2002年5月のレビュー

 


2002年05月27日(月)   ブライトン・ロック!

  シャレード文庫  椹野道流:作  宮本イヌマル:絵

雑誌シャレードに掲載された作品とその続編書き下ろしです。主人公は、真面目に勉強していた医大生。突如ある原因から、自分の医師としての自覚のなさに気がついて、なんとかしなければと一念発起し、大学を退学してイギリスの片田舎へ1人語学留学に来てしまいます。筆記は出来ても言葉が出てこない、典型的な日本人の主人公、たどたどしい英語をあやつりつつ買い物をしようと出かけたスーパーで、気さくに声をかけてくれた青年がいて…。

雑誌掲載の時も、なんだかどきどきして読んだ作品でした。主人公の成長物語でもあり、お相手キャラの成長物語でもあって、1人1人でささえあっている姿がなんだかほほえましく可愛く映ります。続編ではかなりラブラブ度も高くて(笑)「よかったなあ〜」とホッとしてしまいました(笑)色っぽさとかはないので、大人な(Hくさい?)イメージを求めている人ではなくほのぼのした作品を好む方によりオススメかと思います。

私的評価 ☆☆☆★
(最初こそ、無謀さにはらはらしたんですが、続編ではあまりの落ち着きっぷりに笑ってしまいました(笑)最初と最後、キャラのイメージが変わってるよ絶対…(笑))


2002年05月25日(土)   星祭りの行方 1

   ウィングスコミックス    佐久間智代:絵

佐久間先生の新シリーズは、雑誌「ウィングス」に掲載された作品で、歴史物と現代物の融合という感じの作品です。主人公は大学生。ある日妙な夢を見ますが、その後訪れた初めての家庭教師先で、まさに夢としか思えない体験をしてしまいます。家庭教師の教え子は、祈祷師の家系の長男で、声が出せないということだったのですが、実はそれは嘘で…。

最初導入に「あり?」と思わせるシーン(夢のシーンですね)があったにも関わらず、思いっきり現代な始まり方だったので、不思議に思ってたんですが、やっぱり佐久間先生本領発揮という感じで(笑)途中で平安時代のお話にシフトチェンジして(笑)なかなか面白かったです。ただ、かなりお話の導入部っぽい感じもするので、物足りない所もありますね。もうちょっとお話が進めば判ってくることもあるんでしょうけど、まだまだ謎の多い第1巻でした。

私的評価 ☆☆☆★
(これからどんどんお話が展開していくようです。2巻以降も楽しみにしています。)


2002年05月25日(土)   ボディーガードの告白

   SHYノベルズ  たけうちりうと:作  ひびき玲音:絵

楽しみにしていました、ボディーガードシリーズの最新作…というよりトム・ショルティのお話の2冊目と言うべきでしょうか(笑)正確に言えば「紳士とペナルティ」の続きになります。PS3に入るべくさまざまな経験を積んでいくトムですが、いよいよアメリカに渡る準備をします。そんな中で、可愛い後輩である幹との関係も難しいものになっていって…。

トムは幹相手には攻だと思ってたのに!というのが一番のインパクトでした(爆)…いや、もっといろいろと話もあるし、トムならではのエピソードやランディとの関係も気になるしで、楽しく読んだんですが、どうにも一番最初に書いたこのネタが一番私にはびっくりだったようで(^^; 他が霞んでしまいました(笑) 私は結構トムが好きなので、その飄々とした感じと、その裏にある妙にパッショネイトな部分が読んでいてもワクワクできて楽しかったです。ボディ−ガ−ドシリーズの主役2人とはまた違った魅力で、とても楽しんで読みました。

私的評価 ☆☆☆☆
(…やっぱり希代の魔性受かもしれんなあ…トム・ショルティってば…(^^; )


2002年05月25日(土)   無敵の三原則

   キャラ文庫   穂宮みのり:作  宗真仁子:絵

穂宮先生の初文庫です。キャラセレクションに掲載された表題作に、続編の書き下ろしがついて文庫化になりました。雑誌掲載時もけっこう楽しんで読んでいたのですが、改めて文庫で読んでやっぱり「おもしろい!」としみじみ思った作品です。主人公は、老舗デパートの家具売り場に勤めるサラリーマン。家具は単価が高いこともあり、努力をしているのですがなかなか成約には結びつかず、売上があげられない日々が続いています。そんな彼が目標にしているのは、自分の上司にあたるフロアマネージャー。いろんなことによく気が回るその上司に影響され、段々とポジティブな気持ちになってきた主人公ですが…。

いやあ、めちゃめちゃハマりました!今月ひょっとしたら一番オススメかもしれないです。主人公が最初はちょっとウジウジしてるのかな〜と思ってたら、めげなくてちゃんと成長していくんですよ。それがなによりいいなと思ったのと、それからちゃんと「仕事」してて、それを「やらされた仕事」ではなく「自分からやる仕事」として楽しんで喜んでこなしている、そんな姿がめちゃめちゃ印象的で、フロアマネージャーのかっこよさも素敵で、凄く惹き付けられました。お話の流れ自体は平凡なのかもしれません。時々急に視点が入れ代わったりします(^^;でも、主人公とお相手の前向きでやる気のある姿がほんとにいいなと思う。恋愛としてよりも、どうも「お仕事する彼ら」が楽しみという気もしないでもないですが(笑)なんだか私も「頑張らなくちゃ」と思わせてくれる、そんな1冊でした。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(文章内に出てくる「めげない、逃げない、諦めない」を私も自分の中でモットーの1つとして持っておきたいかも。ほんとに楽しんで、何度も読み返しました。ぜひぜひ、読んでみて下さいね。)


2002年05月25日(土)   ソムリエのくちづけ

   キャラ文庫   ふゆの仁子:作  北畠あけ乃:絵

どうも今月のキャラは「特殊な業種シリーズ」なんだろうかという感じですが(笑)ふゆの先生の今月2冊目の本は、ソムリエが題材のお話です。主人公は、すでに両親を亡くし、1人暮らしをしているソムリエ志望の青年。実は飲んだワインの味は全て覚えているという特殊能力を持っています。勉強も兼ねてフードイベントに参加した主人公は、そこで自分が勤める店のオーナーでもある青年実業家に「ワインあてのゲームをしよう」と持ちかけられますが…。

主人公が控えめで、大人しい感じだったので、却って出会いのシーンの攻キャラの強引さが目立ってたなあ…と思いつつ。ただ、後半のあたりからはその強引さも納得できる形になっていたので、全体に言えば問題ない範囲ではあります。ネタがワインということもあってか、落ち着いた雰囲気の漂う作品でした。ただ、そうワインについてあまりしらない読者から言えば、ワインの品名や産地を並べ立てられてもちょっと分かりにくいかも(^^; ちょっと知っていたとしてもそれは聞きかじりに過ぎないし、「凄い」かどうかさえ判らなかったので(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(というわけでどっちかというと大人向けな作品な気がします。ワイン通とはいかないまでも、ある程度知っている方がより楽しめる…かな?)


2002年05月25日(土)   お手をどうぞ

   キャラ文庫   火崎勇:作  松本テマリ:絵

ソシアルダンスを題材にした書き下ろしの文庫です。主人公は、割と両親思いな大学生。母親が「むかし習っていたソシアルダンスをまたやりたい」と言うのを聞いて軽い気持ちで「付き合ってやるから頑張ってみれば?」と言います。その言葉が元で、母親と一緒にダンス教室に通うはめになる主人公ですが、最初に習った男性のダンス教師がかっこよかったのと、ダンスの美しさに惹かれ、けっこう真面目に頑張り出します。そんな彼に、思わぬトラブルが待ち受けていて…。

いやあ、なんだか「おっとこまえ!」な印象の1冊(笑)なにがって主人公の大学生がめちゃめちゃ男前です。こういう元気なキャラ好きだ〜。いろいろあっても、めげずにちゃんと自分でなんとかしちゃうんですが、そのやり方もそこに至るまでの気持ちも、ちゃんと納得できるので私的には大満足な作品です。ちょっと強引な展開もありますし、御都合主義とも取れますが、私はキャラの前向きさ加減で帳消し(笑)かといって攻がヘタレまくっているわけでもないあたりも美味しい(笑)久々にオススメな1冊でした。

私的評価 ☆☆☆☆★
(恋愛よりダンスや主人公の男前度に注目しちゃうので、「…あら、恋愛だったのね」って感じ?(笑)甘々な雰囲気はないですが、とても楽しい作品でした。)


2002年05月17日(金)   憎みきれないろくでなし

  ビーボーイノベルズ  ふゆの仁子:作  やまねあやの:絵

小説b-Boyにて掲載された「ろくでなし」シリーズの1冊目です。雑誌掲載はこの表題作が一番最初だったのですが、番外編にあたる「高慢な天使と紳士な野蛮人」が先にノベルズになったので、なんだか順不同な感じですね(苦笑) 主人公は法学部の学生。弁護士の息子で、「一度見た顔は忘れない」という特技を持っています。ある日気晴らしをしたいと、男専門のデートクラブのバイトをした主人公は、ふしぎな雰囲気を持つ男性の相手をし、非常にその男性が気になりますが…。

雑誌掲載の時はけっこう面白く読んだのですが、ノベルズで読んでもあんまり響いてくるものがなかったのは、ひょっとしたら番外編のノベルズのイメージの方が強くなってるからかなあ(^^; 書き下ろしでは脇キャラとして番外編のキャラが出てきますが、なんだか却って印象が散漫になってて、お話も全く終わってないし、ちょっと消化不良な感じがしました。続編はすでに雑誌掲載されているので、ノベルズにもなると思いますが、これ1冊だと全然終わった感じがないので、続き物が苦手な人は、できれば続編を待った方が面白いかもです。

私的評価 ☆☆★
(主人公と、お相手との関係もまだなんだか浅いし謎だらけだからなあ…(^^; )


2002年05月17日(金)   いつかの告白

    花丸文庫  きたざわ尋子:作   有馬かつみ:絵

新シリーズ…かな?単発読みきりかもしれませんが、今回の新刊は、身寄りのなくなった少年が主人公です。いろいろとトラブルがあり、辛い思いをした少年は、引き取ってもらった家の長男(関係としてははとこ?)に心を開き、慕い続けます。何ごとにも醒めている長男も、主人公にだけは甘く可愛がっていますが、段々とその気持ちに変化が生じてきて…。

穏やかな作品というのが第一印象でした。兄弟のような範疇から、だんだんと外れてくる自分達に戸惑いや悩みを持ちつつ、でも変わらずにいる主人公が可愛い。主人公の叔父が、過去にトラブルを持ち込んだ人間だと言うイメージを持っているから余計なのでしょうが、どうしても好きになれなくて(苦笑)後半は頑張れ長男!って感じでした。少々物足りない部分もありますが、やはり全体に漂う落ち着いた雰囲気はきたざわ先生ならではな気がします。

私的評価 ☆☆☆★
(今度は2人のラブラブ同棲編(笑)(←一応将来2人暮し予定)なんかも読んでみたいなあ〜。)


2002年05月11日(土)   ねじれたEDGE

  ラキアSE-Xノベルズ  崎谷はるひ:作  やまねあやの:絵

発売が遅れましたが、ようやく無事発売になりました、崎谷先生の黒ラキ3冊目は、ゲイであることを隠し、女子高の教師をしている青年が主人公です。ある程度年齢を重ねているため、なかなか相手にも巡り合えず、最低な男にナンパされてしまい、薬を盛られてしまいます。逃げ出した彼を助けてくれたのは、見ず知らずの通りがかりの青年で、薬でおかしくなっている主人公を抱くことで、ケアをします。そしてその後、職場の女子高で教師と教生として劇的な再会をする2人ですが…。

久々に年下攻でしたねえ。受キャラも、年上なりの考え方や悩みを持っていたり、ゲイである自分をよくわかっていたりするので、けっこう読みごたえがありました。…が、まあ黒ラキということもあったのかもしれませんが、最近よくある「Hの際の受キャラ幼児化(笑)」がやはりこの作品でも顕著で、もうちょっと落ち着いた大人なシーンでもいいのになあ…と(苦笑) 年上(おまけに年の差あり)攻が続いたから、余計に年下攻との違いを出してもらえたらもっと嬉しかったかなと思います。

私的評価 ☆☆☆★
(まあ、全体に攻の方が立場は強いんですが(^^; それでも年上受なりのシーンが読みたかったかなーと(^^; 無い物ねだりですいません(^^;)


2002年05月11日(土)   可愛いひと。 5

   ラキアノベルズ   高岡ミズミ:作  御園えりい:絵

早いですね、もうシリーズ5冊目になります。今回は、主人公カップルのカミングアウトがテーマで、どちらかというと攻キャラ高根がぐるぐる回ってしまってる感じもします(笑) 絢一は高根の両親にも可愛がられていますが、実際に現在の関係を告白したわけでもなく、単純に可愛がってくれる高根母の天然な突っ込みに、ひやひやしたり罪悪感を抱いたりします。絢一の姉(高根の元嫁)の出産も間近になり、高根はいろいろ考えた末に、親にカミングアウトすることを決心しますが…。

お話の流れはかなりシリアスと言うか真面目なんですが、間にはさまっているHシーンが濃くて(笑)なんとなく前後の話を寸断しちゃっている気もします(^^; いや、脈絡がないわけではもちろんないんですが…。長いんだから、いいかげん落ち着きなさい(苦笑)って感じ。ただ、カミングアウトまでの経緯と、それを乗り越える2人というのはなかなか感動的でもありました。まだまだ続くようですが、これからも楽しみにしています。

私的評価 ☆☆☆★
(Hの濃さは、今回に関しては高根の甘えともとれる…かな?(^^;)


2002年05月11日(土)   イチゴ大福は14歳

    アイスノベルズ   加納邑:作   神鏡智:絵

以前ノベルズで発売された「シッポが足りない!?」の続編(脇キャラ編)にあたります。雑誌小説アイスに掲載された表題作「イチゴ大福は14歳」と、その後のお話の書き下ろしが載っています。前作にて妖狐きづねと人間の雅(男)の間に生まれた(といっても狐の神通力を分けてできたらしい)3つ子の子ギツネたちももう中学2年生。生まれてすぐに、隣山のタヌキにイチゴ大福と間違えられて噛み付かれた藍は、「責任をとれ!」と喚くきづねにより、タヌキの婚約者となっていますが…。

懐かしい〜。思えば加納先生の人外モノにはまったのは、これの前作が最初でした…(笑)ラスト近くで、歯形をつけられたチビきつねは、イラストをはっきり覚えてるぐらいに印象的だったので(笑)雑誌掲載のときは「この子がこんなに立派になって…(ほろり)」って感じだったんですが(笑)続編もなかなか楽しませてもらいました。リアリティがあまりない(^^;人外モノコメディだからこそあんまりなにも考えずに楽しめるんだろうなあ。たまにはこういうベタな(笑)コメディもいいかなと。

私的評価 ☆☆☆★
(1つ残念なのは、タヌキ(人間の姿ではなく本体に戻った時)のイラストがあんまり可愛くないことかも…、いや、キツネも可愛くないんですが(^^; 子ダヌキイラストは可愛いのになあ…)


2002年05月11日(土)   約束

    アイスノベルズ   うえだ真由:作  奥田七緒:絵

うえだ先生のシリアス系なお話です。主人公は、真面目な建築士のサラリーマン。両親をともに早くになくしてしまっていた彼は、同じような境遇の女性と出会って結婚し、その弟と3人で暮らしていました。しかし、妊娠が判って幸せだった彼らに、またもや悲劇が襲い、妻は交通事故で帰らぬ人となってしまいます。失意のまま、義弟と暮らす主人公ですが、いつしか4年の月日がすぎて…。

さすがうえだ先生、という感じのしっかり読ませてくれる、そんな作品でした。主人公はなんだか朴訥とした感じだけど、でもかっこいいし、義弟もめちゃめちゃ健気で可愛い。展開は、登場人物が少ないこともあって、「ああ、こうなるんだろうな」とは思っていましたが、でもそこに至るまでの過程をしっかり書いてあるので、安直な感じはほとんどありませんでした。一番安直だったのは主人公の気持ちの移り変わりかもしれんが(^^;まあ、自分では気付かなかった気持ちというのもあるということで(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(読みごたえのある1冊でした。あとがきのページが長かったらしく、あとがきの後にミニショートストーリーがついています。その後の彼らが垣間見えてちょっと嬉しい。後ろからチェックする人は要注意?)


2002年05月10日(金)   LOVE MODE 10

   ビーボーイコミックス    志水ゆき:絵

ようやく過去編が終了し、本来の本編にもどった…というか主人公たちの甘々な日常編というか…(笑)そんな10冊目のコミックスです。今回は、もともと1巻の主人公であった高宮と和泉、そしていまやすっかりLOVE MODEの主人公になってしまっている(気がする(笑))蒼江と直也のらぶらぶっぷりが堪能できます。

最近シリアス傾向の強かった作品なので、余計に和むというか(笑)やっぱり私は蒼江ファンなのかもしれないと再認識。あ、それから、陣さん主役のお話も入ってて、これも楽しめました。やっぱり陣さんは1人の人のものにはならないのね(笑)濡れ場シーンのH度も相当なものなんですが、それでも楽しく読めたコミックスでした。次はまたシリアスになるのかなあ〜。

私的評価 ☆☆☆☆
(CDになったせいもあるんでしょうか、よりイメージが鮮明に浮かんできます。ところで、陣さんってどんな声なんだろう?(←声フェチまるだし(笑))


2002年05月10日(金)   三千世界の鴉を殺し 6

  ウィングス文庫   津守時生:作   古張乃莉:絵

毎度大爆笑させてくれる(笑)SFものシリーズの6冊目です。この秋にはCD化も決定しているそうですが、今回は仕事を離れたオフの日のルシファとサラディン、そして新たに出てきたキャラクターとのややこしい三角関係(おい(笑))が発生してしまいますが…。

…しかし、これって1〜2日分のお話だよねえ?と思わず読み返してしまった私。なんというか1日の内容の濃い人たちですな…(笑) ルシファは、別名「希少種キラー」…いや、「絶滅種キラー」がいいか…とお呼びせねばなるまい(笑) まさかサラディンだけでなく、他にもタラすとは思ってませんでした。本人が古代ラフェール人の先祖返りだからかなあ?彼のスタンスに惚れるのは判らないでもないんだが、ますますもって混沌の世界に近付いている気がして、ここまで広げた風呂敷を、いったいどうやって畳んでいくのかがなにより気になっていたりします(笑)いや、終わって欲しいわけではないですよ(笑)想像つかないだけで…。

私的評価 ☆☆☆☆
(どんどんコメディアン化してくるキャラですが、お仕事してマジメなところとか、おちゃらけてみえるルシファのシリアスな部分はやっぱり惚れ惚れしますね(^^))


2002年05月10日(金)   ディアスポラ 2

  ウィングス文庫   前田栄:作  金ひかる:絵

魔法と不思議の世界を描いたお話の2冊目です。今の所はまだ魔法だけで、科学とかのSF的なところは出てこないみたいですね。主人公の少年クワンは、自覚はないものの魔法の力…精霊の力が異常に強いため、彼を育て、そして救うために旅に出た保護者でもあるユリウス、クワンたちです。今回は水の精霊王をもつ女性に会いにある街を訪れますが…。

今回はあんまり精霊たちのおかしい場面はなく、どっちかというと暗い目でしたね(^^; …って私の期待しているあたりがどこかモロバレですな(苦笑) 私としては、なぜあんなシーンをクワンに見せる必要があったのか、この巻ではまだその理由が明らかにされてはいないので(というか私が納得できていないので)却って不快感が残ったなあ…(^^; 8歳という年齢を選んだのであれば、当然配慮してあたりまえな部分だと思うんですよね。せめてもう少し年齢が高ければもうちょっと感じ方も変わったんですけども(^^; 唯一の慰めはやはり精霊王たちが精霊同士で盛り上がってるシーンでした。

私的評価 ☆☆☆
(前作で楽しんだだけに、ちょっと先走りすぎというか、急ぎ過ぎな印象でしたねえ。感想でひっかかってるシーンもその1つ。シリーズの冊数決まってるのかな?(^^;)


2002年05月08日(水)   サクリファイス −犠牲−

  ショコラノベルズ・ハイパー  河野葵:作  小路龍流:絵

河野先生のひさしぶりのノベルズです。レーベル名に劣ることなく(笑)かなり、ハードな内容の作品でした。主人公は、過去によく出来た兄をもち、比べられてグレたことがあり、兄の死を機にマジメになって父の秘書をしていて、今は義理の弟に尊敬されるようにもなっています。そんな彼ですが、やはり父にはどうしても受け入れてもらえず、とうとう身売りのように、大手新聞社の御曹子のもとに行くことになりますが…。

同じハード系でも、意味もなくやたら虐めたりとかなかせたりとか不幸な目に合わせたりとかはしない…少なくとも後からちゃんと因果関係を説明してくれている…ので、苦手な系統にも関わらず、納得して読むことができました。今までの作品からみても、精神的に追い詰められていく主人公を描くのが上手いと思うんですよね。今回も例にもれず。確かにとっても痛い系統だし辛い部分も満載ですが(^^;最後までしっかり読んで、ホッとさせてもらえた作品でもあります。期待をはずれない1冊でした。

私的評価 ☆☆☆★
(精神的に追い詰められていった主人公の紙一重の危うさを、とってもリアルに描写されていて、感情移入しまくって大変でした(苦笑)こういう作品にも弱いかも、私。)


2002年05月08日(水)   恋の紳士協定

   ショコラノベルズ  夜月桔梗:作  藤咲なおみ:絵

豪華客船の上で繰り広げられる恋の鞘当てを描いたお話です。主人公は、アメリカで生まれ育ったものの、複雑な家庭環境でもあり、自分のルーツをかなり後まで知らずに育った日系の青年。育ての親から鍼灸についての知識などを受け継ぎ、大会社を経営している実業家の元で、半分孫のように可愛がられつつマッサージ師として仕えています。実業家と主人公は、ある日本船籍の豪華客船に乗る旅に出ますが、実はその旅は、主人公を実業家の孫たち3人と引き合わせようという旅で…。

ううむ、まさにファンタジーだな(笑)3人とも主人公に惹かれてしかもきっちり初対面で口説くし(笑)その辺り冷静に突っ込んだらいけませんって感じだなあ(笑)ただ、それでもわりとテンポはよくて楽しんで読みました。しかし、相手キャラ(最終的にカップルになるキャラ…3人のうち1人だけですから…)が見え見えだったのはちょっと残念な気もしないでもないかな。もうちょっと分かりにくくても、それはそれで面白かった気も。いや、私も好みだったのはちゃんとくっついた相手キャラだったからいいんですが(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(いろいろ注文が多いですね、ごめんなさい(^^; 面白いのと「…ん?」と思うシーンといろいろだったので…。)


2002年05月08日(水)   甘い毒

   ショコラノベルズ  松岡なつき:作  円陣闇丸:絵

本当は先月のラインナップだったのですが、少し発売が延びました。割と専門的な職業のネタが多い松岡先生ですが、今回は香水を作る調香師と、稀少価値のある植物を採取し持ち帰る「プラントハンター」と呼ばれる職業の青年とのお話です。主人公は、あるやり手の実業家にスカウトされて、香水を作ることをまかされた調香師。実業家の蘭マニアが講じて、幻の蘭を元に香水をつくることになります。その幻の蘭に一番近いものが入手できないかと、プラントハンターと呼ばれる男性を呼び、調香師と引き合わされますが…。

ふふふ、今回はなんだかとってもアダルトテイストで、しかもワイルドでした(笑)円陣先生のイラストだと、わりとインドア系なイメージがあったので、そういう意味でかなり新鮮だったなと(笑)ジャングルで劣悪な環境にも関わらずアプローチをする攻にも、それにとまどいつつ引きずられる受にも思わず「場所を選べよ…(^^;」とは思いますが(笑)(おまけに描写がけっこう詳しいので余計においおいとは思う)でも、ワイルドな攻がなかなか魅力的で、キャラ萌えな作品でもあるかなと思いました(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(しょうもないところですが(^^; FLESH&BLOODにも出てきてたクイーンの「We will rock you」という歌のネタがこれにも出てましたね。よっぽど好きなのかなーと思った私。ちなみに多分CMなんかで、だれもが1度ぐらいは耳にしてるだろう、めちゃめちゃ有名な曲なんですけどね(笑))


2002年05月07日(火)   スイッチ

   エクリプスロマンス  杏野朝水:作  高永ひなこ:絵

小説エクリプスに掲載された年下攻作品と、その続編が2編書き下ろしになっています。ヴァリオノベルズでは書かれてましたが、エクリプスロマンスレーベルでは初めてですね。主人公は、恋人と思っていた相手に振られてしまい、もう二度とそんな思いはしたくないと思いながら日々を過ごす可愛い系のサラリーマン。利用する駅でよく会う少年たちをうらやましいような眩しいような、そんな目で眺めています。ある時コンビニでばったりとそのよく会う少年に出会い、意気投合しますが…。

雑誌掲載の時も読んでいたのですが、雑誌掲載のものよりも続編の方が私はより好きかなあ〜。…自分でも意外なんですが(^^;<続編の方が好き 高校生の癖に妙に感覚が大人な攻と、やたら可愛いというか幼い感じがしてしまう受が、定番な展開ながらも、気になってしょうがなかったです。最後に載っている作品は攻視点で、それも楽しかった理由かも(笑)所詮ベタ惚れな攻なのでした(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(全体にシリアス傾向です。時々しんどい所もあるけど、ラストがほのぼのしてるからいいかなと。今月発売のエクリプスに、特集記事が載っていて、ショートストーリーも掲載されています。)


2002年05月07日(火)   ムーンリット・エスケープ

     エクリプスロマンス  水壬楓子:作  白砂順:絵

ファンタジーものシリーズ第2弾です。前作は、人狼の国王と鷹匠の少年の恋のお話でしたが、今回はその続編ではなくて、別の国のお話です。筆が乗ったんでしょうか(笑)なんと2段組で、しかもなんとなーくお話は終わってないという(笑)続きはまた次の巻ということなのかなあ…(^^; 今回の主人公は、ある国の世継ぎの王子と、その王子のもとに逃げ込んできた不思議な少年です。王子はどうしてもその少年が気になり、賊として捕まえられた所を助け、手元におきますが…。

今回は、大きな括りで言えば、まだ話が終わってないということも影響したのかな?ちょっともの足りない感じでした。2巻構成になると、伏線がけっこうあって、一応主人公2人の恋愛としては一段落してるんだけど、その後ろで動く国についてのあたりなんかが気になって、どうにも集中できずにいたりして(苦笑)続編が早くでないかなと心待ちにしています。

私的評価 ☆☆☆★
(気にし過ぎなんでしょうけど、気になるんですよ、アヤシイ国のことが〜(^^; くそう、気にしなければ楽しめるものを…(笑))


2002年05月07日(火)   voice −ヴォイス−

     エクリプスロマンス  火崎勇:作  桜城やや:絵

雑誌「小説エクリプス」に掲載された作品と、その続編書き下ろしです。「声」がテーマになっていて、声フェチな私にとって、けっこうツボな作品で(笑)雑誌掲載の時にも楽しく読んだので、ノベルズ化も、楽しみに待っていました。主人公は、高校時代に友人の兄が通う大学の学祭に参加して、そこで印象的な声と運命の出会いをし、それ以来「声」というものを気にするようになります。そんな主人公が大学を卒業して入った会社の社長は違和感がある程に高い声で、変な人だという印象と、でもイイ人なんだなという印象の両方を抱く主人公ですが…。

「声」を使う人、という設定に違和感を感じる読者も多かったのではと思いますが、私は「声」の与える影響力というのを信じるタイプなので(もちろんちょっと誇張し過ぎとは思うけど、そこはそれ、ファンタジーということで(笑))こういうのもアリだよなあと思いつつ読みました。身体から先に関係をもつ、というパターンなのがちょっと残念ですが、でもそうだったからこそ続編が面白くなっているので、これは自分の中では問題ない範囲かなと思います。

私的評価 ☆☆☆☆
(実は私、この話の攻キャラの声、ある声優さんのイメージで読んでました(自爆)皆様は誰の声でした?)


2002年05月01日(水)   アイがなくちゃね★

    drapコミックス   嶋田尚未:絵

雑誌drapにて掲載されていた作品がコミックスになりました。主人公は、早くに父をなくし、また母親も無理をした挙げ句に天国の人となり、1人で暮らしている健気な少年…とはいえ、明るくてめげないタイプで、昔から飼っている犬と一緒に、すっかり近所の商店街の人気者です。そんな彼の元に「犬が交通事故にあった!」と連絡が入り、病院に急いだ彼は、事故の加害者の青年に怒りをぶつけます。しかし、自己紹介を受けて彼の名前が犬の名前と一緒だと知って、なんだか親近感を覚えますが…。

さすが、犬猫を沢山飼ってらっしゃる嶋田先生ですよね、犬がめちゃめちゃ可愛くて、いいポイントになっています。設定とかはちょっとツッコミどころも多くて「おいおい(笑)」と思っちゃいますが、でも全体に可愛くて和みました。もちろん嶋田先生らしく(笑)濡れ場シーンはちゃんとHでした(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(個人的に、コミックスカバー折り返しに描いてある四コママンガが一番ハマったという(笑)可愛すぎる〜(笑))


2002年05月01日(水)   ラブ ラブ ラブ

     リーフノベルズ  遠野春日:作  西村しゅうこ:絵

3つのからみ合う恋模様を描いたオムニバス形式の作品です。3つのカップルが、それぞれ微妙にリンクしつつお話が進みます。青年実業家とその恋人でイラスト作家の青年、青年実業家の部下とその彼女、イラスト作家の担当とその部下で青年実業家の部下の親友が一応カップルになっています。

珍しいなと思うのは、ノーマルカップリング(笑)がお話の1つとして入ってること。もちろん違和感はないんですが、あんまり取り上げない人の方が多いので、びっくりしました。てっきり親友とくっつくと思ってたよ私は(笑)(←それはそれでけっこう好みなカップリングだったらしい)自分の業の深さに苦笑してしまいました(笑)作品としては、どうしても短い中に3つのお話を入れるということで、各章がもの足りない部分もあり、もうちょっと読みたかったなあというシーンもありで、オムニバスよりは長編向きなのかなあと思います。とくに、じっくり読みたいカップリングがあったから余計でしょうか(笑)

私的評価 ☆☆☆
(オムニバス形式の作品というのも、いろいろ楽しめる反面、各章がどうしても物足りなく感じてしまうので、良し悪しですね(^^;)


2002年05月01日(水)   永遠より長いキス

   X文庫ホワイトハート  和泉桂:作  あじみね朔生:絵

キスシリーズの最終巻になります。長く続いたシリーズですが、これが完結編とのことで、情報が出た時はびっくりしました。もうちょっと続くのかなーと思ってたんですが(^^;(内容がどんどんシリアス傾向にあったしね)いろんな伏線が一気に解決に向かっているような、そんな印象が強い1冊でもありました。一度別れることを決意し、紆余曲折のあった吉野と千冬ですが、再び恋人同士の生活に戻ります。しかしお互いにまだすれ違う気持ちも残していて…。

もどかしいようなすれ違いがまだありますが、それでもようやく一歩成長した2人と言う感じで、長い長い成長物語を読んでいたような気持ちになりました(笑)2人がちゃんと幸せで、これからの人生も共に暮らしていけそうなのが感じ取れる大団円だったことが、なによりも満足です。しかし、吉野ってばどうしてこう常識的そうに見えて突飛なんだろうなあ…(笑)(なぜこういう感想かというのは、ぜひとも読んでいただかないと!(笑)ネタバレしちゃうと勿体ないから。)思いっきり某いぢわるなひとの思うつぼだと思うのだがどうでしょうか(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(前作までは、かなりシリアスでしたが、どうにも今回はコメディチックな展開にしか思えない部分もありました(笑) 前作までのシリアスが少ししんどかった分、余計にそう思うのかな?)