2002年11月のレビュー

 


2002年11月30日(土)   いいから黙って愛されな

   ルビー文庫    菱沢九月:作   金ひかる:絵

今月一番楽しみにしていたといっても過言ではない(笑)「好きって100回言ってみな」の続編の発売です。主人公は普通の高校生小鳩ちゃん。恋人の有名なパティシェ三嶺とラブラブな日々を送っています。そんなある日、三嶺の店を訪れた小鳩とその友達は、ゴージャスな美人が三嶺にキスをするのを目撃してしまいますが…。

思ったよりも今回は事件がなく、前回ほどの泣きモードにはならずにすんで、ちょっとホッとしました(笑)前作の修一郎さんネタにはボロ泣きしたからなあ…(^^; あまり不安もなく自然に2人でいる姿に和みモード。三嶺の甘やかしっぷりが笑えます。…そして疑問を抱かない小鳩ちゃんがやはり最強な気が…。最初のルビー文庫で出て来た時も三嶺って憎めないキャラだよなあ…と思ったんですが、なんだかさらに倍増っつーか、どうにも小鳩相手には大人げないあたりが一番好きな所らしいです(笑)ヘタレ攻好きなのね、私。ぜひ、前作と一緒に楽しんで下さい。前作で小鳩ちゃんがしんどかった分、今回はラブラブで幸せになってるのねと思えるのではないでしょうか。割れ鍋にとじ蓋で、いつまでもラブラブバカップルぶり炸裂してほしいものです。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(金先生のイラストが、さらに「三嶺らしさ」をかもしだしています。アヤシげなおっさんって感じで好きだ(笑)ぜひぜひ、読んでみて下さいね。)


2002年11月29日(金)   心のなかに卵がひとつ

   コバルト文庫    麻生玲子:作   せのおあき:絵

麻生先生のコバルト文庫新シリーズです。主人公は普通の高校生…ですが、実は兄が業界では注目株の新鋭デザイン事務所を開いていて、そこでJRHというサインを使い、デザインをしています。ある日兄の元へ急いでいた主人公は、妙なビラにふと気を取られ、車にひっかけられてしまいます。あぜんとしている間に事故の相手はお金だけ押し付けてとっとと去ってしまいますが、そこへ関係ないはずの青年が声をかけてきて…。

麻生先生らしい、ほんわかした作品。前シリーズも一生懸命な主人公がすごく好感が持てたんですが、今回も好みのタイプばく進(笑)なキャラで、可愛いわ和むわ、ほのぼのさせて頂きました。お相手キャラのサラリーマンも、クールっぽく見える割にはちょっとおっちょこちょいだったりヘタレなところもあったりして、笑えます。思ったよりも展開が早かったのにはびっくりしたけど、すごく楽しく読めました。これ、続刊ありなのかなあ?ぜひ続いて欲しいなと思います。

私的評価 ☆☆☆☆★
(前のシリーズが好きだった人なら絶対オススメ。私はこういう穏やかな作品、すごく好きです(^^))


2002年11月29日(金)   ボクのお城においでよ

   パレット文庫   鹿住槇:作   穂波ゆきね:絵

本当は12月分なんですが、発売日が年末のため早まったようですね。鹿住先生の久しぶりのパレット文庫のシリーズです。主人公は早くに両親を亡くして、母方の叔父に育てられた少年。秘かにその叔父に思いを寄せていますが、その気持ちを悟られまいと必死に隠しています。叔父が結婚をし、また海外へ転勤になると知った主人公は、一人暮らしがしてみたいと言って自分が持ち主であるアパートの1室へ移り住みますが…。

なんだか所帯くさいというか(笑)ネタがアパートなだけにしょうがないんですが、トラブルも所帯くさい感じがけっこうして、これ、若い人に判るのかなあとか(笑)思ってしまいました。主人公の少年がとっても健気で一生懸命で、だからこそのトラブルもあって、なんだか母親の心境でつい心配をしてしまいます(笑)危なっかしいんだよなあ…、どうにも。まあ、恋人(…未満(笑))が上手くささえて成長してくれれば言うことないんですが(笑)これから続刊予定なので、その辺りが楽しみです。

私的評価 ☆☆☆★
(穂波先生のほんわかしたイラストもぴったりで、久々に和んで楽しんだ作品でした。でもまだまだこれからなお話なので、続き物が苦手な人は、ある程度冊数でてからがいいかも。)


2002年11月27日(水)   ボディ・フリーク

   キャラ文庫   染井吉乃:作   麻々原絵里依:絵

ふふふ(^^)待望のハートサウンド続編です。全編書き下ろしで、今回は日本を飛び出し(笑)ニューヨークでのレコーディングスタジオが舞台になります。主人公の宝は、人気バンド「ヘルモード」のヴォーカリストのスイと恋人同士で、しかもヘルモードのマニピュレーター(曲のアレンジをする人…という解釈が一番いいかな)の1人として協力を要請され、ニューヨークへとやって来ます。まだ顔を合わせていないもう1人のメンバー烈との初顔合わせもあり、波乱の予感が…。

ふふふ(^^)堪能しました〜。頑張る宝くんが健気で可愛い。読者側からすれば、「なんでスイがもうちょっと話をしてやらないんだ」とか、「もうちょっとでもフォローしてやらないんだ」と不満もあろうかと思うんですが、でも「自分が見つけなければいけない道」というのは確かにあるんだと思うんです。他人に導いてもらうのではなく、自分で見つけなきゃいけないもの。烈も嫌なやつと思われるかもしれないけれど、「宝が自分で道を見つけるため」の材料にもなってたんだなあ〜と思います。彼なりにちゃんと宝を理解してたしね。理解できるから余計にイライラしてたのかなと(笑)焦れったいような宝くんですが、もっともっと成長して、生き生きと輝いて欲しいと思います。

私的評価 ☆☆☆☆
(スイの影が正直ちょっと薄いかも(笑)まさに宝くん成長物語でしたねえ…。次にまた続くようなので、ぜひともまた一段と成長した宝くんが見たいです。)


2002年11月27日(水)   勝手にスクープ!

   キャラ文庫    池戸裕子:作  にゃおんたつね:絵

雑誌「キャラセレクション」に掲載された学園もののお話と、その続編書き下ろしです。主人公は、女性雑誌の編集長をやっている母をもつ、普通の高校生。自分の学校に通っている有名なアイドル俳優のスクープと引き換えにお小遣いアップを交渉し、さっそくポケットにカメラを忍ばせて彼を追い掛けはじめます。しかし木の上に登ってスクープを狙っていた主人公は、降りようとして失敗し、落ちてしまい、なぜかアイドル俳優の親友である先輩に抱きとめられてしまいますが…。

最初の動機こそ「おいおい(^^;」と思ったけれど、気になったのはそこだけで、ちゃんと分け隔てのない考え方や接し方をする主人公に、とても好感が持てました。あえて人気者のアイドルくんではなく、その脇を守る(笑)親友にクローズアップされていて、その視点ももちろん面白いなと思った作品です。…雑誌掲載のときに、絶対読んでるはずなんだけど…覚えてなかったのがちょっとショックだな(^^; 好みだったのになんでだ?(^^;続編も可愛くてラブラブで、オススメな1冊です。

私的評価 ☆☆☆☆
(主人公がいろんな意味で一生懸命な作品というのは、無条件で好感が持てますねえ。我ながら分かりやすい趣味というか…(笑))


2002年11月27日(水)   プライドの欲望

   キャラ文庫  ふゆの仁子:作   須賀邦彦:絵

広告業界を題材にした書き下ろしです。主人公は、大手広告代理店に勤める青年。中学生のころ偶然目にしたCMと、それを製作したディレクターに傾倒し、今も憧れの気持ちを抱いています。そんな彼があるプロジェクトでそのディレクターと一緒に仕事をすることになりますが、ディレクターは「こいつとは仕事をしたくない」と真っ向から否定されてしまい…。

うーん、なんだか物足りない作品でした。派手できらびやかそうなCMとかの業界用語がふんだんに使われていて、業界っぽくはなっているけど、逆に主人公やその相手の記述がそれにおされて少ないのではないかなと。…まあ、主人公はある程度心理描写もありますが、お相手キャラにいたっては、何をやりたいのか理解できず、やることだけはやるし人の話は聞かないし、納得いかない…。そして一番納得いかないのは、それに甘んじている主人公キャラだな(^^; 印象としては言いたいことを言えるタイプだと思っていたので余計に物足りなかったらしいです。広げた風呂敷の割にはラストシーンも「…?」って思うぐらいにたいしたことなかったしなあ(^^;

私的評価 ☆☆★
(長々と書いていますが、要点はこれかもしれないな。「作者の言いたいことが伝わってこない」ということ。普段はそうでもないのに、この作品はとくにそう感じました。なんでかなあ…。)


2002年11月25日(月)   その指だけが知っている

   キャラコミックス  小田切ほたる:作画  神奈木智:原作

キャラセレクションにて連載されていた、キャラ文庫「その指だけが知っている」のコミック化です。わりとキャラ系の原作付きコミックスはどれもレベルが高いと思うのですが、これも例にもれず。原作のほのぼの可愛いキャラクターたちが、いきいきと描かれています。主人公は、ある指輪を大事にしている高校生。その高校では、ステディな間柄になったら指輪を交換するというのが流行っていて…。

ほのぼのしていて、ちょっとぎこちないような2人を見事に動かしてくれていて、小田切先生ありがとう!って感じ(笑)イラストも素敵でしたが、今回コミックスになって、3等身キャラとかデフォルメキャラも可愛くて、倍楽しませてもらいました。

私的評価 ☆☆☆☆
(ちなみに現在発売中の雑誌で、このシリーズの続編が掲載されていますので、ぜひ気になる人はチェックして下さいね〜。)


2002年11月20日(水)   うそつきなシンデレラ

    花丸文庫    真船るのあ:作  こうじま奈月:絵

久々の真船先生の花丸文庫は、健気な少年が主人公のお話です。主人公は、施設育ちで中学を出てレストランに住み込みで働きはじめたがんばりやの少年。同じ施設で育った親友が、住み込みで働いているカメラマンの夫婦が南米に行くことになり、養子として彼らに引き取られることになったと報告しにきます。そこで親友の意外な生い立ちを聞き、親友が大事にしていた親の形見だというオルゴールを餞別に受け取る主人公。その後、紆余曲折があり、仕事をなくしてしまうことになり、途方にくれた彼はとにかくそのオルゴールを持ち主に返そうとして親友の実父の家を訪ねますが…。

うーん、ネタ的に「どうだろう(^^;」と思うところが幾つかあったので、そこが気になって純粋に楽しめなかったのが残念。私がひっかかったのは「嘘をついてしまった」こと。そして「それを隠し続ける」こと(^^;タイトルを見れば判ると思いますが、これ、かなり話の中心部分なんですよね…。でもあまりにも考え無しな行動にしか思えず、ちょっとがっかりしてしまいました。主人公の性格は健気で可愛かったんだけどなあ。…でもなあ、やっぱり社会的にしたらいかんことはいかんだろうと思うのです。

私的評価 ☆☆★
(しょうもないところでひっかかってるなと自分でも思うんですけどね(^^; 面白かったから余計に気になったんだろうな、私。)


2002年11月18日(月)   未熟なくちびるで

  グラスブルーノベルズ  和泉桂:作   高永ひなこ:絵

小説エクリプスに掲載された表題作と、その続編書き下ろしがグラスブルーノベルズから発売になりました。どうもあらすじ見て知ってる話だと思ったらそういうことだったんですね…(笑)主人公は、楽天家な父をもつ、少々苦労性な学生。母親はすでに亡く、同じく能天気な弟と3人で暮らしています。いきなり父親から脱サラをしてペット散歩代行業をやると言われてうやむやのうちに手伝わされてしまった主人公ですが…。

…いかん、主役キャラのもう1人があらすじに出て来てないじゃん(笑)けっこう雑誌掲載のときも可愛くて楽しんでよんだ作品でした。主人公が一生懸命で可愛いのと、最初こそ傍若無人なキャラか?と思ったお相手も実は割と純粋だったりして、その落差が面白かった。続編では2人がお互いやきもきしてて、さらに主人公の弟もけっこうイイ味だしてて面白く読みました。

私的評価 ☆☆☆★
(和泉先生の作品の中ではかなり上位に入るぐらい、割と好みの作品でした。こういう日常を切り取った感じの穏やかな作品、好きですねえ。)


2002年11月15日(金)   月夜ばかりじゃないぜ

   ビーボーイノベルズ  岩本薫:作  石田育絵:絵

岩本先生の新作書き下ろしは、ヤクザもののお話です。主人公は探偵業を営む青年。実は彼はヤクザを父にもつ極道の跡取りになるべき血筋なのですが、母親の死因がヤクザという稼業のせいであることから、極道を毛嫌いし、跡取りになるのを拒んでいます。そんな彼がずっとずっと憧れ思いを寄せているのは、世話役でもあり、家を飛び出した今もちょくちょく顔を見せに来る若頭で…

テンポがいいのと、いちゃいちゃよりもハードボイルドって感じで(笑)かえってどきどきしちゃったです。あまりに過保護な若頭にも笑えますし、ちょっと鈍くさい主人公にも思わず同情を(笑)でも、無鉄砲な彼を案じて一生懸命フォローしている若頭がけっこうツボでした。ラスト以降のみょうにバカップル化しちゃってる2人も楽しくて、全体に楽しく読めた作品でした。

私的評価 ☆☆☆★
(まあ、ヤクザものということで敬遠したい方もいらっしゃるかもしれないんですが、これはけっこう面白かった気がする。是非読んでみてね。)


2002年11月15日(金)   二人だけの喝采(アプローズ)

   ビーボーイノベルズ   鹿住槇:作  蓮川愛:絵

待ち焦がれていました!「ピンスポットの向こう側」の最終巻になります。雑誌掲載の「ダブルキャスト」が改題になりました。書き下ろしのその後のラブラブ話と一緒に収録されています。主人公杉本樹は人気上昇中の若手実力派俳優です。恋人である片桐進矢は、前作にてもともといたプロダクションの妨害にあってしまい、芸能生活を断たれてしまいます。それを跳ね返すべく、留学してレッスンに勤しんでいる彼の、復帰初舞台が決まります。しかしなんと進矢だけではなく、ダブルキャストが組まれていて…。

雑誌掲載の時も、どきどきして読んでいたんですが、ノベルズで読んでもやはりドキドキモノでした。わかっててもワクワクドキドキしちゃいますよね、うん。書き下ろしはラブラブだし、樹の意外に直情的な部分が面白くて、これも楽しみました。秘かにプロデューサーと脚本家の恋愛も上手くいってそうで、最終巻なのはわかっててもまだまだ読みたいと思ってしまう、そんな作品でした。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(ぜひとも全部揃えて、読んでみて下さい。この作品全体を通して、進矢の成長ぶりがとても好ましい作品です。)


2002年11月15日(金)   純情なジレンマ

   リーフノベルズ   ふゆの仁子:作  にゃおんたつね:絵

ふゆの先生の久しぶり(?)のリーフノベルズは、高校時代にいろいろといきさつのあった2人の、教職について再会を果たすお話です。主人公は、教職をとり、代理教員として母校に勤めることになった青年。挨拶に訪れた先で、思わぬ人に出会います。それは、高校時代、とても憧れていた相手で、告白をして返事を貰うはずの待ち合わせに訪れなかったという、曰くのある人で…。

なんかふゆの先生の作品で、久しぶりに気楽に楽しめた感じの作品でした。こむずかしい記述もなく、けっこう能天気に楽しい作品だったなあ。主人公が女装するシーンがあったりしますが、許容範囲内なので全然問題なく読めました。過去と現在の移り変わりもそう気になる所はなかったし、楽しい1冊でした。シリアスなのもいいですが、たまにはこういうちょっと馬鹿馬鹿しいネタで、楽しく楽に読むのもいいですよね。

私的評価 ☆☆☆☆
(種明かし自体はかなりベタですが、でも「2人とも一生懸命だった」感じで好感が持てました。なんだかとてもツボだった1冊だったなあ。)


2002年11月13日(木)   ピアニストは笑わない

   ラキアノベルズ   京橋ナルミ:作   佐々成美:絵

書き下ろしの芸術家もののお話です。主人公は、音楽家な一族の端くれに生まれ、自分もピアニストを目指している少年。同じ一族の本家で素晴らしい才能を持つピアニストに憧れています。そんな憧れの相手の家政婦として住み込んで働いてくれないかと持ちかけられ、二つ返事でOKした主人公ですが、なんと相手は一筋縄ではいかない、ワガママで不思議な人で…。

最初こそ、アオリを読んで「どんな自分勝手な攻なんだろう(^^;」と引き気味だったんですが、そんなのは杞憂でした。どんな時でもちゃんと自分の主張をする主人公や、それにホレてあの手この手で口説こうとして必死の「笑わなかったはずのピアニスト(笑)」の変貌ぶりなんかがおかしくて、全体に楽しませてもらった感じです。少々非現実的な部分もあるけど、テンポが良くて楽しく読めました。芸術ものだけど、そうこむずかしい記述もなかったし、読みやすい作品でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(ただちょっと気になったのは、イラストで受キャラがどうにもロリ系に見えてしょうがなかったことかな。もうちょっと年齢あげてもいいような気がします。)


2002年11月13日(木)   アイビーたちの楽園

   ラキアノベルズ   由比まき:作   南かずか:絵

アイビー(蔦)がトレードマークの全寮制の高校が舞台の学園ものです。前2作は別キャラのお話で、今回は私が一番読みたいなあと思っていたキャラたちのお話でした。生徒会に所属している2年の少年と、その同室で同じく生徒会の役職についている少年のお話です。仲のよい2人ですが、なんと夜な夜な彼らの部屋では妖しげな会話が(笑)繰り広げられていて…。

正直言って「あれ?(^^;」という感じの作品でした。一番硬派なイメージだった2人なのに、こんなんかい!ってちょっと残念。前よりもさらに濡れ場度上がってるし、中身スカスカという印象が強くて、期待してたキャラだっただけにほんとに肩透かしだったなあ。私は、今回のカップルの攻キャラが一番気に入っていたのですが、期待通りには全く行かず、ちょっと不本意でした。

私的評価 ☆☆
(今までに出て来てたのがわりと知的でハードな感じの印象だっただけに、ちと受け入れ難い作品でした。)


2002年11月13日(木)   されど不敵なやつら

    ラキアノベルズ   今泉まさ子:作  新田祐克:絵

少し発売予定が遅れていたようですが、無事に発売されました。けっこう今までツボな作品の多い、今泉先生の新刊は、わりと大きい弁護士事務所に勤務している、若手の弁護士たちのお話です。主人公は、元気で可愛い感じの若手弁護士。高校も一緒だった幼馴染みや、フェロモン垂れ流しな色男、強面ですぐからかってくるちょっと苦手なやつなど、個性たっぷりな同期陣に囲まれ、からかわれつつも充実した生活をしています。そんな中、依頼に訪れた女性に会った主人公は、動揺を押さえられず…。

弁護士がこんなんでいいんかい(^^;という感じもなきにしもあらず(笑)まあ、でもキャラがどれも憎めないのでいいかなとは思います。すごくこだわって書いたらしく、同期の4人は、どれもキャラが際立っていて個性的でした。ただし、やはりカップリングは2人に絞られるわけで、後半はかえって邪魔というか(^^;もうちょっとあとの2人は押さえ気味でも良かった気がしますね。主人公のカップリング自体は、私も好きなキャラとくっついてくれたし、くっついてからの2人がなんだかぎこちなくて初々しい感じで(笑)楽しく読めました。

私的評価 ☆☆☆☆
(キャラの魅力もあるし、話の筋も好きな感じで、とても楽しんで読んだ作品でした。ぜひお試し下さいね〜。)


2002年11月13日(木)   コニーアイランドベイビー

    ラキアノベルズ   磯崎なお:作  やしきゆかり:絵

磯崎先生のひさしぶりの新刊は、「ハートに火をつけて」の続編です。小説ラキアに掲載されたものを大幅加筆訂正なさったそうです。純粋に前作の続きなので、前を知らない人はちょっと人物関係とかが判りにくいかもしれないですね。主人公の春日は、実はヤクザの親分の息子で、かなり多方面に顔のきく少年。でも普段はそんなのを感じさせないぐらいに普通の少年です。春日は実は親友の稲垣に惚れていて、前作で告白し、キスをしたものの、微妙な距離を取られたままでもどかしい日々をすごしていますが…。

…雑誌掲載の時も思ったけど、イタイ!(T_T)…いや、そりゃ世の中にはいくらでももっとイタイ話はあるんですが、やはりほのぼの風な話の中にいきなり痛いシーンが入ると、倍増ですよね…。そこまでやらなくても良かった気もするんですが、その割にそういう目にあった本人があんまり堪えてないのが意外でもあり、強いなと思います…。でもやっぱりあんな目にはあわせたくはなかったな。やっぱり大したことだと思うし、心にも傷を負うし、読んでいて非常に辛いシーンでした。あとのシーンは面白いしほのぼのしてたんだけどなあ…。

私的評価 ☆☆☆
(雑誌掲載時も一番引っ掛かってたシーンだったので、やはり今回もどうにもネックでした。必要かもしれないけど、やはり読んでいるだけで辛くなってくるですよ。)


2002年11月09日(土)   蜜月

   ショコラノベルズ  春原いずみ:作  佐々成美:絵

春原先生の書き下ろしノベルズは、絵画の修復を専門とする男性が主人公です。海辺にアトリエを構えた主人公は、まるで世捨て人のごとく、世俗から離れた生活をしています。そんな彼がある日海岸へ出かけると、そこに青年が倒れているのを見つけ、とにかく助けて自分の家へと連れて行きます。高熱を出していたその青年は、どうやら記憶障害があるようで、自分の名前すら判らない状態で…。

最初こそ、絵画の修復と聞いて「特殊な職業シリーズ?(笑)」と思ってたんですが、途中からちょっと医者もーども入って、春原先生テイストも満喫できました。ただ、キャラのバックグラウンドが浅いというか、キャリアは確かに凄いんですが、だからこその悩みというのが上手く伝わって来にくかったし、その割には結果が安直だった気もして、ちょっと物足りなかったかなあ…。もっとじっくり話が進んでもかまわなかった気がします。

私的評価 ☆☆☆★
(春原先生の作品はもともとすきなので、余計に期待するところというのが固まっちゃってるかも。シリアスが好きな方にどうぞ。)


2002年11月09日(土)   目覚めたときはそばにいて

   アイスノベルズ  葉澄梢子:作  史堂櫂:絵

葉澄先生の書き下ろしノベルズは、名門校に通う高校生が主人公です。甘やかされて育った彼は、共同生活や自立心を育てるためにと、親から寮生活を厳命されます。しかし、どうにかして寮ではなく家から通いたいと、親を説得しようとして実家に戻った主人公ですが、そこで両親の思わぬ海外赴任の話を聞いてしまいます。しかもその間留守を自分ではなく見知らぬ青年に頼むと聞いて…。

ホームコメディ風ですね。…ちょっとサスペンステイストもありですが(笑)とりあえずわりとテンポがよくて楽しめました。…ただし、ところどころ、やり過ぎ感の否めない部分もありましたが(^^; とくに勝手に下宿人が増えて女性が入って来たり、その女性の所業があまりに酷いなど、きっかけとして必要なのはわかってるけどやり過ぎな気がする…(^^; まあ、そういう感じもありますが、でも全体に楽しめた作品でした。


私的評価 ☆☆☆★
(これ、続編とまではいわないから、ぜひ彼らの今後が読んでみたいですね。)


2002年11月09日(土)   不埒×一途=愛

   アイスノベルズ  篁釉以子:作  史堂櫂:絵

小ノベルズ「ブレイク・ダウン」の続編(というか別キャラ編)になります。バンドのギターの青年に憧れて、ライブハウスのバイトをしているちょっと小柄な少年が主人公です。憧れの人に振り向いてもらいたくて追っかけをやっている主人公ですが、全くといっていいほどこっちを向いてくれません。そんな彼を慰め、いつのまにか身体の関係を持つようになったのはバンドのヴォーカルの青年で…。

タイトルが凄いですね(笑)雑誌掲載の時もこんなタイトルだったかなあ…(^^;(←覚えてない(^^;)前のノベルズよりは痛くない作品。…とはいえ、雑誌掲載分はけっこうしんどいシーンもあります。が、続編の書き下ろしのほうはもう、バカップル全開で笑えます。不器用でドジだし思考がちょっとぶっとんでるけど一生懸命な主人公と、余裕そうに見えて実は全然余裕ない(笑)ヴォーカルの青年は、割れ鍋にとじ蓋という感じで、けっこういいコンビ。面白かったです。前作と合わせてどうぞ。


私的評価 ☆☆☆★
(多分前作を読んでいないと詳しい経緯が判りにくいんじゃないかな。一応シリアスなんですが、ラストシーンだけはどうにもギャグに思えてしょうがないのは私だけでしょうか。)


2002年11月09日(土)   桃いろ課外授業

   ショコラノベルズ  真崎ひかる:作  甲田イリヤ:絵

小説ショコラに掲載された表題作と、その続編書き下ろしが収録されています。主人公はごく普通の高校生。実は主人公の父はAVビデオ監督、兄はそれに影響されてAV男優をやっていて、そのせいもあって小さい頃に裏ビデオを見せられてしまった主人公はそれがトラウマになってしまい、男女の絡みなどを見ると気分が悪くなってしまいます。それをひた隠しにしていた主人公ですが、運の悪いことにそれを副担任になった先生に知られてしまって…。

最初、あらすじやタイトルを見て「どんな内容やら(^^;」と思いつつ読んだのですが、思ったよりもほのぼのしていて、かなり好み路線でした。全然無理矢理じゃなくて自然な流れだし、ラブラブなんですよね。主人公も可愛いし、その主人公にメロメロな(笑)先生もおかしいし。ちょいヘタレ気味な先生が実はツボ。主人公の兄も「そんなことするな〜!(笑)」といいたくなるようなことをやってのけますが、なんだか憎めません。楽しく読んだ1冊でした。


私的評価 ☆☆☆☆
(どう考えてもきっと主人公の兄の恋人も男性のような気がするのですが(笑)個人的にその恋愛も読んでみたいなあと思いました。)


2002年11月02日(土)   闇の抱擁・光のキス

   クロスノベルズ   洸:作   黒江ノリコ:絵

魔法とファンタジーの世界を描いた作品です。洸先生は、祭り囃子のメンバーの1人ですが、こうして一般商業誌で見るのは多分はじめて…だと思うのですが…(^^;(←私が知らないだけかもしれない)主人公は、魔法をつかえない魔法使いの弟子。黒魔術を使い生まれ育った村を焼き払ってしまった魔術師の父をもち、いろいろな思いを抱えています。ある野望をもち、預言者を探す主人公は、ある街で預言者とその幼馴染みである剣士に出会い、ともに旅をはじめますが…。

けっこうこの主人公、小悪魔ちゃんで享楽的なんですが(笑)それに惑わされて思わず言いなりになってしまう剣士も、それをお見通しな預言者も面白い。キャラがきちんと立っているというか、納得できるキャラクターで、とても楽しんでよみました。文章の端々に出てくるちょっとコミカルなネタも面白いし、コメディテイストもありのファンタジーとして楽しめます。ツッコミ所はあるけど、それも面白さの一つというか(笑)最初はとくに期待していたわけではなかったんですが、意外と楽しんで読めてお得でした(笑)その後の短編もバカップルぶり炸裂で、面白かったし、満足な1冊です。

私的評価 ☆☆☆☆
(こうなると、祭り囃子編集部からの作品も読みたくなってくるなあ…(笑))


2002年11月02日(土)   好きといわないで

   オヴィスノベルズ  火崎勇:作   杜山まこ:絵

最初はおくれる予定だったと思うのですが、なぜか無事に同時発行されていました。火崎先生のオフィスラブな書きおろしです。主人公は、母親と早くに離れて、母方の祖母と一緒に暮らして来た青年。無表情であまり感情の起伏のない彼ですが、ある日いきなり同僚からアプローチを受け、困惑してしまいます。そこに図らずも助け舟を出してくれたのは厳しい上司で…。

最初こそ淡々としてるんですが、段々と主人公の揺らぎが大きくなっていくのでとても引き込まれて読みました。あるトラウマがお話のネタなのですが、それがかなり辛いものなので、多分主人公に同調して一緒に辛くなっちゃってしんどかったんですが、だからこそ、痛々しい主人公の無表情さと、後半クライマックスで出てくるトラウマの克服シーンとの大きな落差が、充足感を与えてくれたのかなと思います。こういう作品は好きです。もちろん「無理矢理な行為」ネタもあるにはあるんですが、あとのフォローがあったので、主人公カップルに関しては問題ありませんでした。

私的評価 ☆☆☆☆
(私もけっこうトラウマものは好きなのかもしれません。ただ、あまりに救いのないものは苦手ですが(^^; トラウマをなんとか克服して、幸せを手に掴む、そういうキャラが見たいのかもしれません。)


2002年11月02日(土)   ピーチにかぶりつきっ

   オヴィスノベルズ  末吉ユミ:作  松本テマリ:絵

タイトルを見てかなり「…うーん(^^;」と悩みつつ、やはりイラスト効果で手に取りました。新人作家さんの初ノベルズは、元気な少年が主人公です。高校生の主人公は、レンタルビデオ屋兼本屋で、元気にバイトをしています。容姿の可愛さや一生懸命さから、秘かにみんなに可愛がられ好かれていますが、本人はやたら男受けすることに困惑を感じています。そして、そんな彼にとって鬼門な客がいて、なんとその客は、初対面の時から主人公にとんでもないことをしでかしていて…。

最初こそ、「お?けっこうテンポよくて面白いかも?」と思ったんですが(まあ、ビデオ屋の客総ホモ化なのはさておき(笑))だんだん面白くなくなって来たというか(^^; なんか事件が起こっても、堂々回りで全然進展しないわおまけに調教ネタっぽくなってくるわで、ちょっと期待外れでした。最初いいかな?と思ってただけに残念。ちなみに、私は「人の話を聞かないで自分の思う通りにする攻キャラ」は苦手なので、そういう点が一番好みから外れていたということで。あ、あとあの強烈なアオリはやめましょうよ…。魔性のケツってなに(^^;

私的評価 ☆☆
(結局のところ、全然主人公は納得してないんだよね。その辺りが一番ひっかかってます。納得してない恋愛なんてこっちが納得できんっちゅーに(^^;)


2002年11月02日(土)   華は貴族に手折られる

   SHYノベルズ  遠野春日:作   門地かおり:絵

遠野先生の貴族を題材にしたシリーズの3冊目です。これも大正時代ぐらいかな?という時代設定で、没落貴族の次男の青年と、その彼を借金を肩代わりする代わりに自分のもとへ連れて行った平民あがりの野心家の青年のお話です。主人公の没落貴族の次男は、未だに昔の栄光を捨てきれない父を憂いていますが、しかしちっとも父は彼の言葉を受け入れません。やがて悪人に騙されて多大な借金を抱えてしまった主人公の一家。国外逃亡をした両親や兄にかわり、借金取りに立ち向かう次男坊ですが…。

最初こそ、「またこのパターンか(^^;」と思わないでもなかったんです。いわゆる「素直に好きと言わない関係」ってやつですね。これでもう何冊出てることやら判らないんです(笑)ついでに言うと、もういいかげんそのネタは食傷気味だったんですが(^^; 今回もほとんど半分以上はそういう流れだったんだけど、最後にお互いの気持ちをちゃんと打ち明けあい、きちんと向き合って互いを認識しあったシーンがあったので嬉しかったです。これがあるのとないのとでは、読んだあとの私の気持ちが随分違うので…。ネタは「借金のネタ」とか、割と使い古されたネタかもしれませんが、受がけっこう負けず嫌いで頑張る健気なタイプだったので、あまり悲愴感もなくて楽しめました。

私的評価 ☆☆☆★
(蓋を開けてみれば2人とも一目惚れだったんだよね(笑)そういうところも含めて、今回はけっこう好みの作品に近かったようです。)


2002年11月01日(金)   義賊の恋

   パレット文庫   たけうちりうと:作  今市子:絵

あやうくレビューを忘れるところでした(^^; 大正ロマン溢れる「慕情街道」シリーズの最終巻になります。資産家の書生をしながら絵を学ぶ主人公と、その恋人で古美術商の跡継ぎとが織りなすほのぼのした恋愛と、それにまつわる事件を描いています。今回はなんと、古美術商がおさめた古い茶碗がなぜか偽物に摺り替えられていて…。

好きなキャラが出るらしいと聞いていたので、より楽しみにしていた作品でした。…まさか最終巻とは思っていませんでしたが(^^; 主人公の天然さが全ての鍵を握っていた今回のお話。あまりの天然さに話が進まず少々焦れったい感じもありましたが、天然ならではなエンディングだった気がします。3冊揃えて読めば、ちゃんとそこにはキャラの成長のあとが見えるはず。確かに焦れったいのは焦れったかったけど、和んで笑える、楽しい作品でした。思ったより御贔屓キャラ(こゆるぎの脇キャラでもあります)が受くさくて(笑)びっくりでした。彼は天然の攻だと思ってたよ…。

私的評価 ☆☆☆☆
(最終巻というのが納得できるような、勿体ないような。もっと読みたい気持ちも確かにあるんですが、3部作で上手く終わってる感じもあるんですよ。ううむ、ジレンマだ(^^;)


2002年11月01日(金)   シークレット・レッスン

   X文庫ホワイトハート  和泉桂:作   松本テマリ:絵

早くも「スウィート・レッスン」の続編が出ました。高級ホテルを舞台にした、見習い研修生の可愛い青年と、その恋人(?)であり、ホテルのコンシェルジェでもある青年とのお話が、いろいろなホテルで起こる事件をからめつつ展開されていきます。今回は、まだまだひよっこの主人公が、仕事の中でいろんなトラブルに巻き込まれてしまい…。

いやあ、まさにトラブル召喚体質って感じ(笑)<主人公 次から次へとまあよくもこんなに(笑)と思いつつ読んでました。あと、意外と情熱的だったお相手キャラも平静が保てなくておかしいです。コメディではないんだけどどうにもおかしい部分があって、気楽に読めました。前シリーズが重かっただけに、余計にそう感じるのかもしれませんが。一生懸命な主人公は可愛いです。健気なキャラ好きの人はオススメ。イラストも素敵です(^^)

私的評価 ☆☆☆★
(惜しいのは、あんまり攻キャラが自分の気持ちを言わないことかなあ…。なし崩しっぽくて、それが一番残念。まあ、今回でちゃんと気持ちを伝えあったので、次回以降はもうちょっとラブラブ度が増すかな。…いや次回があるかどうかは良く判らんのですが(^^;)


2002年11月01日(金)   禁−DISALLOW−

   X文庫ホワイトハート  柏枝真郷:作  茶屋町勝呂:絵

楽しみにしていた硝子の街にて最新刊は、意味深なタイトルの通りに、シドニーとノブの間で自然と禁句となっていた、湾岸戦争時代のシドニーに関わる内容のお話が中心になります。年末年始、忙しいノブになんだか歯切れの悪い口調で「出張だから」と告げ、寝ている間に出かけてしまったシドニー。こんなことははじめてで、不安を抱えながら忙しい年末年始の仕事をこなすノブですが…。

あれほど一緒にいて数々の事件を解決していった2人が今回はじめて別々で動きます。それが意外でもあり、新鮮でもあった本作、また2人がステップアップしたような、そんな印象を受けました。2人が離れていたからこそ、ラスト近くでようやく再会したシーンがすごく引き立った気がする。シドニーの心の闇もちらりとですが見ることができて、よりシドニーの苦悩が身近に感じられました。また最初からしっかり読み返したくなってしまいます。…そして読んだ直後から、「続きが読みたい〜」と思ってしまう(笑)オススメの作品です。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(2人が恋人同士となってからも、別に作品のカラーが変わったわけではないんですよね。それだけ彼らの心の流れが自然だったんだなと思う。穏やかなお話が好きな人はぜひぜひ、トライして欲しいです。)