2003年1月のレビュー

 


2003年01月30日(木)   夢中にさせて、させないで。

   ルビー文庫   鹿住槇:作   九条AOI:絵

鹿住先生の新作は、ゲイの自覚のある高校生と、その父親の上司にあたるサラリーマンとのお話です。主人公は、ごく普通の家庭に育った少年。自分は男にしか興味がないと自覚をしています。ある日父が部下を連れて帰ってきますが、話せば話すほど、主人公はその部下である男性に惹かれるものを感じます。そして成りゆきで関係を持つことになった2人ですが…。

鹿住先生の作品の中でもけっこう大人な内容(笑)かも。もちろん無理矢理でもなければ強引でもないし、でもやたら濡れ場度が高かった感じがするなあ(^^; キャラクターはちょっと受が悩むタイプなのが残念(健気で元気な方が好みなので(笑))ですが、でも全体に読みやすく楽しませて頂きました。前半よりも後半部分のほうがより好みかも。攻キャラもイイヤツで好きだなあ。

私的評価 ☆☆☆★
(さすが鹿住先生というか、安心して読めたなという印象です。)


2003年01月28日(火)   ラ・ヴィ・アン・ローズ

   キャラ文庫   徳田央生:作   史堂櫂:絵

徳田先生の2冊目のキャラ文庫は、バラの育成に携わる人々を描いたお話です。主人公は大手化粧品会社に勤める青年。バイオテクノロジーによる交配の研究をしています。研究所の先輩と付き合っていますが、そんな彼が会社や政府などが参加して行われるプロジェクトの一貫として、バラの育種会社へ研修にいくことになります。その会社でバラの育種を一手に管理しているのは天才とよばれる青年で…。

前の作品でもそうでしたが、あんまりめったに見かけないような職種のキャラを描かれる印象がつよいです(笑)今回もバラの育成という、ある意味特殊な職業でした(笑)今までに「香水会社」ネタではいくつか関連の作品は読みましたが、実際にバラを育成する事自体をここまでクローズアップしてはいなかったので、主人公たちの恋愛そっちのけでそっちばかり読んでいたりして(笑)恋愛としては、焦れったいぐらいですが、きちんと心理描写も書かれているし、納得できる流れで、とても好感の持てる作品でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(個人的に、最終的にカップルになる2人が初めて夜を共にするシーン、ちょっと気に入っています(笑)これも襲い受っていうのかしら…(笑))


2003年01月28日(火)   ロジカルな恋愛

   キャラ文庫    火崎勇:作   山守ナオコ:絵

雑誌キャラに掲載された高校生同士のお話とその続編書き下ろしです。主人公は、わりと裕福な家に生まれ、不自由のない暮らしをしている高校生。なんとなく毛色の違う同級生が気になってしょうがない主人公ですが、ある日用事で出かけた先で、その同級生が禁止されているはずのバイトをしているのをみつけます。黙っていることを交換条件にして、同級生の家に入り浸るようになりますが…。

かなりシリアスな作品で、もう1つつけ加えるなら受キャラがどうにもぐるぐる悩むタイプで(^^; なんでそんな乙女な思考回路になるのかがどうにも理解しがたかったりして(特に続編が(笑))ちょっと物足りない気持ちがありました。攻キャラも寡黙なのはいいけど、もうちょっと安心させてやれよ…(^^; まさに言葉の足りないカップルそのままという感じでした。どちらかというと、火崎先生の作品は受が元気なキャラの方が好みなので、ちょっと今回は点数辛めかなあ(^^;

私的評価 ☆☆☆
(そういえば、掲載時のタイトルは表題作ではなかったらしい。…最近キャラ文庫はそういうの多いですねえ。おかげで読んだ事がある話かどうか判別に時間がかかったりして(苦笑))


2003年01月28日(火)   FLESH&BLOOD 4

   キャラ文庫   松岡なつき:作  雪舟薫:絵

今月、一番楽しみにしていた作品です(^^)大航海時代のイギリスにタイムスリップした現代の少年の活躍を描いたお話の4冊目になります。前作でスペインと一戦交えてなんとかイギリスへと向かうことができたジェフリーと海斗たち一行。イギリス本土に辿り着き、エリザベス女王との謁見を前に、またもや難題が浮上してきて…。

海斗たちをとりまく環境はもちろん、海斗とジェフリーの関係もちょっと進展したりもして、ワクワク度はいっこうにさがらないまま(笑)楽しんで読めました。ちらほらと有名な作家や歴史上の人物が配置されているのもたのしいです。「こんなところにこんな有名人が」と思わずニヤリとしてしまいました。時代考証関係無しの(笑)現代ネタを取り入れまくっているのも、本来ならタイムスリップものでは御法度だけど、けっこう楽しめたりして。海斗の機転のよさと健気さがいい感じです。最初のわがまま風を健気度の方が上回ってきているので(笑)今後どうなるのかが凄く楽しみな作品です。また前3冊と一緒に読み返してみようかな。

私的評価 ☆☆☆☆★
(シェイクスピアはまあ判ると思うんですが、セルバンテスが来るとは思わなかったなあ…。ま、スペインといえば…という感じではありますが。エイスワンダーにも思わず笑ってしまった(笑))


2003年01月24日(金)   日が暮れても愛してる

   花丸ノベルズ   京橋ナルミ:作  蓮見桃衣:絵

最初は買うつもりがなかったんですが、ふと手にとってぱらぱらめくったら、おもいっきり地元が舞台だったので思わず買ってしまいました(笑)幼いころに父親が家を出てしまい、ずっと母子家庭で育ってきた主人公は高校3年生。いきなり訪れた弁護士に「実はお父さんは資産家のもとで小説を書いていた。しかし先日亡くなられたので、遺産を相続してほしい」といわれます。しかし主人公は自分達を捨てていった父親に対して恨みの気持ちしかなく、とんでもないとことわりますが、その資産家の息子にあたる人に、ではぜひ一度遊びに来て欲しいと言われて…。

主人公の父が亡くなるまで過ごした場所が、地元の山の上でした(笑)とりあえず、よく知っている地名が出てきたので衝動買いしてしまったのですが(笑)その割にはあんまりその場所である意味はなかったなあと内心思いつつ。複雑な家庭環境によるシリアスな部分が思っていたよりも深くて、けっこう楽しめた…のですが、やたら引っ張ったわりにはラストがちょっと物足りなかったかなあと。…なんだ、それだけかい(^^;と思ったのが正直な所です。

私的評価 ☆☆☆★
(蓮見先生のイラストが可愛いです。あと、小説内に出てくる庭園、ぜひとも見てみたいなあ…。上から(笑))


2003年01月22日(水)   わりとよくある男子高的恋愛事情 2

   ダリアコミックス   富士山ひょうた:絵

わーい、楽しみにしてました(^^)雑誌ダリアに連載されていた、普通の高校生のお話です。雑誌連載の後半部分で、カップルになった2人がちゃんと関係をもてるようになるまでの多大な紆余曲折が描かれています。それから、番外編の可愛い少年と養護教諭との話も収録されていて、ラストの書き下ろしではめっちゃめちゃ続きが気になる背の高いカップルも出てきていて、とにかく飽きない1冊です。

雑誌でほとんど読んでいた癖にまた十分に楽しめるというのは、やはり好きな作品のいいところだなあと思います。ほのぼのとした感じと、あまりに天然な受キャラに和みつつとっても楽しんで読みました。多分、まだシリーズとしては続くのだと思うんですが、とりあえず関連として、今受キャラの兄が主人公の作品が連載されています。これもかなり好み路線を走ってくれているので、楽しみなのです(^^)

私的評価 ☆☆☆☆★
(どうやら夏ごろにはCD化もされるようです。1Kアパート〜のほうでもかなり好きな感じのCDに仕上がっていたし、こちらも楽しみです。)


2003年01月21日(火)   恋する明日

   ジーンノベルズ   遠野春日:作   高群保:絵

遠野先生のジ−ンノベルズ初作品です。複雑な家庭環境を描いたお話で、シリアス系です。主人公は、普通の高校生。わりと裕福な家に生まれ、少し年が離れた2人の兄をもっています。高校受験前に母をなくし、兄たちはすでに独立しているために父親と二人暮しになります。そのころ主人公は長兄の同級生に家庭教師をしてもらっていて、とても慕っていたため、自分のうちに下宿して欲しいと望む主人公。しかしそれが思わぬ展開になり、主人公はその家庭教師と父との情事を目撃してしまいますが…。

なんだかもう、どろどろした感じの導入部分で、すっかり疲れてしまいました(^^; が、そのわりには二人とも乙女チックというか(笑)精神的には2人とも健気で、ただそれがどうにも行動と一致しないのですっきりしない感じです(苦笑)心配な気持ちをもちつつ意地っ張りで素直に動けない…というのは判るんですが、そればっかりだとちょっとなあ。その割に行動力だけはあって(笑)大人なんだか子供なんだか(^^;でも、ラストあたりでちゃんと幸せな2人が垣間見られたのは嬉しかったです。

私的評価 ☆☆★
(こういうシリアスもの(しかもかなり父親との関係が強要に近いし)はやはり苦手ならしいです。「そこまでしなくても(^^;」と思ってしまうんだな(^^;)


2003年01月17日(金)   俺サマな愛なんだ

     花丸文庫    真船るのあ:作   蓮川愛:絵

小説花丸に連載されていた作品が収録されています。学園モノのお話です。主人公は、タイトル通りに「俺サマな性格」の美形な3年生。言い寄ってくる連中を相手に、跡取りにならされている柔術をつかって痛めつけてストレス発散をしているという彼ですが、弟をなにより可愛がっています。その弟の同級生として知り合ったのは、天才児として有名な新入生で、猛アタックをされた主人公は…。

この作品のためだけに、他に読むものがない小説花丸を2回買いました(笑)とはいえ3回連載だったはずなので、1つ読み損ねてるんですが(^^; 久々に毒舌受にもかかわらず、どうもイマイチ外している気になるのは、受キャラがお子様チックなのと、攻キャラが大人でヘタレで常識人タイプではなく、真船先生曰くは「不思議ちゃん攻」という、何を言ってものれんに腕押しなタイプだからのようです。これはこれで面白いんだけど、会話が噛み合わなさすぎてちょっと物足りないかも。でも受がわがままな分には平気なので、これはもう好みだけの問題ですね(^^;

私的評価 ☆☆☆
(一応続編予定のようですが、事件としては解決しているので、単独で読んでも問題ないかな。蓮川先生のイラストはやっぱりとっても麗しいです(^^))


2003年01月16日(木)   冷たい男

  ビーボーイノベルズ   ふゆの仁子:作 海老原由里:絵

「デキる男」の続編…というより番外編になるのかな。同じ世界観で、スリーエックスという会社に携わるキャラが今回の主人公です。主人公は、スリーエックスという会社の御曹子。大財閥の跡取りでもありますが、本人はその財閥自体を継ぐ気はなく、日本支社の社長として赴任する予定です。実は彼は脅迫状をもらっていて、しかも暴漢に襲われ、ケガをしていましたが、それを押して日本へやってきました。日本には、彼のボディーガードとしてずっと一緒に居た守殿がいて…。

うーん、前の「デキる男」でも思ったんですが、こういうブルジョワを書くものって、あんまり私は得意じゃないのかもしれない(^^; 高ビーなキャラで、ただそれは微笑ましいといえば微笑ましいんですが、それでもちょっと苦手(^^; キャラが苦手だと、全体に読みづらくなってしまうんです。それがほんとに残念。高ビー受&下僕攻が好きな人はぜひ読んでみて下さい。

私的評価 ☆☆☆
(なんだか、鼻につく感じのブルジョワっぷりなんだよなあ(^^; ってこういうより好みもどうかなとは思うんですが(^^;)


2003年01月15日(水)   ニュースセンターの恋人

   リーフノベルズ   水上ルイ:作  蓮川愛:絵

またもやベタな業界ものですが(笑)水上先生の新作は、テレビ局が舞台です。プロデューサーを目指す若き青年ディレクター(美人)と、アメリカの大手テレビ局の御曹子であり、日本でもその名をとどろかす名番組を作る手腕をもつ天才プロデューサーとのお話。主人公のディレクターは、まだまだ新米ですが、周りの人に支えられて頑張っています。そんな彼が目標にしているのは、天才プロデューサーと言われる人。彼が作った番組に感動し番組製作に携わるようになった彼ですが…。

まあ、毎度同じパターンなので、才能はあるけどまだ芽が出る前の美人受と、才能があってお金持ち(笑)なハンサム攻という、これも代わり映えはしません(^^; ただ、脇キャラがやっぱり毎度気になるんだよなあ。今回は、脇の「キャンキャン子犬系受と美形で口が上手い攻」カップルの話も収録されているのですが、私が気になったのは美人でロンゲのキャラ。蓮川先生のイラスト効果もあって、めっちゃかっこいいです。このキャラの話、読んでみたいかも…。

私的評価 ☆☆☆★
(ワンパターンなのは毎度おなじみという感じですが、やはりキャラ萌えで読んでしまいますねえ。好きなイラストさんと組まれると弱いです(苦笑))


2003年01月15日(水)   別れや本舗

   リーフノベルズ   日向唯稀:作  如月弘鷹:絵

冬コミで先行発売されていたので、実は早くに手に入れていたうちの1冊(笑)タイトルのとおり、「別れさせ屋」という職業のお話です。主人公たちが勤めている会社は、表こそ派遣業務っぽいことをしていますが、裏では恋人たちを別れさせる「別れさせ屋」を営んでいます。依頼されたことは100%こなす精鋭のメンバーたちですが、今回の依頼は一風かわっていて…。

うーん、そういや「別れさせ屋」ネタって、つい最近にどこかで読んでるんだよな(^^; ひょっとしたら雑誌かもしれませんが。それもあってなんだか「読んだことある展開」と「つっこみ所満載な流れ」に気になってしまったのかなと。いつもなら少々のつっこみ所は気にならないんですが、今回は気になったです。大袈裟なキャラの動き(まさにオーバーアクションって感じ(笑))とか、話の持っていきかたとか、もうちょっとひねりが欲しかったなあ。最後も大どんでん返しのつもりなんだろうとは思うんですが、あれだけじゃなっとくいかないです(^^;おまけの小冊子があって初めて納得いくのでは、ちょっとちがうだろう(^^;

私的評価 ☆☆★
(如月先生のイラストがゴージャスで素敵だったんですが、そのゴージャスさとなんか一致しないんですよねえ。如月先生のイラストだからこそ、小説の中でのキャラのイメージが上手くかさならないのかも。)


2003年01月11日(土)   LOVE MODE 11

    ビーボーイコミックス   志水ゆき:絵

人気シリーズの最終巻になります。マガジンビーボーイに連載されていたものと、エピローグの書き下ろしが収録されています。途中から雑誌をもう買わなくなっていたため、雑誌掲載分もラスト1回を除けば読んでないので、どきどきモノで手に取りました。前巻までで過去編がある程度終了し、ようやく自分たちで立とうとし始めた蒼江たち。そして、海外へと旅行へでかけて羽をのばす蒼江が出会ったのはちゃっかりした性格の女装ジャグラー。公園での邂逅が縁で、そのジャグラー史貴と、その甥である高宮と知り合いになりますが…。

ラストは知ってたんですが(最終回と聞いて立ち読みした(^^;)それまでの経緯とかは知らなかったので、なんだか納得…というか、それでも相当に急ぎ足な印象は否めませんでしたが(^^; 史貴の名前はかなり前から出てきていたというのもあって、ものすごく存在感のあるキャラと思っていたので、逆に拍子抜けしちゃったかも(^^; 1冊だけで語るのは惜しいとすごく思います。この話で2冊ぐらい十分描けたかもしれないなあ…。でも、ラストのエピローグはちょっといいなと思いました。幸せになった高宮と蒼江、そしてそれを見てちゃんとわかっている史貴こそが、志水先生の書きたかったものなのかもなあと思います。

私的評価 ☆☆☆☆
(ダラダラと長くなるよりは、こうして区切りがつく方がいいとは思いますが、でも勿体ないというか、残念ですねえ。番外編希望したいなあ。それから、CDもまた出るらしく、楽しみにしています。)


2003年01月11日(土)   デザイア

  ラキアノベルズ   七地寧:作   佐々成美:絵

七地先生の新刊は、サラリーマンもの?のお話です。主人公は、ベンチャー企業に勤める青年。大学を卒業して入った会社が倒産し、やっとのことで再就職した先は、なんと学生時代の知り合いがやっていた会社で、社長秘書のような立場で勤めはじめます。ある日、社長と飲みに出かけ、酔いつぶれた主人公に強引に身体の関係をもった社長は、その後も関係を強要し、しかも男相手の身体を使った接待までも強要しますが…。

ううむ、いくらなんでもここまで好み路線から外れるとダメだったなあ(^^; ましてや、いろんな男性が出てきて、主人公が救われたかといえば、私が読んだ限りでは救われてない気がして(^^; なんだか痛い話だったなあというのが読了後すぐの感想でした。ラストも納得いかないしなあ(^^; これが続編が出る予定のものだというならまだ判るんだけど、あの終わり方では尻切れとんぼとしかいいようがないです。

私的評価 ☆☆
(なんだかオススメしにくい作品になってしまいました…。七地先生らしさは随所にあるとは思うんですが、気になる所だらけで、ちょっと残念。)


2003年01月11日(土)   真夜中にお会いしましょう

  ラキアノベルズ   神奈木智:作   金ひかる:絵

神奈木先生の書き下ろし新作は、…ホストもの…?(^^;(←こういう表現に非常に違和感が(笑))主人公は、元大財閥の御曹子の青年と、その従兄たち3人。彼らは名家の生まれですが、破産に追い込まれ、子供達だけを残して親世代はみんな夜逃げをしてしまいます。幾つかだけ売らなかった財産と、多額の借金を残して消えた親の代わりに、子供達はなんとかして借金返済をしようと、なんとホストクラブを始めようとしますが…。

ほのぼのアットホーム系なお話で、ホストクラブが舞台ではないので、ホストものって感じがしないです(笑)借金とりのチンピラがお相手キャラなんですが、これがまたいい味出していて、ファンシーフェチで面白い。主人公の天然ちゃんな青年も可愛いし、脇キャラたちも面白くて、凄く楽しんで読みました。これ1冊だけしか出ないんじゃ勿体ないなあ〜という感じのお話でした。続いてくれたら嬉しいなあ。

私的評価 ☆☆☆☆
(個人的に、一番年上の従兄と近くのホストクラブに勤めるナンバーワンホストの話希望(笑)満月シリーズみたいに、各キャラごとにお話があったら嬉しいんですが…。)


2003年01月11日(土)   甘い痛みの果て

  ショコラノベルズ・ハイパー  上原ありあ:作  桃山恵:絵

小説ショコラに掲載された表題作と、その続編の書き下ろしが収録されています。義兄弟もののお話です。主人公は、大学生。母子家庭に育ち、親の再婚によりできた義兄に無理矢理押し倒されてからずっと、身体の関係が続いています。義兄が外国へ留学している間こそ関係はなくなっていましたが、帰ってきてからはまた元のように呼び出されては義兄と関係を続けています。しかし、そんな2人の関係に変化が現れてきて…。

いやはや(^^; しんどいお話です。雑誌掲載の作品も読んでいて、あまりにも強引なので最初正直読むのが苦痛だったんですが、愛情への変化の落差が大きくて、その辺りはけっこう読みごたえがありました。続編では、最初の関係が関係だっただけに、どうにもぎこちないハッピーエンド後のお話が書かれていて、これはまあまあよかったかな。最初の辺りとくらべるとほんとに落差が大きい作品です。

私的評価 ☆☆★
(最初は強引、ラストはラブラブという(笑)最初と最後でほんとに作品がちがうみたい。ハイパーなので濡れ場度も高いです(^^;)


2003年01月11日(土)   危険な恋人

    ショコラノベルズ  夏木ひまわり:作  宗近なり子:絵

雑誌小説ショコラに掲載された作品と、その続編書き下ろし…のはず。雑誌掲載かどうかは、ノベルズに書いてなくて、未確認でごめんなさい。主人公は新聞記者。実家が実はラブホテルを経営していますが、会社には内緒にしています。ある日上司命令である警察署へ向かい記者会見を記事にすることになります。その警察署長はイイ男で有名ならしいですが、でも主人公はその男に見覚えがあって、それはなんと実家のラブホテルにやってきた客としてで…。

まあ、これはコメディなんでしょうねえ…。ツッコミ所は各所にあるし、そんないい加減な展開でいいのか?とも思うんですが、とりあえず勢いはあるし、けっこう主人公カップルのキャラが面白いので、ほんと勢いで読んでしまいました。難をいうなら、キャピキャピ系な署長の部下たちがちとうっとおしかったです(^^; あんな警察官いやだ…(^^;

私的評価 ☆☆★
(新聞記者のわりには洞察力に欠けてて単純な受キャラですが、なんだか憎めません(笑)攻キャラも同じく、どこかヘタレな部分が垣間見られるんですよねえ。)


2003年01月11日(土)   傍若無人なアナタ

    ショコラノベルズ   火崎勇:作  海老原由里:絵

多分全編書き下ろしの作品。サラリーマンもののお話です。主人公は、文具メーカーに勤める普通の青年。同じ会社に勤める恋人と結婚する予定でしたが、ある日彼女の家を訪れると、なぜか若い男に彼女を攫われてしまいます。ショックを隠しつつ出社した彼に、こんどは見も知らぬアパレルメーカーの社長からのオファーが舞い込んでいて、営業のために、その社長の別荘へ足を運ぶ主人公ですが…。

うーん(^^; 火崎先生のキャラって、ほんとに傍若無人にふるまってしまうんだよなあ…(^^; 最初が無理矢理なだけに、攻キャラにマイナス要素が多くて、どうしても好きになれなくて残念。受キャラが淡々としている分まだ悲愴感はなかったけど…。後にどれだけフォローされていても、最初の強引さはどうにもネックでした。後半はかなり仕事の部分もクローズアップされていたので読みごたえがありました。

私的評価 ☆☆☆
(タイトルで「苦手路線なんだろうな」とは思っていたんですが、やはりそうでしたね(^^; でもその中でも割と読める方だったなという気はします。)


2003年01月11日(土)   気がつけば、君のこと…

    アイスノベルズ   大槻はぢめ:作  えのもと椿:絵

小説アイスに掲載された表題作の学園もののお話と、その続編書き下ろしです。主人公は歴史が好きなカワイイ顔の高校生。2年になって新しく歴史の担当になった先生と、ぜひとも歴史に関する話をしてみたいと思っています。そんな主人公の秘密の隠れ家になっている資料室で、偶然その先生が昼寝をしているところに遭遇します。起こそうとした主人公は、寝ぼけた先生にいきなりディープキスをされてしまいますが…。

いかにもありがちな学園ものですね(^^; 先生と生徒のお話なんですが、共学にも関わらず主人公の友人がなちゅらるに「先生のことを好きなんだろう」とか理解示しててびっくりですわ(笑)ただ、けっこう受が天然ちゃんで、でも一生懸命で可愛いからいいかなと。続編のほうでは誤解からややこしいことになります。私の中で攻キャラの点数下がりまくりだったんですが(笑)ひとえに受キャラの可愛さで読んだ作品でした。

私的評価 ☆☆☆
(ちょっと前はやたら香港ネタが多くてちょっと避けていたんですが、こういうお話ならけっこう読めるかな、という感じです。)


2003年01月11日(土)   HOT FASCIO

    アイスノベルズ   五百香ノエル:作  高橋悠:絵

小説アイスに掲載された表題作と、その続編書き下ろしが収録されています。主人公は、大御所俳優の娘婿にあたるテレビ俳優。今は大御所俳優が病魔におかされ、傾いた屋台骨をささえるべく仕事をしているものの、ずっと大御所俳優の愛人をしてきた彼。苦しい息の下から大御所俳優が彼に「すまなかったと伝えてくれ」というその言葉を聞いて、主人公もあやまらなくてはいけない相手とその当時を思い出しますが…。

雑誌掲載時にも興味を持って読んでいた作品でしたので、こうしてノベルズで読めて満足です。五百香先生は他社でやったようなどうにもバカッぽい作品よりも、こういうドロドロした人間関係を描く、ある意味救いようがないような、そんな雰囲気の作品のほうが光っている気がするのですが…。まさに本領発揮って感じのシリアスな作品です。

私的評価 ☆☆☆★
(五百香先生の作品にはけっこう波があるというか、こういう作品が書きたい時と、そうでない時とあるんだろうなあ。私はどちらかと言うとこういうののほうが好きかな。)


2003年01月07日(火)   デパ地下 美味しい恋事情!?

    アズノベルズ   新奈あいか:作  暮越咲耶:絵

新奈あいか先生の2冊目のノベルズになるのかな?1冊目はHONEYアイスノベルズだそうで、私は未読ですが。この方、検索してみたら、いろんな作家さんのHPで御名前を良く見かける方でした…(笑) 主人公は、有名老舗デパートに勤める青年。モデルばりの容姿と適格な判断で、エリートコースを進んでいます。そんな彼がまかされたのはデパートの地下食品売り場の「信州そば」をテーマにした催事。前任者がいい加減な立案をしていて、それをフォローするべく奮闘します。催事の目玉となる実演販売のためにやってきたそば職人は、職人らしからぬ美形で無表情な青年で…。

最初こそ「すごいネタだなあ(^^;」と思いましたが、わりとマトモにお仕事を頑張るキャラたちで、ツッコミ所は多いものの楽しんで読めました。上記のお話と、あとは長野安曇野に舞台を移してのその後の2人も読むことができます。それぞれは少し短いものの、物足りない感じはあんまりないかな。強気で誘い受け気味な受がかっこよくて好きです。ちなみにちょっとヘタレ気味な攻キャラも笑えます(笑)思っていたよりもかなり良かったのでなんだか得した気分です。

私的評価 ☆☆☆★
(攻キャラがなにかと外しまくってかっこわるいところが面白い作品かも(笑)かっこいい攻が好きだと辛いかな(^^;)


2003年01月07日(火)   告白 −scent of declaration−

    アズノベルズ   高遠春加:作  ひびき玲音:絵

高遠先生の初ノベルズになります。アズノベルズの創刊から4ヶ月になりますが、どうにもシャレードと執筆メンバーが被ってますよね…(笑) 主人公は、ベンチャー企業につとめている普通の青年。そのベンチャー企業の社長でもあり、幼馴染みであり高校の頃からずっと関係を持っている相手と隣同士で暮らしています。その相手は節操がなくて女性をとっかえひっかえしているような男で、なんとある日その隠し子を名乗る少年が家を訪れて…。

うわーん、上手くあらすじがかけない(T_T) とにかく、すごく高遠先生らしい切ない作品でした。最初こそ「どうなるんだろう(^^;」と思いつつ読んでいたけれど、中盤ぐらいから描かれていく主人公とその相手の切ないまでの想いにすごくひきずられてしまいました。「好きだと思ったことはない、でも愛しているんだ」と言い切る主人公。それだけの愛を注がれながらも通常の「愛」を持てない相手。でも本人同士がそれを「愛」という言葉で括らなくても、きっと間違いなく相手を思う愛情だよなあと思いつつ。愛しているとか、好きとかいう言葉よりももっともっと熱烈な、「告白」にちょっと感動しました。ぜひぜひ読んで欲しい1冊。とくにシャレード文庫で高遠先生にハマった人は絶対オススメです。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(やっぱり高遠先生は私のツボをぎゅぎゅぎゅと押してくれます。「神経衰弱〜」のシリーズほどではなくとも、かなり泣けるかもしれません。)


2003年01月07日(火)   王子様がいっぱい

   オヴィスノベルズ   姫野百合:作  水貴はすの:絵

姫野先生の久しぶりのノベルズです。主人公は、いきなり大財閥の故当主の遺産を継ぐことになってしまった、元は裕福な家庭に生まれた普通の少年。ただその遺産相続には条件があって、故当主の孫にあたる青年3人のうち1人を生涯の伴侶とするならば…という条件。つまりその相手になる3人にも「伴侶に選ばれなければ」遺産は入らない。そういう状況で、その3人と同居をすることになった主人公ですが…。

いやはや、なんというか(^^; 金持ちキャラを演出したいからだとは思いますが、無駄にゴージャスな描写が多く、しかも主人公が流されまくっててちょっと好みからは外れていて、残念な感じでした。ただ、主人公がかなり健気なタイプで、可愛かったのでプラスマイナスゼロかな(^^; 最終的に主人公とカップルになった後も、なんだかバカップルぽくて(笑)笑うほどコメディでもないし、シリアスではもちろんないし、ちょっと中途半端な感じのする作品でした。

私的評価 ☆☆★
(主人公は健気で可愛いんだけどなあ…。攻候補キャラ3人がどうにも…(^^; 最終的に誰とカップルになったかは、どうぞ作品にて御確認ください。)


2003年01月07日(火)   結婚狂騒曲 第一楽章

   シャレード文庫    魔鬼砂夜花:作   暮越咲耶:絵

雑誌シャレードで掲載されている人気の「俳優&家政夫」シリーズの4冊目になります。この巻からは主人公の稔と江坂というよりも、江坂妹の舞香と稔の担任で舞香の婚約者の田村との結婚話に絡むごたごたネタという感じで進むようで、タイトルもそれに関連しています。決して稔と江坂の結婚じゃありませんのでお気をつけて(笑)舞香と田村が仲違いをしてしまったおかげですっかりとばっちりをくった2人。なんとか話を納めようとして、合宿中の田村を訪れて話をするものの、なんだか方向性がずれていきます。しかも稔は江坂母からものすごく重大な真実を知らされてしまい…。

ラストのショート書き下ろし以外は全部雑誌で読んでいたし、今はネタフリ真っ最中という感じなので(^^; ちょっと中だるみですなあ…。ただ、やたらとラブラブなシーンが多くて、疑問に思いつつもなあなあになってしまってるのが残念というか、稔君らしくないぞー(笑)ヘンにパワフルになってる江坂さんに押し切られています。まあでもとりあえず笑えて楽しいです。お話はすっかり次に続いていますけどね(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(まあ、こういうドタバタさ加減も、この作品の持ち味ではあるんですけどねえ…。舞香ちゃんが可愛くなってきましたわ。けっこう魔鬼先生の作品って女性が男前なんだよね(笑))


2003年01月01日(水)   甘い罪のささやき

   リーフノベルズ    池戸裕子:作  陸裕千景子:絵

リーフノベルズでは久しぶりかもしれません。ファンタジーもののお話です。主人公は、ある国の王子。戦に負けて塔に幽閉されています。彼の世界は、その塔と彼に付き従っている従者の青年だけという感じです。ある日、主人公は従者にある青い花をとってくるように言い付けます。実はその花にはいわれがあって…。

こういうベタなファンタジーは久しぶりだなあ…と思いつつ(笑)展開はベタだけど、切ない関係を描いていて楽しんで読めました。従者の意外なバックグラウンドが判ったりして、ラスト近くでは「それはないだろう(^^;」という展開も少々ありますが(笑)でも全体に池戸先生ならではの穏やかさがあって、安心して読めました。どうやらパラレルワ−ルド風で同じキャラ(…というのも少しちがうけど)のお話がまた出るらしいので、それもチェックしなくちゃと今から楽しみです。

私的評価 ☆☆☆★
(けっこうファンタジーとはいえ、お互いの心理描写もしっかりあって、違和感なく楽しめたので、しっかり切ない話を読みたい人にはオススメできるかなあ。)