2001年9月のレビュー

 


2001年09月28日(金)   やさしい竜の殺し方 5

   スニーカー文庫   津守時生:作  橘水樹&櫻林子:絵

やさしい竜の殺し方シリーズの最終巻になります。ノベルズの文庫化なので、ほとんど加筆はない…はず(^^; アークとウルの冒険も大団円を迎えます(^^) 残念なのは、イラスト(モノクロの分ですね、お話の中で出てくる)がなかったことかなあ。小林先生の絵も好きですが、橘&櫻両先生のイラストも、とっても好きだったので…。

巻末(後書きの後)に、ひょっとしたらこうなったかもしれない、その後のボツネタが書いてあって、思わず喜んでしまいました(笑)こういうお話の片鱗でも聞くと、その後を想像できて嬉しいです(^^)5冊並べて、秋の夜長にぜひ再読してみてくださいね(^^)

私的評価 ☆☆☆☆★
(ノベルズで読んでいる癖に、やっぱり何度読んでも面白いし好きだなあと思います。こうして読めて嬉しいです(^^))


2001年09月28日(金)   広海くんの災難

   ルビー文庫    吉原理恵子:作  如月弘鷹:絵

子供の領分シリーズ2部のラストになるようです。CDにもなって、追い風十分…な感じにも関わらず、なんだかどうしても読みにくい作品でもありました(苦笑) だってまた、1冊で1日ペースなんだもんな…(^^; 主人公広海のあっと驚く行動と、周りを取り巻く少年たち視点のお話が収録されている、短編集とも言えるかな。

なにか狙いがあって、こういう作風にしてるというのなら、どうにもその方向性は間違ってる気がしてなりません。恋愛を主にするならする、しないならしないではっきりして欲しい(^^; 状況だけを1人称視点で描こうとするために、その場の伝えたいことが全く伝わってこなくなってしまってるんですよね。焦点がボケているというか(^^; 二重螺旋でも思ったけど、「決まった文章の量」だけで、物事を的確に伝えるのも、モノを書くひとの資質の1つだと思うのです。読者がおいてきぼりでは、本である意味はないのではと思ってしまいます。本のページ数は無限ではないし、だからこそ起承転結というものが必要になるんだと思います。今の吉原先生の目指す方向が、私には判らないです。

私的評価 ☆☆
(ちょっときついかな(^^; だけど、どうにも違和感が拭えないんですよ。最初にくらべてもテンポがスローダウンしてるし…。これが意図的でない変化なのなら、ショックだなと思います。)


2001年09月28日(金)   ハピネスなきもち

   ルビー文庫    真船るのあ:作   成神護:絵

ハピネスのかたちの続編になります。前作にてラブラブバカップル(笑)になった小説家の青年と、高校生のカップルですが、今度は2人を邪魔するキャラが現れて、2人の仲はややこしくなってしまいます。主人公の高校生は、相手が男性であるということもあって、気兼ねすることなく、遊びにいったりもしています。そんなある日偶然彼とのデートを、同級生に見られてしまい、その同級生がいろいろと主人公に注文をつけてきたりして…。

不安に揺れる主人公が可愛いですね。ほら、「バカな子ほど可愛い」というか(笑)ばか正直で、かわす術も知らなくて、まんまと同級生の思うつぼにハマっちゃうあたり子供だなあと(笑)結局彼らも言葉が足りないんだろうなあ〜。年の差があればあるほど、やはり言葉を尽くしてお互いの気持ちを寄り添わせないとね(笑) ま、でもこの2人はいつまでもラブラブバカップル(笑)なんでしょうけど。

私的評価 ☆☆☆★
(真船先生ならではの元気で楽しい作品でした。)


2001年09月27日(木)   星降る空にも届くように

   GENKIノベルズ  飯島充子:作   桃八号:絵

幼稚園を舞台にしたお話です。主人公は、長野で警察官をしていた、音大出のちょっと天然な青年。東京へ戻ることになり、幼い甥を育てなければならないということもあって、仕事を斡旋してもらいますが、勤めるギリギリまで、その先が幼稚園であるということに気が付かず(苦笑)「こんなはずではなかったのに」と思いつつ、幼稚園の先生をやっていますが…。

うーん、最初と最後で、ここまで印象が違う本ってどうだろう(苦笑)最初は、幼稚園の先生同志のほのぼの恋愛かなーとか思ってたんですが、まさかこんなハードな内容になるとは思ってもみませんでした。これもまあ、意外性と言えば意外性なんでしょうけど、ちょっと飛び過ぎててびっくり。想像の付く範囲のほうがいいなあ…(^^;

私的評価 ☆☆★
(まあ、警察官という伏線を最大限に使ってるといえばそうなんでしょうけど、ちょっと突飛すぎると思う…(^^;)


2001年09月27日(木)   フラワー・ステップ

   キャラ文庫    ふゆの仁子:作  夏乃あゆみ:絵

キャラセレクションに掲載された、お花屋さんのお話と、その続編書き下ろしです。主人公は、チューリップ中心のフラワーアレンジメントで有名な女性の息子。母との関係が上手くいっていないこともあって、チューリップをはじめとした花をあんまり良く思えないでいます。そんな彼が、偶然傘を借りたのは、バス停前の花屋さんの青年で…。

雑誌掲載の分は、主人公の高校生の心の氷が溶けて行く様を、とても楽しんで読みました。が、続編がなんだか思ってたよりもテーマがボケてるというか(^^; まあ、恋愛が主テーマになるのはおかしくはないんですが、ふゆの先生らしからぬ「恋愛が主のテーマ」になってたなあと(苦笑)物足りない感じがしました。あれだけ大騒動して、1歩進んだだけ、みたいな感じだったからかな(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(ふゆの先生ならこうかな、というイメージが有るんでしょうね、きっと。型にはめてしまうのはよくないんでしょうけど、つい期待してしまうようです。)


2001年09月27日(木)   ひとでなしとの恋愛

   キャラ文庫     菅野彰:作  やしきゆかり:絵

まさかこれの続編が出るとは思いませんでした。前作「野蛮人との恋愛」の主人公カップル攻のほうのお兄さんと、その後輩にあたる割と物静かなタイプだった元副将の青年が主人公です。医者の道を進む攻のお兄さんは、実はかなり人でなしなタイプで(^^; 女性とも長続きせずにやけ酒を喰らい、二日酔いになって、大学の道場へ顔を出します。ちょうど練習に来ていた弟と冗談半分に対戦し、自分が完璧に弟に負けたことを悟って荒れますが…。

菅野先生が後書きでも書かれているように、ネガティブとネガティブのカップルなんで、こういうのが苦手なタイプの方は、きっとイライラしちゃうでしょうねえ(苦笑) 私は割と好きなんで、こういうのも良いなあと思って読んでましたけども。菅野先生の何が凄いって、「文字にできない「足りない気持ち」がある」ことを描写できるところだなと私は勝手に思っています。これは毎日晴天!シリーズでも共通なんですが、そのちょっとだけ人とは違う部分、足りないんだろうなと思っている部分がある人には、すごく判るし心に響く、そんな作品なんじゃないかなと思います。

私的評価 ☆☆☆☆
(どっちかっていうとこれは傷の舐めあいで、恋愛じゃないかもしれないよなあ…。でも、この2人が一緒にいることで、なにかが変わればいいのになあと、思ったりしました。)


2001年09月27日(木)   気まぐれ猫の攻略法

   キャラ文庫   望月広海:作   宗真仁子:絵

望月先生のひさしぶりの新刊です。多分何度か延期になっていたものだったのではないかと思うのですが、ちょっと確認できないです、ごめんなさい。全編書き下ろしですが、出会い編の表題作と、恋人同志になってからの話の2編に別れています。主人公は、純朴なタイプの青年。面接に行くように言われて、面接先に移動する途中で、どぶの中に子猫を見つけてしまい、一張羅のスーツがよごれるのもかまわずに助けてしまうような心やさしい彼です。結局そのまま、面接先へ向かった彼ですが、その面接先の会社の美人な社長は、それが気に入ったと採用してくれて…。

前編は、お互いが気持ちを伝えあうまでだったので、すっかり受攻が逆だと思い込んでました(苦笑) いくら美人でも、なんとなく天然ボケっぷりが受くさかったんだもん…(笑) 後編では、ちゃんと恋人同志なんですが、逆にちょっと内容が強引すぎて、びっくり。前半がのほほんとした感じだっただけに、ちょっとギャップがありすぎたかなあ…。もうちょっと疑問に思ってもいいのではとツッコミを入れてしまいました。

私的評価 ☆☆☆★
(でも、望月先生の作品の中では好きな方かなあと思います。とくに前半。こういうのほほん系主人公、メゲなくて好きだな。)


2001年09月25日(火)   ヤバい気持ち

   キャラコミックス   穂波ゆきね:作画  鹿住槇:原作

キャラセレクションにて連載されていた、学園もののマンガがコミックスになりました。とっても好きな作品で、コミックス化を心待ちにしていましたので、手にした時はほんとに嬉しかったです(^^) 親友同士の高校生が、あるきっかけで友人の枠から外に出てしまって…。

切ない恋の行方が、穂波先生の柔らかなタッチの絵で繊細に描かれていて、何度読み返してもお気に入りな1冊です。もともと穂波先生のイラストは大好きで、ボーイズ系を読み出した初期に読んだのも穂波先生のイラストの本だったので、どうも原体験というか(笑)刷り込みがあるみたいですね。なんだかホッとする作品でもありました。ミニミニ続編(笑)では、思わず幸せな彼らや寂し気な部長を見てふふふと笑ってしまったり。ハートフルでやさしい作品を読みたい人にぜひぜひオススメの1冊です。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(実は、このマンガのラストの連載時の、扉絵のイラストテレカが当たってしまいました。ふふふ、至福のひととき(はーと)欲しかったものだったのでとっても嬉しいです。)


2001年09月22日(土)   ミステリアスゴールド

  エクリプスロマンス   十掛ありぃ:作  Lee:絵

十掛先生の初ノベルズは、ファンタジー風近未来モノのお話です。雑誌掲載されたもので、続編が書き下ろされています。なお、今発売されている小説エクリプスで、特集記事も組まれ、ショートストーリーも掲載されています。地球外から移住してきた他星の住人たちは、やがて金星や火星、木星などに移り住み、その星の住人として定着します。そんな世界の中で、金星人のレンは、バーのピアニストの仕事をしながら、パイロットの勉強をしています…が、なぜか何度も夢を見て、悩まされる日々が続きます。そんなある日、出会ったのは龍星人の青年ソウジュで…。

過去、夢、テレパシー、現実の4つの場面が交錯するので、ちょっと判りにくいかなあ、というのが最初の印象。とりあえず1度読んでしまってからもう1度読むと分かりやすいんですけどね。どういうモノなのか納得して読んだ方がより楽しめたので、何度も読み返す本としてはオススメかなあ。最初はちょっと取っ付きにくいかも知れませんが、頑張って読めば、続編部分などはそう心配はないと思います。

私的評価 ☆☆☆★
(記憶がない、というキーポイントがあるから余計かな(^^; 続編では、嫌な女性キャラが出てきて、これもちょっと引いてしまったのですが、サラ(ソウジュの双子の姉)が出てきて帳消しなのでおっけー(笑))


2001年09月22日(土)   恋人のスタンス

  エクリプスロマンス   火崎勇:作   桜城やや:絵

小説エクリプスに掲載された、編集とイラストレーターのお話と、その続編書き下ろしです。主人公は、元気なタイプの編集者の青年。あるイラストレーターに取材をするべく北海道まで出向きます。そのイラストレーターは、昔自分がとても好きだった幼馴染みと名前が似ていて、ひょっとしたら彼ではないかと思っていたので、渡りに舟と喜びますが…。

わりと雑誌掲載から間がなかったですね。主人公は直情的なタイプなので、ほんとに真正面からぶつかっていってしまって、喜怒哀楽もかなり激しいです。それが面白くもあり、場面によっては歯がゆくもあるんですが(苦笑)続編の書き下ろしでは、遠距離恋愛を続ける彼らの様子も伺えますが、そんな彼らを描こうとするがために、ちょっとやり過ぎな部分もあって(^^; イイ感じのキャラなのに当て馬になっちゃったりしてて勿体なかったです。私も攻キャラと同じ誤解してたよ…(苦笑)ま、それが狙いでしょうけども。

私的評価 ☆☆☆★
(恋愛はいいが、人に迷惑はかけちゃいけません、ええ(笑))


2001年09月22日(土)   そばにおいで

  GENKIノベルズ   麻生玲子:作   緋野めい子:絵

麻生先生の書き下ろし新刊です。主人公は、時々援助交際まがいの事をして小遣い稼ぎをしつつ日常を過ごす高校生。ある日ばったりと中学時代の先生に出会います。先生は教師をやめてサラリーマン生活をしていて、その後も携帯ナンバーを教えあったりして、会う約束をし、逢瀬を重ねて行く2人ですが…。

主人公、高校生側しか書きませんでしたが、どちらかというと視点はかなりお相手の先生寄りなんですよね。本来保護者っぽい立場である元教師であるにも関わらず、どんどん高校生に惹かれていくジレンマがけっこう興味深いです。援助交際まがいのことをしていたツケを、払わせられて辛い思いをする彼らですが、だからこそ乗り越えられたなにか、というのもある気がします。これから幸せになってほしいなあ、と願う、そんな2人の出会いと葛藤のお話でした。

私的評価 ☆☆☆★
(思っていたよりも、好きなパターンのお話でした(^^) ただ、やっぱり秘密は隠すのではなく、話しないとダメよねえ(笑))


2001年09月18日(火)   イノセント・サマー

   My文庫   若杉桂:作   あとり硅子:絵

同じくMy文庫からのミステリーテイストなお話です。こちらは骨董屋さんが舞台のお話。主人公は、小さな骨董屋の大家でもあり、忙しい両親に適度に見放され(苦笑)店子である青年とつるむのが日課の大学生です。店子であり、骨董屋の店主であり、骨董マニアの青年は、無表情不愛想を地で行くタイプで、ある些細な事件をきっかけに、すっかり探偵の真似事を頼み込まれるようになってしまいます。今回頼まれたのは、青年の旧知の女性からで「有名作家の女性を探して欲しい」という依頼。いやいやながらもいろいろと探しはじめる2人ですが…。

うーん、面白くなかった、というわけではないんですが、でもなんだかとってもしんどい作品でしたね(^^; ストーカーチックな部分もあったし、主人公がちょっと精神的に追い詰められていくような部分もあったので、同調して読んでると辛かったなあ。ラストもちょっと救いがないなと思いながら読んでいました。なんというか…あんまり後味が良くないというか(^^; 謎のあたりは見えてただけに余計に中途半端でした(^^;

私的評価 ☆☆★
(私の読書ツボからは微妙にずれてたようですね(^^; なんでかなあ。途中までは割とわくわくして読んでたんですが…(^^;)


2001年09月18日(火)   フェイク!

   My文庫   徳田央生:作   杉本要:絵

白泉社から、あたらしい文庫レーベルが誕生しました。ミステリー風の作品中心のMy文庫です。徳田先生は、もともと花丸ノベルズでも書かれていたし、ボーイズテイストっぽい作品のようだったので選んでみました。主人公は美術を専門に研究しているロンドンの大学院生。医者の恋人と一緒に暮らしています。この主人公、どうにもトラブルメイカーの素質があり、今回も自らを大変な事件に巻き込ませてしまいますが…。

私は未読だったのですが、花丸ノベルズの「メイド・イン・ロンドン」シリーズのキャラクターたちのお話、でもあるようです。もちろん未読の私でも興味深く、非常にわくわくして読みました。絵画の贋作に関する話で、どういう風に謎ときがされるのか、とてもどきどきしていました。結果的には、すべてのなぞが解きあかされた訳ではないのですが、まあ、シリーズ化されるようなので、1冊で謎ときを統べてしちゃったらダメなんだろうなと(苦笑)今後も楽しみな作品でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(そして案の定罠にハマったかのごとく、「メイド・イン・ロンドン」を探してみようかと思ってしまっている自分がちょっと悲しい(笑))


2001年09月17日(月)   チェイン・リアクション

   ビーボーイノベルズ  松岡なつき:作  徳丸佳貴:絵

小説BEaSTに掲載されたニューヨークが舞台のお話を大幅加筆でノベルズ化です。主人公は、学校の元先輩を頼って単身ニューヨークへ渡ったシルバーのクラフトマンの青年。彼は自分の夢を掴むため頑張っています。パトロン…と言うわけではないですが、一応恋人もいますが、「彼に恋をしている」わけではなく、熱い思いを抱いているわけではありません。そんな彼が、知り合いのバースデーパーティで出会った青年は…。

雑誌掲載時にも、好きだなあ〜と思いながら読みました。かなりキャラクターがどれも強烈で(笑)だからこそ主人公の普通さも際立って来る感じ。ストーカー行為を働く元恋人は正直腹が立ちますが、まあラストあたりで散々罰が当たるからいいかなと(笑)「人の恋路を邪魔するやつは…」ってやつですね(笑)加筆があったぶん、先輩テツオのキャラ描写が倍増してて、笑えました。…が、キャラ的に苦手な人はいるかもなあ…(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(ゲイ小説とまではいきませんが、アダルトっぽい感じの作品でした。)


2001年09月17日(月)   TOUGH! 5 ホット・ターゲット

   ビーボーイノベルズ  岩本薫:作  赤坂RAM:絵

ようやくここまで来た、という感じの「TOUGH」シリーズ5冊目です。すっかりラブラブモードな響とシンゴですが、とうとう敵キャラたちとの最終決戦がやってきます。ラブラブな日常をすごす2人ですが、いきなり響が暴力団との癒着を疑われて警察に拘束されてしまい…。

今までの言わば決着編とも言える作品ですね。響にとっての念願であった兄の敵討ちも一段落し、父との確執も一段落して、ようやく響の時間が前に動きだした、という感じ。シンゴもやっとのことで響を思う自分に気付いて、もうラブラブ道ばく進中(笑)これで終りというわけではなく、今後は気長にゆっくりシリーズを続けて行くとのことなので、ぜひともおサルを脱出したシンゴと、シンゴには勝てない響のこれからを、また読みたいものです。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(好きなシリーズなので、ハッピーエンドな一段落で(もちろん終わりではないし)すごく幸せなひとときを過ごしました。)


2001年09月15日(土)   未熟なアイレベル

   リーフノベルズ  かのえなぎさ:作  如月弘鷹:絵

如月先生のイラストがデビュー作だなんて、なんてラッキーな人なんだろう(笑)と思いつつ手にした作品でした。主人公は、元気がとりえのテレビカメラマン。悪友なアナウンサーと、口げんか仲間のプロデューサーと一緒に仕事に精を出す日々です。ある日新しくリポーターになった女性に「プロデューサーはあなたには渡さない」とライバル宣言されて、逆に彼を意識するようになってきて…。

正直に言うと、「想像以上に良かった作品」でした(苦笑)もともとリーフだし、新人の方だし、と色眼鏡で見ていたところがあったんだなあと反省。Hシーンより、主人公たちの心の動きを緻密に追う作品で、かなり好みに近く、楽しんで読みました。もちろん物足りない部分もいろいろとありましたが、かなりの好印象のある作品。今後2作目以降も、こういう路線で是非頑張って欲しいです。

私的評価 ☆☆☆☆
(先入観って恐いなあと我ながら思いますね。思っていたよりも遥かに楽しめて、なんだか得した気分になりました。)


2001年09月12日(水)   ハートに火をつけて

   ラキアノベルズ   磯崎なお:作  やしきゆかり:絵

読みはじめてびっくりだったのですが、もともと小説b-Boyに掲載されていた作品が、なぜかラキアに移行して発売です。BBNででていたと思うのですが、生徒会長と可愛い系少年のお話(勉強を教えてもらうために、嘘の告白をしたら、ミイラ取りがミイラになったお話)「素顔のままで」の脇キャラの話です。雑誌掲載の時もまだビブロスだったので、ちょっと…かなり驚きました。クールなタイプの主人公、春日は、同級生の稲垣に思いを寄せています。稲垣はそんなことは全く知らず、のんきな高校生生活をすごしていますが…。

うーん、これでおしまいだったら、ちょっと物足りなさ過ぎますよねえ(^^; というか、多分これでまだ前半部分だけ、のはずなんですが(^^;<雑誌掲載時の話>暴走族とか、暴力団とかが絡んでくるはずなので、まだまだこれから、という感じ。続きが出るのを切に希望したいと思います。

私的評価 ☆☆☆★
(知ってるだけに物足りなかったですね(^^; もっと先まで読んでしまってるからなあ。ところで、春日の名前ってどう読むんだろう?気になるなあ…。)


2001年09月12日(水)   インテグラ

   ラキアノベルズ  七地寧:作   蓮川愛:絵

私のお気に入り作の1つである「ルドルフの数」のストーカーキャラであった(^^; 忠志が主人公のお話です。小説ラキアに掲載されたものをかなり加筆なさっているようです。主人公は、大会社の社長でる青年実業家。無気力を絵で描いたような青年忠志を、なぜか気に入って、彼を自分の担当にするよう圧力をかけたりして、少しずつ忠志を手中におさめて行きますが…。

なにが素敵ってやっぱりさおり姉様でしょう(笑)こういう独特のキャラは、七地先生ならではのキャラだと思う。「ルドルフの数」では、嫌なキャラとしかうつらなかった忠志が、こっちではまるで可愛い受キャラになってしまうのは、視点の妙だよなあと(笑)思います。無気力ながらに、少しずつですが成長していく忠志にちょっとびっくり。他人の手を借りたとは言え、自立の一歩を踏み出した、ある意味忠志の救済作品なのかもしれないですね。

私的評価 ☆☆☆☆★
(まだ、ルドルフの数のシリーズは続くらしいです。さおり姉様を媒体にしたお話もありましたし、楽しみですね(^^))


2001年09月12日(水)   インクルージョン 〜饒舌な指先〜

   ラキアS-EXノベルズ  崎谷はるひ:作  新田祐克:絵

崎谷先生のひさしぶりのノベルズは、黒ラキから出てる割にはとっても可愛い(笑)お話でした。主人公は、容姿が可愛いせいかどうも痴漢などに会いやすい大学生。ある日、混んだ電車の中でまたもや痴漢にあってしまい、怒り心頭の彼は、犯人らしき青年を車内から引っぱりだそうとしますが…。

全体にちょっとコメディテイストです。主人公は感情が高ぶったりすると出身地の福岡弁(なんちゃって福岡弁…とは崎谷先生談)が出ますし、思わず笑ってしまうエピソードもあります。でも基本的には、崎谷先生らしい、健気で強い受けキャラと、その受けにほだされまくって実はメロメロ状態な攻めキャラが好きだなあ(笑)と思います。可愛いイメージが強く、そういう意味では、新田さんの絵では珍しい作品になったんじゃないかなあ。

私的評価 ☆☆☆☆★
(ミッフィー(私もうさこちゃん世代でしたが(笑))ネタには大笑いしてしまいました。)


2001年09月12日(水)   夢見る頃を過ぎても

   アイスノベルズ  ふゆの仁子:作  高宮東:絵

新作書き下ろしで、高校の教師と、生徒会副会長をつとめるクールビューティーな少年とのお話です。小説アイスにて掲載されたシリーズと関連していて、どちらかというとこちらの方が時制も早いので、雑誌を読んでいる方は、こちらを読んでからもう一度読まれた方がより楽しめるかもしれませんね。主人公は、高校時代に副会長として活躍した青年で、母校の教員として勤めています。ある年の入学式で、出会ったのは、破天荒な少年と、そのそばにいつも付き従っている物静かな少年で…。

最初は、すっかり破天荒な少年とくっつくものだと思い込んでいました(^^;それだけに、途中で軌道修正されて「あれ?」と戸惑いましたが、ラストまで読んでみたら納得。…しかし、先に雑誌掲載のものを読んでしまっていたので、「なんかこのキャラ知ってる…誰だろう…」とかなり悩んでしまいました(^^; 結局ほんとラストのあたりまで判らなかったんですが(苦笑)これは私が鈍いのだろうか。

私的評価 ☆☆☆★
(順番が反対だったから余計に既視感に囚われまくった1冊でもありました。最初にこっちを読んでたらもっと楽しめたのかなあとちょっと残念。)


2001年09月12日(水)   Let's フェンス!

   アイスノベルズ  加納邑:作  こうじま奈月:絵

新作…というより、雑誌小説アイスに掲載されたものとその続編書き下ろしのノベルズ化ですね。フェンシング部に所属する、短気で傍若無人天上天下唯我独尊タイプ(言い過ぎ(笑))の可愛い高校生が主人公です。彼には、同じフェンシングをしているかっこいい恋人(笑)がいます。主人公は恋人にベタ惚れで、ベタ惚れな余りに、前に付き合っていた部の先輩の人と関係があったにも関わらず「はじめてだから、まだダメ!」と焦らし続けていますが…(笑)

うーん、やっぱりコメディ系(それも小動物系)がいいな、この人は。今回は別に動物は出てこなかったんですが(笑)加納先生の持ち味は出てた気がしますね。とにかく欲望に忠実で(笑)だからこそ姑息だったり、悩んでみたり(持続しないけど(笑))目まぐるしく変わる主人公が楽しいです。そして実は手のひらに乗せて自由にさせてる、度量が大きい(…ときどき小さい時もある(笑))恋人も笑えます。ここまで徹底してコメディ系だと、なんかスコンと抜けちゃって笑うしかないよなあ…(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(こうじま先生のこぼれそうな大きな目がぴったりなキャラでした(笑))


2001年09月08日(土)   Step×Step!

    MBコミックス     北里千寿:絵

北里先生のコミックスです。ひさしぶりに買ったなあ…というのが正直な所で、かなり前に「LOST SHEEP」シリーズにハマって以来かもなあ(^^; 今回の「Step×Step!」は、幼馴染みもののお話です。主人公は、元気モノの高校生。電車の中で出会った痴漢(笑)の先輩は、実は父の再婚相手の子供で、そのうえ小さい頃に離れたくなくて駆け落ちをしようとまでした相手だと知って…。

いや、そこまでの偶然はなかなかないだろう、とかツッコミつつ(笑)かなりの部分でギャグなので、大笑いさせてもらいました。先輩ったらいくらなんでもそりゃ変態すぎだって(大笑)肩の力も足の力もヘナヘナと抜けてしまいそうな(笑)コメディテイストなんですが、時々シリアスでじーんとなるシーンもあり、両方楽しめました。

私的評価 ☆☆☆
(やっぱり、ノリや展開が、私にとっては好きな作家さんなのだなあと思いました。ひさしぶりに読んだけど、変わらない作風で嬉しかったです。)


2001年09月08日(土)   世界を二人のために

    ショコラノベルズ  火崎勇:作  中原隼佑:絵

火崎先生の書き下ろし新作です。主人公は、お坊ちゃま大学に通う、比較的苦労知らずな大学生。のんきに過ごしていましたが、ある日自分の親の会社が危ないこと、そのために支援をしてもらうことになったこと、そしてその借金のかたに(笑)姉がその支援をしてくれる会社の社長と婚約することになったと聞かされてびっくりします。判らないながらも正義感の強い主人公は、姉をフォローしたい気持ちもあり、相手が出した条件の「姉弟ともに自宅へ来て、自分の会社に関する勉強をしてほしい」という言葉に承諾しますが…。

最初の辺りの印象と、ラストの印象がこれほど違う作品も珍しいです(笑)最初は相手の会社が着物の会社だということもあって、なんだか和風だったんですが、ラストは全然なんかイメージが違いました。その落差も含めて、楽しくよめた作品でした。私は楽しかったけど、あんまり落差があり過ぎて「なんでいきなり(^^;」と思う人もいるかもしれないなあ。そのくらい想像がつかないラストシーンでした。それがとっても印象的な1冊。

私的評価 ☆☆☆☆
(ネタばらししちゃうと勿体ないから言えない(^^;<ラストシーン>なので気になる方はご自分で御一読下さいませ。)


2001年09月08日(土)   こいきな男ら SIDE STORY 2

    ショコラノベルズ  御木宏美:作  如月弘鷹:絵

久々に出ましたね、こいきシリーズです。雑誌「小説ショコラ」に前後編で掲載された、瑞紀と悟の過去のお話を雑誌掲載より加筆訂正してノベルズになりました。アダルトカップル(笑)の2人のなれそめは、時代も少し古めで、ほとんど回想シーンという形で表現されています。親にカミングアウトする、しない、という話から、ケンカをしてしまった瑞紀たちですが…。

瑞紀たちのお話は、興味深く読みました。ただ、あんまり言動にしろ性格にしろ、回想シーンと現実との差がはっきりなくて、時々読み間違ったりもしました。もうちょっと明確に別れてたら読みやすかっただろうなあと思います。あと、もう1つ気になったのは、進と京平のラブシーン。ラスト近くにあったんですが、なんでこれを入れたのかなあ(^^; はっきりいってない方が良かったと思います。もう1つ付け加えるなら、あれは私がホレた京平ではないなあと思う(^^; 申し訳ないと思いつつも、某出版社の専用掲示板で繰り広げられていた妄想合戦に感化されてはいないか?という印象を受けたです。京平がイチオシなキャラだっただけに、なんだか残念な気持ちがしました。

私的評価 ☆☆★
(ラストシーンでがっくり来てしまって、全体の印象がうすらいでしまったのが凄く残念(^^; でも、瑞紀たちも、なにかもう1歩踏み込むものがあれば、もっとよかったと思わないでもない…無い物ねだりでしょうか(^^;)


2001年09月05日(水)   少年☆周波数 王様の棋譜 5

    あすかCL-DXコミックス   佐久間智代:絵

ほんとうは、先月末に出てたかもしれないんですが、私が気がついて買ったのが5日なので、とりあえず5日でアップしておきます。将棋の世界を描いた佐久間先生ならではの独特な雰囲気の漫画です。今回は、複雑な生い立ちを持っている(らしい)若き棋士の主人公が、精神的に周りから追い詰められて行く様子が描かれています。

なんらかの意図で、先輩棋士(しかも6冠達成した名人)の思惑通りにトラブルに巻き込まれたらしき主人公、まだまだ謎が多く、健気な主人公が可哀想でもあり、先輩棋士の妙な動向も気になります。早く続きが読みたいなあと切実に思ってしまう、そんなお話でした。

私的評価 ☆☆☆★
(まだまだ事件はこれから、という感じ。気がつけば、佐久間先生はこういう近親のコンプレックスネタみたいなの、多いですよね?やっぱりお得意ジャンルなんだろうか。)


2001年09月05日(水)   華胥の幽夢  十二国記シリーズ

  X文庫ホワイトハート  小野不由美:作   山田章博:絵

ふふふ、イラスト付きにはやはり勝てません(笑)講談社文庫で購入してるくせに、またもや買ってしまいました(^^; 7月に講談社文庫にて先行発売されていた十二国記シリーズの短編集です。内容は、多分全く一緒だと思います。変わっているとすれば、ちょっと文体が柔らかくなって、漢字が開いてあるかもしれませんが、その程度の違いです。(ハッキリ言って変わってるかまでは確認してません(^^;)

もう、今回これのためだけに購入したという話もなきにしもあらず(笑)な「楽俊のいらすと!」ちゃんとねずみなのよぅ〜(大笑)とっても楽俊らしくって、すごく和んでしまいました。イラストの数こそ少ないですが、とってもらしい絵ばかりで、買った甲斐もあるというものです。ファンにはお薦めな1冊。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(いや、ファンなら多分ためらいなく購入なさってるとは思いますが(笑)はじめて読むものではないのになぜこう感動するかな〜。今度は11月予定らしいです。楽しみですね。)


2001年09月04日(火)   Wコン★パニック

   パレット文庫   鹿住槇:作   藤たまき:絵

鹿住先生の新作は、ほのぼのホームコメディちっくなお話です。「Wコン」というのは「ブラコン&シスコン」を意味してるらしいです。主人公は、年の離れた兄にこれ以上ないというほどにベタ甘に可愛がられ世話をやいてもらっている高校生。兄が結婚するという話を聞き、心穏やかではありません。紹介したいと言われて会いに行ったホテルのお手洗いで、人相の悪い少年に出会いますが、実は彼は兄の結婚相手の弟で…。

今どき、こんなポワポワな高校生もいないだろう(笑)と思いつつ。少々展開が強引でしたな(^^; 絶対同居したくない結婚相手の弟は、主人公を巻き込んで2人暮しに突入しちゃいます。徐々に自立していくあたりはなかなか楽しめたのですが、だからこそ、この弟2人があっさりとくっつく方に向かうっつーのがちょっと疑問(^^; 展開が早すぎる気がします〜。まだまだ、主人公には早いような気がするのでした。予定巻数短いのかなあ(^^;もっとゆっくり話が流れてくれたら言うことないのになと思ってました。

私的評価 ☆☆☆★
(とりあえず、もう1巻は確実に続きます。今回は出会い編みたいなものなので、気になる方は次が出てから一緒に読んでもいいかも。)


2001年09月04日(火)   炎華の断章  封殺鬼シリーズ23

    キャンパス文庫   霜島ケイ:作  西炯子:絵

長いですねえ〜。もう、23巻目になります、封殺鬼シリーズ最新刊です。前々作、前作と大変な目にあっている弓生と聖ですが、やっぱり聖には緊張感がありません(苦笑)とうとう、中央に居場所が知られてしまい、また彼らを救うためにと仲間が立ち上がりますが…。

うーむ、さすがにここまで長くなると間が持たなくなってくるなあ(^^;話は遅々として進まず、まだまだ謎が多いです。「羅候」は実は羅候ではなかったというのが、やっと今回判明し、そして天狗の仕掛けた罠に立ち向かうシーンで時間切れ(笑) 次はいったいいつになるのだろう…いっそのこと、終るまで待ってから読もうかなあ(^^; 焦れったいことこの上ない作品でございました。

私的評価 ☆☆☆★
(好きなだけに余計に、続きが読みたくてイライラしてしまいますねえ(^^; どういうふうに続くんだろう。想像がつかないです(笑))


2001年09月01日(土)   オレたちには明日もある!

    リーフノベルズ   高崎ともや:作  石原理:絵

私のお気に入り作品の1つ、高崎先生の「砂漠」シリーズの3冊目になります。今回はコゾーども(笑)勇樹と愛ではなくて、上官たちが主人公の、ちょっとアダルトていすと?なお話です。上官2人の出会いや、今までの歴史を織りまぜつつ、上官たちの昔の仲間との対決を描いています。いつもよりちょっと視点がリーダーよりな分、緊迫感も増していてなかなか楽しめました。

FAZOのリーダーは、黙って立ってりゃ美青年(笑)口を開けば…タイプで(笑)副リーダーは副リーダーで自ら「リーダーオタク」と称しているという明らかに「出来てるだろう」カップルだったんですが、今回その謎(?)がようやく本になってくれて、まってた甲斐がありました。話のテンポ自体は、回想シーンを交えたりもするのでちょっといつもよりテンションは低めですが、楽しませていただきました♪シリーズを好きな方、ぜひぜひどうぞ〜。もちろんはじめての方も、今までのをそろえてぜひ(笑)

私的評価 ☆☆☆☆★
(今回特筆すべきはやっぱり「石原先生の軍服イラスト」でしょう!めっちゃかっこよかった…(はーと))


2001年09月01日(土)   ジュエリーデザイナーの祝祭日

     リーフノベルズ  水上ルイ:作  円陣闇丸:絵

ジュエリーデザイナーシリーズの新刊は、いろんな場面を集めた短編集という感じの1冊でした。断片的なストーリーがいくつか収録されています。中には多分ですが同人誌の再録もあるんじゃないかな、未確認ですが(^^;(確認しろよ、という突っ込みは忙しいので却下) 他カップルではなく、全編主人公は雅樹と晶也でした。断片的ながらも一応流れは時制通りなので、読みやすいといえば読みやすいですね。

他の本(例えば先日出た航空モノとか)とのリンクもちょこちょことあって、思わずニヤリとしてしまいました。…が、気になったのが文体と手法です。いつもはけっこう長めのお話だから、地の文も長くてそう気にはならなかったんだけど、やっぱり短いと、いくら主人公たちの1人称とはいえ、地の文の語尾が気になってきますねえ(^^; あと視点を変える手法も、水上先生は良く使われますが、その弊害というか…(^^; 短くて、片方だけのお話、というのが難しくなってるかも。一番短い短編も結局もう1つの相手側の話が入らないと判りづらかったりして。うーむ、難しい(^^;

私的評価 ☆☆☆
(今回特筆すべきはお子様ちゃんたちと、悠太郎&アントニオ&子供たちの和みムードでしょう。やっぱり悠太郎たちの方が好きならしい…(笑))