2002年7月のレビュー

 


2002年07月31日(水)   秘密をどうぞ

   エクリプスロマンス  水壬楓子:作  白砂順:絵

早くも「お手をどうぞ」の第3弾が発売になりました。雑誌「小説エクリプス」に掲載されたものと、脇キャラのお話が収録されています。主人公で今注目中のモデルの青年と、その恋人でホテルグループ「イーズ」のオーナーとのお話ですが、今回は主人公が偶然オーナーの父親に会い、オーナーには内緒で食事をしたり色々と話をしていたことが原因で、ケンカに発展してしまい…。

オーナーの父がかっこいいです(笑)オヤジ好きにはオススメな感じ。父の出現で思わず心揺れてしまうオーナーも、大人気ない感じで笑えます(笑)そして書き下ろしの脇キャラ話が一番のオススメだったり。ホテルの内装デザインを手掛けたデザイナーは、実はオーナー父の恋人なんですが(そして過去、オーナーの恋人でもあった(^^;)そのいきさつなどを過去の回想の形で書かれてます。これが一番読みごたえがあって楽しかった。オヤジ好きで、健気好きな人は一度お試しください。

私的評価 ☆☆☆★
(…そしてやっぱりちょっと難点なのは絵(^^; もうちょっと線の少ない絵だったらもっと好みなんですが(^^; オヤジキャラはいいんだけど、受キャラとかはつらいなあ…)


2002年07月31日(水)   グリーンカラー

   エクリプスロマンス  義月粧子:作  雪舟薫:絵

発売予定からかなり遅れましたが、無事に発売になりました。98年にGUSTに雑誌掲載された作品を大幅加筆訂正したものと、その続編の短編が収録されています。私は雑誌掲載分は読んだ…のかも知れないけど覚えてなくて(^^;(雑誌は買ってたけど…(^^;)新鮮な気持ちで読めました(笑) 主人公はある会社でリサーチを専門に仕事している青年。親友の結婚式に参加した主人公は、その席で会社の先輩…というか上司にあたる青年に出くわします。その先輩は、なんと親友の兄で、会社でもいいコンビになっていく2人ですが…。

最初はすれ違ってそうに見える2人が、実はとてもお似合いだったり、そのくせどうにももどかしい一面もあったりで、焦れ焦れしながら読んでいました。義月さんならではのキャラクターのクールな一面と、そのくせ恋人にだけはクールになりきれなかったり子供っぽかったりする、その落差が楽しかったです。人それぞれ過去はあっても、現在今目の前にいる相手を大切にしないとね、という1冊(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(続編…というか短編が最後にあるんですが、ラブラブなのと「勘違いな昔の男(いや関係はないけど(笑))」が出てくるのがけっこう笑えました。…というか仕返しにそんなこと考えるなよ(笑)<受)


2002年07月31日(水)   晴れた朝も、嵐の夜も。

   エクリプスロマンス  可南さらさ:作  蓮見桃衣:絵

雑誌「小説エクリプス」に掲載された作品と、その続編書き下ろしです。主人公は早くに両親を亡くして、姉と2人で暮らしてきた高校生。姉が結婚をしたのを機に1人暮しをする…予定だったのだが、年齢がまだ若いということもあり、許可をしてもらえずに、義兄の前の妻の息子…つまり義理の甥にあたる青年(すでに社会人)と同居することになります。しかしこの青年、無口な上に全くこちらの意志を無視してことを進めてしまうため、主人公も余計に意地になり、反目しあう日々が続きますが…。

ふふふ(^^)雑誌掲載の時に、めちゃめちゃ可愛くて好きだった作品で、ノベルズになるのを心待ちにしていたのでした(^^)こうして読めて、それが一番幸せ〜(^^) 最初は何を考えているのか判らない同居人ですが、だんだんとその壁が取れてきたあたりからがツボでした。そして続編もやはりしっかりラブラブ(笑)で、ほんわか可愛いです。なにより「据え膳を食えない攻キャラ」が可哀想で(笑)(←笑ってるし)ぜひとも少しずつ成長して、本懐を遂げた彼らが見たいと思います。

私的評価 ☆☆☆☆★
(最初に無理矢理なシーンはあるんですが、その後のフォローがいいからでしょうか、嫌なイメージはありません。それと、イラストの猫がめちゃめちゃイイです(笑)可愛い〜)


2002年07月29日(月)   グレイ・ゾーン

   角川書店ハードカバー  久能千明:作  蓮川愛:絵

友人K嬢から連絡を貰って聞かれるまで、こんな本が出てるとは思いもよらなかったという(笑)久能先生と蓮川先生のコンビでのハードカバーが出ました。これをゲットするためだけに、子供を連れて本屋をはしごしまくり、子供にブーイングくらった(退屈したから)という、個人的曰く付きな1冊です(笑)主人公は、エリート中のエリートである警察のキャリアの青年。ある日上司と共に町を歩いていた主人公は、久しぶりに懐かしい人に出会います。その相手とは、兄の親友であり、同じく警察のキャリアでやり手だった青年で、主人公はずっと会いたいと願っていたのですが、相手はまるで逃げるかのようにその場を立ち去ろうとします。引き止めようとした主人公は…。

ネタとしては、ひょっとすると良くあるのかなあーとは思います。まさに敵役っつー感じの小悪魔なオコサマは出てくるし、ヤバイ薬は出てくるし。でも息もつかせず一気に読めてしまうのは、やはり久能先生ならではの勢いとテンポの良さだと思う。そして蓮川先生のイラストがまた絶品で、最高でした。いやあ、堪能したわ〜。この1冊だけで終わってしまう作品とは思えないのですが(いや話は一応終わってるけど)やっぱり続いて出るとしたらハードカバーなのかなあ〜(笑)

私的評価 ☆☆☆☆☆
(ひょっとしたら冬の宴あたりで、この作品のパロとかが出るかもしれないらしい。私もめちゃめちゃ読みたいです〜。)


2002年07月27日(土)   真夜中の微熱

   GENKIノベルズ  遠野春日:作  雪舟薫:絵

発売が遅れていましたが、ようやく発売されました。ムービックのウェブマガジンで連載された作品と、その別キャラ話の書き下ろしです。主人公は、人手に渡ってしまった生まれ育った家を買い戻すために、仕事と内緒のバイトを両立させようと必死に頑張っている青年。ふらふらになりながら帰宅し倒れるように眠りにつくような、そんなハードな生活を続けています。隣人の怪しい青年は、そんな主人公を心配していろいろと言葉をかけてきますが…。

最初のいじっぱり具合とくらべると、気持ちが動いたと思われるあたりからのなし崩し加減はどうにも違和感がありました(^^; あれだけ意地をはってたくせに、それかい(^^;という感じで…。もう一つ付け加えるならば、「…いつ好きになる要素があったんだ…(^^;」という感じもします。ただ、それをのぞけばかなりの部分で好みなんですよねえ。ちょっと外れてるだけなので、楽しく読みましたが、もう一歩踏み込むというか深く書いてもいいんじゃないかなあと思います。別キャラの話を書くぐらいなら、その分主役キャラたちの話をかきたして欲しかったなあ(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(遠野先生は、脇キャラが好きなようですが、私は申し訳ないがこっちよりもよっぽど主役キャラ達の方が好きです(^^; 言葉にしてやれよ…。)


2002年07月27日(土)   好きとキライの法則

   キャラ文庫   高坂結城:作  宏橋昌水:絵

キャラセレクションに掲載された、学園もののお話と、その続編書き下ろしです。サッカー部に所属し活躍していたけれど、交通事故にあってサッカーを辞めてしまった主人公は、サッカー部を辞めてから告白してきた美人な同級生の女の子と付き合いはじめます。あまりベタベタした子ではなくて、いい関係が築けそうだと思っていた主人公ですが、ふとしたきっかけで、大人しい同級生の男の子と仲良くなります。実はその男の子は、彼女の弟で…。

雑誌掲載の時には、お姉ちゃんのキャラが痛々しくて、ちょっと読んでいて辛かったんですが、今回の書き下ろしでは随分キャラクターとして前向きに描かれていて、いい感じでした。この続編があるのとないのとでは、彼女の印象が変わってしまうので(^^; そして、彼女の印象次第で、主人公たちの印象もやはり変わってしまいます。どっちの印象が良かったのかは、良く判りませんが(笑)進んだり戻ったりとどうにももどかしい彼らですが、お姉ちゃんという強い味方がいれば大丈夫かな(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(しばらく新刊が出なかった高坂先生、病気療養をなさっていたそうです。どうぞ無理のないよう、そしてこれからも頑張って欲しいです。)


2002年07月27日(土)   口説き上手な恋人

   キャラ文庫   池戸裕子:作  高久尚子:絵

同じく小説キャラに掲載された、ウィンドウ・デコレーターの青年と、彼に憧れて追い掛け続け、恋人の座を射止めたカワイイ健気な高校生とのお話です。順番は逆ですが(笑)主に受キャラ視点ですので間違いなきよう…。主人公の高校生は、良く行くブランドのショーウィンドウがすごく好きで、そのデコレイトをした青年に会ってみたくなります。会わせてもらって話をして、ますますその青年に憧れの気持ちを抱き、口説きに口説きますが…。

とにかくこの高校生が健気で一生懸命で可愛い!なんというか純粋な感じで、「こう子犬がまとわりつくような感じで懐かれたら、たまらんだろうなあ〜(^^)」と和みムードになってしまいます。自分たちの大切な時間を演出するためにいろんなことをしてみたり、それが空回りすることもあるかもしれないけれど、とても恋人のことを思っているがゆえの行動で、そこが健気で可愛いんでしょうねえ。心和む1冊でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(元気で可愛くて、年上の恋人にしてみたら、ほんっとに可愛いだろうなあ(笑))


2002年07月27日(土)   ハート・サウンド

   キャラ文庫   染井吉乃:作  麻々原絵里依:絵

染井先生の作品は、雑誌「小説キャラ」にて掲載された音楽業界モノのお話と、その続編書き下ろしです。主人公は、シンセサイザーの音源開発に携わる技術者の青年。有名なバンドのシンセ担当のミュージシャンに憧れています。ある事情で訪れたライブで、シンセのトラブルが発生したのを見て、そのミュージシャンの手助けをした主人公ですが、その後そのバンドは活動を休止してしまいます。そしてその数年後、運命の再会が待っていて…。

宝くんが健気で可愛い〜。…スイったら姑息(笑)…というのが雑誌掲載時の印象でした(笑)今回、その補足が書き下ろしでされていて、納得の1冊でしたねえ。スイの策士っぷりの裏にある気持ちがよくわかったからでしょうか。宝くんの気持ちも判るし、なんだか読んでいてとても励まされました。自信なんてそう簡単に持てるものじゃないし、「期待」という言葉にはとても重い重圧が含まれてしまうし、それでも頑張れる自分を見つけだすのは自分しかいないんだなあと思う。宝くんが、ヒントは与えられていても、ちゃんと自分で道筋を見つけだしたあたりは、とても染井先生のキャラらしいなあと思いました。

私的評価 ☆☆☆☆
(この作品、どうやら続くようですね。後を引く、そんなラストでした。ぜひともニューヨークへ行って、もう1歩も2歩も成長してほしいなあと思います。)


2002年07月26日(金)   彼の仕草のひとつひとつが

   コバルト文庫  麻生玲子:作   桑原祐子:絵

コバルト文庫で続いている麻生先生のモデルものシリーズの最終巻です。主人公は今注目されているモデルですが、本人は気負わず自然体です。そんな彼をささえているのがモデルエージェントで、元カリスマモデルの恋人。今回は恋人が海外の支社を設立するために随分と長いこと会えない日々が続きますが…。

和みますねえ〜(笑)穏やかな作品だなと思います。今回の話の流れはかなりスピードアップしてて、途中から「ああ、これはラストなのかな〜」とちょっと感じました。まさにその通りでしたが(笑)ちゃんと主人公も成長して、ワンステップアップしてエンディングなので、物足りなさとかはそんなにないです。あるとすれば「もっとゆっくり展開して欲しかった」…ぐらいかな?今までの作品にくらべると、そう感じる程度でした。4冊出てますので、ぜひそろえて読んでみて下さいね。

私的評価 ☆☆☆★
(過激なものよりは、こういう着実に進歩していくような作品の方が好きですね。ラストなのは残念ですが、とても楽しんだシリーズでした。)


2002年07月25日(木)   仔羊捕獲ケーカク! 1

    キャラコミックス     南かずか:絵

キャラセレクションに連載されている学園モノです。受としか思えない(笑)下級生のカップル(仔羊ちゃんですね(笑))とその彼らを落とそうと虎視眈々と待ち構えている先輩たち(狼?(笑))のドタバタでえっちなコメディです。全寮制の男子高で中等部では有名なカワイイ同級生同士のカップルが、進級して高等部にやってきました。実は彼らの中等部時代の部屋は、向かい側の高等部の部屋から丸見え。正面の部屋にいた寮長と副寮長の先輩は時々双眼鏡で覗き見をしていて、すっかり彼らがお気に入りになっていました(笑)彼らを手中におさめるべく、実際に行動を始める先輩たちですが…。

いやあ、なんというかもうツッコミ所満載なんですが、でもオカシイ作品ですね(笑)すっかり公認な下級生カップルもどうかなと思うし(笑)でも全体に和むというかコメディとして楽しめるとは思います。深く考えずに読める気楽な作品と言う感じかな?割とこういうノリは嫌いじゃないので、今後もぜひこういう軽いノリを保ちつつ、進展していって欲しいですね。

私的評価 ☆☆☆
(CD化も決定していますよね。キャストがもう発表になっているんですが、ちょっと気になるなあ…(笑))


2002年07月25日(木)   ラッフルズ・ナイト

    花丸ノベルズ   夜月桔梗:作  緋色れーいち:絵

装丁が新しくなって、新たに創刊…というか復活した、花丸ノベルズです。表題作と、ちょびっとだけリンクしている(笑)別キャラのお話とが収録されています。主人公は、やり手の社長の第一秘書として仕事をこなす青年。結婚式をあげたばかりの社長のもとに、花嫁とはサイズの違う女性モノの洋服などを届けなければならなくなります。しかし、その荷物を持っていった先で、信じられない話を聞いて…。

新花丸ノベルズの中で唯一気になって購入したのが、この夜月先生の作品だったのですが、これは多分記憶が間違っていなければ、収録されている作品どちらも同人誌で展開されたもの…のはず(^^; ひょっとしたら雑誌掲載かもしれませんが…、とりあえず初出はかなり前だったと思います。もちろん加筆訂正はあるとは思うんですが、全体に「懐かしい」イメージが(笑)ちょうど私がこういうジャンルを読みはじめたころはこういう作品が多かったなあと。そういえば表題作は、帯に「ハ−レキングロマン」と銘打たれているとおり、なんだかハーレクインもどきなお話でした(笑)

私的評価 ☆☆☆
(文庫よりはちょっとハードで大人系を目指しているのかな?というラインナップでしたが、新しい作品よりも、途中で止まっている作品をぜひとも完結させてほしいものです。)


2002年07月13日(土)   浪漫小説のように

    アクアノベルズ   遠野春日:作  鳥人ヒロミ:絵

遠野先生の貴族シリーズ(実際にシリーズなのではなく、題材として貴族ものという意味です)の最新刊です。主人公は、あまり社交界に出たがらない侯爵家の当主。こじんまりとした洋館に居を構えていますが、世話をしてくれていたばあやが辞めることになり、家政婦を募集します。その募集に答えて面接に来たのは、なんと見目麗しく、聡明な印象のある青年で…。

うーん、賛否両論かとは思いますが、私は受キャラの兄のお話はいらなかったですねえ(^^; 他の作品でもそうなんですが、どうも1冊に無理矢理のように2カップルの話が入るんですよね。できたら、せっかくらぶらぶモードになったんだから、その先の話が読みたかったなあと思うんです。私としては穏やかな主人公カップルが好きなので(笑)いろいろカップルがいるというのが面白い場合もあります。が、今回は下手に両方書いたためにどちらにも物足りなさがのこるような気がします。

私的評価 ☆☆☆
(展開の突飛さはさておいて(苦笑)とりあえず、まあまあ好きな方かなと。…が、イラストがちょっと雑な印象を受けました。でも脇キャラの絵の方が味がある気がしなくもない…(笑))


2002年07月13日(土)   やらせろっ!

    アクアノベルズ   森本あき:作  桜城やや:絵

森本先生の2冊目のアクアノベルズです。主人公は、貧乏美術専門学校生。バイトをしつつ、絵を学んでいましたが、家賃の滞納に業を煮やした大家に荷物を全て処分されてしまい、全財産が5千円というとんでもない状況に陥ってしまいます。途方にくれつつ満月をみてぼんやりと歩いていると、いきなり自転車にぶつかられてしまい、手に少々ひどい擦り傷を負ってしまいます。ぶつかってきたのは御曹子風の天然っぽい青年で、主人公は彼を利用してやろうと思い付きますが…。

あらすじだけ見れば、なんと自分勝手で鬼畜なんだ(^^;と思いますが、実際読むとそうでもないですね。キャラがけっこう天然ボケっぽかったり、鬼畜そうなことを考えてても根が善良でそうひどいことはできなかったりして、「強引な展開」にも関わらず、そういう印象は薄く、私としては苦手な展開でしたが、わりと問題なく読むことが出来ました。ただ、やたら体言止めというか短い文章が多いのが気になったなあ。

私的評価 ☆☆☆☆
(「そんなんでいいんかい!」という突っ込みはもちろんありですが(笑)でもなんだか憎めないキャラなんですよねえ。ほのぼのした作品です。)


2002年07月12日(金)   放課後のサイクロメーター

    アイスノベルズ   うえだ真由:作   やしきゆかり:絵

雑誌「小説アイス」にて前後編で掲載された学園もののお話と、その続編(短編)書き下ろしです。主人公は、気配り上手な可愛い人気者の少年。交友関係が広く、また気配りも万全なことから、よくコンパの幹事をやらされます。そんな主人公が気になっているのは、寡黙でマジメな同級生。どうやら彼女がいるらしく、コンパの誘いにも乗ったことはありません。…が、あるきっかけで彼女と別れたことを知り、どうにかして慰めたいと思った主人公は、一緒に遊びに出かけるようになりますが…。

雑誌掲載の時、タイトルは覚えてなかったけどちゃんと読んで、お気に入りにしていました(笑) なにがって主人公の気配りモードの素晴らしさが印象に残っていて、とくに雑誌掲載の後編部分でそれが顕著でしたねえ。コンパのシーンなんですが、そこが凄く印象的で、記憶に残ってました。今回も一番気になるシーンでした。…一回読んでる癖にね(笑) こういうキャラクターの行動に印象が残る場合もあるんだなあと思いつつ。全体に可愛い、一生懸命なイメージのある、そんな作品でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(私はこういう健気な作品、好きですねえ。今回は、恋人同士になってからのお話がかなり短かったんですが、できたらもっと読みたいかも…。)


2002年07月12日(金)   これがボクらの幸せなんだ

    アイスノベルズ   高月まつり:作   木村メタヲ:絵

高月先生の書き下ろしです。主人公は、生真面目なサラリーマン。ある日、自分の隣の部屋の前で、いかにも三角関係の修羅場と思われるやり取りを目撃します。関わりあいたくないと目をそらしつつ自室に入った主人公ですが、その後すぐに隣の部屋に引っ越してきたと挨拶に訪れたのは、修羅場のまっただ中にいた青年とその弟で、主人公は振り回されまくりますが…。

こういう…なんというか訳の判らない怒濤のような勢いのよさというのは、高月先生ならではな気がします。どうもこの天然タイプでしかも強引な攻を見たことがあるぞ…と思っていたら、前に2作品出ている「インダストリア」のシリーズ(…と勝手に名前をつけていますが、服飾関連シリーズがあるんです。気になる方はまた補足しますのでBBSで質問してね)に似てるんだなあと気がついて、気がついたとたんに、攻が実はインダストリアに勤めていたという記述が(笑) やっぱりあれは社風なのかな(笑)この服飾関連シリーズが好きな方には同系統ということでオススメです。

私的評価 ☆☆☆☆
(気楽にわははと笑いたい方で、ガタイのいい受がオッケーな人に(笑) ツッコミ所はありますが、全体に楽しい作品でした。)


2002年07月05日(金)   黄金の拍車

  X文庫ホワイトハート  駒崎優:作  岩崎美奈子:絵

「足のない獅子」シリーズが、一段落し、新しいシリーズ名でシリーズ再開になりました。新しいシリーズ名は「黄金の拍車」とのことです。主人公リチャードは、前シリーズにて騎士として一人立ちをし、悪徳領主だった隣の領地を継いで一城の主となります。しかしやはりそう簡単に落ち着くことはできず、問題が山積みで…。

リチャードもギルフォードも、相変わらずで嬉しいです(笑)まあ、形は一城の主とはいえ、前の領主が領主ですし(笑)苦労性なリチャードがやはり苦労してるのは笑えるやら可哀想やら(笑)ギルフォードもなぜか隣の領地まで遠征してきて事件解決してるし、「なーんだ、変わらないんじゃん(笑)」とホッとしているのでした。逆に、主となったからこその面白さも出てきたらいいなと思いつつ。シリーズ続巻をたのしみにしています。

私的評価 ☆☆☆☆
(かなり後発でハマったシリーズですが、ハマってよかった(笑) リチャードがキレて脅しをかけるシーンなんかめちゃめちゃ好きです。)


2002年07月05日(金)   犬神奇談

  X文庫ホワイトハート  椹野道流:作  あかま日砂紀:絵

奇談シリーズの最新刊は、 敏生の寄宿学校時代のルームメイトが出てきます。敏生の過去を垣間見ることができる作品になっています。敏生と天本は、事件を解決してホッと一息つき、「琴平温泉」という温泉地へ出かけることになりました。そこでばったり出会ったのは、敏生の寄宿学校時代のルームメイトであり、親友だった青年。久々の再会を喜びあう二人ですが、敏生と天本は、その青年から不思議な相談を受けて…。

「敏生くんもちゃんと成長してるんだなあ〜(しみじみ)」という1冊でした(笑)頑張ってて健気な親友くんもいい感じだし、ちゃんと敏生くんを理解してフォローし、自分も頼ろうと思えるようになった天本さんも素敵です。…というか、天本さん、最初のクールっぷりはどこへ…(笑)龍村さんも相変わらずで、楽しく和みつつ読みました。天本父は脅威だけど、それに負けずに頑張って欲しいですねえ。

私的評価 ☆☆☆☆
(犬神というとおそろしげですが、敏生の見た健気な犬の姿もたまらんものがあります。良かったなあとしみじみ思えるのはやはり犬好きだからでしょうか(笑))


2002年07月05日(金)   矢 −ARROW−

  X文庫ホワイトハート  柏枝真郷:作  茶屋町勝呂:絵

硝子の街にてシリーズの11巻です。前作でようやく大きな壁を乗り越えたシドニーとノブですが、…なんだか相変わらずな気がしないでもない…(笑) 今回は、ヘンリーとケイトの子供の出産に絡んで、差別や虐待などのテーマにも少し触れられていて、ちょっとテーマとしては重かったかなあ(^^; すっかり居住スペースを2人一緒にしてしまったノブたちは、穏やかな日々を過ごしています。そんな彼らのもとに「ヘンリーの養父が逮捕された」という知らせが飛び込んできて…。

テーマがテーマだけに、個人的にはもうちょっと突っ込んで書いて欲しかったかなあという気持ちもあるんですが、まあ、メインはシドニーとノブだからしょうがないですな(笑)それを書いてたら2人の話なんか書けないもんなあ…。何気なく2人がいい雰囲気でいてくれたので、とても幸せな作品でもありました。…次の巻ではなにやら波瀾が待ち受けてそうなので、ドキドキなんですが…次はいつなのかなあ。

私的評価 ☆☆☆☆★
(次への引きがかなり強い作品です(笑)最後の1シーンだけでもう「早く次を!」って思っちゃった(^^; 今回は小休止編だったのかも?)


2002年07月02日(火)   不忍の恋 慕情街道 1

   パレット文庫   たけうちりうと:作  今市子:絵

たけうち先生の新シリーズは、こゆるぎ探偵シリーズよりもまだ少し前の時代のお話。主人公は、田舎の海沿いの街で生まれ育った、人よりも2テンポほど反応が遅い(笑)天然な少年。絵を描くことが好きで、その力量を認められ、資産家の元へ書生として迎えられます。その資産家と親しくしている青年がいて、彼は実験好きで面白いことも大好きな豪放磊落な性格です。資産家から少年の世話を頼まれた青年は…。

こゆるぎ探偵シリーズと微妙に登場人物が被っています。…とはいえ、本当に被ってるのは名前だけだなあ(^^; 年代が一世代前になるので、こゆるぎのメンバーは出てきませんが、同じような作品のカラーです。これからシリーズとして何冊か出るようで、今回の進展は期待していたほどではなかったんですが、次に繋がる、いい雰囲気の作品でした。これからのシリーズがとても楽しみな作品です。

私的評価 ☆☆☆☆★
(たけうち先生の作品は、視点がちょっと他の作家さんとは異なっていたりして、それが私のツボでもあるのだと思います。)


2002年07月01日(月)   愛される人に告ぐ

    drapコミックス     日下孝秋:絵

雑誌drapで掲載されていた、美術系の学校に通う一人暮らしの学生と、その学生が事故にあった直後に居合わせてしまい、ケガが治るまで身の回りの世話を頼まれバイトとして引き受けた青年とのお話です。学生は、猫を助けるために自分が事故にあってしまい、利き腕を骨折してしまいます。運悪く(笑)助けを求められてしまった青年は、ついついほっておけなくて、世話をすることを引き受けますが、なんだか可愛い顔とは裏腹に、小悪魔な顔をもっていた学生に翻弄されて…。

最初こそ、この小悪魔ちゃんにかかったら、どんな泥沼な作品なんだ?と思ってたんですが、段々と主人公の学生が人間っぽく可愛くなってきて、それがとても楽しかったです。…いや、人間というよりはネコ化か(笑) もともとシリアス絵とギャグ絵の落差が好きな作家さんなので、今回はそれが沢山あって、嬉しかったですねえ。一時期、忙しさが関係してか、絵が荒れていたように思ったんですが、最近はペースが落ち着かれたのか、それとも慣れてこられたのか、初期の絵の感じに戻られてて、それも嬉しいです。

私的評価 ☆☆☆☆
(ラストあたりのシーンや、コミックスカバ−折り返しのところの「ネコちゃん(学生キャラのあだ名)のにゃんこ化っぷり」がめちゃ好き。猫への愛が感じられます(笑))


2002年07月01日(月)   葉月物語

   SHYノベルズ   たけうちりうと:作  石原理:絵

たけうち先生の時代モノネタです。江戸時代中期をイメージしていただけると一番しっくりくるかな。主人公は、郭にちょっかいを出しにくる風来坊な何でも屋の青年。太夫も裸足で逃げ出しそうな美貌を持っていますが、性格は破天荒で陽気です。そんな彼はなんでも引き受ける何でも屋を営むことで日々の生活を過ごしています。でもどうやら彼の過去には裏があるようで…。

いやあ、時代物コメディって感じですね。単純に可笑しい作品でした。正直言えば、主人公がなんでそこまで相手に惹かれるのかはイマイチ理解し難かったんですが(苦笑)まあ、こういう朴訥な「世間ずれしてない」のが良かったのかなあとか思いつつ。どちらかというと「恋愛」よりも、主人公の活躍っぷりと、相手キャラの天然ボケっぷりを楽しむという感じの作品になってます。恋愛がいい!という人より笑いたい人にオススメかなあ。

私的評価 ☆☆☆★
(たけうち先生らしさはそのままに、時代物としてもわりと楽しめたので私は好きです。ただ、許容できる人は限られそうな感じもします(苦笑))


2002年07月01日(月)   身勝手な爪あと

   ルビー文庫    きたざわ尋子:作  佐々成美:絵

「身勝手なくちづけ」の続編にあたります。主人公は、複雑な環境に育った少年。前作にて父親の庇護のもとに生活することになり、義理の母親にあたる父の正妻に狙われてしまいました。無事に助け出され、助けてくれた弁護士の青年と恋に落ちて、ラブラブな生活を過ごす彼らですが、やはりそうすぐに落ち着くわけはなくて、今度は弁護士の青年の方にトラブルが舞い込んできますが…。

うーん、前作もそうだったんですが、今回もなんだかインパクトの弱い作品というイメージですね。なんでかなあと思いつつ読んでいました。やはり受キャラがけっこう「あるがままに受け入れる」タイプで、起伏がないから、そのあたりが原因なのかもなあ(^^; それと、「そこまでやらなくてもいいだろうに(苦笑)」という感じもある…(^^; テンポが悪いわけではないので、単に好みの問題なんでしょうねえ…。

私的評価 ☆☆★
(見た目受キャラがかなりショタくさいので、もうちょっと大人っぽい高校生として、描いて欲しかったかな…と思ったりもしました。それも好みから外れてたのかな。)


2002年07月01日(月)   きみは不敵なアフロディテ

    ルビー文庫   春原いずみ:作  高久尚子:絵

ルビー文庫の医者モノシリーズの2冊目です。「すれちがいの純情」シリーズの別キャラ話でもあるのですが、時系列としてはこちらが先なのと、キャラクターがあまりにも違いすぎる気がするので(笑)別モノとして読んだ方がいいかもしれない…。主人公は医者の一族に生まれたある意味お坊ちゃまな外科医。前作にて魔性の内科医(笑)に魅了され、翻弄されまくっています。ある日いきなり主人公の弟がやってきて…。

うーん、私にとって春原先生のイメージはどちらかというと「静」なんですが、この作品に関してだけは「動」のイメージの強いシリーズですよねえ。面白いんだけど、ちょっとやりすぎ感があるというか(^^;前シリーズのキャラの方が好きなもので、違和感が辛いです。まあ、いろいろ乗り越えて、ある程度穏やかな前シリーズの性格に落ち着いた…という風に考えられなくもないんですが、まるでこれではパラレルワールドを読んでいるようです。もうちょっと話が進んできたら判ってくるのかなあ…(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(嫌いじゃないし、とっても面白いんですよ?でも違和感もあるんだよなあ。キャラクターのイメージがあると、難しいですね。)