちに、補償をすると頭をさげる院長と息子ですが…。

これ以上かくとあらすじ長過ぎるので、短くしておきましょう(苦笑) 償いというものは、する方の気持ちは楽になっても、される側の気持ちは楽にならない場合もあります。加害者と被害者の関係というのも難しいものだなと思いつつ。でもこれ7の場合、攻キャラはもっとはっきり言えばそれでよかった気がしますが(^^; 医療ミスや、人の死を扱っている話のわりには軽い流れなので、もうちょっとぐらい、深く悩んでもよかった気もするんですけどね…、この人たち、お互いしか見えてないんだもんな(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(うーむ、もう一ひねり欲しかった感じのお話でしたね。恋が全て、あとは二の次、になってしまってるからかなあ。)


2001年06月10日(日)   いつの間にやらプリンスメーカー

   アイスノベルズ  高月まつり:作  こうじま奈月:絵 

高月せんせいお得意の天界&魔界シリーズで、小説アイスに掲載された表題作と、その後のお話の書き下ろしが収録されたコメディです。私、このシリーズが実は大好きで(笑)前作にあたる(はず)「リトルダーリン」もなかなか笑わせてもらえたので、楽しみにしていました。雑誌掲載は「リトルダ−リン」よりは先だと思うけど、作品の流れ自体はこちらの話の方が後のようですね。主人公は、人間の魂の管理をする「魂管理局」の局長のタキという高位の天使。あるバス事故で偶然助かった生まれてまもない赤ん坊直紀を、見捨てられず引取り、大切に育ててきました。そして、15年たったある日、みんなに溺愛される直紀を、一人立ちさせるべく、人界におりることにしたタキですが…。

いつもながら楽しすぎる〜(笑)天然な直紀が可愛い可愛い(笑)タキのメロメロさ加減も笑わせてくれます。けっこう能天気なキャラばかりで、深く考えずにワハハと笑えるんで、やっぱりこのシリーズは好きだわ〜。リトルダーリンでのカップル大七たちも出てきて嬉しかったです〜。大きい大七も出てきて満足♪(好きならしい(笑))コメディが好きな方はぜひオススメです。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(リトルダーリンにしろ、この本にしろ、根底に流れるのは「ラブラブ」(笑)それも、相手への一途な愛です。これとコメディが合わさると、なかなかに最強な話になりますね(笑)楽しませて頂きました♪)


2001年06月10日(日)   愛をちょうだい!

   アイスノベルズ  鈴木佑実子:作  宮沢ゆら:絵 

1作目がすごくツボにはまった鈴木さんの2冊目のノベルズです。今回は高校生が主人公。モテまくる主人公ですが、クール…というより冷淡で、彼女の愚痴に付き合うタイプでもなく、腹を立てて別れてしまいます。フリーになった彼に、ひょんなことから彼の秘密を見つけて、「勉強を教えてくれ」と言ってきたのは、同じクラスの落ちこぼれ気味の少年で、その場の勢いや原因(^^;もあって、勉強を教えるかわりに身体で払えと要求しますが…。

うーん?なんか、前作とは打って変わった作風でびっくりです(^^; ほのぼのしてて、切なくてアットホームなお話書かれてて、すごくツボだったのになあ(^^; 後書きみると、どうもさんざん担当さんからダメ出しされたようですが、でもテーマ的に鈴木さんのカラーではない気がする…。非常に無理している感じがしました。もちろん、無理矢理はじまった関係だし、理解し難い部分も多分にあるんで余計ですね(^^;担当さんも、作家にあった作品を書かせてあげる方がいいような気がするんですが(^^; でも、苦手な無理矢理系な中でも、段々と受に惹かれていく、本当は寂しい攻キャラの描写なんかは、けっこう好きだなあと思いました。ぜひ元の作風に戻して(^^; また書いてほしいなと思うのですが…。

私的評価 ☆☆☆
(いろいろ事情もあるんだろうと思うし、編集部の意向というのもあるんでしょうけど…とにかく「勿体ない!」の一言につきます。苦手な内容ながらも、私の中で読める作品に仕上がってるだけに、前の作風のままに書かれたら、どれだけ好きな感じだったろうと思うと残念で…。)


2001年06月10日(日)   ブレイク・ダウン

   アイスノベルズ  篁釉以子:作   史堂櫂:絵 

バンドもののお話です。小説アイスに掲載された「Lies&Truth」に加筆訂正してノベルズ化されました。ちなみに裏ストーリーとも言えるお話が、2001年5月号(6/10現在、店頭にならんでいるものの前の号です)に掲載されました。それを頭において読むと、より理解できるかと思います。主人公は、家庭の確執の犠牲にあい、祖母に厳しく育てられ、母親には祖母との確執が原因で疎まれているいい子ちゃんな高校生。でも自分の中で鬱屈したなにかを持ちつづけていて、ある日自分のノートに「壊してくれ…」と書きます。翌日、学校に置きっぱなしになっていたそのノートに「ぶっ壊してやる!」と書きなぐられているのを見て、衝撃をうけますが…。

いつもながら切り口がちと痛い…(^^; 今回も「自分を壊したい」衝動を持つ少年が痛くて泣けてきます。彼は自分のことで精一杯で、自分を見つめつづけた瞳には気づけないんですよね。攻キャラも、あまりに相手を思いすぎて、どうしてもストレートに相手に話ができない。紆余曲折のあまりに瓦解しかかった2人ですが、なんとか落ち着いて良かった…とエンドマークを見てホッとしました。ただ、なんだか急ぎ足な感じだったことと、文章がそれぞれのキャラの叫びっぽいものばかりで、ちょっと読みにくかったのが残念です。

私的評価 ☆☆☆
(せっかく裏ストーリーなんだし、ぜひ5月号に掲載された方の話もぜひノベルズにしてほしいです〜。)


2001年06月07日(木)   命令口調の唇で 2

   GUSTコミックス   あかま日砂紀:絵 

奇談シリーズが縁で、1巻をゲットしましてはまりました(笑)あかま日砂紀さんの「命令口調の唇で」の第2巻です。シリーズとしてはこれでラストなのかな。収録されている作品は、表題作のシリーズ2編と、少し前に描かれたらしいマンガの合計3つです。表題作のシリーズの方はGUSTで読んでました。

1巻にくらべるとH度がはね上がってます(笑)ちょっとあまりの生々しい描写にびっくりもしましたが、1巻と続けて読めばだいじょぶだった(笑)2巻だけ手に取ると「なんだ?この濃いプレイは?」(爆)と思ってしまいますが、1巻からの流れだと、段々気持ちも身体も(笑)近くなっていくのだなあと納得。個人的に黒川兄が面白くて好きですね。ぜひ彼の話も詳しく聞きたいものです(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(というわけなので、1、2巻を合わせてぜひどうぞ(笑))


2001年06月07日(木)   現在治療中 2

   ディアプラス文庫  桜木知沙子:作  あとり硅子:絵 

歯医者で元家庭教師だった攻キャラ久我と家庭教師での教え子公紀とのお話の第2弾になります。雑誌掲載された「現在誘惑中」他、その後の話を書き下ろしされて、待望の第2巻発売です。前巻にてやっとラブラブ〜になった2人と、その脇カップル(?)(笑)公紀の従兄邦彦と、攻にアタックしていた無表情で生気の薄い葉田のお話がうまーく混在している2巻です。雑誌掲載分は邦彦と葉田のお話で、気がつけば邦彦にーちゃん泥沼だし(笑)(わはは)書き下ろしでは、旅行を企画した久我と公紀の2人が、久我の元彼女のペンションに泊まることになって…。

ああ、なんだかもうホッとする〜(^^) 月村さんと並んで、私の中では和み系な作家さんなんです。その中でも、とくに好きな作品なだけに、とにかく楽しく、嬉しく読んだ1冊でした。邦彦にーちゃんの苦悩(笑)も、久我と公紀のカップルの初々しさも和む〜(笑)葉田くんも、一見無表情に見えて、とってもいい感じです。まるで親鳥についてあるく雛鳥みたいで(笑)このカップルも、ぜひ幸せに上手くいってほしいなと思います。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(1つ気になるんですが、「現在成長中」(書き下ろし)って、これほんとに書き下ろしかなあ?(^^;なんだか、どこかで読んでる気がしてしょうがないんですが…(^^; もしご存じな方いらしたら教えて下さい。)


2001年06月07日(木)   step by step

   ディアプラス文庫  月村奎:作  依田沙江美:絵 

小説ディアプラスに掲載された表題作に、続編の書き下ろしがついて待望の文庫化です。大学の陶芸同好会を舞台にしたお話で、主人公は甘やかされて育った末っ子くん。周りに手を貸してもらうことが多かったため、自己主張をあまりしない、流されタイプです。案の定流されて(笑)入るつもりのなかった陶芸同好会に在籍することになり、そこの先輩に厳しくいわれながらも、だんだんと精神的にも強くなっていきますが…。

月村さんらしいですよね〜(しみじみ)なんというか、とっても日常なんです。登場人物たちも、どこかしら「ああ、あるよね、そういうの」って思わせてくれるから、感情移入しやすい。今回の主人公にしても、流されやすい部分って、だれしも持ってると思うし、心情的にも判りやすかったです。割れ鍋に閉じ蓋というか(笑)ちゃんと甘えたがりと甘やかせたがりがくっつく辺りも、納得。ほのぼのと優しい雰囲気に包まれたお話でした。攻の義姉も、そのままほったらかしではなく、ちゃんとフォローする人物がいるあたりはさすが、ですね。

私的評価 ☆☆☆☆
(雑誌掲載の時も、和ませてもらいましたが、続編も可愛くて倍和みました。どきどきしっぱなしの受キャラが可愛い(笑))


2001年06月07日(木)   壺中の天 〜鬼籍通覧〜

   講談社ノベルズ   椹野道流:作 

全然ボーイズラブではないですが、まあ時々こういうのもありということで(笑)奇談からはまった椹野先生ですが、ご本業は、法医学教室にお勤めなんで、この鬼籍通覧シリーズは、言わば先生のご本業に深く関係しているお話です。ミステリというわけではない(本格ミステリにしては謎が浅い)けど、いつもなにか「うーん」と考えさせられるテーマを持つ作品なのです。今回の事件は、法医学教室のメンバーが食事に出かけてたまたま死体に遭遇したことから起こります。普通の事故死かと思われていたのにも関わらず、いきなりその死体が消え失せてしまって、そこには遺留品もほとんどなくて…。

司法解剖が当たり前に行われるんで、そういう血なまぐさい(笑)記述が苦手な方は御注意を〜。私は家で鍛えられた(笑)おかげで、全然平気ですが。今までもそうだけど、現実にはあり得ないかもしれない内容ながらも、そうせざるを得なかった事情や背景、というのが胸に重くのしかかりました。それから、今回、奇談シリーズの名脇役、龍村先生がゲスト出演です。相変わらずの大らかさを発揮されてて、和みます〜。案外ミチルさんといいコンビだと思うんだけど、でもどうも2人でいても色っぽさがないのはいかがなものか(笑)でも恋愛に発展したらしたで、とっても素敵なカップルになると思うんですが(^^; 会話は色っぽくないかな(苦笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(ミステリではないけど、ちょっと非現実的なお話かもしれないけど、でも何か、読者に問い掛けたい気持ちがあるのかなあ〜と、読み終えて思いました。しっかり目を開けて、それを見極めたいと思います。)


2001年06月07日(木)   きゃっと・キャット・CAT

   ラキアノベルズ   姫野百合:作  かんべあきら:絵

いやあ、めちゃめちゃ懐かしいですねえ〜。ラキア本誌の創刊号に掲載された作品です。ちょっぴりファンタジックなお話と、その続編の書き下ろし短編が2編収録されています。主人公は、心優しい少年。あるきっかけで知り合った黒猫「しっぽ」の飼い主のおじさん四方氏(自分の父親より年上(^^;)が好きで、一途に思いつづけています。ある日、脱走したしっぽを追いかけて、月夜の公園に行った主人公は、なんと猫と身体が交代してしまって、「しっぽ」として過ごすことになりますが…。

いや〜ん、もう可愛い〜(じたばた)<黒猫 これ、掲載当時、とっても気に入ってたんですよ〜。こんなにたってからノベルズになるとは思ってなくて、嬉しかったです。もちろんちゃんと元に戻って、少年とおじさん(笑)で恋が成就します。その後編ではすっかり恋人らしくなった彼らに出会えて嬉しかったです(^^) 年齢が低いので、ちょっとショタ気味なんですが、なんというか、生々しさがないというか…(笑)「弄んでいる」のではないから読めるのかな。そういえば、本誌掲載の時は黒泉ららさん(現・竹美家ららさん)でしたねえ<イラスト>あのイラストも素敵だったけど、かんべさんのも素敵で、倍楽しいです。

私的評価 ☆☆☆★
(実は、かんべさんのイラストの、おじさんがすっごい可愛いの〜(笑)ちゃんとおじさんに見えて、和んでしまいました。オヤヂフェチな方(笑)あのイラストはぜひ一度見て和んで下さい(笑)優しそうで素敵です。)


2001年06月07日(木)   情熱のかけら

   ラキアノベルズ   高岡ミズミ:作  佐々成美:絵

只今密かにマイブ−ム中の作家さん、高岡先生の新作です。「可愛いひと。」シリーズ以外では初めてのノベルズですね。高校の時の同級生同士が主人公のお話で、ちょっとシリアス色の強いお話です。主人公は、顔は美人だけど、平凡を絵に描いたような生活をおくっている市役所に勤める青年。同窓会で再会したのをきっかけに、同じ部活だった建築事務所に勤めるやり手で強引な青年と、歯科技師で穏やかな青年との3人で、1ヶ月に1回、飲み会をしています。実は主人公は建築家の青年に思いを寄せており、会いたい気持ちと、彼に対してもつコンプレックスとの板挟みになって苦しみつつ、それでも会いに出かける主人公ですが…。

うーん、こんなに「初めて読んだ時」と「再読した時」の感想が違うものは久々かもです。最初は、ちょっとあまりに建築家な青年が強引で辛かったんですね。受が可哀相でしょうがなくて。途中穏やかな親友に慰められるシーンで「そっちによろめいたって私は許す!(私はその親友キャラが好き(笑))」とか不穏なことを思っていたんですが(苦笑) 2度目に読んだ時は、強引な青年の裏の気持ちが判るだけに、妙に納得してしまいました(笑)親友とのエピソードも、単なる浮気ではなくて、過去があり、現在の相手がいてこその話で、なんだか私の苦手な強引ものなのにも関わらず、ひじょうに幸せな気持ちで読みおえることが出来ました。

私的評価 ☆☆☆☆★
(1度だけで終わらず、何度も読み返すと、さらに読みごたえがある気がします。私は脇キャラの西崎が大好きなので、彼の葛藤とか恋愛の話もぜひとも読んでみたいと思います。)


2001年06月07日(木)   夢みる桜色の魚

   ラキアノベルズ  神奈木智:作  起家一子:絵

5月発売予定でしたが、1ヶ月延期されました。書き下ろしで、ちょっとファンタジックなお話です。主人公は、海で生きる人魚(?)のティラという少年。ティラは以前、溺れた人を助けたことがあり、その彼が忘れられず、自分の寿命を差し出す代わりに、人間の足をもらって、その彼を探しに陸へあがります。探して見つけたその彼は、ティラのことを覚えていなくて、つれなくされてしまいますが、周りの人たちの取りなしもあって、段々と距離が縮まってきて…。

「それでいいのか?」と思うところもちらほらあります、がまあそこはファンタジーということで(^^) 攻キャラが、天然ちゃんですが、でも愛に溢れる受に癒されていく様子は、読んでいても和めます。優しい流れのお話で、夢物語と言われそうだけど、でもこう言うのは大好き(^^)とっても楽しんで読みました。

私的評価 ☆☆☆☆
(健気で一生懸命な受が可愛い〜!!起家先生のイラストも可愛くて、オススメです。)


2001年06月07日(木)   禁断のエンジェル・ヴォイス

   ラキアノベルズ  水無月さらら:作  風祭壮太:絵

かなり昔に出た「幸せのエンジェル・ブレス」の続編になります。全編書き下ろしです。ポワポワ可愛い高校生の受キャラたちと、その兄との×印のような関係(判りますでしょうか?「受1&受2の兄」と「受2&受1の兄」がカップルなのです)が描かれたお話で、今回は約3年後の話になり、受キャラたちが卒業式を迎えたあたりのお話です。

今までのいろんな作品の流れから、どう落とされる(期待からはずれる(^^;)かとドキドキして読んでたんですが、案の定というか(^^; ギリギリ瀬戸際は守ったものの、片方のカップルが危うくリバーシブル(^^; もともと積極的なタイプの受ではあったんですが、でもやっぱり抵抗があってショック…(^^; 後書きで「実はもともとあのキャラは受けくさいの!」と言われても、私にとってはちゃんと攻めキャラなんです…(T_T)天然ぐあいが好きなキャラだったから余計に悲しいのかも(T_T)

私的評価 ☆☆
(続編だろうと、期待してたんで余計に肩透かし(^^; うーむ、水無月先生、やっぱり作風変わったかな(^^; 私はこれの前作のころが一番好きだったかも。)


2001年06月01日(金)   おとしてやるっ!

   SHYノベルズ  剛しいら:作  石原理:絵

極道の世界のお話の2作目です。主人公は、ある暴力団の若頭をつとめる美貌の男。彼にはいつも付き従い、盾になり、支えになっている男がいます。今回は、中国系マフィアが日本に進出してきて、薬を使った殺人をした挙げ句、主人公は捕らえられてしまいますが…。

うーん?(^^; 前作にくらべると、かなり散漫な印象が強かったですねえ。主人公の過去も突飛で唐突だったし、捕らえられたのはまだいいけど、その捕らえたマフィア側もなんだか良く判らない(笑)美貌とはいえ、けっこうな歳の男を拉致して薬付けにして手込めにって、そこまでしたいものかなあと思わず冷静になってしまいました(^^; ラストシーンあたりの緊迫した場面で、主人公が、叫ぶところがあるんですが、その叫ぶ台詞が、どうにも笑えてしまい、せっかくのクライマックスが楽しめなかったのも「???」と思った原因の1つかもしれないなあ(^^;

私的評価 ☆☆★
(前作がわりと「いいかな?」と思ってただけに、残念。ちょっとSMが入ってるから、苦手になってきたかな(^^;<主人公たち)


2001年06月01日(金)   虹玉の皇子

    パレット文庫  香村日南:作  柴牙忍:絵

この方の本ははじめて手に取りました。舞台は、モンゴルとかの中央アジア系の砂漠地帯でのお話(いや、場所は確定してないんで、ファンタジーで時代物といえばそうかも)で、主人公は、身分が低いものの、王位継承権があるため、王妃に疎まれて、地方へ飛ばされた皇子と、草原の国の王子で、自分の国を救う宝玉を探しにやってきた少年とのお話です。

毒薬を盛られたりとか、捕らえられたりとか、そりゃーもう大変(^^;な目に合いつつ、でもまけないで突き進むあたりが楽しいです。強い子たちは大好き〜。あ、でも重要な脇キャラがラストあたりで命を落としてしまうんですが、私は秘かに彼が好みだったもので、すっごい残念(T_T)ラストがあまりにも唐突で拍子抜けだったのは、続かない(1冊読み切り)だからでしょうか。なんだかいきなり「おしまい!」とシャットアウトされた感じでした(^^;

私的評価 ☆☆☆
(ツッコミどころはあると思うし、好みもあるとは思うんですが、まあわりと楽しく読めた方かなと思います。こういう微妙な関係もいいなあ。)


2001年06月01日(金)   ラスト・メッセージ ユダの刻印

     コバルト文庫   藤堂夏央:作  氷栗優:絵

ラスト・メッセージシリーズの3冊目は、ネットとストーカーと学祭が絡んだお話です。ネット…というかメールですな。実際毎日のようにこうして利用しているものなだけに、理解しやすかった感じです。主人公たちのスタンスも大分確立されてきたなあと思いつつ楽しく読みました。

一応なぞ解き風なんですが、そう難解なものではないので軽く読めます。「ネットの相手の顔は見えないんだよ」という基本的な部分を上手く説明してくれていますね。昨今ネットの出会いサイト絡みの事件が多いので、これも時事ネタってことかな。私は主人公たちが好きなもので、主人公にちょっかいを出す、医大の同級生(でもオヤジ(笑))はあまり好きではないんです。…というか、あまりに攻キャラが不憫なのかもしれん…、もっといたわってあげてお願い(笑)>受

私的評価 ☆☆☆★
(受が攻をいぢめるのも1つの話の流れになってるんでしょうがないんですが、もうちょっと優しいシーンも読みたいです(^^;)