2002年9月のレビュー

 


2002年09月28日(土)   妖魔なオレ様と下僕な僕

   アズノベルズ   椹野道流:作  唯月一:絵

イーストプレスから、新しいノベルズレーベルが誕生しました。AからZまで、というのとアズライトという宝石をかけてる…らしいです。記念すべき創刊のラインナップのうち1冊が、この椹野先生の作品。…いや、タイトルだけ見た時は、「…マジ?(^^;」と思いましたが、やはりそこはちゃんと椹野先生らしい作品でホッとしました。主人公は、苦労しながら大学受験を目指している予備校生。…しかし不幸の風は続いてやってきてしまうもので、大学の不合格、バイトをくびになる、あげくの果てには事故にあって瀕死の状態になってしまいます。虫の息の主人公の前に現れたのは自分を妖魔だという美形の青年で…。

基本的に、妖魔が出て来たらもうファンタジーですよね(笑)まずそれを頭に入れて読んでいただければ、多少のつっこみ所も気になりません。ほんとにオレ様な妖魔なんですが、それでも時々妙に人間臭いことを言ったりやったり。下手な人間よりよっぽど人間らしいわ(笑) なんだかこいちろが別シリーズに出張してるような錯覚を覚えたのはきっと私だけではないでしょう。まだシリーズとして続くようなので、これから2人がどういう風に関係を築いていくのかがとても楽しみです。

私的評価 ☆☆☆☆
(導入編といっても差し支えないような感じで、恋愛にもまだ発展していなくて、ちょっと物足りない部分もありますが、それでもやはり椹野先生が好きな私には満足な1冊でした。)


2002年09月27日(金)   醜聞(スキャンダル)!? 広告(コマーシャル)!?

   シャレード文庫  魔鬼砂夜花:作  暮越咲耶:絵

最初はたしか先月か先々月に予告が上がっていたんですが、発売が遅れました。発売に合わせてサイン会も開催され、けっこう上昇気流に乗ってる(笑)感じのアクト&メイドシリーズです。雑誌シャレードに掲載された作品3編分と、そのサイドスト−リ−風な、敏腕マネージャーの鳥羽の暗躍(笑)の書き下ろしが収録されています。相変わらず噛み合わない会話と意志の疎通のなさを抱えつつ、江坂に口説かれている稔ですが、ある休みの日、いきなり江坂から「キャンプに行こう」と誘われ、沢山の報道陣を引き連れて移動して…。

雑誌掲載の分はもう読んで知っているので、やはり感動が薄いな(^^; あまりにキリよく2巻と3巻にわかれてるせいもあって、なんでいきなりキャンプなんだったっけ…(^^;と思い出すのにちょっと時間が(笑)段々と江坂のやり方に慣れて来てしまっているヤバイ稔ですが、今回はまあ江坂を持ち上げようキャンペーン中ということで(笑)(←そんなもんやってません(笑))次巻では、意外な江坂家の真実が明らかになるので、ある意味中次ぎという感じの1冊になりました。

私的評価 ☆☆☆★
(稔の態度にも賛否両論はあると思いますが、私はけっこう好きです。…だって、ちゃんと男の子っぽい思考回路してるんだよ…?)


2002年09月27日(金)   負けてたまるか!

   キャラ文庫   火崎勇:作   史堂櫂:絵

火崎先生の新刊は、全編書き下ろしです。主人公は、資産家の道楽息子。さまざまな事情もあり、身勝手な父に対して反発も抱いていて、全く家とは関係のない副業をやって、表面上はフリーターとしてふらふらしています。そんな彼の前に、腹違いの弟だという青年が現れます。その青年は父の命により一緒に暮らすことになりますが、実は以前主人公はその青年を見かけたことがあり、一目惚れに近い印象を抱いていて、なんとかして2人の間にある確執を取り除きたいと思いますが…。

ある意味主人公キャラの成長物語という感じですね。最初は根無し草っぽくふらふらしていた主人公が、腹違いの弟に出会い、恋をして自分の足元を固める決心をするので、なんだか恋愛というよりもそっちの方が気になってしまいます(笑)恋愛として読めば焦れったいし強引だしなんだかなあという部分がかなりあるんですが、でもポイントが恋愛オンリーではないから全然気にならない。もう一つ追加するなら、ふらふらしていても仕事はちゃんとやる主人公は、はやり働くおにーさんでかっこいいです(笑)…でももっと男前なのは受キャラか(笑)けっこう楽しめた作品ですが、恋愛部分を重点的に読みたい人はちょっと物足りない…かな?

私的評価 ☆☆☆★
(特殊なお仕事系なのですが、今回火崎先生的にはその仕事の内容を思ったよりも入れられなかったらしい。…ぜひ続編なんかで書いて、さらに仕事を頑張るおにーさんを読ませて欲しいです。)


2002年09月27日(金)   視線のジレンマ

   キャラ文庫   水無月さらら:作   Lee:絵

小説キャラに掲載されたデパートを舞台にした働くおにーさんたちのお話と、その続編書き下ろしです。主人公は、デパートに入っている有名ブランドのテナントの副店長をしている美形でやり手の青年。同じフロアにいる同じくハンサムな青年に熱いまなざしを向けられています。いろいろな競争意識とかもあり、ライバル心をかきたてられてしまう主人公ですが…。

やはり、学園ものより、こういうサラリーマン系のお話の方が好きだなーと思いました。基本的に私は働くおにーさんは好きなんだな(笑)ただ、設定自体が突飛な部分があって「おいおい(^^;」と思うシーンもある(^^; でも全体にわりと楽しんで読めました。けっこう水無月先生の作品は、続編で肩透かしだったりするのがここ最近多かったんですが、これはそんな展開ではなくてホッとしました(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(ただ、デパートモノとしては、なんというかあざとい客商売と言う感じであんまりいい感じしなかったんだよな…(笑)…というかそんな所まで気にして読んじゃダメですな(^^;)


2002年09月27日(金)   ご自慢のレシピ

   キャラ文庫   桜木知沙子:作   椎名咲月:絵

キャラセレクションに掲載された表題作と、その続編書き下ろしです。主人公は、母が開いている料理教室のアシスタントをしている大学生。いつもはそんなに頻繁には手伝っていないのですが、本来のアシスタント役の姉が妊娠し、手伝えなくなったため、初心者コースなども手伝うことになります。そのコースで、見事なほどの無器用さを発揮している1人のハンサムな作家志望の青年がいて、呆れつつもどうにも気になる主人公ですが…。

雑誌掲載時にも、可愛いお話だよな〜と思って読んでいました。視点が大学生側なので、もうちょっと相手側の気持ちが判ればもっと面白かったのかなと思いつつ。ちょっとおマヌケ風な攻キャラがツボでした。ただ、主人公がわりと思い込み激しくてグルグルしちゃってるので、もっと男らしく(笑)思い切りが良かったらもっと嬉しかったなあ。イラストがめちゃめちゃ可愛くて、和む1冊でした。

私的評価 ☆☆☆★
(攻キャラが作家を目指すきっかけというのが、なんだか私の子供時代と似ていて(笑)共感もかなりありました。…でも私は別に創作意欲は湧かなかったぞ(^^;)


2002年09月26日(木)   少年☆周波数 〜王様の棋譜〜 6

    あすかCL-DXコミックス    佐久間智代:絵

珍しいことにコミックス三連発(笑) 最終回を迎えたことは聞いていたけど、これもコミックス待ちだった「少年☆周波数」の最終巻です。主人公の入江くんは、覇王戦の挑戦者を目指し将棋三昧な日々をすごしています。自分の出生の秘密をしり、プライベートでの騒ぎもあり、精神的に追い詰められた日々を過ごす主人公ですが…。

「いやー!!!!!」…というのが読了後の感想でございました。めっちゃネタバレなので、なにがどうなのかは絶対書けません、ええ、書けませんとも!(T_T) あまりにショックがでかくて、友人に嘆いたら「だから覚悟しときって言ったじゃない」とつっこまれました…。いや、まさかその展開とは思ってもみなくて…(T_T) シリーズ途中でかなり中だるみな感じにもなっていたし、どう収拾つけるんだろうなあと心配になっていたのは事実なんですが…。彼らが2人で棋界を牛耳る姿が見たかったと思うのは読者のわがままなんでしょうかねえ…(T_T)

私的評価 ☆☆☆★
(めっちゃめちゃ禁じ手なエンディングだったので、なんかもうコメントのしようがないです。…こんなレビュー書きにくい本はじめてかも…。とりあえず、気になる方は「読んで下さい!」…これしか言えません。)


2002年09月25日(水)   お手討ち覚悟!

    キャラコミックス    嶋田尚未:絵

キャラとキャラセレクションに連載されていた、学園生徒会もののお話と、書き下ろしで続編&あとがきが掲載されています。その学園の生徒会長は、なんと理事長の指名制で、特権をほしいままにすることができるらしいです(笑) 主人公は、小動物系なあまり目立たない一生懸命タイプな高校生。カリスマとも言われている同級生の生徒会副会長に憧れの気持ちをほんのり抱いていた彼が、なぜか理事長の指名を受けて、生徒会長になってしまいますが…。

突飛な設定ですなあ(笑)話の流れとかは、好みからは外れていたんですが、でもやっぱりツボな絵が沢山あるんだよなあ…(笑)「うさ太郎」のころからこういうミニキャラとか小動物イラストには弱いので(^^;お話よりも絵で楽しんでいました…。すいません邪道で(苦笑) あと、書き下ろしあとがきが一番笑った…(笑)ナイスだ嶋田先生と担当さん!(笑)毎度笑わせて頂いてますが、今回が一番わらいました。

私的評価 ☆☆☆
(あとがき見て「いや、私は別に誉めない(苦笑)」と思った人ここに約1名(笑)さて、ほんとにほめる人の方が多いのかしら(^^;)


2002年09月25日(水)   西洋骨董洋菓子店 4

    ウィングスコミックス    よしながふみ:絵

気がついたらすでに本誌では掲載が終了していたという(笑)ドラマにもなって話題満載だった「西洋骨董洋菓子店」の最終巻が発売になりました。基本的にマンガ雑誌はほとんど買ってないので、この作品もコミックス買いで、全くラストは知らない状態で、どういうふうに終止符が打たれるのかなとどきどきものでした(笑) 過去、橘が誘拐されたことがある、というのがここにきてクローズアップされて、同じような少年の誘拐殺人事件が起こってしまいますが…。

えらくシリアスなお話になってしまってますね(笑)それまでのギャグとしか思えない展開とはうらはらで、びっくりしました。でも、ある意味橘がようやく呪縛されていた何かから抜けだせたストーリーなので、やっと主役らしくなった(笑)という印象もあります。相変わらずな彼らが、ちゃんと今もアンティークでケーキ作って、売って、笑ってるのかな…と思えるラストで、私としては大満足でした。余韻があってよかったと思う、うん。続きものという感じは正直あんまりしない作品ですが、それでもやはり4冊揃えて読むと感慨もあるかもしれない。まだ読んでない人は、ぜひ一度御一読を(^^)

私的評価 ☆☆☆☆
(勢いは1冊目が一番あったとは思うんですが…(笑) オーナーが好きな私には嬉しいラストでした(^^))


2002年09月19日(木)   唇でとかしたい

    花丸文庫   きたざわ尋子:作  赤坂RAM:絵

私のお気に入りシリーズでもある、だまされたいシリーズの最新刊です。前作にて主人公田村深里は恋人であり義兄である片瀬の籍に入ったので、今回から一人称が「田村」ではなく「深里」になっています。…まあ、当たり前ですね(^^; やっぱり相変わらずトラブル体質な深里ですが、今回は前作で困ったことをしてくれたキャラがまたもや再登場して深里にちょっかいをだしまくりますが…。

いろんな意味で深里成長の巻でしたね(笑) 籍に入ったということもあるんでしょうけれども、ちょっと今までの作品とは違った感じで読めました。片瀬も深里に関することだけはやっぱりクールでは居られなくて(笑)その落差が好きですね。少しずつ片瀬のこともわかってくる深里が可愛いので、ぜひぜひもっとラブラブになって欲しいなと思います。

私的評価 ☆☆☆☆
(ラストの赤坂先生のコメントイラストで、受キャラ2人が犬猫風にデフォルメされてて、それがめちゃめちゃ可愛かったんです〜。これ、絶対お持ち帰りしたーい!…これって片瀬な発想かしら…(笑))


2002年09月19日(木)   勝手にしやがれ!ろくでなし

  ビーボーイノベルズ  ふゆの仁子:作  やまねあやの:絵

ふゆの先生のろくでなしシリーズの2冊目にあたります。司法試験を受験しているやり手弁護士の息子と、前作にて意外なところで出会い恋に落ちた何でも屋っぽい青年とのお話の続きで、今回もまたトラブルに巻き込まれますが…。

「うーん、なんだあ(^^; 今回でも終わりじゃないんだ〜(^^;」と思った作品。前作はまあ、出会い編ということで、わりとゆったり話が進んでも納得できたんですが、今回でじゃあ何が進展したのかというとほとんど進展してない気がするんだよなあ…(^^; 私がキャラクターに対してとくに思い入れがないぶん余計に焦れったいというか(^^; 前振りばかりで、どうこれが収集つくのかなあと心配になります(苦笑)あと、主人公の御曹子くん、学習能力なさすぎて泣けて来ますな(^^;

私的評価 ☆☆★
(同じシリーズものなら、別キャラの方がまだ面白いような気がする。キャラのインパクトの強さの問題かも。)


2002年09月19日(木)   大統領はがまんできない

  ビーボーイノベルズ  水上ルイ:作  藤井咲耶:絵

ここ数日ずっと新刊がなくてフラストレーションがたまっていたからでしょうか、衝動的に買ってしまいました(^^; ここのところシリーズもの以外、見事にはずれまくっていたのに…(^^; 今回はある国の大統領と、その大統領官邸へ観光に来てついつい立ち入り禁止の区域へ足を踏み入れてしまった旅の途中の大学生とのお話です。ふらふらと立ち入り禁止の場所へ入りスパイの嫌疑をかけられてしまった青年は、尋問を受けます。なんとその尋問を担当したのは憧れの大統領本人で…。

…これ、アメリカから訴えられたりしないのかな(^^; と思わず心配になった作品でした。官邸の名前はブラウンハウス(笑)だし、国防省は「ヘキサゴン」っていうらしいし…もう、なんだか「…全部名前変えてみただけっぽい…(T_T)」と脱力の嵐。パターンもまた視点が入れ代わる今まで通りの展開で、御都合主義の連続でした。なんだかほんとにテンプレートが用意されてるのかなあ(^^;と真剣に思ったです。…そろそろ諦め時なんだろうか…。

私的評価 ☆★
(けっこう初期から楽しんでいた作家さんだけに、最近の状況は悲しいものがあります。…いくらなんでも前はもうちょっと内容があったのにね(^^;)


2002年09月17日(火)   恋愛個人教授

   ジーンノベルズ  嶋田まな海:作  富士山ひょうた:絵

本屋で出ているのに気がついて手にとった予定外な買い物(笑)(ジーンノベルズは日常チェックしてないので(^^;)主人公は、教授と不倫をしている大学生。わりといいように使われている感じもあって、自分でもそれをわかっていますが、自分の性癖も理解しているのでしょうがないなと思っています。ある時、主人公は教授に頼み込まれ、教授の甥にあたる高校生の家庭教師をすることになりますが…。

ここ数冊はわりと弾けたコメディチックな作品が中心だったのですが、今回のはシリアス調で、とっても私の好みでした(笑) 途中「おいおい(^^;」と思う展開はあったけど、でも全体に無理なくスムーズにお話が進んで行ったのと、主人公とその相手の気持ちの流れも自然で、読んでいて和む作品でした。一途で一生懸命なところがあるキャラが魅力的。ちょっとオススメしたい作品かも。

私的評価 ☆☆☆★
(ひょうた先生のイラストも、かっこいいです〜。なんというかちゃんと「男」っぽくていいんですよね(^^)予定外で嬉しい買い物になりました(笑))


2002年09月15日(日)   いけないエグゼクティヴ

   リーフノベルズ   水上ルイ:作   蓮川愛:絵

あらすじとタイトルからなんとなく内容の想像はついたものの、イラスト効果とどうやら他の作品に出て来たキャラらしいということで手に取りました。主人公は、大学につとめる心理学を専攻している講師と、その同級生であり過去仲良くしていた財閥の御曹子。御曹子の告白により2人は離れる結果となり、長い間音信不通のままでいたものの、お互い相手のことが忘れられなくて…。

主人公カップルは全然他の作品とは関係なかったんですが、御曹子の兄のカップルが今までに出て来てたようですね。…また脇キャラの方が好みだったなあ…(^^; 作品としてもやはりパターン通りという感じで、ただ今回は脇キャラの話(これがリーフFC会誌の再録だったようですが)も収録されていたため、短かめで余計に物足りないというか消化不良な感じでした。…いい加減パターン変えてもいいと思うんですが(^^; 視点が入れ代わるのもちょっと飽きて来たなあ…。

私的評価 ☆☆★
(イラストは素敵でした。やっぱり蓮川先生のイラストは好きだなあ〜。…さて、この脇キャラ、進展するんでしょうかねえ…。)


2002年09月13日(金)   隻手の声

   講談社ノベルズ    椹野道流:作

うっかり発売日を間違えてゲットしそこねるところでした(^^; 椹野先生の法医学教室モノの最新刊です。今回はまるで2つのストーリーが同時展開しているような印象を受けました。主人公の伊月はまだまだひよっこで、教授と先輩のミチルさんにこき使われつつ(笑)忙しい日々を過ごしていますが…。

うーん、あらすじを書こうと思うとどうにもネタバレになりそうで(^^;ついついこんな簡略な書き方になってしまいました。今回も龍村先生がゲスト出演していて、奇談とはまた違った顔を見せてくれて(仕事モードって感じかしら)楽しい作品でもありました。いろいろ今ならではの内容が盛り込まれていて、共感する部分が多かったです。そういえば、今回のタイトルにもなっている「隻手の声」は禅宗の問答として有名で、私も知ってるんですが、どうも私が知っているのとは解釈が違ってたな(^^; 文中に出てくる説明ではなく、今回のオチこそが「隻手の声」の意味だと思ってたのでびっくりでした。

私的評価 ☆☆☆☆
(人の死という重いテーマが避けて通れないこのシリーズですが、だからこその作品の重みと、そこから読み取れるメッセージは大切にしないとなあと思います。)


2002年09月11日(水)   セカンド・ラブ

   アイスノベルズ   葉澄梢子:作  高宮東:絵

小説アイスに掲載されたお話と、その別キャラのお話の書き下ろしが収録されています。少し発売が遅れましたが、無事に刊行されました。主人公は高校時代に少々問題のある相手と辛い恋を経験していた大学生。押しの強そうな大学の先輩に付き合いたいと言われ、じゃあ試しに…という感じで受け入れた主人公ですが、居心地のいい関係に幸せな日々を過ごしています。そんな彼らの前に主人公の元恋人が現れて…。

これ、雑誌掲載の時にも読んでいて、話の雰囲気が落ち着いていて割と好みだったんですよね。…ただ、どうにも元恋人がやることも性格も強引で感じ悪くて(笑)そこだけが好きになれなかったんですが…やっぱりノベルズで読んでもそうだったなあと…(笑)(←内容一緒なんだから当たり前ですが)で、おまけにその元恋人の恋愛を描いたのが書き下ろしのお話なもので(^^; 申し訳ないけど「…それよりも続編を…(T_T)」と思ってしまいました。いくら書き下ろしで幸せになろうとも、それで性格が変わろうとも、本編での所業の記憶はどうにも消し去れませんでした…(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(これもやはりキャラクターの好みかな(^^; 主人公カップルはめちゃめちゃ好きなんですが…。)


2002年09月03日(火)   異邦人の恋

   パレット文庫   たけうちりうと:作  今市子:絵

たけうち先生の時代ものシリーズの2巻目です。主人公は、超天然タイプの画家を目指す青年。資産家の家に書生として住み込んでいますが、どちらかというと「お世話になっている」感じ(笑)そんな彼に惹かれ、世話を焼いているのは古美術商の息子。ほのぼのとした愛情を暖めています。そんな彼らに台風のような出来事が訪れます。いきなり彼らの元を訪れたのは、有力者らしいヘンな外国人。噛み合わない会話をしながら騒ぎつつ日々をすごす彼らですが…。

うーん、凄く好きなんだけど、やっぱりこのやかましい外国人だけはどうにも違和感でしたねえ。…いや、話の筋からすれば、いないといけないキャラだと思うんですよ。ただ好きになれないだけで(爆)個人的な問題ですね。もうちょっとしっとりとしたお話でいて欲しかったかなと思います。でもラストあたりはちゃんとしっとり(笑)落ち着いた雰囲気で楽しめました。発展したのかしていないのか、微妙な感じの彼らの関係ですが、そうあけっぴろげではない、控えめな表現というのも色っぽいかもしれないなと思います。

私的評価 ☆☆☆★
(前のこゆるぎに出て来たキャラが、次の巻(があれば)には出て来そうなので、ちょっと楽しみ。まだまだ続いて欲しい作品です。)


2002年09月03日(火)   ルナティック・ラブ

   コバルト文庫   藤堂夏央:作   立野真琴:絵

藤堂先生の新シリーズは、アジア系の国を舞台にしたアクションラブストーリー(笑)です。その国では、南北ではっきりと貧富の差が出ていて、南部地域では2つの組織がしのぎを削り、自分達の縄張りを広げようと抗争が後をたちません。主人公は、そんな南部に住む1人の可愛い少年。養父に強制されて身体を売っていた彼は、見初められて南部の組織の1つを束ねるトップの青年の愛人となります。身体だけの関係ではなく、身を守るための護身術や知識などさまざまなことを教えられる主人公ですが…。

うーん、なんだか消化不良な印象。同人誌の再録とかリライトではないので、初めて読むしそういう退屈さはないんですが、組織の説明とか周りの状況の説明ばかりに重点が置かれていて、キャラクターの説明が物足りないのか、キャラがちゃんと自分の中で想像できないんですよねえ。…しかも話終わってないし(まだまだ続きそうな感じ(^^;)どうやら次の予定は雑誌掲載以降はまだ決まってないようだし(^^; 続き物苦手な方は次が出てからにした方がいいでしょう。とりあえずとっても導入編な1冊でした(笑)

私的評価 ☆☆★
(頭の中で思い描ける世界観が壮大で、だからこそキャラクターの説明ももっとあって欲しかったのかも。組織ものはけっこうイイと思うけど、ちょっといくらなんでもわかりにくかったです。)


2002年09月01日(日)   生徒会長なんか大キライ!!

   リーフノベルズ   森本あき:作  かんべあきら:絵

森本先生の新作は、学園ものです。主人公は、元気が取り柄の可愛い高校生。容姿の割には口が悪くて手の早いタイプです。同級生で生徒会長を勤める優等生の指名で、なぜか副会長をやらされるはめになり、しかも書記と会計不在という2人だけの生徒会がスタートします。デキる生徒会長は、人当たりのよさそうな外面のくせにいじわるで、仕事を山ほどやらされたりと大変な目にあう主人公ですが…。

うーーん(^^; 少し前までなら、森本先生の作品は愛情にあふれていて、少なくともいじめまくるキャラってそう多くなかったとおもうんですが、ここ最近ずっと「いじめる」というのが楽しいのかな(^^;今回もそこまでしなくても…というぐらい手をかえ品をかえ、いろいろやられてて(^^;「そこに愛は本当にあるんだろうか」と疑問を抱いてしまいました。ちょっと残念な作品でしたね。

私的評価 ☆☆
(最近のいじめっぷりにはあんまり愛が感じられないのです(^^; いじめる方が楽しそうで、愛情とどっちが主なのか判らない(^^; そしてそんなキャラの気持ちはどうにも理解し難いんですな(^^;)


2002年09月01日(日)   茅島氏の優雅な生活 3

   リーフノベルズ   遠野春日:作   史堂櫂:絵

茅島氏シリーズの最新巻は、どうやら半分が同人誌の再録のようです(^^;(←私は読んでませんが(^^;) 主人公は茅島氏の恋人であり、庭師の青年。これで3作目ですが、まだ名前は出て来ません。一応このシリーズの一番の特徴がこれなんですが、そろそろ辛くなってきたかなーと思いつつ(笑)庭師の青年が実家に帰ることになり、しばらく休暇を貰いますが、なんと茅島氏は衝動的に庭師についてきてしまって…。

かなり庭師の青年の名前が出ない所に無理が生じてる気がしますなあ(^^; あと、どうしても視点が難しくなるからでしょうか、話がかなりワンパターンになってしまってるので、いい加減ちょっと食傷気味かなあ…。別のリーフノベルズの主役キャラが出て来たりもしましたが、読んでない人には「誰これ?」って感じですし(苦笑) 最初こそこの試みは面白く感じたんですが、冊数を追うごとにどんどん魅力が減って行く気がして、ちょっと残念です。

私的評価 ☆☆★
(どれが同人誌の再録なのかは知らないんですが、半分はちょっと辛いな(^^; 再録もほどほどにしてもらえたらなあと思います。)


2002年09月01日(日)   誘惑すんなよ!

    ルビー文庫    鹿住槇:作   沢路きえ:絵

鹿住先生のひさしぶりの書き下ろしのルビー文庫です。主人公は、ゲイである自分の性癖を自覚し、同級生に思いを寄せている高校生。思いを寄せている相手は親友でもあり、思いを寄せることと右手の貸しあい程度のスキンシップは許してくれていますが、それでも時々思いが受け入れられない絶望ともどかしさを抱えています。ある日、その相手の家へ一緒にいった主人公は、2人きりになりたいと思っていたのに、相手の姉の友人たちが沢山来ていて、うやむやのうちに一緒に飲み会になってしまいがっかり。長居せずにすぐに帰ろうとしますが、送ってくれた初対面の男にいきなり迫られて…。

うーん、なんだか微妙に好みと外れていた気がします(^^; あまりに中途半端なところがあるのがどうかなと思った原因。主人公と親友との関係が納得できないんですな(^^; というか親友が無神経というか…(^^;まあ、そのみたされない思いがあってこそのストーリーなんですけど、でもなあ…。後から現れた相手キャラも、かなり強引で、主人公の気持ちがちょっとおいてけぼりな感じで、それも気になったし。ようはどうにもキャラクターが馴染めなかったということでしょうか。

私的評価 ☆☆★
(ストーリーとしてはテンポもよかったし、わりとスムーズに読めたんですが…。好みって難しいよなあ(^^;)


2002年09月01日(日)   寮長様と秘密の契約

    ルビー文庫    水壬楓子:作   せら:絵

手に取る時に、「…このタイトルは…(^^;」と一瞬躊躇した(笑)水壬先生の新刊です。主人公は、一途で一生懸命な感じの高校生。一応レストランチェーンをしている会社社長の1人息子で、勉強も財力もハイレベルな学校に通っていましたが、父の会社が倒産し、彼も学校を辞めなければいけないだろうと思っていた所、学校側から、ある条件を出され、その条件さえOKできれば、学校に残っていいといわれます。その条件とは、入寮が制限されて特定の人しか入れないという寮に住み込み、中の雑用を引き受けるというもので…。

正直、タイトルと裏のあらすじで「どんな話なんだ…(^^;」と思ってかなり購入を躊躇した作品でした(笑)が、やはり水壬先生らしいというか、ちゃんと地に足がついた作品で、結構読みごたえもあって面白く読めたので、ホッとしました(笑) まあ、ところどころ「そんな高校生いたらやだよ(^^;」とか、思うことは多々ありますが(笑)それでも、やはり全体のテンポがいいのと、主人公の一生懸命さが可愛いのとで、そのへんは気にならなくなるかな?

私的評価 ☆☆☆★
(思っていたほどには心配いらなかったなあ(笑)と思いつつ、それでももうちょっと読みたかった気もする。文庫だとやはり短いのだろうか(^^;)