2003年11月のレビュー

 

 2003年11月29日(土)  恋は純情に愛は情熱で…

   ルビー文庫   火崎勇:作  甲田イリヤ:絵

「恋愛取引(ディーリング)」に出てきた別キャラのお話が文庫で登場です。主人公はアパレルメーカーに勤める営業マン。大手商社と提携して海外向け製品を売り出す事になり、その担当者として忙しく過ごしています。実は主人公はゲイで、後腐れない相手と遊ぶのが今までの過ごし方でしたが、商社の担当者である青年に惹かれ、友人として仲良くなりたいと思うようになり、アプローチの甲斐あってだんだんと打ち解けていきますが…。

前作を知っていただけに、その後のお話でもあるこの作品は楽しめた気がします。受のいじっぱり加減と攻の直情的な部分がいいコンビかも。強引にコトに及んだあたりはどうかなと思いつつ、攻がある意味ヘタレなせいなので許容範囲かな。受のにーちゃんず(…実際にはちがいますが)もなかなか過保護なので、攻は今後かなり苦労しそうですねえ。精神的にすれ違う感じの2人なので、できればバカップルなほどラブラブな所をしっかり読みたいなとも思うんですが、前作のカップルと2つあわせて続編っていうのはできないのかなあ〜。どちらもその後が気になるので、ぜひとも読んでみたいです。

私的評価 ☆☆☆☆
(前作とあわせて読むと、キャラがしっかり判りますが、単独で読んでもOKだと思います。)

 

 2003年11月28日(金)  ずっと甘いくちびる

    リンクスロマンス  真先ゆみ:作  笹生コーイチ:絵

小説エクリプスに掲載された音楽モノネタのお話。実はGUSTで掲載され、リンクスノベルズで出ていた「ワンダーガーデン」の番外編でした(^^; 前作の方を読んでいなかったので慌てて購入したです(笑) 主人公はバイトでバーテンダーをしつつ、ピアノを勉強している音大生。ある日図々しい御曹子が取り巻きを沢山つれて店にやってきました。演奏を聞きもせずやかましい客へ腹立ちを覚えていた主人公。しかし翌日になんとその御曹子が主人公を口説きにやってきて…。

前作を知らなかったため、意味ありげに出てきたキャラがあまり判らなくて、なんだか損をした気分(^^; というわけで全く別キャラのお話ではあるものの、なにかと世界観が被るので、ぜひとも「ワンダーガーデン」を読んでからをオススメいたします。音楽ネタよりも恋愛にポイントが置かれている印象を受けましたが、割と面白いなと思ったのはワガママ御曹子な攻が、最初こそ強引な態度で鼻につくものの、その後は強引なだけではなくてしっかりいろいろ考えている所かも。成長していく攻って感じでしょうか。…そーいやこれも年下攻めか…(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(慌てて前作を読み、再度読み返したら「あ、このキャラも出てた…(笑)」と改めて発見しました。うーん、最初から読んでたらもっと楽しんだのに、順番逆で残念だったなあ。)

 

 2003年11月28日(金)  ささやきの色彩

    リンクスロマンス  坂井朱生:作  あさとえいり:絵

坂井先生の初リンクスノベルズはエクリプスロマンスで発売された「でたらめなため息」と同じ千坂学院を舞台にしたシリーズのお話で、全編書き下ろしです。主人公はぼんやり天然タイプの研究員をしている青年。就職を機に独立したいと思っていたものの家が見つからず、恩師である教授が経営しているアパートへ入居することになります。実は恩師も大概な天然タイプで(笑)1人息子がアパートの管理を請け負っていました。主人公は仕事先で心秘かにその息子に憧れていて…。

最初、このシリーズと聞いた時、勝手に「でたらめなため息」の続編とばかり思い込んでいて、読んでいてどうしてもキャラが被らずおかしいなと思っていました(笑)息子の学校での様子を読んで納得。そうか、生徒会長だったんだ!(笑)名前よりも「生徒会長」という刷り込みだったので、不覚だった…。でもその反面意外なキャラの裏側が読めたという満足感もかなり高く、じっくりと進んでいく恋愛を楽しめて良かったです。そーいや年下攻ですね、これ。受が天然で幼い感じだし、攻が大人なのであまり意識してませんでした。流れがゆっくりとしていて、非常に感情移入しやすくじっくり楽しめました。久々に「でたらめなため息」と一緒に読み返そうかなあ。

私的評価 ☆☆☆☆★
(前作の飄々とした生徒会長っぷりも、今回のちょい悪人なとこも(笑)そして好きな人に対しての余裕のなさも(笑)けっこう好みなのです。また続きが読みたいなあ〜。)

 

 2003年11月28日(金)  コルセ−ア(下)

    リンクスロマンス  水壬楓子:作  御園えりい:絵

小説エクリプスに掲載されたファンタジー海賊もの(笑)のノベルズ下巻です。書き下ろしで番外編も収録されています。上巻で過去と向き合うことになった盲目の参謀役の青年。自分の目を奪った実の兄との対決が待ち構えています。そして攫われた姫を助けるために彼が決断した方法は、さらに自分の過去と向き合うような方法で…。

雑誌掲載で読んでいたのだけど、やはり通して読むとはらはらどきどき、楽しいですねえ。上下そろってしっかり読むと、主人公の苦悩の様子とそれを支える強さをもつお相手キャラとが凄くいい雰囲気で、こういうのが好みなのだなとしみじみ思いました(笑)こういう一緒に闘ってくれる強さは好きだ(笑)番外編では、本編の後の主人公たちのバカップル(笑)ぶりが読める話と、主人公の養い親にあたるキャラのお話があって、養い親の話の方は意外でもあり「やっぱり」という感じもあり(笑)これも楽しめました。おやぢ好きの方はぜひ(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(どうやらこの世界観でのシリーズが続きそうです。ムーンリットシリーズみたいになるのかな?楽しみです。)

 

 2003年11月28日(金)  きみには勝てない! 2

    花音コミックス   穂波ゆきね:作画  高口里純:原作

花音に掲載されている学園ものの第2弾。前巻にて自分の持ち物である山に私立の学校をたてる事になり、自分もそこに編入した田舎の少年。最愛の兄はそこで教鞭をとっていますが、なにやらその学校、異様な雰囲気のあるところで、孤軍奮闘頑張る主人公ですが…。

…というか、2巻目にしてすでにかなり主人公が染まっていると言う話もある(苦笑) 私のイメージなんでしょうけど、穂波先生というと純愛系な感じがするので、高口先生の描かれるようなある意味アクの強い話があまりあわないような気がします。読んでいても、この絵でこの展開というのがどうしても違和感を拭えなくて楽しめなかったのが残念です。多分高口先生の絵の影響が濃くて(どうやらネームはある程度書き込んだ状態らしいので)穂波先生のトーンとは違うからかなと思うんですが…。まあ、好みの問題ですね、これは(^^; 

私的評価 ☆☆☆★
(穂波先生は凄く好きなのですが、やはりいつもの絵とは少し違う印象を受けました。おにーちゃんは好きなんだけどなあ…。)

 

 2003年11月27日(木)  寡黙に愛して

  キャラ文庫   火崎勇:作   北畠あけ乃:絵

全編書き下ろしの新刊は、年の差もののお話です。主人公は無職の青年。一緒に暮らしていた祖母を亡くし、天涯孤独となり、残されたのは古くなったビルだけになりました。そんな彼のもとに不動産屋の青年が現れ、そのビルを建築した当時の借金があると知らせてきます。このままでは返済もままならない主人公は、店子のオカマさんと知恵を出し合い、その不動産屋へ雇ってもらえるように紹介状を持って不動産屋へ訪れますが…。

火崎先生ならではの健気受ですねえ〜。不器用な攻キャラもいい感じ。ほのぼのしていて焦れったくって、でも2人がお互いに惹かれあうポイントもしっかりあって、読んでいても自然で楽しめました。オカマさんの行動力にも拍手(笑)というか、やっぱりそうだったのねという正体でしたねえ。どうして協力したかというあたりはびっくりでしたが(笑)真面目で不器用な恋愛ですが、それだけに真摯で、心に響きます。受の健気さや潔さがいい感じの作品でした。

私的評価 ☆☆☆★
(火崎先生らしい作品でしたねえ。この焦れったさ加減がいい感じ(笑))

 

 2003年11月27日(木)  ラブ・ライズ 

  キャラ文庫   染井吉乃:作   麻々原絵里依:絵

「ハート・サウンド」シリーズの最終巻になります、染井先生の久しぶりの新刊です(^^)全編書き下ろしで、ニューヨークでのレコーディングを終えて以降の宝たちを描いたお話になっています。スイ、和貴、烈の3人で結成されているグループ「ヘル・モード」の復帰第一弾のアルバムレコーディングのため、ニューヨークのスタジオへマニピュレーターとして参加した宝。会社から出張や有給休暇利用で来ていたため、帰国することにします。帰国してからも、なにかと呼び出されヘルモードのプロモビデオにまで出演することになって…。

もう最終巻?というのが残念。まあ、区切りのいいタイミングではあるんですが、もっと読みたかったなあ〜。最終的には「ヘルモード再開」への予定調和的なところもあるんですが、そこに至るまでの宝の苦悩とそれを打破する意志の強さに惚れ惚れしました。今回はちと和貴が姑息だった気がするんですが、スイも大事な事は言わなかったし、大人組たちずるいぞ!と思ってしまった(笑)実は私が一番感情移入していたのは、この巻に関しては烈だったりします。すっかりイイやつになってて、好感度倍増でした(笑)久しぶりに、染井先生の作品を堪能できて、満足です(^^)

私的評価 ☆☆☆☆
(また番外編などでヘルモ−ド活動中の話なんか読めたら嬉しいなあ。和貴や烈の話も、読んでみたいです。)

 

 2003年11月27日(木)  三千世界の鴉を殺し 8

  ウィングス文庫   津守時生:作   古張乃莉:絵

大人気シリーズの8巻は随分予定が延びましたがようやく発売になりました。今回でイラストの古張先生が交代されるとのことで、ある意味節目の巻です。前巻で市街地で銃撃戦を繰り広げレスとの闘いから生還したルシファード。上官に呼ばれ報告をし、基地を挙げての作戦を練ることにしますが…。

最近はほとんど雑誌を斜読み状態だった上に、三分の一以上も加筆されたらしく、まるで初めて読む気分(笑) こんなに沢山の出来事が約1日の間にあるとは…(^^; 久々に出てきたO2とルシファ、ニコルとの会話が最高におかしかったです。久々にカラワンギ・サ−ガラ読み返そうかなあ〜と真剣に思った(^^; 後半あやうくボーイズラブか?な展開になりますが、ギリギリセーフでした(笑)読みながらにやにや笑いが止まらず、この作品も当然ながら禁通勤用になってしまいました(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(イラスト変更、なんだかまだ違和感はのこりますねえ。一応本誌では今月から変更で、サラがめちゃめちゃ骨太でびっくりしました(^^;慣れるまで時間かかりそうです。)

 

 2003年11月25日(火)  禁じられた体温

  キャラコミックス    宗真仁子:絵

宗真先生の久しぶりのコミックスは、雑誌掲載された短編と、書き下ろしの表題作が収録されています。主人公は真面目で潔癖性気味な刑事。ある日路上でケンカになりかけていた若者の仲裁をしますが、その片方が八年ぶりに再会した、親友の弟と気づき、つれて帰って世話をしてやりますが…。

100ページの書き下ろしの作品が主なので、すごく新鮮に読めました。世の中なかなか書き下ろしコミックスなんてないからなあ〜。かなりシリアスな作品で、不幸な道を辿りかけていた親友の弟が救われたのを見て、すごくホッとしてしまいました。打ち解けて柔和になっていく姿が、きちんとかき分けられていて、非常に感情移入しやすかったです。短編はどちらもキャラに掲載された作品で、ほのぼのコメディチックで楽しめました。

私的評価 ☆☆☆★
(ちゃんと仕事をしているキャラが描けるのも宗真先生の魅力かも。スーツ姿も麗しいです。)

 

 2003年11月21日(金)  ランチタイム・シンデレラ

  アクアノベルズ   小川いら:作  紺野けい子:絵

小説b-Boyに掲載されたサラリーマンもののシリーズ2作品とその続編書き下ろしが収録されています。主人公はインテリアコーディネーターをしている青年。仕事先で、高校のころに憧れていた相手に再会します。お昼ご飯に誘われ語り合っているといきなり彼が高校時代にキスしたことを「覚えているか」と持ちかけてきます。とっさに忘れたと言った主人公。でも相手は逆に思い出させてやるとアプローチをしてきて…。

なんとなく、雑誌で読んだのを覚えているような覚えていないような…(笑)子供っぽいところとお大人で度量のあるところが混在しているような2人で、読んでいても気恥ずかしくなるような部分もありますが、それが逆に魅力にもなっていて、楽しく読む事ができました。受が攻のために自転車に乗る練習をするあたりなんかは健気で、なんだか可愛い。攻も適度にヘタレで(笑)下手に余裕だらけなキャラよりも好感がもてました。紺野先生のワイルドな絵がぴったりで、雰囲気倍増。ちょっとコメディがかっていますが、面白かったです。

私的評価 ☆☆☆☆
(いわゆるバカップルな感じですが、なんだからしくて面白いと思いました。続きは…無理かな?(^^;)

 

 2003年11月19日(水)  月を読む君

  エクリプスロマンス   十掛ありい:作  華門:絵

小説エクリプスに掲載された、古事記の有名な神様たちを題材にした古代(?)もののお話と、その続編書き下ろしです。主人公はイザナギとイザナミから産まれた3人の貴神「アマテラス」「ツクヨミ」「スサノオ」のうちのツクヨミとスサノオ。アマテラスの片腕として、また月を統べる神として穏やかに過ごしていたツクヨミの元に、地上をまかされていたスサノオが現れ、押し倒されてしまいますが…。

雑誌掲載では、あまりに強引なスサノオに引き気味だったのですが、書き下ろしがあるので、その辺フォローがあるかしら?と期待しつつ読んだものの、思っていたほどのフォローはなく、却って倍増していて(^^; しかも続編ではクシナダヒメ(スサノオの嫁ですな)も強烈で、期待とは逆だったのがちょっと残念。スサノオがもうちょっとしおらしくなったら好みだったのになあ。ツクヨミもどこがいいんだか、こういう強引なスサノオにそこまでやらずともいいような気がするんですが。なんだか微妙な読了感でした。

私的評価 ☆☆☆
(しかし、実際に語り継がれているような神様ネタはひょっとしたら初めてなのでは(^^;<ボーイズラブ 取りあえず、読んだ事はないんですが(^^;)

 

 2003年11月17日(月)  空に星があるように

  ビーボーイノベルズ   松岡なつき:作  海老原由里:絵

何回か予定が遅れていましたが、無事発売になりました、松岡先生の新刊は芸能界もののお話です。主人公は戦隊モノの正義の味方役でデビューし、人気が出たものの、次の作品になると下火になってしまって全然仕事がない新人俳優。ある日マネージャーから仁侠もの映画の仕事がある事を知らされます。しかし、その仕事には「映画の主人公である俳優のお手付きになる」という条件がありました。仕事をとるためならと我慢をした主人公は、無事役を貰っていよいよ映画撮影のためにアメリカへと旅立ちますが…。

お相手が出てこなかった(^^;<あらすじ 相手はアメリカで出会う人なので、主役俳優ではありませんので念のため。なんだか今回の作品では攻キャラの方が健気で一途で、却って受のずるさや逃げの部分が目立ってしまった気がして、ちょっと残念だったかも。人間だから、ずるい部分はあって当然なんだけど、もうちょっと思慮深く行動するところがほしかったなあ。日本がダメならアメリカで、みたいな短絡的なイメージがあって、松岡先生のキャラにしては潔くないなと思いました。

私的評価 ☆☆☆
(…個人的にはかなり攻キャラが好みなので、余計に受の点が辛くなったという話もあります(苦笑))

 

 2003年11月17日(月)  じれったい口唇

  ビーボーイノベルズ  遠野春日:作  蓮川愛:絵

小説b-Boyに掲載された作品とその続編書き下ろしです。主人公は建築資材を主に扱う会社の営業マン。ある設計会社にプレゼンに行ったところ、なんとそこで大学時代に付き合っていた元カレに再会してしまいます。何も言わず自分を置いて留学してしまった彼ですが、またなにやらアプローチをしてきて戸惑う主人公ですが…。

雑誌掲載の時もなんとなく覚えていますが、とにかく攻の傍若無人さが気に触ったのが印象に残っています(爆)だって、人を試すにも程があるというか、読んでて非常に受キャラに感情移入してしまい、しんどかったんですよねえ。その割にこうしてノベルズになってみると意外と読めてしまうのは、読み込んでみれば攻キャラのヘタレな部分が見えてきたからかなと(笑) とくに書き下ろしの続編なんかは、これをヘタレと呼ばずにいられようかというぐらいにある意味健気で(笑)しかもそれが空振ってて、思わず苦笑してしまいました。ラストシーンはすっかりラブラブモードで、なんだか和んでしまいます。とりあえず受が幸せなら、私は満足です(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(かなり受キャラに感情移入してますね私(^^; 頑張ってて意地っ張りで、こういうキャラに弱いのです(^^; ちなみに今月号の小説b-Boyでは脇キャラのお話が載っていて、この作品の裏側が楽しめます。)

 

 2003年11月17日(月)  紳士とワルツを

  ビーボーイノベルズ  ふゆの仁子:作  陸裕千景子:絵

ふゆの先生の書き下ろしの新刊は、ソシアルダンスが題材のお話です。主人公はダンスが好きな、両親も世界レベルのダンス経験者である青年。幼い頃に物凄く上手い人と踊り、そこから彼のダンスひとすじの生活が始まりました。しかし、世界の大舞台であるブラックプールでの大会の前日、衝撃的な出来事があり…。

…とあらすじをかくと「怪我をした」とか思われるかと思いますが、ちがいます(笑)ので御安心ください。ダンスものもわりと多く作品が出ていますが、なんだか印象が薄かったのは、主人公があまりに流されている感じのキャラで、「ダンスが好き」という気持ちが伝わってこなかったからかなあ。「そんな事ぐらいで諦めるなよ(^^;」という物足りなさもあるんだろうとは思いますが。相手キャラの方が健気かもしれないなあ、この作品。

私的評価 ☆☆☆★
(ダンスの作品ではお気に入り作品があるので余計に点が辛いのかも。陸裕先生のイラストが可愛過ぎて(笑)よけいに受が精神的に幼く見えてます。)

 

 2003年11月10日(月)  伯爵様は危険な遊戯がお好き

   プラチナ文庫   高月まつり:作  蔵王大志:絵

前作でおもいっきりハマった(笑)吸血鬼ものの続編が登場しました。主人公は下宿屋を営む青年。前作で迷いコウモリを助けたところ、実はそれは由緒正しい吸血鬼で(笑)熱烈に求愛され、それを受け入れます。すっかりラブラブで新婚生活を満喫していた彼らのもとに、なんだか怪しい青年が近付いてきて…。

前作にもましてエディコウモリが可愛くて可愛くてたまらん(笑)という作品になっておりました。なんならずっとコウモリでもいいかも…と思いつつ、それではボーイズラブになりませんな(^^; 濡れ場シーンは前回より倍増してて、もうちょっと少なくていいからコウモリをいっぱい出してくれ〜と本末転倒な事を考えてしまいました。後半吸血鬼同士の決闘シーンではあまりにも可愛い描写にお腹を抱えて笑いました。ぜひ一度お試し下さい。人外モノだけでなく、可愛いもの好きな方はハマるかも(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(ちなみにマフラーコウモリのイラストも可愛かった〜(笑) なんかこの本だけはどうにも方向性が違うとは思いつつ、コウモリ萌えなのです(^^;)

 

 2003年11月08日(土)  GATE 2 −始動−

   ゼロコミックス    如月弘鷹:絵

雑誌「ZERO」に掲載されている異世界召喚モノ(笑)のお話の2冊目になります。普通の仲良し高校生4人組は遊んでいる途中にとんでもない目にあい、それぞれ神獣と呼ばれる「白虎」「青龍」「玄武」「朱雀」に憑依されてしまいます。彼らの生命は実は尽きていて、神獣達と共存するか、死を選ぶか究極の選択をせまられますが…。

前の巻では憑依されたいきさつと2名の融合が入っていたのですが、今回は残り2人の融合と、脇キャラのお話の書き下ろしが入っています。でもまだまだこれからという感じで、まさに「始動」というか、始まったばかりです。これからどうなるのか想像もつかないので、じっくり進んでいって欲しいと思います。如月先生ならではの華やかで綺麗な神獣たちが見どころです。個人的には白虎がミニサイズになって出てきたのがめちゃめちゃツボでした。ぜひとも全員分ミニサイズ化を!(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(雑誌はもう買ってないので、どの程度お話が進んでいるのか判らないんですが、きっとエンディングまでは長いんだろうなあ…(^^;)

 

 2003年11月08日(土)  霜雪のかなたに

  クロスノベルズ  たけうちりうと:作  梶原にき:絵

今月2冊目のたけうち先生の新刊は、「自然保護もの」…?(笑)イヌワシの生息地である山奥を守ろうとする地主の青年とその周りの村人、そしてその場所を開発しようとしている建設会社に勤めている青年が織りなす、ちょっとシリアスなお話です。主人公の青年は、建設会社に勤めていますが、実は部長の愛人とひそかに関係があり、そのせいもあって、やっかいな仕事を部長から頼まれ、山奥へと向かいます。その先で彼が出会ったのはクールビューティーな青年。その青年こそがイヌワシの観測をしている地主で…。

最初こそあまりに都会的な感じのキャラが出てきたので「あれ?」と思っていたのですが、最初だけですぐに「たけうち色」豊かなキャラになったので、ホッとしました。壮絶な過去をもつ地主の青年を過去ごと包んでやれる度量の深さは大したものだなあと思う。のんきでのんびりしたキャラだけど、物事を見る視点はしっかりしてて、いい感じにおとぼけキャラで面白かったです。クールビューティーな地主も過去に囚われたままではなく、一歩を踏み出せて良かったなと思う。読み終えてみて、なんだか鮮烈な印象の作品でした。ほのぼのしているのに、どうしてかな?テーマが重くて強烈だったのかなあ。

私的評価 ☆☆☆☆★
(「4年間なにもしていない!」という(笑)飢えを満たす濡れ場は今までのたけうち作品の中で多分一番濃かった気がする(笑) 今月は濡れ場の濃度アップキャンペーン中なのかも(笑))

 

 2003年11月08日(土)  ホーム・スウィート・ホーム

  クロスノベルズ   義月粧子:作   桜城やや:絵

義月先生の新刊は、どうやら同人誌の方で展開されていた作品の加筆訂正でノベルズ化のようです。…とくに記載はありませんでしたが(笑)兄弟もので、主人公は昔心臓が弱くて手術をしたこともある大学生になりたての少年。4つ違いの兄がいて、主人公は兄を崇拝しているものの兄の方はあまり弟に興味がないようです。そんな微妙な関係の兄弟ですが、大学進学を機に同居することになって…。

うーむ、義月先生のキャラは基本的にモラルが低いとは思っていましたが、今回のキャラが一番それが顕著かもしれません(苦笑) だって近親相姦なわけで、しかも2人ともそこがネックにちっともなってないという(^^; 攻キャラ(兄)は浮気しまくるし、受(弟)はそれを責めないし、なんだかもうここまで徹底してモラルが低いと「こういうものなのね」とそれなりに慣れてきてしまう気が…。ただ、受の健気さの割に、反省の色のない兄はレッドカードものですが。調子良すぎでちょっと感じ悪い。ラストで友人にからかわれておたおたしているぐらいじゃ受のつらさには割にあわないので、もっとひどいめにあわせてやってください(笑)←相当攻の所業に怒っているらしい(笑)

私的評価 ☆☆☆
(これは賛否両論かなりありそうな感じですね。私も諸手を上げて「好み」だなんてとうてい言えません(^^; ネックはいくつかありましたが、それでも読めたのは基本的に義月先生が好きだからなんだろうなあ。)

 

 2003年11月05日(水)  優しくて冷たい果実(後)

   パレット文庫   たけうちりうと:作  今市子:絵

2ヶ月連続で刊行された、たけうち先生の料亭モノのお話の後編です。主人公は高級料亭を営む家の跡取りの青年。不慮の…しかし意図的とも思える事故により料亭は全焼してしまい、心労がたたって当主の祖父は入院してしまいます。しかしそれに負けまいと小さな店を開き、解決策を模索しようとする主人公。それをささえるのは幼馴染みで恋人でもある修行中の板前で…。

前編のほうではり巡らされた伏線の数々を拾い上げつつ、無事解決に向かった感じで、ほっとしました。ただそのトラブルを解決するだけでなく、それぞれが新しい方向へ向かう感じで、「あるものを元通りに」ではなくて「新しいものへ」という発想がたけうち先生ならではという気がします。なんだかボーイズラブ要素は随分縮小されてますが、その分濡れ場シーンもやたら艶っぽくて濃かった感じがする…(笑)どうにも「恋愛」より「仕事」に入れ込みまくってるキャラたちですが、非常にかっこよくて惚れ惚れしました。前後編あわせてじっくり楽しんで下さい。

私的評価 ☆☆☆☆
(今先生のイラストが雰囲気よくてぴったりでした。女性キャラもかっこよくて素敵だし、やはりたけうち先生の作品はハマるなあ〜。)

 

 2003年11月05日(水)  ふらちな恋のプライス

   X文庫ホワイトハート  和泉桂:作  高久尚子:絵

和泉先生の新作シリーズが始まりました。デパート業界を舞台にしたお話で、前回のホテルものと同じく主人公の成長物語という感じです。主人公は、デパ地下の菓子店でバイトをしている青年。実は彼はこのデパートを含めた一大グループの一族で、社長の末子にあたります。そんな彼がバイトしていると、経営再建の為にデパートに出向しているコンサルタントの青年がやってきて、こっぴどく注意されてしまいますが…。

かなり前シリーズとパターンが似ていますねえ(^^; あと、あまりに御曹子の仕事っぷりがあかんたれ(笑)で、仕事できるキャラが好きな私にはあまりに物足りない感じでした。いや、きっと今後成長してくれるんだとは思いますが、まだまだひよこちゃんですな(^^; 攻キャラはやり手だけど、言葉が足りない(笑)自分で一番好みだったのは御曹子の兄ですが、多分和泉先生の愛を一番受けているのも兄だと思う(笑) そういえば、高久先生のイラストなので、御曹子のヘタレ度倍増してる気がするのは私だけでしょうか。

私的評価 ☆☆☆
(今後、どれだけ好みの受に成長してくれるか、楽しみです。頑張って攻を見返してやれ〜(笑))

 

 2003年11月05日(水)  転 −WALLOW−

   X文庫ホワイトハート  柏枝真郷:作  茶屋町勝呂:絵

「硝子の街にて」シリーズの第15巻。すっかり落ち着いた感じのする恋人同士のノブとシドニー。今回は小学校で起きた銃撃事件をベースに物語は進んでいきます。仕事が定休日だったため、知人の元へ出かけたノブは、帰りに知人宅近くの私立小学校で銃撃事件があったと聞きます。その小学校には、友人の消防士の甥も通っていたようで…。

うーむ、段々シドニーとノブの話というよりも、時事ネタ(とはいえ時期がずれているので、数年前ですが)が中心になってきましたねえ。親や教師も人間であるというのは確かだけど、その心ない行動による歪みが直に子供に反映してしまうというのは実際あることで、少々子を持つ親としてやり切れない感じのテーマでした(苦笑) そして、なによりも共感を感じたのは、実は今回はあとがきだったりして(笑) 私と読んでいる児童書がかぶりまくりで(笑)ああ、だから感覚が判るのかなあと思いました。久しぶりに子供の部屋の本もひもといてみようかしら。

私的評価 ☆☆☆★
(…しかし、小学校1〜2年でピッピややかまし村はませてますな…(笑)<柏枝先生>いや、私も1年で兎の眼を読みましたけど(^^;)