2003年12月のレビュー

 

2003年12月25日(木)  エスコート

   リンクスロマンス  水壬楓子:作  佐々木久美子:絵

小説エクリプスに掲載されていた、ボディーガードもののシリーズがやっとノベルズになりました。諸事情あってリンクスに移る事が確定するまで、読みたいと願っていた私はひやひやしておりました(笑) 主人公のユカリは、初めてガードをすることになった新米ボディーガードの青年。その初仕事とは莫大な遺産を継ぐ事になった青年が成人する瞬間までの護衛で、意気込んでいました。しかしその護衛の対象となる相続人はなにやら非協力的な上に子供扱いする感じの悪いやつで…。

雑誌掲載時にも楽しんで読んでいたシリーズで、凄く嬉しいです。ただ、実は私は他にお気に入りキャラがいたせいもあり、この2人がエスコートシリーズの最初の主役だった事をすっかり忘れてました(^^; ところどころ「おいおい(^^;」と思う部分もあるけど、取りあえずキャラの魅力と、テンポの良さで楽しんで読めました。今後他の作品も登場予定とのことで、凄くわくわくしています。ちなみに私のお気に入りキャラは、今回の脇キャラなのでした(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(1つだけ残念なのはイラスト交代でしょうか。私はかんべ先生のイラストがすごくすごく好きだったので、やはり最初は違和感を感じてしまいました。でも、佐々木先生のイラストも良かったです(^^))

 

2003年12月25日(木)  あやうい嘘

   リンクスロマンス  きたざわ尋子:作  金ひかる:絵

きわどい賭の続編が早くもノベルズになりました。特殊な捜査機関の会社に勤める恋人をもつ、機械いじりの得意な大学生のお話と、その脇キャラたちを描いたお話の2編が収録されています。主人公の双葉は恋人の朝比奈と半分一緒に暮らしつつ、普通に大学生活を営んでいましたが、ある日大学の先輩が双葉をナンパしてきて、朝比奈に追い返され、逆に朝比奈を普通の人間ではないと見抜いて根掘り葉掘り聞いてきますが…。

出来上がっちゃったカップルに波風が立つためには、他からのちょっかいがあるか、浮気ネタかなので、やはり定番というイメージは否めませんでした。ただ、脇キャラネタは読んでみたかったし、想像以上に微妙な関係に眉を寄せつつも、なんとか幸せな方向に進んでくれた事にホッとしました。相当ヘビーな過去でしたが(^^; 今後はバカップル街道まっしぐらになるのかしら…(笑) ここでも朝比奈の暗躍ぶりはある意味嫌みなほどでしたが、ま、双葉の前では大人気ないからいいか。

私的評価 ☆☆☆★
(あまり完璧すぎる攻は苦手なのかなあと思いつつ。完璧でも恋人にはどうにも頭が上がらない、とかの方が人間的で好きなのかもしれませんね。)

 

2003年12月25日(木)  好きじゃなければやってられない

  パレット文庫   佐々木禎子:作  穂波ゆきね:絵

佐々木先生の久しぶりのパレット文庫は、年の差もののお話です。主人公は母を早くに亡くし、父と二人で家業のゲーム店とゲームセンターをなんとかやっていっている高校生。ある日主人公が店番をしていると、レアなプラモデルを根こそぎ大人買いしようとする男性が現れ、その買い方に腹立ちを覚えた主人公は断固として売らず、そのプラモを買いたいとお金をためている子供達の気持ちを思いやります。しかし数日後、その大人買いをしようとした男性は、高校の代理教師として主人公の前に現れ、しかも主人公を口説きはじめて…。

健気な主人公と、さり気なくそれを支える相手がいいコンビのお話で和みつつ読みました。父親が倒れ、自分も折れそうになりながらも必死で店を守ろうとする主人公を、否定する事なく支えることができるのは年の差カップルならではでしょう。攻キャラの度量の深さと、時々垣間見られる大人気なさ(笑)とがいい感じで、微妙にヘタレ攻めなところもツボで、とても楽しんで読めた作品です。

私的評価 ☆☆☆☆
(とぼけた天然系キャラなお父さんも好きですねえ。素直じゃないけどとても素直な主人公も、とても可愛くて、ぜひぜひ、続きが読んでみたくなりました。)

 

2003年12月24日(水)  ディア・グリーン

   ルチルコレクション   富士山ひょうた:絵

アンソロジー時代のルチルから掲載されてきた表題作シリーズをはじめとした短編を収録したコミックスです。表題作は、高校時代に彼女を間に挟んで仲良くしていた男2人のお話です。実はその後2人は恋人同士になって同棲していて、ある日その彼女が結婚する、という知らせが舞い込んできて初めて、同居(同棲)の事実すら伝えていなかった事に気が付いて…。

とてもとても、穏やかに相手を思いやる恋愛を描いたお話で、これこそがひょうた先生のもつカラーなのではないかと思います。自分を過信せず、おごることもなく、素直でなくとも相手への思いやりを忘れない、読んでいてもほんわか暖かい気持ちが続く、和む作品でした。男同士だから、とかではなくて、人間関係のしっかりさ加減と、相手を思いやる気持ちの純粋さが、多分ツボなんだろうなあと思いつつ。見ているこちらの方が幸せになる(笑)そんな1冊でした。

私的評価 ☆☆☆☆★
(アンソロジー掲載の時も、とても好きな作品だったので、まとめてきちんと読めたのは嬉しいです。ルチルはひょうた先生めあてで購入してたから、読みのがしはないけど、描き下ろしもちょびっとあって満足♪)

 

2003年12月19日(金)  君に抱かれて花になる

   キャラ文庫   鹿住槇:作   真生るいす:絵

雑誌キャラセレクションに掲載された「キモチの花束」とその続編書き下ろしの表題作が収録されています。主人公は普通の高校生なのですが、どうにも男性の劣情をさそうタイプらしく、中学時代に親友に乱暴されて以降、従兄や家庭教師など、強引に身体目当てに近付いてくる男性にいいようにされてしまっていて、そんな自分をも嫌悪しています。そんな時、同じ学校の男子生徒に告白され、「身体の関係なしだったらいい」とあきらめて欲しくて言ったにもかかわらず、なぜか付き合う事になってしまって…。

主人公の自分に自信が持てなくなっているのを、上手く相手がサポートして、段々強くなっていく、言わば成長物語という感じがしました。主人公たちはいいのですが、どうにも脇キャラが腹が立つ!(^^; というわけで、あまりの理不尽さや身勝手さにむかつきまくってしまったため、せっかくの青春な主人公たちの恋愛が純粋に楽しめなかった気はしますが、一生懸命で誠実であろうとする2人はとても好感が持てて、読んでいても和みました。

私的評価 ☆☆☆★
(まさに青春!って感じの作品でした。鹿住先生ならではの作品ですね。)

 

2003年12月19日(金)  明日晴れても

   キャラ文庫   菅野彰:作   二宮悦巳:絵

毎日晴天シリーズ最新刊は、小説キャラに掲載された脇キャラであるウオタツのお話と、書き下ろしでその話の少し前に遡った話が収録されています。ウオタツは微妙な初恋を今でも引きずったまま、付き合っては振られまくる日々を過ごしています。そんな中、同級生で幼馴染みとも言える男の子晴の相談にいろいろと乗ることになって…。

いやはや、重いお話でした。本当なら、ウオタツは幸せになってほしかったのですが、どうやら菅野先生の中で「ウオタツ」とは永遠の振られキャラのような気がしてきました(^^; まるで不幸のてんこもりのような晴にやり切れない思いで一杯で、もちろん相手の昂の生い立ちや環境も、かなりしんどかったなあ〜。まあ、こういうやりきれないような主人公たちを書かせると天下一品な作家さんだとは思っていましたが(笑) 先生もあとがきで言っていたことですが、将来しあわせに笑っている彼らというのがどうにも想像つかなくて。だから多分書き下ろしがその後ではなくて出会いのシーンだったんだろうなとは思うのですが。できればあの二人が少しでも幸せに見つめあっていられればと、そんな切ないような気持ちになりました。

私的評価 ☆☆☆★
(今度はぜひウオタツがとても可愛い彼女を見つけて幸せになってほしいと思います。あ、そういえば、「花屋の二階で」がCDになるそうで、私は龍兄のキャストが気になっております(笑))

 

2003年12月19日(金)  灼熱のブラッディ・マリー

  ビーボーイノベルズ  高塔望生:作  桃山恵:絵

小説ビーストに掲載された高校時代付き合っていた同級生同士の関係を描いたサラリーマンもののお話と、その続編書き下ろしです。主人公は大手電機会社に勤める青年。同期で出世頭の昔の彼氏は、新しく立ち上げた事業本部の部長クラスに昇進し、一緒に仕事をするようになります。再会をした夜、その元彼氏は薬を持ってまで、主人公と改めて関係を持ち、その後も仕事だけでなく関係をもとうとしますが…。

多分雑誌掲載は読んでいるんだろうけど覚えてません(^^; とりあえず、あまりに強引な攻キャラと受け身なうえにヘビーな過去をもつ受キャラが一緒にいて幸せなのだろうかと本気で心配をしつつ読みすすめたのですが、ラストシーンと書き下ろしの方ではあまりのバカップルぶりに腰砕けに(笑)とりあえず、ベタ甘だけどアダルト系という、なんだか収拾のつきにくいイメージの作品でした。結婚式まで、しかも大マジメにやってるんだもんなあ(^^; 仕事も頑張るキャラだったのにも関わらずその印象が薄かったです(^^;

私的評価 ☆☆☆
(とりあえず、あまりに攻が強引で人の言う事を聞かなさすぎて、好みから遠くはずれているのだと思います(^^; もうちょっと穏やかだったらなあ…(^^;)

 

2003年12月18日(木)  院長先生にくちづけを

   花丸文庫   須藤直希:作  氷栗優:絵

私が初めて購入した、須藤先生の作品です。今まで何冊か出されているのですが、どうにもあらすじが食指を動かさず、結局読んでいなかったのですが、今回はなんとなくイラストも好きな方だし、気になって読んでみることにしました(^^) 主人公は出来の悪い兄と典型的な二代目の父を持ち苦労しながら研修期間を終えた産婦人科医の青年。しかし出来の悪い兄は医療過誤を起こして前科者になってしまい、当然実家も借金まみれ。挙げ句の果てに債権者から主人公を雇う事が条件に加えられてしまい、まるで身売りのごとく新しい職場に向かいます。そこで待っていたのは…。

医者が近くに存在するせいか、どうにも医者ものは自分的ハードルが高かったのですが、今回のこの作品は割と好感が持てて、面白いなと思いました。しょっぱなからとばしてる感じの作品だけど、大事なところはきちんと押さえているというか、読んでいて心に響く内容が多く、読みごたえがありました。ただ、ラストのネタが弱かったかなあというのは気になるところですが、とりあえず天下無敵の朴念仁と究極の誘い受けキャラ(笑)のカップルはとてもツボで、楽しかったです。

私的評価 ☆☆☆☆
(…そういえば、私は誘い受けタカビーキャラは結構好きなんだった(笑)毒舌美形キャラも好きだし…(自爆) そうか、この作品キャラが好みだったのだなと今さらながらに思っております(笑))

 

2003年12月16日(火)  オブジェクション

   リンクスロマンス   義月粧子:作  有馬かつみ:絵

本当は11月末発売だった作品ですが、とんでもない乱丁のために回収、交換になったという曰く付きになってしまった本です。かく言う私も情報を知っていて、本屋で買わなかったくせに、お届けが1週間後になっていたのを見てネットの本屋で注文してしまい、乱丁本が来てしまいました(^^; というわけで交換が終わるまでレビューも待っていたので大幅に遅れてのレビューです。主人公は弁護士事務所で働くエリート弁護士たち。ある日、有名なやり手の弁護士を引き抜いてきた経営者の青年は、次は、以前そこにアシスタントとして勤めていた青年を呼び戻したいと考えていて…。

雑誌で読んでいた作品だったので、楽しみにしていたんですが、さすがに乱丁分は読めなかったですねえ(^^; せっかく盛り上がっている、しかもたけなわシーンが乱丁で、話が全然判らなくなってしまって、本当に残念でした。でも、対応も早くて良心的だったなあ<出版社 作品に関しては、淡々としているけど情熱的なキャラが面白いのと、仕事にかけるそれぞれのキャラたちの信念が私は好きですねえ。書き下ろしで日本人キャラとその恋人の日常も描かれていて、これからのシリーズがとても楽しみです。

私的評価 ☆☆☆★
(これから雑誌はもちろん、ノベルズでもシリーズが続くようです。木になるキャラが沢山いるので、今後の彼らの仕事っぷりも含めて(笑)楽しみなシリーズなのです。)

 

2003年12月15日(月)  花のように愛は降る

  リーフノベルズ   高岡ミズミ:作  紺野けい子:絵

「夜ごとの花」の続編…兄救済編が発売になりました。前作にて弟の元カレと付き合うことになり、実はそれが元で弟と元カレの関係が再燃してしまったという強烈な経験をしてしまった主人公。ショックのあまり適当に入ったバーでヤケ飲みをしていると、となりに座った男性に声をかけられ、まさに自暴自棄になっていた主人公は、誘われて一夜を共にしてしまいます。その後、元カレと同じ職場だったこともあり、希望退職を申請して関係会社への出向という形で新しい一歩を踏み出したのですが…。

前作の兄の扱いがあまりにもひどいと、救済がなければ納得イカン!とまで思っていたのですが、ようやく落ち着きました(笑) というか、兄は兄でこのような物語を持っていたのかとしみじみ。お相手キャラが惚れ惚れするようなイイ男だったので、兄派だった私も満足です。まあ、ちょっと公私混同が過ぎるなあとは思うけど、やはり大人な攻キャラはいいなあ。自制が効いてて(笑) 前作だけでは判らなかった弟たちの絆も垣間見えて、なるほど「2冊そろってこそ」の作品だったなと思います。ぜひ、どちらかだけでなく、2冊揃えて読んで欲しいです。

私的評価 ☆☆☆★
(一部紺野先生のイラストが猿系に見えてびっくりしました(苦笑)一瞬誰かと思った(^^;)

 

2003年12月12日(金)  黄昏にキスをはじめましょう

  ラキアノベルズ   神奈木智:作   金ひかる:絵

ホストシリーズの第2弾。あばら家といっても過言ではないほどのボロボロの家でホストクラブ「ラ・フォンティーヌ」を始めた4人の青年は、借金も返済し、なんとか順調に日々をすごしています。そんなある日、代表でもあり一番年長の山吹は仕事も順調だからとあばら家の改装をしたいと皆に切り出しますが、真っ向から反対され、しかもその話の最中に、自分がライバル視しているホストの涼が現れて…。

今度は年長組のお話です。どちらかというと私はこっちの方が好きだなあ(笑) 頭が固くて直情的なところのある山吹が一流ホストの涼とどう絡むんだろうと思っていたら、意外と正統派な恋愛で(笑)大人組の方が好みな私のツボをぎゅぎゅっと押してくれました。どっちがどっちの役なんだろう(受攻ですね(笑))と思っていたのも、なんだかベッドにもつれ込む寸前まで判断つかなかったし、その攻防も含めて意外性と期待通りとが共存していて、とても楽しかったです。どうやら次は飄々として謎に包まれているキャラのお話のようなので、このシリーズの続きを楽しみにしています。

私的評価 ☆☆☆☆
(そう言えばこのシリーズの1冊目がCDになりますね。キャストを見て思わず今回のカップリングを想像し、「…逆の方が…?」(笑)と思ったのは、私だけではない…はず。このCDは気になるから聞いてみたいなあ。)

 

2003年12月12日(金)  インテグラβ

  ラキアノベルズ   七地寧:作  蓮川愛:絵

インテグラの続編が登場しました〜。元をただせば「ルドルフの数」から始まったこのシリーズ。「ルドルフの数」では当て馬にもなれなかった情けないストーカーくんが立派な受けキャラに変身し、しかも超美人できっついお姉様を味方につけたという感じの作品になったのですが、どういうその後が読めるのかと非常に楽しみにしていました。良門の経営する会社へヘッドハンティング(?)され入社した忠志とさおり。さおりはその遠慮のない、竹を割ったような性格を生かして社内改革にとりくみますが…。

いや、なんだかこれは正直ボーイズラブではない気が…(笑) ただ、私はこの作品は好きです。かなり賛否両論あると思いますし、ダメだった方も多いとは思うけど、私は満足度が高いです。「こういうつながりもあり」という感じでしょうか。どこにも濡れ場シーンもなく、口絵はさおりのウエディングドレス姿という相当異色な作品だけど、たしかに前作の後にくるのはこの作品だったなと思うのです。もちろんあとがきにあるようなその後のお話も読んでみたいと本気で思っています。七地先生でなければ、こういうお話はかけなかったのではないかと思う。この3人の関係を、読んでみたい人はトライしてみて下さい。

私的評価 ☆☆☆☆
(ボーイズラブだから読みたいというよりも、面白い話の続きを読みたかった、読んで満足、という感じだったなあ、これに関しては。さおりお姉様の罠に私もハマったんでしょうか(^^;)

 

2003年12月10日(水)  愛が足りない

  ディアプラス文庫   桜木知沙子:作  高野宮子:絵

桜木先生のひさしぶりの新刊は、全編書き下ろしのサラリーマンものです。主人公は通信事業会社の営業をしている青年。エリートサラリーマンと言うわけではないものの、そこそこ仕事もこなし日々を過ごしています。実は彼は超がつくほどのブラコンで、弟を愛してやみません。その弟の同級生でもあり、今の会社の同僚でもある青年とも仲良くしていましたが、ある日その関係が一変して…。

桜木先生のイメージと言うと「気持ちが先行して、身体の関係はあとから」(いわゆるスタンダードな恋愛ですね(笑))だったんですが、この作品、そのイメージが根底から覆りましたねえ。もちろん、気持ちの部分もきっちり描かれているので「いきなり」な感じはあまりなかったし、非常に読んでいて満足感も高くて、期待とは逆に動いた話の流れも読み終えてみれば大満足という、なんだか大技かけられて一本とられた気分です。ちなみに濡れ場シーンが淡白なイメージもあったんですが、それも覆ったというか、今までで一番濡れ場シーンが多く、また色っぽかったです。いろいろ意外なストーリーも出てきたし、非常に読んでいて楽しめました。

私的評価 ☆☆☆☆
(さすが桜木先生だなあとしみじみ。今までとは全く異なるストーリー展開なのに、とてもとても桜木先生色の高い、そんな作品でした。ぜひ御一読を。)

 

2003年12月10日(水)  おおいぬ荘の人々 5

  ディアプラス文庫 菅野彰&月夜野亮:作  南野ましろ:絵

下宿屋の洋館で織りなされる沢山のカップルたちを順に描いている作品の最新刊は、ようやく進展しそうな初期からいるカップルと、どうにも頭が痛くなりそうな、歳の差カップル(笑)の2組のお話が収録されています。幼馴染み同士の裕幸と征雄は周りのカップルたちに茶々を入れられつつ、友人以上恋人未満な感じでいますが、裕幸の先輩の出現を機会に、だんだんとその関係が変化してきて…。

ようやくですねえ〜…とはいっても具体的にナニがあったわけでもなく、2人の感情のスタンスが恋愛として確立できたというだけなんですが(笑)2話目の歳の差カップルもなかなか楽しめました。 今回はどうやら月夜野先生がシリアス担当、菅野先生がギャグ担当だったらしく(笑)菅野先生のギャグはもうどこでつっこんでイイやら判らないほどに素晴らしく菅野先生らしいぶっ飛び加減で、大笑いしてしまいました(笑)どうやら次の巻ぐらいで終わる予定のようなんですが、いったいどういうふうにエンドマークになるのか、ちっとも想像がつかないのが悩み所です。でも、きっと読んだら納得するんでしょうねえ。

私的評価 ☆☆☆★
(必ず出てくる動物描写が大変笑えて、毎回好きなポイントでもあります。しかしワシントン条約に反した家だよな、ほんとに…(^^;)

 

2003年12月05日(金)  抜頭奇談

  X文庫ホワイトハート  椹野道流:作  あかま日砂紀:絵

前作でとんでもない目にあって疲労困憊にも程がある感じ(笑)になってしまった奇談シリーズですが、今回はある意味小休止の巻になっています。前作でひどい薬物中毒になってしまった敏生もなんとか元気を取り戻し、森と一緒に回復をまって旅行へ行こうという話になります。そんな彼らの元に早川が現れ、疲れを癒すためにどうぞと温泉へのチケット一式を渡します。これも何かの縁とその温泉へ行ってみることにした森と敏生。そこで前作でも世話になった人と再会して…。

前作がしんどかった分、今回はまったりゆっくりと思っていたのですが、でもやっぱりけっこうハードだった気がする…(^^; 敏生は楽だった気もしますが、森がしんどかったよなあ…いろいろな意味で(笑) 最近かなり椹野ワールドが融合してきて、いろんなキャラが出てきますが、龍村さんの出番が少なくなるのは寂しいなあ。あ、でも妖力少なくて実体化できないこいちろ羊はラブリーでした(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(なんだかどんどん見えない波に押しながされていっている感じの敏生たちですね。どこかで父との確執を断ち切れればいいのになと、読む度願ってやみません。)

 

2003年12月02日(火)  ペット心理療法士事件ファイル No.4

   パレット文庫   新田一実:作   富士山ひょうた:絵

ペットの言葉が聞き取れるようになってしまった青年と、その幼馴染みとの織りなす事件を描いたシリーズの第4巻です。前作で誘拐されるというとんでもない事態におちいった幼馴染みの救出劇は、未だに語り種になっている彼ら。しかしトラブル召喚能力は留まるところを知らず、今回もまたとんでもない事件に巻き込まれます。ある日タマが帰ってきたらなんと血だらけ。タマの怪我などではなく、どうやら道に血だまりが出来ていたらしいと聞き、早速物見高く見に行く彼らですが…。

しかし、トラブル召喚というよりも自分から頭をつっこみたがってるという話もあるな(笑) 微妙にボーイズラブをにおわせてるので、毎回進展を楽しみにしているんですが、今回も全く進展なしで、さすがにちょっと焦れてきました(^^; 事件も思ったよりもすっきりしなかったなあという印象で、テンションはちょっと低めかも。今回は微妙に幼馴染み視点だったので、それは新鮮だったのですが、タマのこととかもかなりバレたし、あと数回で終わりなのかな?という感じもしました。ぜひとも、エンドマークまでには少しぐらい進展して欲しいものです(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(最初にそういう目で見てるだけに、やはりこの2人がちゃんとくっついて欲しいという気持ちが拭えません。幼馴染みが秘かに健気なんだもんなあ〜。)

 

2003年12月01日(月)  一目惚れするDNA

    アイノベルズ  たけうちりうと:作  陸裕千景子:絵

たけうち先生の11月(これはほんとは12月ですが)3冊目の新刊です。今月すごく多いなあ(^^; 主人公は天然ボケキャラの製薬会社の営業マン。やり手の部長にしごかれつつものほほんと過ごしています。そんな彼はどうも貧乏くじを引きやすくて、今日も宴会の乾杯直前に部長から呼び出され、しかもその仕事が間に合わずに、深夜の仕事場で待ちぼうけになってしまいます。届けを出していなかった主人公は警備員に取り押さえられてしまいますが…。

テーマやキャラがユニークなのがたけうち先生の特徴だと思うのですが、今回もやはりそんな感じ。主人公のおボケ加減にも笑わせてもらいましたし、相手キャラの一途な性格と、周りを固める個性的キャラに非常に楽しく読めた作品でした。個人的には部長と奥さんが好みだ(笑)こういう小説に出てくる女性ってきついのが多いんですが、この奥さん案外ボケキャラで楽しいです。部長ったらボケキャラフェチなのかしら…(笑) なんだか主人公たちの恋愛そっちのけで(笑)キャラクターを楽しんでしまった感じの作品でした。ぜひじっくり続編で少しずつ育っていく主人公たちも読みたいです(^^;

私的評価 ☆☆☆☆
(きっと、インパクトが強かったんだよなあ、他のキャラの方が。私はこういうの大好きなんですが、苦手な方もいるかも。あ、それと作中のウサギイラストが絶品でした(笑))