2002年2月のレビュー

 


2002年02月27日(水)   天下無敵ロマンス

   ルビー文庫   鹿住槇:作    高永ひなこ:絵

絶対の領分シリーズの3巻目は、脇キャラ救済話です。1つは、生徒会副会長に就任したちょっと器用そうに見えて不器用な少年のお話と、そのとばっちりをうけた、園芸部の少年のお話など、脇キャラとそのお相手大活躍な1冊になっています。もちろん主人公たちのお話もあり、ちょっと短編集風ですね。

いくつかを雑誌で読んでいたので、懐かしいな〜というのが印象。いろいろな悩みを乗り越えて、ラブラブな感じでいいなあと思います。私は結構ロータが好きで(笑)だから、ロータが恋をして、お相手ができたのが嬉しかったんですが、それがまた読めて大喜びでした(笑)

私的評価 ☆☆☆
(王道学園物って感じですね。作品自体がけっこう前だったというのもあり、ちょっと古臭いところもなきにしもあらずですが、やっぱり変わらず好きだなと思いました。)


2002年02月27日(水)   ミルククラウンのため息

   ルビー文庫   崎谷はるひ:作  高久尚子:絵

崎谷先生の初文庫作品になります。書き下ろしで、叔父にひきとられている、高校生だけどかくしてジャズバーの店(叔父の知り合いの店)でバイトをしている主人公と、そのジャズバーに演奏をしに来ているサックスプレイヤーとのお話です。大人しくて穏やかな主人公ですが、どうにもこのサックスプレイヤーに憧れの気持ちを押さえられません。そんな彼が偶然町中でみたのは、堅物で硬派だと思っていたサックスプレイヤーが女性といちゃついているところで…。

なんだか、主人公の背負っている過去がめちゃめちゃ重かったですねえ〜。思いっきり感情移入してみたり(^^; シンクロしてすごく辛かったです。叔父さんたちの強さもいいなあと思う。残念なのは、サックスプレイヤーが無口すぎて、あんまり思ってることが伝わってこなくて(というか主人公に伝わってない…まあこれが意図したところなんだとは思うけど)ラストあたりが随分唐突だったんですね。次につなげる引きだというのなら納得なんですが、ぜひそのあたりの唐突さの穴埋めを、次の機会にしてもらえたらなと思います。

私的評価 ☆☆☆☆
(最近濡れ場シーンもかなりハードになってきましたよね(笑) …私は、あんまり濡れ場シーンは読んでないんですが、半分ぐらいに削ってもいいから、もうちょっと2人の説明部分が読みたかったかもなあ…。)


2002年02月27日(水)   王様な猫の戴冠式

   キャラ文庫   秋月こお:作   かすみ涼和:絵

これもCDと同時発売でしたね。(ついでに秋月先生原作の別コミックスも出てたから、秋月先生キャンペーン中?(笑))人猫たちと、ふつーの青年とを描いた「王様な猫」シリーズの最終巻です。主人公の光魚は人猫シータ(四郎)の運命の伴侶「キャットクラウン」として、彼との生活に歩み出します。実際に一緒に暮らしてみると、その違いやカルチャーショックなどに驚く毎日ですが…。

いやはや、なんというか、大風呂敷ひろげすぎてちょっとどうだろう(^^;と思ってしまいました…。面白いことは面白かったんですが、そこまで話を大きくしなくてもいいような気がしてなあ(^^; 猫なキャラは可愛いし面白いんだけど、やっぱりテーマが突飛なんだろうなあと思います。主人公のキャラがどうにもフジミの悠季に似てきちゃうのも原因かもなあ。まあ、ファンタジーと思えば楽しめると思うので、こういうのがお好きな方はぜひ。CDも出ました。…時間なくてまだ聞けてないですが(^^;

私的評価 ☆☆★
(3冊目ぐらいまでは、まだ面白く読んでたんですが…。マンネリにもなってるんだろうなあ。)


2002年02月27日(水)   ただいま同居中!

   キャラ文庫   鹿住槇:作  夏乃あゆみ:絵

雑誌キャラセレクションに掲載された作品と、その続編書き下ろしです。主人公は、求職中のデザイン志望の青年。大学卒業後、すんなり決まっていた就職先がいきなり倒産してしまい、高い家賃を払うのも難しい状況になってきた彼は、仕事を探しながらバイトをするのも限りがあると思い、同居人を募集します。その募集を見てやってきたのはなんと高校生の男の子で…。

どうやら、続きがあるようで、ちょっと終わり方が曖昧というか、後をひく終わり方ですねえ(笑) テンポも割といいのですが、あんまりそうめちゃめちゃオススメ!にもならないのは、キャラクターがどうも好きになれないのかなあ(^^; ぐるぐる悩んでばかりで、相手の好意に甘えっぱなしだったり(受キャラのことね)、小さな親切大きなお世話とばかりに、「お前のためだから」と押し付ける脇キャラがいるんですが、苦手で(^^;あんまり好きになれなかったなあ(^^; キャラクターの好みというのもやっぱりあるなあと思いつつ読みました。

私的評価 ☆☆☆
(個人的な好みの部分ですから、気にならない方は、十分楽しんで読めると思います。今後の展開も気になりますよねえ〜。)


2002年02月27日(水)   花屋の店先で

   キャラ文庫    菅野彰:作  二宮悦巳:絵

CD、コミックスも同時発売というまさにキャンペーン中(笑)な「毎日晴天!」シリーズ最新刊は、表題作で小説キャラに掲載された龍と明信のお話と、書き下ろしで真弓を中心にしたほのぼのホームコメディの2編が収録されています。「花屋の二階で」でようやくカップルになった龍と明信ですが、なぜかラブラブという雰囲気にはなかなかならず、2人ともがなにか歯がゆいようなそんな気持ちを抱えていますが…。

やっぱり私は龍と明信が一番好きだ〜!(叫び)雑誌掲載時も、すごく好きだなあ〜と思いつつ読んでました。文庫で続きを読めると楽しみにしていたんですが、残念ながら書き下ろしはこの2人のお話ではなかったんですよねえ。真弓も好きだし、帯刀家の面々のいろいろな面が見えて面白かったけど、出来たら雑誌掲載のその後がぜひとも読みたかったなあ。後書きを読んで思ったのですが、なんだかあんまりこの2人のその後は読めそうにないのが残念でしょうがないです。一番思い入れの深いカップルなので(古傷も痛むけどな(自爆))読みたいんだけどなあ…。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(ある意味マンネリ化している所もあるかもしれません。でもそれでも毎回訴えかけてくる何かがある作品です。彼らの「足りない何か」に共感してしまうのかもしれないなあ。)


2002年02月25日(月)   子供は止まらない 1

   キャラコミックス   菅野彰:原作  二宮悦巳:作画

好評の「毎日晴天!」シリーズのコミック化です。ずっと雑誌キャラで連載されていて、今度は子供編がコミックスになりました。原作でいうと2冊目あたりですね。主人公は帯刀家の末っ子真弓と秀の連れ子勇太。勇太は真弓の家と学校との差に戸惑いを覚え、なんとかしてそれを一致させることはできないかと思いはじめます。そしてそう思う自分に驚き、自分の気持ちを探りはじめますが…。

このシリーズの魅力を最大限に描写してる気がします。原作での行間を見事に絵にしてるなと思う。同じ原作モノでも、ここまでイメージ通りなマンガは読んだことがないです。真弓や勇太の不安定さや、まわりの家族たちの心の動きを表情で読み取れるので、原作を補って、なおかつ原作を引き立てる、そんな作品になっています。私はどちらかといえば、原作付きのコミックスのスタンスはまさにこうあって欲しいと思っているので(原作の範疇から外れてしまうとがっかりしてしまう)そういう意味でも、非常に理想的で、とっても楽しんで読みました。今後も、ぜひずっと続いて欲しいシリーズです。とくに龍&明信カップルを希望!(笑)

私的評価 ☆☆☆☆☆
(原作は冊数が出てるからちょっと…という人は、ぜひ導入にコミックスの方を手に取ってみて下さい。癖になって絶対文庫にも手を出してしまうこと請け合いです(笑))


2002年02月19日(火)   腕の中で溺れたい

     花丸文庫   きたざわ尋子:作  赤坂RAM:絵

詐欺師片瀬とその異母弟田村とのお話のシリーズです。ある意味区切りの1冊とも言えるかな。主人公田村は勉強しつつのんびり過ごしています。恋人であり、異母兄である片瀬とは、長年の付き合いもあり、ケンカも適度にしつつ普通に暮らしています。…が、ある日そんな彼の前に、片瀬を目の敵にしてなんとか詐欺のしっぽを掴もうとやっきになっている男性が現れ、田村は付きまとわれて困ってしまいますが…。

このシリーズが、きたざわ先生の作品の中ではやっぱり好きだなあと思います。主人公もかなりのトラブルメーカーですから、事件にも事欠かないし、テンポよくて面白いです。そして、なにが一番気に入ってるかというと、片瀬がポーカーフェイスに見せていて、その反面恋人が一番の弱点で、恋人の窮地と思うと全く冷静でなくなるあたりがめちゃツボ(笑)普段が超人的なイメージなだけに余計にギャップがたまらないのでした。ちなみに、今回のオチは思いっきりウケました。片瀬ったらやってくれるわ〜。さすが!片瀬らしくていいです。

私的評価 ☆☆☆☆★
(オチが気になる方、ぜひ読んでみて下さい。一応一冊ずつ独立しても読めるお話ですが、全体のシリーズ展開としても今回の作品が、どうやら一区切りになってると思うので、迷ってた人もぜひトライしてみてね。)


2002年02月19日(火)   恋の沙汰も金次第? 2

     花丸文庫   真船るのあ:作   蓮川愛:絵

強気やんちゃ受と大人な束縛攻(しかも年齢差のあるカップル)という、真船先生の最近のブームを地でいっている(笑)シリーズです。前作は雑誌掲載されたものですが、今回のは書き下ろしで、主人公たちのその後のお話と、受の親友のカップルのお話の2編が収録されています。主人公は反骨精神旺盛で、自立したいという気持ちがつよく、前作で思いが通じ合った後もべつべつに暮らしています。どうしてもその自立したい気持ちを判ってもらえない歯がゆさに悩む主人公ですが…。

前作で一応まとまったものの、トラブルメーカーな主人公のことだからまだまだ難関をくぐり抜けないとラブラブにはならないだろうと思ってましたが、まさにそのとおりでしたね(笑)でも、「大事なものの前ではなりふりかまっていられない」という気持ちもよく判るので、とっても楽しんで読みました。あと、ぜひぜひオススメしたいのが、脇キャラのお話です。これが、真船先生の王道(笑)「意地っ張り毒舌クールビューティー受」なんですよ〜。懐かしいったらなかったです。もう、本編差し置いて、このカップル一押しになってしまった(笑)このカップルでもう1冊ぐらい読んでみたいと思ってみたり。

私的評価 ☆☆☆☆
(やっぱりイメージなのかなあ、真船先生といえばク−ルビュ−ティ−受という感じで、読んでいてもこっちの方が生き生きしてる気もする(笑)私も好きなんですな。…いや、主人公カップルも好きです、ええ。)


2002年02月16日(土)   オール・スマイル

   SHYノベルズ   榎田尤利:作   高橋悠:絵

吾妻&伊万里シリーズの最終巻になります。サラリーマンものです。主人公の吾妻と同僚であり恋人であるエリートサラリーマン伊万里はラブラブですが、吾妻が妙な夢を見たのをきっかけに、伊万里へのヘッドハンティングの誘いなど、事件が続発し、2人に危機が訪れますが…。

今までで一番「テンプレート」からは外れてましたね(笑)正直言って私にとっては一番読みやすかった気もします。…が、やっぱりどうにも主人公以外のキャラがかっこいいんだよなあ…(苦笑)もう、これは榎田先生の作風がそうだと思うしかないんだろうなと思いつつ。今回は王子沢が一番かっこよかったですな(^^; 伊万里があまりに情けない弱いキャラになってて、まあそれは話の流れと今回のテーマ上しょうがないことなんでいいんですが、もうちょっと「伊万里自身の手でなんとかする」ところがあってもよかったかなあ…と思う。あと、河川敷さんですが、別に嫌いではないんだけど、そんなにあがめ奉らなくてもいいじゃん(^^;と思ってるんで、今回の話で河川敷さんの話が混じって出てきますが、これは別になくても良かったよなあ…と思いつつ。キャラに依存しすぎてる気もしますね、これに関しては。

私的評価 ☆☆★
(非常に動かしやすいキャラなのではとは思いますが<河川敷さん>出てこなくていい!とまでは思わないけど、主人公の回想とかモノローグにまで出てこなくても…(^^; )


2002年02月15日(金)   ロマンスの予感

   リーフノベルズ   遠野春日:作  高久尚子:絵

遠野先生の新刊は、久しぶりに路線が変わりました(笑)ボディーガード派遣会社に勤める元警察官の青年と、彼のクライアントである大会社の専務を勤める美青年とのお話。主人公は、大会社の社長の甥で、エリート街道ばく進中の青年。クールビューティな容姿を持ち、仕事もやり手で若いながらも専務になっています。そんな彼のもとに脅迫状と机に突き立てられたナイフという物騒なものがやってきて、周りのすすめもあり、不承不承主人公はボディーガードを雇いますが…。

ここしばらく続いてきた「好きとは言わない関係」路線よりは、もうちょっと普通の恋愛に近いものだったことや、受キャラ(狙われている専務です)が冷めているようにみえて実はめちゃめちゃ可愛くて健気だというあたりがツボで(笑)非常に楽しく読みました。攻キャラ(ボディーガード)もかっこいい〜。専務の秘書がちょっとうっとおしかったですが(^^; まあ、当て馬キャラと思えば…(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(クールビューティーな受キャラの健気な部分が見えかくれする…なんてのは妙にツボなんですよねえ。ラストシーンなんかも、かなりツボな展開で、幸せでした♪)


2002年02月15日(金)   司祭たちの夜

   ビーボーイノベルズ  ふゆの仁子:作  佐々成美:絵

ふゆの先生の新刊は、書き下ろしで、タイトルのとおり「司祭」(キリスト教で言うカトリックの神父ですね)を扱ったお話です。主人公は、子供のころから教会に通って司祭への道を歩んでいる若き青年。自分が子供の頃に通っていた教会へ今も勤め、司祭になるべく勉強をしています。そんな彼らの元に、新しい司祭が来ることになります。その司祭は、子供のころ共に同じ教会で学んだ幼馴染みでもあって、じつは主人公との間に、重大な秘密を共有している相手で…。

意外に思われるかもしれませんが、私にとってこの本、とっても受け入れ難いテーマで(^^; まずテーマの部分でひっかかってしまったもので全くといっていい程楽しんで読むことは出来ませんでした(^^; 私は、プロテスタントの方ですが、一応キリスト教を信じているので(^^;キリスト教では、同性愛自体(ホモだけ…なのかなあ…(^^;)が罪悪であり、最も行ってはならない罪の1つです。気軽にテーマにしていいものではないし、ましてや教義の厳しいカトリックでこんなことなんて、まずあり得ないし…(^^; 宗教というのは、デリケートな部分を含みます。その宗教の世界をテーマにし、さらにそれが教義に反する内容であるからこそ、もっと慎重に扱わなければいけない気がします。考え過ぎかとも思いつつ、でもやっぱり楽しめる内容ではなかったです。

私的評価 ☆★
(別に作品にリアリティを求めたいわけではないんですが、ファンタジーとして読むにはあまりに他の内容がリアルでした。…自殺した信者が葬儀を教会で行えなかったのに、ホモはオッケーってどうよ(^^;)


2002年02月15日(金)   夜が終わるまで

   アクアノベルズ  椎名りりん:作  後藤星:絵

イラストに惹かれて手にとった作品。他社作品もいくつか読んでいたし、どうかなあ…と思いつつ読みました。主人公は、大学生。2ヶ月前に母親をなくして、叔父である青年に引き取られて一緒に住んでいます。叔父は人気のある小説家で、叔父の同級生でもある編集者がよく家にやってきます。主人公は実はこの編集者の青年が好きで…。

うーん…。なんというか…地味です。いろいろ事件は起こるし、びっくりするようなネタも出てきますが、どうにも印象が地味(笑)その上、あんまり共感できない作品で(^^; 読んでても良く判らない部分もあったり、「なんでそうなるんだ!」と思わず突っ込んでみたり。基本的に私には編集者の青年がとった行動がどうにも理解不可能で(^^; だからこそ読み終えても釈然としない気持ちが残ってしまったんでしょうねえ。無理矢理な関係、というのも出てくるしね。気持ちがある程度伴っていたとしても、あまりに痛い展開だろうそれは(^^; キャラクターに共感できないと、やはり読んでいても辛いなあと思います。

私的評価 ☆☆
(大筋では好みの部分もあるんですが、キャラクターの魅力が今一つ判らなかったな(^^; 主人公もオコサマだしなあ…(^^; それより叔父さんの恋愛の方がよっぽど気になるし読みたいと思ってしまった(笑))


2002年02月13日(水)   あなたの胸で恋のレッスン

   ラキアノベルズ   水上ルイ:作   大和名瀬:絵

買う本がなかったというのもあって、なんとなく手に取りました。これは全編書き下ろしで、音楽学校の講師をしている天才ヴァイオリニストと、新入生として入ってきた目立たない少年とのお話です。例のごとく(笑)視点が各章ごとに入れ代わります。主人公のヴァイオリニストは、音楽学校で特別講師として招かれていて、かならず各学年に1人だけ、才能のある生徒とマンツーマンの授業をすることになっています。そんな彼が、入学試験の会場で出会ったのは…。

あはは(^^; まー、みごとにテンプレート化してますよねえ、水上先生の作品も(^^;才能がある主人公と、才能はあるけどそれを自覚してない相手(でも主人公の愛で花開くのだ)…まんまやん(^^; リーフの、シリーズ化してる作品はキャラクターで読めてるのかなあと思うんですが、どうも他社で出してる本はイマイチ気に入らないことが多くてなあ(^^; 才能才能と言われても、あんまりピンと来ない描写なのも理由かなとは思います。あと、シリーズならともかく、1冊では完結させるには難しい…という感じかなあ。どうも急ぎ足で、物足りないです。多分、短編向きではないんでしょうね(^^;


私的評価 ☆☆☆
(ちなみに私は、本編主人公よりも、脇キャラカップルの方が弾けてて好きなようで(笑)今回ももれなく学校の理事長と生徒カップルに目が行ってしまったのだった…。この2人の話、読んでみたいかも(笑))


2002年02月12日(火)   はいまーとろーぜ 3 〜傾城編〜

   アイスノベルズ   鈴木あみ:作  夢花李:絵

最初は夏ごろ発売予定だったのですが、丸半年遅れてようやく完結編が発売になりました。王宮大河ロマンス(笑)のシリーズの3巻目になります。前作ラストにて、恋人であるレイを裏切ってしまった主人公チュールは、捕らえられ、処刑されてしまうことになったのですが、とりあえず周りの協力によって助け出されます。チュールはレイをまだ想い慕い続けていますが、でも彼と一緒にいてはいけないのだと痛感しますが…。

壮大なお話でしたねえ。1冊に1〜2回の女装も今回やっぱりちゃんとあったり(笑)(というか鈴木先生の作品に、女装がないほうがめずらしいのか…)かといって話が中途半端な訳ではなくて、きっちりと終わっていて、理想的な最終巻だったなと思います。本音を言えば、敵役だった彼も私はけっこう好きで、だからこそ別の道を選んで欲しかった気もするんですが(ワガママ(笑))ま、でもこのストーリーだったからこそ、ラストが光るのかなとも思います。良く読めば割れ鍋にとじ蓋(笑)なカップル、ぜひ3冊並べてじっくり読んでみて下さい。


私的評価 ☆☆☆☆
(3冊揃ってこその作品という感じ。待たされましたが、その甲斐はあったかなと。鈴木先生の作品の中ではかなりのお気に入りに入るかも。)


2002年02月08日(金)   セラヴィ・ベイビー/セラヴィ・キッド

   クリスタル文庫  たけうちりうと:作 ハルノ宵子:絵

小説JUNEで掲載されていた、セラヴィシリーズが文庫になりました。多分雑誌掲載されたものと、ひょっとしたら同人誌の再録も入っているかもしれません(雑誌、同人ともに良く知らないので、間違っていたらごめんなさい)シリーズ2冊同時刊行です。主人公は天才的なプログラミングの才能をもつ青年。恋人であり部下であり同居人の少年と暮らしています。が、主人公にはいろいろいわくのある過去があって、どうしても過去から消し去ることのできない存在の男性も1人います(笑)ある日主人公は、この男性から不思議なものを預かりますが…。

私がはじめてたけうち先生の作品を読んだのはこのシリーズでした。雑誌掲載の時に、1編だけ読んだことがあって、それも後半(文庫だと2冊目の方ですね)だけだったので、全くキャラのイメージが判らなくて、すっと読み流していたんですが、今回こうしてまとめて読んで、「なんとたけうち先生らしい作品だろう」とちょっと感動。セラヴィという不思議な生物(?)の魅力ももちろんのことながら、主人公とその恋人、過去の男性(笑)も、人間的な部分がちゃんと見えかくれしていて、そんな部分に共感したのかなあと思います。良かったら試してみて下さいね。

私的評価 ☆☆☆☆★
(しかし…、やっぱり受キャラなのかなあ…(^^;<主人公(一応今は攻)>わりとリバーシブルなキャラが多いのだなあと思います。それも面白いところですけどね。)


2002年02月08日(金)   熱量−カロリー−

   GUSTコミックス    桜城やや:絵

桜城先生の新刊は、GENEROUS KISSにてシリーズとして描かれていた作品で、シリーズ3編と、全く別作品1編の合計4編が収録され、書き下ろしのショートマンガ(これもシリーズ関連)も1編収録されています。主人公は、15年もの間、幼馴染みで親友を片思いしつづけていた健気な大学生。親友に彼女ができる度に落ち込み、嘆いていましたが、そんな彼をあるきっかけから励まし、慰めてくれていた同級生がいて、「親友を諦める」と宣言した主人公に、その同級生は「じゃあ俺と付き合ってみよう?」と誘いますが…。

私は、桜城先生の「照れた顔」が大好きなんですよね。ほんっとに照れくさくてしょうがないという感じで(笑) 健気な受と、とことんやさしい攻との無器用な歩み寄りが可愛いです。ただ、健気で可愛い受…といっても、絵柄はちゃんと「男の子」なのがさらにポイント高いのだったり。「性別受」なキャラではなくて、自尊心もあり、向上心もあるしっかり男の子!な受がとっても可愛かったです(笑)書き下ろしも思わず笑ってしまう、元気でほのぼのした感じのシリーズです。

私的評価 ☆☆☆☆
(別作品のキャラが、系統としては苦手なので(^^; できたら熱量シリーズでもう1作入れてもらえたら嬉しかったんだけどなあ…と思ってみたりしました。強引な攻よりやさしい攻のほうが好きだ(笑))


2002年02月08日(金)   GATE

   ZEROコミックス    如月弘鷹:絵

如月先生の久しぶりのコミックスは、雑誌「ZERO」に今も連載されている、異世界モノのファンタジーなお話です。大元は、昔同じく「ZERO」に掲載された読み切りだったんですが、それをリメイクして、新たにシリーズとして連載されていて、今回はその4回分がコミックスになっています。主人公は4人の高校生。いつもつるんで遊んでいます。ある日彼らが街へ遊びに出かけた時、落雷にあい、病院に運ばれてしまいます。病院で目覚めた彼らの前に、不思議な美少女が現れて、とんでもないことを聞かされますが…。

さすが如月先生というか、映える絵ですよねえ〜。アクション風な絵も素敵だし、出てくるキャラクター(人間だけではなくてね(笑))もかっこいいです。ハデな世界なので、如月先生の麗しい絵も満喫できるし、ワクワクしながら読み進めました。今後彼らがどうなるのか、とかも気になりますよね。たしかZEROって、季刊の雑誌だったと思うのですが、またコミックスが出せるまでは時間がかかりそうなので、ついつい雑誌に手が伸びそうな予感がします(苦笑)

私的評価 ☆☆☆☆★
(こういうファンタジーな話も大好きなので、すごく楽しんで読みました。ちょっとギャグテイストな部分もあり…といえばあり。主人公たちの成長ぶりが嬉しい、そんな作品でした。)


2002年02月08日(金)   地球がとっても青いから

   ディアプラス文庫  松前侑里:作  あとり硅子:絵

松前先生の新作は、やり手演出家(女)と今をときめく人気俳優(男)のひとり息子のお話です。誰もが羨むような家庭に育った主人公ですが、でもどうにもみたされない日々を送っています。来るもの拒まず、去るもの追わずの状態でいたら、なぜか自称彼女が5人も出来てしまい、「誰を彼女にするの!」と詰め寄られてしまいます。そんな彼の助け舟になってくれたのは、近くの女子高の制服をきた、すっごい美少女。彼女は自分が彼女であるかのような素振りを見せますが…。

ほんっとに導入部分だけだなあ(^^;<あらすじ(我ながら筆力のなさに情けなくなってきます…) 多分、今までの作品よりは好みの路線に近いとは思います。攻キャラ(主人公ですね)の年齢が低いから(笑) でも、それでもなんだか納得いかない部分とか、共感できない部分もあって、すごく好きというわけにはいかないです。なんでかな、苦手意識もあるのかなあ…。あと、同じような路線の作品ばかり今回のラインナプで発売されてるもので、先に他のを読んでいるから余計に二番煎じ的に思ってしまうのかも。家庭ネタだからなあ(^^;

私的評価 ☆☆☆
(これ単独で読んでたら、もっと評価高いと思うんです。読む順番間違えたかもなあ(^^;(ちなみに月村先生→桜木先生→松前先生の順でした)同系統の作品ばかり固めず、ばらけて欲しいなあと思います。)


2002年02月08日(金)   秋霖高校第二寮 1

   ディアプラス文庫  月村奎:作  二宮悦巳:絵

同じく「小説ディアプラス」に掲載された作品と、その続編書き下ろし、そして別キャラの話の書き下ろしが収録されています。高校進学と共に親がイギリスへ海外転勤になって、寮生活をすることになった少年が主人公です。彼はどうにも次男気質というか、家ではすっかりおさんどん要員になっていて、面白みがないと弟に言われたのがショックで、自分でもその性格を治したいと思っています。そんな彼が手違いで入ることになった寮は、第二寮とは名ばかりの普通の家。そこに住むのは良く言えば個性豊か、悪く言えば変人(^^;なメンバーで…。

うーん、いつもにくらべると共感できるシーンが少なかったのは、やはり初期に書かれた作品のリメイクだからでしょうか(^^; まだ序の口だったのもあるんでしょうね。ドタバタドタバタしてる間に1冊終わってしまった感じで、なんだか勿体ないなあという印象。話が面白くないわけではもちろんないんですが、急ぎ過ぎてる感じがしました。テンポが良すぎて引きずられていってしまいそうで…。ただ、次の巻への引きはすごいです。気になってしょうがない(^^; これも罠なんでしょうか(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(別キャラカップル(?)の話もありますが、できたらこれは、主人公たちがおちついてから、続きのようにしてしっかりと読みたいなあと思います。別々に書いて欲しいなあ…と個人的希望(笑))


2002年02月08日(金)   あさがお −Morning glory− 1

   ディアプラス文庫  桜木知沙子:作  門地かおり:絵

雑誌「小説ディアプラス」に掲載された作品と、そのシリーズ別キャラ話の書き下ろしが収録されています。今後も継続して掲載されるのかな?主人公は、まだまだ幼い中学生。母親の再婚と共に引っ越しをして新しい家で暮らしていますが、親の再婚ということにも、引っ越しをして幼馴染みたちと離れてしまったことにも納得できない気持ちを抱えていて、「どうして僕だけが」という思いを抱いています。そんな彼のペースを乱すのは、義理の兄の存在で…。

子供であることの傲慢と残酷さを持ち合わせた主人公が、だんだんと世間を知り、自分を知っていく成長物語です。最初はあまりに幼い主人公の傲慢さが少し読んでて辛かったんですが(^^; 挫折を味わい、そんな中で新しい自分を見い出していくあたりなんかはけっこう胸に来ます。義理の兄がいいキーマンになってるんですよねえ。…なんだかこの本の前半あたりは、いつもとは違って「親視点」で読んでしまってたみたいで(^^;余計にもどかしさや気恥ずかしさがありました。それだけ、どこか自分の中にあるものと一致したのかなあと思います。今後、この主人公がどう成長するのかがすごく楽しみです。

私的評価 ☆☆☆☆
(別キャラのお話もすごく好きだなあと思います。こういう家族模様を折り込んだ話、さすが桜木先生、という感じです。)


2002年02月01日(金)   憎みこそすれ、嫌いになれない

    あすかCL-DXコミックス    佐久間智代:絵

佐久間先生の久しぶりの新刊です。が、実はCL-DX(ボーイズテイストな作品のコミックスレーベル)で出すべき内容なのは表題作のみだったりします。昔に描かれた男女ものとかがいくつか収録された、半分以上は「普通のあすかコミックス?」な(笑)1冊でした。けっこう佐久間先生御自身も「騙してゴメン!」(笑)と開き直ってる感じの中書きを書いてらして、思わずニヤリ。いや、昔の作品も大好きだから私はノープロブレムでした〜。どちらかというと私が佐久間先生に求めてる部分というのは、ボーイズ要素以外のストーリー部分だからなあ。

表題作のお話も、兄弟間の関係を描いてるんですが、その視点が面白いなあと思った作品でした。「ここからどうなるんだ?」というジレンマはあるんですが(笑)久しぶりに佐久間先生らしい作品を堪能いたしました(笑)昔の作品も好みで嬉しかったです。

私的評価 ☆☆☆★
(ボーイズ要素が不可欠!という方は、慎重になったほうがいいとは思いますが、コミックスとしては、昔の作品とはいえ完成度もけっこう高く感じられたし、楽しく読めました。)


2002年02月01日(金)   ぼくらは二度目の春を越え

    コバルト文庫   麻生玲子:作  桑原祐子:絵

麻生先生の2冊目のコバルトです。雑誌「コバルト」に連載された作品で、1冊目「はじめてのキスに似ている」とは時系列が逆になります。こちらはモデルの高校生と、ちびっこマネージャーの青年との出会いと上手く行くまでのお話で先に連載されていたもので、上手く行ってからを描いた書き下ろしが1冊目の文庫なんです。1冊目で「すごく物足りなくて、その前が読みたい!」と思っていた作品だったので、満足な1冊でした(笑)

今回の作品を読んでから、前の巻を読み返したら、また違った愉しみ方ができるんじゃないかなあと思います。これを読まないと判らないエピソードとかがいくつかあったので、それも1冊目で気になってた点でした。ぜひこの作品で、前の巻の隙間を埋めて、納得して下さいね。2冊同時に読んでこそ、のお話かもしれないと思います。

私的評価 ☆☆☆★
(よっぽど気になってたんですねえ私(笑) 麻生先生らしい作品だと思います。1冊目を読み返すのが楽しみになってきました(笑))


2002年02月01日(金)   ダルリアッド 駆け抜ける蒼き宿命

     ビーンズ文庫   駒崎優:作  小田切ほたる:絵

ほんとうは1月に入れるべきなんですが(^^;(後から気がついた)まあ、せっかく「1月終わり!」って宣言したことだし、2月1日付にします。WHで歴史物を書かれている駒崎先生の初他社文庫ですね。ファンタジーで、ちょっとだけボーイズ要素ありのお話です。主人公はトゥール(嘆き)という名前の青年。実は彼は現在の統治者である王に一族を皆殺しにされ、生き残った唯一の人物で、本当なら戦場で死んでしまったであろう彼を助けたのは、戦神ルーグ。神に寵愛された主人公は、不老不死になってしまいますが…。

なんだか、上には主人公と書いてますが、常に別キャラ視点で語られているので、あんまり主役というイメージはありません。でもこのキャラを軸にしていることから、わざと主人公と書きました。時間軸が説明のためか前後したり、ちょっと読みにくい部分もありましたが、キャラクターの魅力は駒崎先生ならではという感じですね。「足のない獅子」シリーズとはかなり雰囲気が違うので…あれをギャグとするなら(笑)こちらはシリアス調ですから…好みが別れる所かもしれません。でも、さすがに「読ませる」作品だったなと思います。ボーイズ要素が主ではなかったので、ほんとに匂わせるだけ、という感じでしたが、次に機会があればもうちょっと2人の様子も読んでみたいかも。

私的評価 ☆☆☆★
(ラストシーンの終わり方がけっこう雰囲気よくて、「ああ、これの続き読んでみたいな」と思わせてくれるんですよね。…はっ、これも罠か?(笑))