2003年10月のレビュー
ハ2003年10月31日(金) 彩雲国物語 はじまりの風は紅く
ビーンズ文庫 雪乃紗衣:作 由羅カイリ:絵
第1回の角川ビーンズ小説賞受賞作品という、新人作家さんのデビュー文庫です。舞台は中華風(?)な彩雲国という国。その国は約8年前に王の病気に伴い王位争いがあり、その争いで次々と沢山いた公子が亡くなってしまい、本来王位から一番遠いはずの第六公子が父王の死去後王になります。しかしこの王様、どうにもやる気のない王でしかも女性に興味がないらしく、困り果てた宰相たちは妃と言う名目で教育係を送り込むことにします。白羽の矢をたてられたのは、主人公である家柄はいいけど貧乏な家のお嬢様秀麗。高額の報酬に釣られて役目を引き受けた秀麗は…。
流れはなんだか「後宮物語」という時代小説(アニメ「風のように雲のように」の原作ですね)に近いものを感じます。まあ、同じ中華風な感じと言うのもあるし、輿入れするというネタが近いからそう思うんでしょうね。でも内容は非常に面白くて、かなりのめり込んで読んでしまいました。とくに、苦労してきた秀麗の気持ちの描写や、王の苦悩も非常に共感できて、すごく面白かった。…個人的にこの王のダメっぷりもツボにハマったんですが…(笑)ものすごく何度も読み返してしまった、久々にヒットの作品でした。後半無理矢理っぽい設定になってしまうのが残念だけど、後にかなり余韻を残した終わり方で、もしも続編があるならば、絶対絶対読みたいです!
私的評価 ☆☆☆☆☆
(どうやら雑誌「The Beans」では番外編も掲載されるようです。でも、私は個人的にこの王と秀麗がどうなるか凄く読みたいんです。なんとかそういう続編はでないものかしら…。)
ハ2003年10月29日(水) コルセーア(上)
リンクスロマンス 水壬楓子:作 御園えりい:絵
小説エクリプスにて掲載された海賊もののお話が上下巻でノベルズになりました。上巻には主人公の過去編の書き下ろしが収録されています。主人公は、海賊の一族に仕え参謀を勤める盲目の青年。盲目にもかかわらず、一族の姫が彼を慕っていることから、反発の声も上がったりしています。ある事件がきっかけで帝国と駆け引きをすることになった一族。実は主人公は帝国に関わる壮絶な過去を持っていて、その事を危惧して一族を抜けようとし、まさにその過去に関わる人物に拉致されます。それを助けたのが海賊の司令官をつとめる青年で…。
こういう海賊ネタは大好きで(笑)だからこのノベルズ化も心待ちにしていました。あまりに不幸な過去をもつ主人公が可哀想で、だからこそ司令官にちゃんと支えてやって欲しいと思ったし、なんとか幸せを掴んで欲しいと願ってしまいます。一応雑誌掲載で内容はわかっていますが、やはりまとめて読むのはひとしおですね。来月の下巻が今から待ち遠しいです。
私的評価 ☆☆☆☆
(元を辿れば「サラディナーサ」にドハマりしたのをここまで引きずってるのかな…(笑)御園先生のイラストも華やかでぴったりです。)
ハ2003年10月28日(火) ボーダー・ライン
角川ハードカバー 久能千明:作 蓮川愛:絵
楽しみにしていた、「グレイゾーン」のシリーズが同じくハードカバーで発売になりました。今回はチェックしていたので(笑)出てから慌てるということはなく、手に入れることができました。前作の脇キャラのお話で、時系列では過去にあたるようです。主人公は若手のエリート刑事。ある日街の中であまりにも強烈なファッションの青年と出会います。いきなり声をかけられしぶしぶお茶に付き合います。その後意外な場所で再会した2人は…。
いやあ、前作の強烈な脇キャラ由利のお話だというのはわかってたんですが、こうくるか…(^^;という意外性と、ハラハラするお話の展開で、まさに「息もつかず一気に読んだ」1冊でした。前作を知っているだけに「あれ?」と思う部分もあるし、少々御都合主義的につじつまをあわせている部分も感じるけど、でも結果的には満足できる作品で、私は満足です。前作の攻キャラの若造な部分も楽しめたし(笑)由利の受攻が思っていたのと違ってびっくりした方も多いようですが、私はこっちだと思ってたよ(笑)だってあの押しの強い由利が黙って鳴かされてるとは思えないし。
私的評価 ☆☆☆☆★
(途中までの主人公の悲愴感が辛くて、半泣きで読んでいました。どうぞ、辛い記憶を乗り越え、幸せでいて欲しいと、切に願います。)
ハ2003年10月28日(火) 許可証をください!
シャレード文庫 鳥城あきら:作 文月あつよ:絵
雑誌シャレードに掲載された表題作と、その続編で前後編の掲載作、そして短編で書き下ろしが収録されています。中小の化学薬品製造業の工場で品質管理を担当している青年が主人公です。彼は四年制大学を出た品質管理のエリートとも言うべき存在ですが、やはり工場では実際に現場で作業する側とでは意見が異なることもあり、あまり仲が良いと言う感じではありません。そんな彼があるきっかけで、フォークリフトの講習を受けることとなり、工場内の講師として一番苦手な工場の主任の青年と2人で練習をすることになりますが…。
まさに「ガテン系」という感じですねえ。雑誌掲載分は全部読んでいたのですが、恋愛部分はともかく、工場での仕事のあたりは非常に面白いなあと思って読みました。恋愛部分については、最初がどうにも「衝動」から来ている感じで、後から理由付けのように「前から気になっていた」という流れになっているものの、結局2人ともが「愛情」と意識せずに身体を重ねているのがちょっと残念だなあ。いくら読んでいてお互いが惹かれているのがわかってても、言葉で相手にきちんと伝えて欲しいなと思うのでした。
私的評価 ☆☆☆★
(ま、これも好みなんでしょうけど(^^; 面白かったから余計にそこが気になっている気がします。気持ちが伴ってこその快感と思うんだけどなあ…)
ハ2003年10月28日(火) 社長秘書の昼と夜
キャラ文庫 池戸裕子:作 果桃なばこ:絵
池戸先生の全編書き下ろしのリーマンもののお話です。主人公は大手広告代理店の営業をしている青年。実は同期入社のエリートで、現在社長秘書として経営戦略室に所属している青年が入社当時から気になっていて、一目見るためだけに朝同じ時間に出社するぐらいです。そんな彼に降って湧いたのは「経営戦略室への異動」という朗報。なんとかして距離を縮めたいと願う主人公ですが…。
イイ大人が寄ってたかって純情合戦なお話だったなあ…(笑)いや、これ悪い意味ではなくて、ほのぼのしててけっこう楽しかったんです。主人公だけじゃなくて相手も、それから周りのキャラもやたらシャイで純情なところがあって、だから主人公2人がちっとも進展しないという(笑)紆余曲折あり、手助けありでやっとラブラブ、という感じでした。せっかくリーマンものなので、できればもうちょっとしっかり「仕事ができる」シーンがあったら嬉しかったんだけどなと思いつつ。会議の時も恋の事を考えるというのはちょっと乙女すぎる気がするなあ…(笑)
私的評価 ☆☆☆★
(仕事のできるキャラは問答無用で好きなので(笑)だんだん期待レベルが上がってきているらしい…(笑))
ハ2003年10月18日(土) 締切り前はキスだけ!
エクリプスロマンス 新田一実:作 藤河るり:絵
多分発売予定では1ヶ月前だったと思うんですが、ずれて10月発売になりました。書き下ろしの作家&編集のお話です。主人公は小さい出版社に編集として勤める青年。昔は大手出版社にいましたが、転職をし、今ではマイペースに仕事をしています。ある日、先輩が十二指腸潰瘍で手術をすることになり、その先輩の担当している作家の原稿を何とかしてとってきて欲しいと頼み込まれますが…。
作家と編集の話というのはわりとよくあると思うんですが、なんだかひと味違った感じの作品でした。新田先生が私の好みに近い作品を書かれるのもあるのかな、すごく楽しく読めた作品でした。基本的にヘタレ攻(笑)なのが一番のツボなポイントなのかもしれません。かっこつけてるんだけど全然受に通用してないし、受は受でしっかりしてて男前度高いし。最初こそ愛のない行為だったけど、全然問題なかったです。
私的評価 ☆☆☆☆
(つくづくヘタレ攻が好きなんだなあと実感しつつ(笑)でもきっとこんな攻身近にいたら思いっきり遠回りして避けていきたいキャラかも(苦笑))
ハ2003年10月17日(金) ワイルド男がやってきた
花丸文庫 水月ありーな:作 如月弘鷹:絵
水月先生のデビュー作である雑誌掲載作品と、その続編書き下ろしが収録されています。花丸で掲載された時に私も読んだような気がするんですが、その時のイラストも如月先生だったのかどうかは覚えてません(^^; 主人公はごくふつうの高校生。昔小さい頃父と共に出かけた外国で迷子になり現地の少年に助けてもらったことがあります。ある日学校から帰ろうとした主人公は、門の前でハンサムな南米の青年に待ち伏せされて…。
タイトルや設定はかなり突飛ですが、けっこう雑誌掲載の時も面白く読んでいてなんとなく覚えていました。主人公の頑張り屋ぶりが好みだったのかな?一生懸命である意味男前な(笑)主人公と、不器用なところがあるお相手キャラとがいいコンビです。続編では舞台を南米にうつしてその後が描かれていますが、雑誌掲載よりさらに突飛な感じはしました。飄々としたじいさまキャラがイイ味だしてて楽しいです(笑)文体が少々気になる所もあるけど、楽しく読めました。一緒に暮らすその後の話も読んでみたいなあ。
私的評価 ☆☆☆★
(登場人物のイメージが明確に頭の中で描けるのはやはりイラスト効果もあるのかしら。キャラクターが生き生きしている感じです。)
ハ2003年10月15日(水) ひかげの薔薇
ビーボーイノベルズ 鹿住槇:作 ひたき:絵
小説b-Boyに掲載された愛人ものお話とその続編書き下ろしです。主人公はバーテンをしていた天涯孤独の青年。店にやってきた財閥の御曹子に口説き落とされて、愛人になっています。が、主人公自身が愛人の子供として産まれていて、その愛人という地位の不確かさを身を持って知っているためか、堅実かつ質素で、どうやらお相手はそれが不満なようですが…。
ネタが「愛人」というだけにもっとどろどろしている作品を思っていたのですが、主人公が清廉潔白タイプだったのと、ちゃんと恋愛なお話になっていたからかな?非常に読みやすくて、面白い作品だったなと思います。相手の妻の境遇も主人公に劣らずハードだけど、嫉妬深くて何かされるよりかは数倍幸せかもですね(^^; 続編は主人公が秘書として仕事を始めるという話で、「一緒にいたい」という相手のわがままを上手く制御できるのか(笑)心配になりました。主人公苦労しそうだなあ(^^;
私的評価 ☆☆☆★
(多分、攻キャラの思い込み激しいところがヘタレになってて(笑)ツボにハマっていたのではないかと…。大人な作品でした。)
ハ2003年10月15日(水) キャンディ
ビーボーイノベルズ ひちわゆか:作 松本テマリ:絵
小説b-Boyに掲載された「キャンディ」と「ミルク」の2編と書き下ろしが収録されています。本来は別の作品だったのですが、ミルクの方をかなり加筆訂正して、世界観が重なるようにしているようです。主人公は普通のサラリーマン。でも仕事の相手でもある家具職人の青年に、思わぬ所を目撃されてしまい、仕事相手だけではない関係をもつようになって…。
いわゆるSMものですね(^^; とはいえ、苦手にもかかわらず充分読めたのはひちわ先生だったからでしょうか。ただ虐めるだけでなく、愛が垣間見えた事と、微妙に攻がヘタレだから(笑)けっこう平気だった気がします。ただ、かなり「ミルク」の方が雑誌掲載時にくらべると変化が大きく、別に世界観をあわせなくてもそのままでも良かった気はしないでもないなあ。個人的に一番萌え萌えだったのはラストの書き下ろしショートの犬&猫(笑)でした。
私的評価 ☆☆☆★
(でもやっぱり苦手なのは苦手なので星の数はこんな感じでしょうか。)
ハ2003年10月11日(土) 開幕ベルは恋の合図
クリスタル文庫 あまねこうたろう:作 汞りょう:絵
2ヶ月発売がずれました、あまね先生&汞先生コンビの新作は、大衆演劇を舞台にしたお話です。主人公は、顔師という歌舞伎や日舞の白塗りと呼ばれる化粧を専門にしている一家の跡継ぎの青年。漠然と跡を継ぐのがいやで、メイクアップアーティストの勉強をしながらふらふらしています。ある日多趣味な叔母に連れられて大衆演劇を見る事になりますが、そこで物凄く美人の役者に出会います。観客と不本意な騒ぎを起こしてしまい、その美人に怒られてしまって、弁償代わりに大道具などの下働きをさせられた主人公は…。
あまね先生は私の好みにかなり近いものを書かれるので、今回も楽しみにしていました。今回は大衆演劇というある意味特殊な設定ですが、でもみんなが「一生懸命になにかに向けて頑張っている」のはいいなあと思う。どの作品もわりとその姿勢が底辺にあって、だからこそ好みなのだと思います。今回の作品も、2人とものいろいろな考え方や感性に共感できて、非常に楽しく読みました。きっと続きが出たら大喜びで買うでしょう(笑)
私的評価 ☆☆☆☆
(あとがきによると、なにやら入院なさるご予定のようで、心配です。早くお元気になられて、新しい作品読めるのを楽しみにしています。)
ハ2003年10月11日(土) 制服の距離
アイスノベルズ 葉澄梢子:作 天堂まひる:絵
今はなき小説エクリプスに掲載された学生ものと関連キャラの書き下ろしが収録されています。主人公は今どきの高校生。親友だと思っていた中学時代の同級生が、いきなり主人公に何も言わずに進路を変更したため仲違いしてしまい、今も疎遠になってしまっています。会う機会に恵まれ、久しぶりに顔を合わせた2人ですが、なんとその同級生は付き合っているらしきかわいい同学年の男の子を連れてきていて…。
雑誌掲載の時はなぜか後編だけ覚えてます(笑)中途半端だな、私(^^; 親友のキャラがイマイチつかめなかったのもあり、まるで主人公が横恋慕しまくってるみたいであまりいい感じではなかったんですが、今回通して読んで「あ、こんな話だったんだ(^^;」と改めて納得。…でもあんまり共感はできないかも(苦笑)親友そっちのけだし。書き下ろしはその親友のお話なんですが、当て馬キャラ救済なのかどうかは判らないけどあまりに唐突な展開で、狐につままれたような感じでした。…結局彼は攻じゃなかったってことか(^^;
私的評価 ☆☆☆
(面白くないわけではなくて、なんだかツボが違うという感じでしょうか。)
ハ2003年10月11日(土) 透明なココロ
アイスノベルズ ふゆの仁子:作 今市子:絵
小説アイスに掲載された年の差恋愛ものとその続編書き下ろしです。主人公は退屈を持て余している高校生。悪友たちの誘いにしぶしぶのって、ゲイの出会い系サイトの掲示板に書き込みへメールを打ち、会う約束をします。最初こそ興味本位だった主人公ですが、現れたのは意外にも固そうな感じのサラリーマン。興味を持った主人公は、付き合いはじめますが…。
お相手のサラリーマンが、腰が低そうに見えるくせに意外と押しが強い性格で(^^; なんだかいろんな意味でずるく思えてしまいました。主人公も健気で、あるきっかけで自分から身を引いてしまうんだけど、それも自分に酔ってる感じがして、なにかにつけて「お前ら話し合えよ(^^;」な雰囲気だったのは私の点が辛すぎるかしら(^^; 雑誌掲載では2人が数年後再会するところでエンドマークで、書き下ろしはその後の話だったのですが、これもなんだかちょっと期待していた流れとは違ってて「あれ?(^^;」と肩透かしになってしまいました。雰囲気はいいんだけど、微妙にツボをずれてるというか…。好みってわがままですよね(^^;
私的評価 ☆☆☆
(今先生のイラストがとても落ち着いた雰囲気で良かったです。多分、イラストのイメージもあって、余計にツボからずれている印象があったものと思われます(笑))
ハ2003年10月11日(土) 王子の方舟
ビーボーイコミックス 円陣闇丸:絵
円陣先生のビブロス初コミックスです。b-boy Zipsに掲載された表題作をはじめとした、雑誌やアンソロジー掲載されたものの短編集です。表題作は「王子様特集」という(笑)アンソロジーのテーマの作品。ある国に住む郵便屋の息子は、手紙を紛失したとクレームをつけてきた王子の元へ向かい、手紙が見つかるまで人質(?)として一緒にいることになりました。まさに「美人」な王子様ですが、生活能力はかなり低く、そして謎につつまれていて…。
このきらびやかな絵がたまりませんねえ〜。さすが円陣先生という感じでした。王子様の話の続きがいきなりSFチックになっていたのにはびっくりしましたが、けっこう面白いなあと思いつつ読みました。「テーマパーク」という発想がすごいよなあ。謎な部分が多く、難解な感じもしますが、いろいろ考えずに素直に受け止めれば「王子ったら時空を超えて幸せになれて良かったね」って感じかしら(笑)他の作品も落ち着いた雰囲気の作品で、心穏やかになれるコミックスでした。
私的評価 ☆☆☆★
(続きが気になるような作品もいくつかあって、すごく「続編出ないかなあ」と秘かに願っていたりします。とくにラストの作品はその後が読んでみたい!)
ハ2003年10月09日(木) 王子さまLv1 2
ゼロコミックス 桑原祐子:作画 アリスブルー:原作
ボーイズラブゲームのコミック化2冊目です。私は全くゲームをプレイしないままでこのコミックスを読んだので、1冊目は「ほほー、可愛いじゃーん」と萌え萌えになっておりましたが(笑)さて2冊目はどうかしら?主人公の王子カナンは従者セレストと共に、冒険者ギルドで仕事をもらっては冒険を続けています。しかし、ある日いきなり父王がおかしくなって…。
前巻がほのぼのギャグ系だっただけに正直言って「あれ?こんなにシリアス調な作品だったの?(^^;」とびっくりしました。ゲームでの知識がなかったから、余計にちょっと唐突なイメージが(苦笑)というか、これがゲームのストーリーなのかなあ?ゲームやってたらもっと納得がいったのかもしれないんですが、なんせ私はMac使いなので(笑)まあそれはともかくとして、可愛い作品なのは請け合います。なにやらゲームの続きにともないコミックスもまた出るようなので、楽しみ。PS版、時間があったらやってみようかな。
私的評価 ☆☆☆★
(…時間はないだろうけど(笑) とりあえずやはりモンスターが可愛くてそれが一番ハマったところかもしれません(笑))
ハ2003年10月09日(木) 一番でいさせて
ショコラノベルズ 高尾理一:作 小路龍流:絵
小説ショコラに掲載された作品とその続編書き下ろしです。サラリーマンもので、学生時代の元彼との2度目の恋(?)のお話。主人公は普通のサラリーマン。両親を旅行中のバス事故で失ってしまいますが、旅行の申し込みの際に主人公の名前を使っていたため、報道には主人公が死亡したように流れてしまい、多くの人から「生きているのか」と確認の連絡が絶えませんでした。そんなある日、主人公が行きつけのバーで飲んでいると、大学時代に同棲までしていた元恋人が店にやってきて、話しかけてきて…。
高尾先生の本領発揮な「大型犬攻」(笑)です。ヘタレなくせに強引で、ちょっと方向性が違う(笑)愛を主人公だけに注いでいるあたりがもうツボですねえ〜。雑誌掲載の時も「お、好きな感じ」と思っていたので、今回ノベルズで続編も読めて嬉しいです。受の方も女王様受というにはなんだか優しすぎるぐらいにちゃんと攻との関係を考えていてその辺りもわがまますぎなくてよかったなと思う。…基本的に女王様なくせに時々自信なさげにする受とヘタレ攻がツボなんだと思われる…(苦笑)今さらながら自分の趣味に笑えますな。
私的評価 ☆☆☆☆
(自分の好みのストライクゾーンがかなり狭くなってきた気がする今日この頃。今回はかなりどまんなかに近かったです。続編のわんこ描写も可愛くてたまらん〜(笑))
ハ2003年10月09日(木) 寂しい真珠
ショコラノベルズ 春原いずみ:作 桃山恵:絵
春原先生の書き下ろし新刊です。主人公は世界のファッション界になくてはならないと言われるほどのトップモデルの地位を築き上げた青年。マネージャーをふりまわし、自由奔放でわがまま放題の彼ですが、ある日ライトが落ちてくるという不幸な事故に巻き込まれ、顔に傷を負ってしまいます。ライトが落ちてきた瞬間、フラッシュをたいているのに気がついていた主人公。失意のまま日本に戻った彼の元にその怪我をした瞬間の写真を送りつけてきたカメラマンがいて…。
うーん、なんだか消化不良だなあ…。基本的に私は春原先生の「不器用で毒舌、ちょっと心寂しい系な受(まさに内海先生系だな(^^;)」が好きなので、逆に言うとわがまま奔放系な受はどちらかというと苦手なのかもしれません。今回相手役のカメラマンの方がイイ男で、も一ついうなら当て馬キャラもイイ男で、「…もったいない…」(笑)という印象が強かったです。…よっぽどこういう受は苦手ならしいと今改めて認識中です。まあ、後半は健気と言えなくもないんだけど…。私にはイマイチ魅力が判らないんですね、きっと。
私的評価 ☆☆☆
(春原先生独特の穏やかな色彩が好きだったんだけど、最近原色系に近くなってきた気がするんだよなあ…。また前の作風に戻ってくれたら凄く嬉しいのですが。好きな作家さんだけにジレンマ。)
ハ2003年10月03日(金) キープハート
コバルト文庫 火崎勇:作 香雨:絵
火崎先生のコバルトは初…かな?サラリーマンもののお話です。主人公は新米サラリーマンの青年。引っ込み思案でなかなかものが言えず、どうしてよいか判らないというのもあって、同じフロアの先輩にいつもはっぱをかけられています。そんな彼を見かねて上司がバーへ誘ってくれました。そこにいたのはやたら口の悪いバーテンダー。主人公に「背筋を伸ばせ、人の目を見ろ」といろいろ言ってきて…。
一応サラリーマンものなのにそんな感じがしなかったのは、ひとえに受があまりに幼い描写だったからかも。後半はそうでもなかったんですが、前半はイライラしてしまうぐらいに自分に自信がなくて、消化不良な感じでした。ちょっとネタバレしてしまいますと、後半彼が成長を遂げる流れになるので、その点に関しては納得できたものの、やはり両親への怒りがふつふつと湧いてきてしまいました(^^; こういう親が子の人生をどうこうするネタはかなり鬼門というか、ネタ的に辛いです。
私的評価 ☆☆☆
(火崎先生らしい作品なんですが、なんだか少々薄っぺらい感じもしました。ネタがあまり好きではなかったのと、あとは文庫だから物足りなかったのかもしれません(^^;)
ハ2003年10月03日(金) きらきら
コバルト文庫 真船るのあ:作 穂波ゆきね:絵
真船先生の初コバルト文庫です。雑誌コバルトに掲載された高校生もので、雑誌掲載の表題作と、続編の書き下ろしが収録されています。主人公は風紀委員の高校2年生。融通のきかない生真面目な性格をしていて、遅刻魔でだらしない格好をしている同級生といつも喧々囂々と言い合いをするのが日課になっています。その反面、その同級生に対してどうしようもなく気になる気持ちを抱えていますが、ある放課後に彼と2人で体育倉庫へ閉じ込められる羽目になってしまい…。
うーん、まさに王道中の王道って感じでした。体育倉庫に閉じ込められてみたり(笑)風紀委員とちゃらんぽらんな生徒というキャラの対比も王道パターンな感じ。一生懸命な攻とちょっと天然気味な受とのコンビが初々しくて可愛かったです。続編では典型的当て馬キャラも出てきたし、順風満帆とはいかない彼らの恋路ですが、きっと2人でなんとかしつつ頑張ってくれるでしょう(笑)意外性はないけど、穏やかに読める作品でした。
私的評価 ☆☆☆★
(あまりに王道すぎてベタな感じもあるんですが、王道ならではの良さもあるので相殺かしら(笑)イラストがほのぼの度倍増という感じで(笑)和みました。)
ハ2003年10月03日(金) 探偵とボディーガード
SHYノベルズ たけうちりうと:作 ひびき玲音:絵
ボディーガードシリーズのどうやら最終巻(^^; 今度はジュンがプロジェクトリーダーとして指揮をとる事になりました。ターゲットは「探偵役がハマリ役になっている俳優」で、はた迷惑なことに彼は自分でも探偵ができると思っていて、役づくりを兼ねているのかオフィスを構えて探偵の仕事をしようとしています。そんな彼をガードし、さらに「探偵をする気をなくさせよう」というのが今回の目的。しかもどうやらその俳優は誰かに命を狙われていて…。
うしろのあらすじのところに「グランドフィナーレ」と書かれていたので多分最終巻なんだろうなと思いますが、全然そんな感じのしない作品でした。…というかまさに彼らの日常という感じの1冊ですねえ。自分の魅力を意識していないジュンとやきもきしながらジュンを守ろうとするグレイが本当にいいコンビ。グレイはどんどん大人気ない(笑)部分が増えていくし、ジュンはジュンでグレイの扱いが上手くなるし(笑)1巻からずっと楽しんで読んできたからこその成長ぶりが楽しいです。どのキャラも魅力的で、一生懸命に生きていて、好きだなあと思います。今回ちらっと出てきたグレイの家族もいい感じで、この親にしてこの子ありという感じで、隅から隅まで楽しませて頂きました。
私的評価 ☆☆☆☆
(グレイの愛情表現は、ちょっとわかりにくい所もありますが、だからこそ「グレイ」なんだなと思う。幸せそうな2人に私も幸せ気分になってしまいました。)
ハ2003年10月03日(金) 海月奇談 (下)
X文庫ホワイトハート 椹野道流:作 あかま日砂紀:絵
1ヶ月長かったです!(T_T) とんでもない所で次巻に続いてしまっていた奇談シリーズの続きがようやく読めました。前巻にて森のエージェント早川が大ケガをし、師匠である河合さんが行方不明になり、挙げ句の果てに敏生までもが拉致されてしまい、全く孤軍奮闘という感じで森は事件解決に向けて必死に動きます。また、拉致された敏生はその先でショックな出来事に立続けに遭遇して…。
いやはや、なんともしんどい作品でした…。読み終えてすごく脱力感が。読みながら「うそ!やめてよ〜(T_T)」と本気で半泣きになりましたとも、ええ。敏生の拉致犯人に関してはなんとなくそうだろうなあとは思っていたのだけど、そのいきさつは思いもよらぬネタで、本当にしんどかった。ただ、森たちにとっては「越えなければいけない壁」だったんだろうなあとは思うんです。…思うんだけど…、なんだかやり切れないような気持ちと、ホッとした安堵感とがないまぜになって、しばらく惚けてしまいました。とりあえず、想像した最悪の状態ではなくてよかったなあと。…でも、それだけに非常に読みごたえがある1冊でした。下巻待ちをしている方、どうぞ心置きなく、そして心の準備をして(笑)楽しんで下さい。
私的評価 ☆☆☆☆
(…というか、こんな感想書かれたら楽しめないよね(笑) でも、思わぬ進展もあって、嬉しかったりもしたんですよね。次ののんびり奇談(?)も楽しみです。)
ハ2003年10月02日(木) 新宿×深夜ファクト
アズノベルズ 花川戸菖蒲:作 角田緑:絵
尤書堂シリーズコンビの新作です(笑)花川戸先生と角田先生による現代SF風の作品。全編書き下ろしです。…似たような感じの作品は同人誌でありましたが、全くストーリーは違うので御安心を。主人公は穏やかな性格の幸薄い青年。幼い頃に親に置き去りにされてしまい、施設で育って今はサラリーマンをしていますが、なんだか会社の中でも変だと感じるぐらいに「男扱い」されていません。電車の中でも痴漢にあうし、そんな自分に自己嫌悪を抱いていた彼ですが、町中でいきなり妙な事を言う2人組に話しかけられて…。
展開が突飛で、最初こそとっつきにくい感じでしたが、キャラがとても花川戸先生らしいキャラで、だんだん馴染んできて最後まで読む事ができました。脇キャラが相当アクの強いキャラだなとは思いますが、基本的に主人公たちは「天然可愛い系受」と「墓穴掘り多少ヘタレ気味攻」というカップルなので、シチュエーションにさえ慣れればあんまり問題なかったです。ラストシーンで気になる所が1つだけあったんですが(いや、個人的に「こうあってほしいなあ」という希望があって、それの明確な答えがなかったので)これは続編とかで補完してくれるのかなあ…。
私的評価 ☆☆☆
(SFというよりも、うーん、祈祷師ものかな?(…というかそういうジャンル分け自体あるのかどうか疑問が(笑)))
ハ2003年10月02日(木) 本気じゃねぇから
あすかCL-DXコミックス 富士山ひょうた:絵
雑誌CIELに連載されていたカメラマンと高校生とのお話と続編のショートストーリーの書き下ろしが収録されています。主人公のカメラマンの青年は、いきなり恋人に別れを告げられ合鍵まで送りつけられます。身勝手さにむかつきつつ自室にあった彼女の持ち物をゴミ袋に詰めこんで捨て、気晴らしのドライブでもと車の所へいくと、なぜかボンネットの上に少年が座っていました。どかせてドライブにでかけ、帰って来てもまだ駐車場にいる少年。やけに気になり、主人公は声をかけますが…。
やっぱりひょうた先生好きだなあ〜。何気ないやりとりがすごく心に響きます。高校生にからかわれつつも、ちゃんと高校生の孤独感や不器用なところに気がついてやれて思いやる事ができるカメラマンの青年はポイント高いです(笑)書き下ろしもなんだか幸せほのぼのモードな2人で、読んでいて和みました。ぜひ、読んでみて下さいね。
私的評価 ☆☆☆☆★
(健気な高校生が可愛いし、好きと言われて赤面しちゃうカメラマンもちょいヘタレで(笑)ツボです〜。どうしてこう私のツボにストライクなんだろう、ひょうた先生のマンガって(^^;)
ハ2003年10月01日(水) ペット心理療法士事件ファイル 3
パレット文庫 新田一実:作 富士山ひょうた:絵
ペットの言葉が判る青年が主人公のシリーズ第3弾は、まさに「事件ファイル」て感じになってきました(笑)主人公はちょっと朴念仁な(笑)青年。大きい身体の割になにかと繊細で、いつも幼馴染みとその飼い猫のタマにやり込められています。今回は幼馴染みが事件に巻き込まれてしまい、なんと誘拐されてしまいます。彼を助けるために主人公はタマと一緒に捜しまわりますが…。
まさに「事件」だったなあ(笑)…のわりに、今までの2冊が割と身近な感じで「言葉が判るからこそ」の部分があったのに比べると「ペットの言葉が判る」という最大のテーマ(?)がちょっと薄かった気がしないでもないですね。あとあまりに誘拐というのが唐突でびっくりしました。なんの脈絡もなかったから余計ですね。後から納得は出来たんですが…。助けたあたりの主人公はかっこよかったけど、いつになったら「ラブ」な部分が進展してくれるのかとちょっとジレンマな1冊になってしまいました(笑)
私的評価 ☆☆☆★
(面白いのは面白いんですが、もうちょっと進展して欲しかったなあと思ってしまう。期待してただけにちと肩透かし。次こそは!(笑))
ハ2003年10月01日(水) 優しくて冷たい果実 (前)
パレット文庫 たけうちりうと:作 今市子:絵
来月と前後編で発行の料亭が舞台のお話。主人公は料亭の跡継ぎの青年。素晴らしい店構えと食材、器を使って最高級の料理を出す老舗の料亭だが、いきなりトラックがつっこんで来て店はめちゃくちゃになり、立て直しを余儀無くされます。しかも心労がたたり亭主である父親は倒れてしまい、主人公は孤軍奮闘しますが…。
まだ前編なので、ちらほらと伏線らしきものが見受けられる程度なんですが、主人公と幼馴染みとの恋はもちろん、料亭の存続をかけて男一代の勝負をかけるという感じのお話になっているので、「仕事をする人たち」がとても生き生きとしてかっこよくて好きですねえ。個人的に主人公の料亭の板前の男性がめちゃめちゃ男前で、好みです(笑)まだこれから紆余曲折はあるのだと思いますが、そのあたり十分に後編の方で楽しませて欲しいなと思っています。来月の後編発売がとても楽しみです。
私的評価 ☆☆☆★
(本来なら前後編まとめるべきかとも思ったのですが、そんなに「いてもたってもいられない」ほどの引きもなく(笑)落ち着いて読めたので。でも続き物苦手な人は後編を待ってからどうぞ。)
ハ2003年10月01日(水) 僕らはキスからはじめよう
パレット文庫 池戸裕子:作 紺野けい子:絵
高校生ものの書き下ろしの文庫です。主人公はそこそこもてるバスケ部所属の高校生。夏休みにデートで出かけた海でいきなり付き合っていた彼女に別れを告げられてしまい、1人で呆然としていると、声をかけてきた少年がいて、なんだか意気投合し2人でつるんで夏休みを過ごします。だんだんとお互い惹かれあってきて、夏休みも終わり似近付いてきますが…。
うーん、やっぱりイラストのせいもあるんでしょうが、えらく「生っぽい(笑)」作品だったなあと思います。わりと穏やかで落ち着いた作風の池戸先生というイメージなんですが、今回はかなりたけなわシーンも多くて(笑)なんだか若さに任せて即物的な感じ?(笑)もちろん、それがいやなわけではなくて、繊細な部分と無骨な部分を持ち合わせた高校生ならではの作品で、楽しめました。無理矢理若くみせるような若作りっぽい作品もあるけど、この本は読んでいても自然体でした。
私的評価 ☆☆☆☆
(とても池戸先生ならではの作品という気がします。これも先生のカラーかな。基本的に好み路線から外れないので、安心して読めます。)