2003年5月のレビュー

 


2003年05月30日(金)   天にマのつく雪が舞う!

    ビーンズ文庫   喬林知:作   松本テマリ:絵

大爆笑ファンタジーコメディの「マ」のつくシリーズ最新刊は、相変わらずユーリ大ピンチな感じで始まります(笑)ユーリの親友はなんだか実は訳ありだったり、いつのまにか妙な大会に参加することになったりとそりゃあもう盛り沢山で一応シリアスな感じなのですが…。

…うーん、シリアスならシリアスでいいから、無理にギャグは入れなくてもいい気がさすがにしてきました(笑)というかこんなに時事ネタばっかりで大丈夫なんだろうか(^^; 10年後に中学生とかがこれ読んで判るのかなあというぐらいに時事ネタだらけで、思わず心配してしまいましたが、きっと10年後とかは想定してないんだろうなあ…(笑)とりあえず、ユ−リの親友の正体にだけは納得行かない気持ちも持ちつつ(だってあまりに御都合主義だったし(^^;)ラストの展開に思わずムンクな状態にもなりつつ、6月末を指をくわえて待つ事にいたします。とにかく妙なテンションの作品でした。

私的評価 ☆☆☆★
(とりあえず、最初は1冊完結モノだったのだけど、今は絶好調で続いてるので(^^; この作品はできたら次が出てからまとめ読みをオススメします。でないと私のように欲求不満に…(苦笑))


2003年05月30日(金)   きみは不埒なエゴイスト

    ルビー文庫  春原いずみ:作  高久尚子:絵

春原先生の医療関連シリーズの第3巻。ただただ多岐に振り回されまくっている感のある瀬川ですが、今回もまた例にもれず、やたら意味ありげに絡む多岐と副院長の中本が気になってしょうがなくなり、しかもそれに厄介な患者の誤診や検査が舞い込んできて…。

うーん(^^;だんだんついて行くのが辛くなってきたなあ(^^; 多岐が小悪魔どころか大魔王ルシフェル級な人なんで、どうしても瀬川を手のひらで弄んでる感じがしてすっきりしないんだよなあ…。どちらかというと人を振り回して遊ぶ受よりも、そういう所はあるけど攻にだけは上手くいかないというパターンの方が好きなので、いつそういうパターンになってくれるのかと期待しつつ読んでいたんですが、最後まで大魔王さまのままでした…(笑)しかもどんどん瀬川が受けくさくなってきててちと心配。どうしよう、次の巻で逆転してたら(^^;

私的評価 ☆☆☆
(前も書いた気がするけど「…」多用がほんとに気になる(^^; 会話の時には必ずある気がするです。もっと穏やかな雰囲気の作品なら気にならないんだろうけど、なんだか違和感が否めませんでした。)


2003年05月30日(金)   ムーンリット・ドロップス

    リンクスロマンス  水壬楓子:作  白砂順:絵

ファンタジー作品の「ムーンリット」シリーズの3冊目になります。今回は、前2作品にでてきた脇キャラのお話が2作品書き下ろしで収録されています。1冊目の主人公であった彩都の王弟と宰相の従弟である人気者の青年とのお話と、もう1つはその彩都を訪れている郭都の王に仕える2人の青年とのお話で、どちらも前2作を読んでいる方がいろいろと人間関係が分かりやすい気がします(笑)

とりあえず、だんだん「動物変身モノ」シリーズっぽくなってて(笑)実際に変化したりそれに巻き込まれたり(笑)シリアスそうにみえる中でそれがいい感じにコメディちっくになってて、楽しく読みました。とくにあの耳としっぽ!触りたい〜(笑) けっこう国も沢山あるし、登場人物も多いので最初はちょっと大変かもしれないけど、1作目、2作目を読んで、今回の新刊を読んでからまた前作を読み返すと楽しいかもしれません(笑)今までに出てきていた各キャラの見方が変わりそうだ(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(しかし最初に載ってる地図を見る度どうしても十二国記を思い出してしまう私は安直なのかしら(^^;ちなみに絵が似てるわけでは全然ありません。)


2003年05月30日(金)   アナタはソレを我慢できない

    リンクスロマンス  火崎勇:作  佐々木久美子:絵

2000年に小説エクリプスに掲載された大学生モノのお話とその続編書き下ろしです。主人公は穏やかで大人しい青年。高校卒業時に「好きだ、付き合って欲しい」とアプローチされて付き合いはじめたのはそれまで普通に友人として一緒にいた同級生。戸惑いつつもそれを受け入れて付き合いはじめた彼らですが…。

最初こそ随分ドライな関係だなあと思っていたのですが、だんだんそうではなくなってきて、ちゃんと相手の気持ちが判らなくて思い悩んだりもし始めて「よくある恋人関係」になってからはそこらへんのカップルよりもいちゃついているという(笑)そんな成長の過程をじっくり読ませてくれたという感じの作品でした。どちらかというと続編の方が妙にウエットな感じになってしまってて、攻の嫉妬が少々理不尽な気もしますが、まあ割れ鍋にとじ蓋なカップルっつーことで(^^; どちらかというと私は雑誌掲載分の方が好きですが(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(火崎先生らしい淡々としたストーリー展開なので、物足りない人はいるかもしれないけど、けっこう面白かったです。)


2003年05月30日(金)   鍵のありか

    リンクスロマンス  きたざわ尋子:作  Lee:絵

「鍵のかたち」の続編になります。主人公で建築家を目指し建築事務所に勤める青年と、前作で恋人になった有名建築士のお話です。主人公は恋人と一緒に暮らしつつ仕事をこなしています。そんな主人公や主人公の同僚が、暴漢に狙われかけたりとトラブルが多発して…。

「鍵のかたち」がけっこう雑誌掲載時から好きな話だったので、続編をとても楽しみにしていました。出来上がってしまったカップルなのでどうかなと思ったのですが、どうやらトラブル体質な(笑)主人公がいろいろと引き起こしてくれるので、飽きないですね。どうしても過去に離れた経験を持っている分ちゃんと相手を信じきれなかったり信じてもらえなかったりと、もどかしい関係ですが、最後にはちゃんとお互いを信用できるように話ができてホッとしました。なんだかちゃんと最後まで見届けられて満足感のある作品でした。

私的評価 ☆☆☆★
(事件はあれど穏やかな印象の作品でした。2冊揃えてゆっくり楽しんで下さい。)


2003年05月29日(木)   妖魔なオレ様と下僕な僕 2

   アズノベルズ   椹野道流:作   唯月一:絵

奇談シリーズでおなじみ椹野先生の妖魔シリーズ第2弾です。発刊記念のサイン会もあるらしく、なぜかちょうど出かけた本屋でサイン本が売ってたので(笑)サイン本をゲットしてきました。主人公は現在予備校に通う浪人生。実は主人公はひき逃げ事故にあって死にかけていて、そこを通りがかった妖魔の司野に下僕になる事を条件に助けてもらいます。やがて下僕として気を与え、その方法が夜を共にする事になっていきます。そんなある日、女子高生の噂をもとに取材を申し出てきた気の強いルポライターの女性がやってきて…。

前作で少々あいまいだったシーンのフォローな作品という感じでした(笑)ひき逃げ事件のその後どうなったんだろうと思っていたので、なるほどなと納得。…というか、そのままおいてたら当然騒ぎになるだろうなあ(笑)恋愛として成立してなさそうに見えるのにしっかりちゃんとラブラブで笑えます(笑)とくに後半のあたりと、それからオマケの司野視点バージョンの短編はぜひお試し下さい(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(この2人がちゃんと自分の気持ちを自覚したらどうなるんだろうなあ…。読んでみたいです、ぜひとも。続編もあるようなので、楽しみに待ちたいです。)


2003年05月27日(火)   眠れる館の佳人

   キャラ文庫   真船るのあ:作  にゃおんたつね:絵

真船先生のひさしぶりのキャラ文庫は全編書き下ろしです。主人公は資産家の御曹子の青年。実は彼はゲイで、しかも大学時代に恋人と心中を図って見捨てられたと言う過去があり、屋敷から一歩も外に出ない生活を3年もつづけています。そんな彼がひそかに楽しみにしているのは朝早くに自分の屋敷を見に訪れる建築関係の学生らしき青年。ある日雷でテラスや外壁が壊れ、修理にきた建築事務所のメンバーとして、元恋人の兄と気にしていた青年とがあらわれて…。

やっぱり真船先生の作品は大人なものの方が好きだなあ〜。引っ込み思案でトラウマを抱えている主人公ですが、だからといって無気力なわけではなくて、なんとかしたいジレンマを抱えてるんですよねえ。だからこそ、自分からのアクションもあるし、それが却って泥沼への道になってしまったりもしてますが、でもなんだか微笑ましい感じでした。健気で好きだなあ、この主人公。相手の青年も実直でいい感じ。なんだかひさしぶりに堪能した感じでした。

私的評価 ☆☆☆☆
(気の強い受…ではないけど、けっこうツボにはまりました。2人でガーデニングしてる姿なんかほのぼのしてて楽しそうでいいなあ。)


2003年05月27日(火)   KISSのシナリオ

   キャラ文庫   池戸裕子:作   宗真仁子:絵

雑誌小説キャラに掲載された俳優と脚本家のお話と、その続編書き下ろしです。主人公はモデル上がりの人気俳優。前から憧れていた脚本家が手掛けたドラマに出演が決まり、大喜びで顔合わせに向かった主人公ですが、なぜか不機嫌でしかも自分が演じることに不満を抱いているらしい脚本家の青年。憧れていただけにショックだった主人公ですが、負けず嫌いなため認めてもらおう!とどんどんそのドラマに熱中しはじめて…。

雑誌掲載時もめちゃめちゃ好きな作品でした。今回文庫で続編まで読めてほんとに嬉しい(^^)とにかくがんばりやでポジティブシンキングな主人公が好きです。けっこうウブというか世慣れていない脚本家の青年も好みですが(笑)恋愛ごとで気持ちが揺らぐ事があっても、ちゃんと仕事をこなし、公私混同せずやりとげる意志の強さやタフさがいい。もう一つ面白いなと思うのは、けっこう主人公が積極的だからでしょうか、どっちが受でどっちが攻なのか、コトに及ぶまでわかってなかった(笑)それがわかってなくてもちゃんとお話が成立して面白くなってるのは凄いなと思います。ぜひ一度読んでみてね。

私的評価 ☆☆☆☆★
(イラストみれば一目瞭然…というつっこみはなしで(笑)<区別がつかない>これ、続編も読んでみたいなあ〜。)


2003年05月20日(火)   科捜研の恋人

   花丸文庫   天海美冬:作  CJ Michalski:絵

読む本がちょうどなくて、何かないかなあと本屋に出かけ、とりあえず買ってみた初めての作家さんの作品(笑)刑事モノのお話です。主人公は、熱血系な若手刑事。新しい所轄へ配属になり、挨拶に赴く途中で引ったくりに出くわし、思わず取り押えます。その時出会った青年は実は新しい所轄の鑑識に所属している科学捜査研究所のメンバーで…。

けっこう面白い作品だなと思いました。ちゃんと事件を追いながら2人の関係もだんだん近付いていってるし。ただ、時々事件に関しても2人の関係に関しても安直な部分があって、勿体ないなあと思う時もちょっとあります。事件に関してはフェイクがフェイクになってないというか(苦笑)なんだかゴール手前で回れ右してスタートに戻った感じ(笑)主人公よりの視点だからしょうがないのかもしれないけど、相手がいつどのように主人公を思うようになったかも実はあんまり判らないので(^^; その辺りのフォローがあったらもっと面白かったのではと思います。

私的評価 ☆☆☆
(もともと「買おう!」と思っていなかったので、予想外に楽しめてよかったです。お仕事しているキャラが好きな人はけっこう楽しめるかも。)


2003年05月15日(木)   犬とカフェテラス

   アクアノベルズ  たけうちりうと:作  金ひかる:絵

これはわんこシリーズと名付けたらいいのだろうか(笑)アクアノベルズでの「犬とペントハウス」の続編になります。けっこう前に発売予定で出ていたんですが、かなり遅れての発売になりました。主人公は穏やかで引っ込み思案、天然ボケタイプの青年。前作で紆余曲折あって代議士の庶子である高校生と恋人…というより飼い主とペットみたいな関係になり日々を過ごしています。ある日恋人の飼っている2匹の犬のうち雌の方が妊娠し、それと共に主人公の指示を聞かなくなってきてしまい…。

なんというかタイムリーな話で(笑)今うちも犬の躾に大わらわなもので、リアルにその大変さと大事さを痛感しました(笑)さすが黒ラブちゃんを子育てしたたけうち先生ならではという感じ。話の流れとしては、どちらかというと恋愛より犬に関わる話や生活などについて中心と言う感じでした。…まあ、恋人というより「飼い主とペット」な間柄ということでしょうがないですね(^^; かなり大きい変化がいろいろとあるけれど、前作よりもさらに主人公たちの絆が深まった感じがしました。個人的にどうにも「チョコママ」さんが自分と重なって見えて人事ではなかった…(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(動物の描写がとてもとても表情があって素敵です。ある意味「愛」に満ちあふれた感じ。脇キャラカップルもイイ味出してて好きです。)


2003年05月15日(木)   この恋が終わるまで

   ビーボーイノベルズ  いとう由貴:作  海老原由里:絵

雑誌小説b-Boyに掲載された作家と編集のお話とその続編書き下ろしです。主人公はある出版社に勤める若き編集者。ある日新しい担当として売れっ子作家の元へ挨拶に赴きます。そこで出会ったのはなんと高校時代にしばらく恋人として過ごし、実は主人公が賭けをしていたことがばれて疎遠になった過去のある相手で、しかも昔の素直で可愛い表情は跡形もなく冷たい印象になっていて…。

まあ、いろいろツッコミ所は沢山あるけど、でもけっこう一生懸命な攻キャラが好きで、雑誌掲載の時にけっこうちゃんと読んだ記憶があります(笑)濡れ場シーンが多いのと、編集者の彼女が出てくるあたりがなんとなく安易に流れててベタな展開なんですが(^^; まあ、言葉を惜しまずきちんと相手を思う主人公の熱心さは好感が持てました。最初はタカビーでクールビューティーっぽい受だけど、中盤からは乙女チック全開で(^^; 結局続編もそんな感じでした。我ながら続編を読みたいのかそうでないのかなんだか微妙な感じ(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(面白いとは思いますが、あんまり印象に残ってないのがなあ(^^; 同時発売の作品のインパクトに押された感じがしないでもない(^^;)


2003年05月15日(木)   バージンロードを君と

   ビーボーイノベルズ  夢乃咲実:作  桃山恵:絵

雑誌小説b-Boyに掲載された表題作とその続編書き下ろしです。主人公はホテルのウェディング部門に勤めるやりてのマネージャーの青年。気楽な一人旅を楽しんでいて、予約していた宿の部屋がダブルブッキングになってしまい、見知らぬ青年と相部屋になります。雰囲気に流され、一夜を共にした2人。余韻に浸りつつ日常に戻った主人公の前に、なんと結婚を控えた新郎としてその一夜を共にした青年が現れて…。

雑誌掲載の時に、わりと好きだったので、ノベルズで続きが読めて嬉しいです。何冊か夢乃先生の結婚ネタは読んでますが、今までで一番無理がないお話だったなあと(笑)割と主人公も相手も双方がちゃんと考える大人だったので、それで読みやすかったのかなあ。消極的な相手と積極的で行動派な主人公とがいいコンビで楽しく読みました。ただ、続編のネタはベタだなあというか…(苦笑)そこまでしなくてもいいよ…<結婚式 「結婚」というネタはボーイズラブの中ではある意味特殊なんでしょうけど(^^; 私はそう言う形がなくてもきちんとある絆が感じられる方が好きだなあ。

私的評価 ☆☆☆★
(今までの結婚シリーズの中では一番オススメです。個人的に主人公のホテルマンの仕事っぷりがけっこう好きでした(笑))


2003年05月15日(木)   TOUGH!7 神蔵響の野望

   ビーボーイノベルズ  岩本薫:作  赤坂RAM:絵

人気シリーズ「TOUGH!」の新刊は、書き下ろしの表題作と、ビブロスのホームページや雑誌掲載された作品が収録されています。やっとラブラブの恋人同士になれた神蔵とシンゴ。忙しい日々ですが仲良く過ごしています。年末も押し迫ったころ、神蔵が忘年会で温泉一泊旅行を当ててシンゴと一緒に行く事になりますが…。

HPの作品や雑誌掲載作品ももちろん楽しかったのですが、やはり一番楽しんだのは今回書き下ろしの温泉旅行編でしょう。神蔵の余裕のなさが笑えるったら(笑)影の必死の努力の甲斐があって概ねラブラブな旅行になって、とっても楽しめました。ラストだけは失敗…なのだろうけど、これも微笑ましいというか(笑)相変わらずな彼らが読めてほんとに楽しかったです。どうやらまたお話が動きだしそうなので、今後のお話も楽しみに待ちたいと思います。

私的評価 ☆☆☆☆
(もともとこのシリーズはとても好きなのですが、今回は今までで一番心置きなく笑った気がする(笑)どうしても事件が絡むので、たまにはこういう事件要素のほとんどないものも番外としてはいいですよね。)


2003年05月13日(火)   囚われの花びら

     ラキアノベルズ  高岡ミズミ:作  紺野けい子:絵

高岡先生の新刊は、兄弟モノのお話です。…といっても血は繋がってないのか(^^; 主人公はフリーターの少年。家出をして今はバイトで生活費を稼ぎながら同じような境遇の少年と一緒にいます。ある日競馬場でおもいっきり負けてしまい悔しがる主人公たちのもとに、怪しい男が現れ、仕事を持ちかけてきます。警戒する友人とは対照的に嬉々としてその仕事に乗った主人公は…。

なんかあらすじが「どこが兄弟ものやねん」的になってますが、ちゃんと導入部分はこんな感じです(笑) とりあえず、「なんじゃそら」といいたくなるような笑える兄の登場シーンでした…。基本的にコメディなのかしらとその辺りで思ってたんですが、だんだんシリアスになってきて、最後はバカップルって感じに(苦笑) 結局のところお互いしか見えてないしお互いのことしか考えられないという、ベタ惚れカップルでした。…1冊かかってやっと判りあえるって感じかな?ラストあたりのお互いが思いを打ち明けあうシーンはちょっとじんときますね。

私的評価 ☆☆☆★
(最終的に「愛はある」ことはわかってても、強引なHだけはどうかと思う。言葉が足りなさ過ぎなカップルでした。)


2003年05月13日(火)   LOVE2

     ラキアノベルズ   遠野春日:作  佐々成美:絵

雑誌小説ラキアに掲載された高校生モノの続編になります。主人公はスポーツ万能で何でもできる自信家の高校生。1年上の大人しい美人の先輩に思いを寄せられている事を知り、始めは辛くあたりバカにしていますが、段々と惹かれていき、恋人になります。恋人同士になってラブラブな日々を過ごしているかと思いきや、先輩の元カレが現れたりして波乱万丈な2人ですが…。

雑誌掲載の内容がいわゆる「くっつくまで」のお話で、ノベルズには全く入ってないので、ノベルズだけ読むとちょっと説明不足かもしれないなあ(^^; 先輩の元カレのえげつなさに眉をひそめつつ読んでました。…けど雑誌掲載時の攻の態度もいい加減えげつなかったので(苦笑)あんまり人のこと言えないんじゃないかとひそかに思っていたりして。ラブラブ…なはずなのに、なんだか悲愴感が漂うのは、多分受キャラの性格のせいなんでしょうけど、ちょっとすっきりしなかったです。

私的評価 ☆☆☆
(これ、ひょっとしたら雑誌を読んでいない方が幸せに読めるのかもしれないなあ(^^; 最初の酷い仕打ちを知ってるからこそ納得できないのかもしれない。)


2003年05月13日(火)   タンジェント

     ラキアノベルズ   七地寧:作   蓮川愛:絵

同じ世界観ということで、多分「ルドルフの数」シリーズになる…のかな?雑誌小説ラキアに掲載された作品を大幅加筆訂正してのノベルズです。「インテグラ」に出てきたさおりお姉様(笑)が経営する建物の中でのお話。主人公はゲイのサラリーマン。ある時であった美人の青年と付き合うようになり、前出の建物に出入りするようになります。そのうちだんだんと主人公の様子が変わっていき、同僚が主人公にちょっかいをかけてくるようになって…。

雑誌掲載の時ももちろん読んでたんですが、今回ノベルズで改めて読んで「…あれ?こんな話だったっけ?(^^;」という感じに…(笑)どうやら「3人でだなんて!」というイメージだけ残って話の筋はあまり頭に残っていなかったらしい(^^; 超ベタな当て馬キャラだったとは…。くっついたのかくっついてないのか、イマイチわかりにくいのと、キャラが沢山で過ぎていてそれも判りにくいのが難点ですが、話の流れや文体は、私はけっこう好きです。まあ、かなり特徴のある作風なので、お好きでない方は辛いかな(^^; ちゃんとルドルフの数とインテグラを並べて、全部読めば判るかしら(^^; 今度読みなおそう。

私的評価 ☆☆☆★
(ラブラブべったり…というわけではない距離感がけっこう好きなのですが、時々シュールなんだよなあ(^^;)


2003年05月13日(火)   奇跡のバランス

     ラキアノベルズ   坂井朱生:作  赤坂RAM:絵

やっとやっとの発売…というか、本来以前から発売予定に上がっていたものとは別だったようですが(笑)ひさしぶりの坂井先生の新刊です。雑誌「小説エクリプス」に前後編で掲載された「ミラクルバランス」とその続編書き下ろしが収録されています。主人公は普通の高校生。両親が旅行でいないのをいいことに遊んでいて、無謀にも大雪の中を歩いて自宅までかえろうとして行き倒れてしまいます。そんな彼を助けてくれたのはデザイナーをしている青年で、献身的に世話をしてもらって肺炎一歩手前の状態だった主人公はなんとか回復しますが…。

雑誌掲載の時、ちょうど前後編の切れ目がすごいところで、もうとにかく2ヶ月やきもきしたのをよーく覚えてます(笑)ノベルズで初めて読む方は、どこで前編が終わったのか当ててみて下さい(笑)ネタが「遭難」だったりするあたり、現実離れしてる気もしますが、楽しんで読みました。大人の余裕で戸惑う受キャラをどんどん自分のペースに引き込んじゃっている攻キャラがずるいような微笑ましいような…(笑)割と受キャラが天然タイプで単純なので、あまり攻キャラが勝手には見えないのかもしれませんが。まさにほのぼのラブラブといった感じの作品でした。

私的評価 ☆☆☆★
(いつものパターンで、前半ゆっくり、後半急ぎ足という感じになったのが残念といえば残念。後半をゆっくり読みたいなあと思うのですが…。)


2003年05月13日(火)   君と緋色の恋を抱き

    プラチナ文庫   高月まつり:作  夢花李:絵

プラチナ文庫の第3弾。高月先生の新作は、時代物のお話です。主人公は紅い髪を持つ少年。名家に住み込み病気の主人の世話をすることになった母について、その名家の御曹子の遊び相手として暮らしはじめます。外見で辛い思いをして来た主人公は、綺麗だと言って自分の髪を撫でてくれた御曹子に強い信頼を寄せ、御曹子は御曹子でいじらしい主人公を可愛いと思い、意気投合しますが…。

シリアスな作品で、途中ぐらいからいやーな予感がしていたのですが、やはりラストは予想通りのエンディングでした…。この話の流れ上しょうがないだろうなとは思うのですが、できたら、無条件で幸せな彼らを見てみたかった気もするんですよね。これだけお互いを思い、お互いを信じあっているのに、この選択肢しかなかったのかなあと思うとなんだか切ないです。感想を見ればなんとなくお分かりかとは思うのですが、いわゆるハッピーエンドな作品ではないので、ハッピーエンドでないと嫌だ!という人は気をつけて下さい。でも不幸かと言われてもそうだとは言い切れないなにかがあるなあ、この作品…。

私的評価 ☆☆☆
(彼らにとってはこれが幸せだったのかもしれないと思いつつも、やはり納得はいかないのでした(^^; 夢花先生の幻想的なイラストがとてもいい感じです。)


2003年05月09日(金)   熱視線

    ショコラノベルズ  結城一美:作  甲田イリヤ:絵

これも雑誌「小説ショコラ」に掲載された作品と、続編書き下ろしです。まさに放蕩息子という感じに遊び回っている服飾会社の御曹子が主人公です。20才になったら仕事をするというのが昔からの家訓で、それまでは遊び倒してやる!と遊び回っている主人公。しかしストーカーらしき被害にあい、だんだん実害も出てきたため、親が勝手にボディーガードを雇います。このボディーガード、なんだか威圧感のある無口な男で、その割に押しも強く、反発をくり返す主人公ですが…。

これも雑誌で読んでけっこう面白いなと思ってた作品でした。続編が読めて嬉しいな(^^)わがままかと思っていた主人公が実はけっこう可愛い所のある健気なキャラだったので、その辺りもポイントかな。続編は「おいおい(^^;」と思うほど思考回路が乙女ちっくになってて思わずつっこみを入れてしまったところもあったけど、とりあえずバカップルになってて楽しかったのでいいや。続編のエンディングもかなりツッコミ所満載でしたが(笑)余計に続きが見たくなったのは私だけだろうか(^^;

私的評価 ☆☆☆
(無口なボディーガードが仕事モードになってるところが一番かっこよかったなあ…。…やはり仕事ができる男が好きならしい私でした(笑))


2003年05月09日(金)   レプリカの憂鬱

    ショコラノベルズ  葉澄梢子:作   椎名咲月:絵

雑誌小説ショコラに掲載されたデザイン事務所のお話と、その続編書き下ろしです。主人公はある新気鋭のデザイン事務所を起こしたデザイナーの青年。実は共同経営者である同僚にひそかに思いを寄せています。相手の同僚のほうは友達以上には思えないものの彼の才能を考えると手放せないまま過ごしています。そんな彼らの元に同僚の従弟にあたるデザイン学校に通っている青年がバイトとしてやってきますが、実はもともとこの青年、主人公に思いを寄せていて…。

ううむ、ほんとはかなりの部分がバイトの青年の視点なんですが、それだと上手くあらすじがかけず(^^;視点かえて書いてみたらかえってなんだか違和感が(苦笑)うまくかけなくてごめんなさい。もともと、雑誌掲載の時にかなりいいなあと思って読んでいた作品だったので、続編が凄く嬉しかったです。もちろん、なんとなく受キャラの優しさに付け込んだ感じもしてどうかなとも思ったんですが、続編の方で十分受が振り回してるからまあ痛み分けという感じで(笑)年下攻の好きな方はきっとハマるのではないかと思います。

私的評価 ☆☆☆★
(とりあえず、仕事の厳しさの認識がない攻はちょっと情けなかったなあ(^^; デザイン事務所って、ほんっとに大変だと知ってるからこそそう思うんでしょうねえ。)


2003年05月09日(金)   百億の男

    アイスノベルズ   加納邑:作   高宮東:絵

加納先生の書き下ろし新刊です。今回はおぼっちゃまな高校生が主人公です。お金持ちだった両親が事故で亡くなってしまって、浪費家の祖父と身の回りの世話をするメイド、そして主人公の世話役の青年だけになってしまった主人公の家庭。あれよあれよという間に経済力はなくなり、一等地にある家を維持する事も困難な状態になってしまいます。それでも家を売りたくない主人公は、なんとかいい方法がないかと模索しますが…。

加納先生なのに人外モノが出てこない!(笑)…と思った人も結構居たはず。今回は普通…ではないけど人間同士なお話です。おぼっちゃまなはずなのに随分と感覚が庶民的な主人公と、その主人公をある意味いぢめるのが生き甲斐っぽい気のする世話役の青年が、なかなかいいコンビでした。タイトルに「百億」とあるため、きっと宝くじがあたるんだろうとか宝を掘り当てるんだろうとかいろいろ思ってたら、もっとこの作品の方が高尚だった…(笑)すいません、安直&俗な発想で(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(加納先生らしい作品だったとは思うのですが、イマイチ人外ものにくらべると突き抜け度が低いのが残念(笑)いや、割とラブラブで可愛いお話なんですけどね…(笑))


2003年05月08日(木)   上海金魚

  クロスノベルズ  かわい有美子:作   花本安嗣:絵

かわい先生の初クロスノベルズは、上海が舞台のお話です。…といっても主人公たち登場人物はちゃんと日本人なんですが(笑) 主人公は、小さい商社に勤め、上海で出張中のサラリーマンと、その商社の得意先である会社の社長と一緒に旅行にやって来た物静かで美形の青年の2人。本当は社長の愛人で、地方公務員をしている青年が、無理して仕事を休んでやってきた上海旅行だったのですが、途中で思わぬアクシデントに見舞われ、社長は日本へ戻ることになります。その後を引き受けて青年のガイドをしてくれたのは商社のサラリーマンの青年で…。

最初の社長があまりに「いいかげん」な男で、むかついていたりして(笑)だからこそ余計にどんどん2人が惹かれあっていく様子やラブラブさ加減が楽しかったり(笑)そりゃ誰がどう見ても、サラリーマンの青年の方がかっこいいもんな…(笑)ふとしたシーンがすごく色っぽくてドキドキします。攻キャラの屈託のない明るさと強さが、受の内向的な所をちゃんとフォローできていて、大満足。この後の彼らも見てみたいなあと思ったりしました。

私的評価 ☆☆☆☆
(アダルト…とまではいかないけれど、大人な雰囲気たっぷりで、落ち着いて読める作品です。かわい先生ならではの作品という感じでした。)


2003年05月02日(金)   11月は通り雨

  X文庫ホワイトハート   新堂奈槻:作  麻々原絵里依:絵

久しぶりな新堂先生の書き下ろし文庫です。主人公は、酔っぱらうと意識をなくして思いっきり口説きモードになってしまう困った体質持ちの大学生と、不思議な力を持つ天涯孤独の身らしき高校生。大学生が巻き込まれてしまったある事件をきっかけにして、知りあった2人。あまりに天然で人を疑うことをしない大学生についつい心配で、おせっかいながらも手助けしようとする高校生ですが…。

一応ミステリっぽい感じなので、事件については全くネタバレしてませんのでどうぞ読んで楽しんで下さい。1章ごとに視点が交代しますが、きちんと描かれているので却って2人の視点の違いが見えて面白いです。正直なところオチは「やっぱりな」というある意味見え見えな展開ではあったけど、まあこの作品の一番のポイントは主人公たちの幸せかなと思うのでいいや(笑)主人公たちがとても「愛すべきキャラクター」たちで、和みます。かなり分厚くて読みごたえのある作品。

私的評価 ☆☆☆★
(わりと「なんでやねん」な展開も多い方なんですが、これはセオリー通りというか、予定調和な感じの作品というイメージです。イラストも素敵♪)


2003年05月01日(木)   少年☆周波数 残香の軌跡

   あすかCL−DXコミックス    佐久間智代:絵

連載終了後に雑誌CIELに掲載された表題作の番外編のコミックスが出ました。ちょうど今ラジオドラマのCDが全巻発売になったりとタイムリーだったからなんでしょうか、思ったよりもかなり早くコミックスになったなあ…。シリーズのエンドマーク後、どうしても北村名人の運命を受け入れられずにいた入江くんに、北村名人の双子の兄の片割れ(医者の方(笑))はなんとかして表情を取り戻して欲しいと思い、入江くんからいろいろな北村名人の話を聞きますが…。

いい加減これは詐欺かもと思うぐらいに、ほんとに「少年☆周波数」にかかわるシリーズのお話は雑誌掲載作のみだったりします(苦笑)その後には昔に描かれたギャグのSFモノショートマンガなどが収録されていて、さすがに納得いかない感じが強く残ったコミックスでした(^^;だって、シリーズも終わって番外編のコミックスですよ?せめて書き下ろしとかでなにかなかったのかなあ…とか思ってしまいます。シリーズ途中だとか、他の話ならともかく、あのエンディングの後だけに、まだまだ気になることも読みたいことも沢山あるのになあ…と、残念な気持ちが正直半分以上を占めてる気がします。好きな作家さんだけに、こういうコミックスの作りかたはちょっとなあ…

私的評価 ☆☆☆
(まあ、どっちかというとこういうことを考えるのは出版社なんだろうけど(苦笑)前のよりもひどい気がするですよ…。別に少年☆周波数じゃなくても、私は佐久間先生の作品なら買うのになあ…(^^; というわけで、表題作以外に興味がない方は一度確認してからご購入を。)


2003年04月28日(月)   恋をするなら各駅停車で

   ダリアノベルズ   鹿住槇:作  タカツキノボル:絵

鹿住先生の書き下ろしノベルズ。年の差モノです。主人公は普通の高校生。偶然電車に乗る前に女の子たちが「痴漢をねつ造してやろう」と怪しげな相談をしていたのを耳にしていた彼は、無実の罪をなすりつけられかけていた青年を助けることになります。実はその相手はずっと前にこけてしまった自分を助けてくれた相手で、ずっと電車の中で見つめて思いを寄せていた主人公。助けたのを機会にだんだんと親しくなりますが…。

少々展開はベタかなと思うのと、あとは「好きになった原因」が多少安易に感じたのですが、まあそこは、さすが鹿住先生というか「読ませる」作品にちゃんと仕上がってるという感じですね。主人公も相手も自分で考えが先走ってしまうタイプなので、最初から諦めてたり最初から自分で否定してしまってたりと、うじうじした考えの部分が多く、ちょっと焦れったい作品(笑)結局思い切りがよかったのは受キャラの方だったなあ(笑)ある意味男前な受でした。

私的評価 ☆☆☆
(なんかイラストが妙にインパクトがありました。CGで描いてるっぽかったので、線が濃かったのかなあ…(笑))


2003年04月28日(月)   束縛は罪深い優しさで

   GENKIノベルズ   高尾理一:作  緒田涼歌:絵

かなり早くから発売予定が出ていたのですが延期になり、ようやくの発売になりました。全編書き下ろしです。監禁モノ…かな(^^; 主人公は北海道の窯元で働いている青年。実は彼には事情があり、あまり長く働けないかもしれないと思いながら、師匠を手助けしています。そんな彼のもとに、とうとうあの男が現れて…。

超苦手ネタですな(^^;<監禁とか束縛とか>とにかく言葉が足りなさ過ぎ(苦笑)お互いに思っている気持ちはあるのに、すれ違いまくっててなんだか切ないよりも情けない気持ちになってしまいます。そしてどうにもこの相手キャラが情けなくてヘタレてて、…いつもの私なら「ヘタレ攻が好きだ!」と言いたくなる…はずなんですが、今回はどうにも食指の動かないキャラでした。やる事だけは強引だからかしら(^^; とりあえず、ラストあたりではやっと心の通じ合いがあってホッとしましたが、半分以上もすれ違ってるのはやはり読んでいてもしんどいです。

私的評価 ☆☆★
(さり気なく馬ネタな会話があるところはさすが高尾先生(笑)思わず笑ってしまいました。)


2003年04月28日(月)   きみには勝てない! 1

   花音コミックス   穂波ゆきね:作画  高口里純:原作

花音のアンソロジーに掲載されている穂波先生の原作付マンガがようやくコミックスになりました。主人公は田舎の地主の息子。兄は名門進学校の教師をしています。田舎丸出しな主人公は、いきなり自分が持っている山を名門進学校の為に提供するよういわれ、大反対をします。…が、その学校の生徒に「反対しろ」といわれ余計なこと(笑)をされて、反骨精神が黙っていなかったらしく「貸して地主になる!」と宣言しますが…。

面白い…んだけど、やはり原作の高口先生の雰囲気が見えかくれしていて、ちょっと残念というか(^^; 高口先生の特徴である話の濃さと穂波先生の透明感のある絵があまり一致してないんだよなあ…(^^; 無駄にHくさいというか(笑)前半がとくに違和感があって、慣れるのに時間がかかってしまいました。後半あたりからは、キャラにも慣れてきたし楽しく読めたんですが(^^; とりあえず、陸海空の3兄弟はどうにも生理的にダメだわ…(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(ロンゲの兄ちゃんが(ロンゲというほど長くもないけど(笑))私は一番好きです。…ちなみに、穂波先生バージョンの方がいい…(笑))


2003年04月26日(土)   おいしいヒミツ

   リンクスロマンス  杏野朝水:作  松本テマリ:絵

雑誌GUSTに掲載された3回連載のお話です。無事リンクスより発売になりました。主人公は、デパートの婦人服売り場で働く青年。外見も可愛い系で、同僚に可愛がられています。そんな彼の同期の1人で営業の青年は、顔もよく人当たりもよくて、成績優秀で女性がほっておかないタイプ。大親友としていつもなにかと頼りにしています。そんな主人公と親友の関係が、ある時親友のアタックで変わってきて…。

一応雑誌掲載時は読んでいましたが、前半での親友のかっこよさと後半で独占欲まるだしになるヘタレっぷりが落差があって笑えます。仕事に一生懸命なあたりも好み。…まあ、最後の攻の行動だけはどうかなと思わないでもないけど(^^;概ね楽しんで読む事ができました。松本先生のイラストだと、けっこう攻キャラは飄々としてそうなのに、意外とそうではないキャラで(笑)そういうイメージの意外性もあったかもしれません。

私的評価 ☆☆☆★
(わりと杏野先生は好みの作品を書かれる方なので、楽しみ(^^)今はなきヴァリオノベルズもちゃんとおいてあるです(^^))


2003年04月26日(土)   愛っていくらだ、おいしいかい

   JUNEノベルズ  花川戸菖蒲:作  角田緑:絵

雑誌「小説JUNE」に掲載された作品2編と表題作の続編書き下ろしが収録されています。「スメルラクエン」は匂いフェチな主人公と、その同僚で出来る男の甘やかしっぷり(笑)表題作とその続編書き下ろしでは、金に困って借金をするためにトイレで土下座までしてのけた天然青年とそれを見て思わず助けてしまったサラリーマンとの奇妙な同居生活が描かれています。どちらもハートフルというか(笑)主人公たちの一生懸命さや健気さに思わずじんとくる作品です。

どちらも、雑誌掲載時はしらなかったので、すごく楽しく読みました。花川戸先生ならではの作品だと思います。「おいおい(笑)」と思うようないき過ぎた…読んでいて気恥ずかしくなるような部分と、それを補ってあまりある「愛」の描写が沢山あって、大笑いしつつもなんだか気分がほんわかしてきちゃうんですよね。まさに「ハートフル」な作品。そしてどうにもこの彼らのその後が読みたくなるのは、それだけ余韻があるってことかなあ。

私的評価 ☆☆☆☆
(実は一番今ノベルズで読みたいし続きが読みたいと思っているのは、JUNEに掲載されたちょっと深刻なお話の方だったりもします。次にJUNEノベルズで出るのはそれかしら…。)


2003年04月26日(土)   身勝手な束縛

    ルビー文庫  きたざわ尋子:作  佐々成美:絵

身勝手なシリーズ(笑)の一応最終巻にあたります。主人公は大きい会社の庶子として生まれ、生後から中学までを養父母に育てられた少年。中学の時に本当の父親に会い、その後父の庇護のもとに1人で暮らしていて、今はお目付役であった弁護士の青年と恋人関係にあります。そんな生活が当たり前になってきていた主人公のもとに、なんと「異父兄である」という青年が名乗りをあげてきて…。

前作まででひっかかってたのは主人公の幼さ加減と恋人の弁護士の強引さ加減だったんですが、なんだか今回はそうでもなかったなあ〜と思いつつ。絵の効果もあるのはあるんでしょうけどね。今回は主人公がかなり大人な対応で大人な考えをしてたからかな。巻き込まれているだけでなく、自分で考えてていいなと思います。あとやっぱりおとなげない弁護士もおかしい…けどもうちょっと「愛」とはっきりわかってあまり主人公に負担のかからない「愛」をそそいであげて欲しい気もします。

私的評価 ☆☆☆
(一応これが最終巻ということなのですが、却ってこれからの方が気になるのは私だけかしら(^^;)


2003年04月26日(土)   欲情トラップ

    ルビー文庫   藤崎都:作   蓮川愛:絵

なんだかCDにもなるらしい、「恋愛トラップ」の続編にあたります。学園モノで年下攻(笑)のお話です。主人公は風紀委員をしている美貌でちょっと慌てんぼの高校生。1年下の校則違反の常習者である生意気な後輩に口説かれた挙げ句、とうとう恋人になってしまいます。ある意味バカップルともいえる(笑)日々を過ごしている彼らに、主人公の従兄という邪魔者が現れ、独占欲だらけの後輩はとんでもないことを始めて…。

きっぱり、「こいつらほんとに高校生かい(^^;」という作品ではあります。風紀委員なのに外泊しまくりでいいのか(^^;とかね(笑)まあ、そういう些末なネタはさておき、あまりに意地っ張りで単純な主人公と、強引そうに見えて実はとっても年下だというのを気にしている後輩とはやはりいいコンビだなと。前作よりも今回の方が気持ちのつながりぐあいなど、読んでいても楽しいシーンが多かったです。やっぱりどうしても微妙に攻キャラがヘタレな方が好みらしい(笑)年下攻が好きな方はぜひ。

私的評価 ☆☆☆
(この作品(正確には前作ですが)がCDになるというのはイマイチイメージが湧かないのですが、イイ作品になることを祈ります。)


2003年04月26日(土)   したたかに純愛

    キャラ文庫   佐々木禎子:作   不破慎理:絵

佐々木先生も久しぶりの文庫かな?サラリーマンもののお話です。主人公はデザイン会社に勤めるコピーライターの青年。ある日忙しい中仕事を終えて帰ろうとした彼に声をかけてきた青年がいます。それは高校時代からライバルとして競い合ってきた同級生で、なにかとコンプレックスを刺激される相手。一緒にタクシーに乗り込み、酔っ払ったフリでまんまと主人公の家に上がった青年は、なんだか頻繁に周りに出没して主人公にアタックをかけてきますが…。

なんだか意地の張り合い、という感じの作品。その意地の張り加減が面白くて凄く楽しんで読みました。2人で一定の距離を保ちながらぐるぐる回ってる感じで(笑)言葉のやり取りのテンポのよさと発想の面白さがとても心地よかったです。最後にちゃんと思いを伝えあう時は、それまで焦らされまくっていただけに感動ひとしお。なんだか幸せな気分になってしまいました。誤解の内容とかはちょっとベタですが、とても好みな作品。仕事を頑張る主人公も好きです(^^)

私的評価 ☆☆☆☆
(そして不破先生のイラストもぴったりでいい感じ。きっと主人公の上司とラスト近くに出てくるレストランのシェフは恋人同士よねと思いつつ、はてどっちがどっちなんだろう…とは個人的な興味(笑))


2003年04月26日(土)   ロマンスは熱いうちに

    キャラ文庫   榊花月:作   夏乃あゆみ:絵

榊先生の久しぶりのキャラ文庫です。全編書き下ろしで、幼馴染みもののお話です。主人公は、高校をドロップアウトしてしまった少年。日々を無気力で過ごす彼に、両親はそのままではいけないからと、近所に住んでいて昔から仲の良かった小説家の青年のもとへ、手伝いに行くように言います。しぶしぶ仕事場のマンションへ向かった主人公は…。

テンポはよくて面白い…んだけど、いくら「言わなくても思っていた」にしたって、身体からはじまった関係という感じがどうしてもあるのがちょっと私の中では苦手ポイントだったなあ。ワガママな作家と天然ちゃんっぽい少年とのやりとりや気持ちのぶつけあいはけっこう楽しめたのですが…(^^; 全体に伝えたいテーマみたいなのも感じ取れて、面白い作品だったので、私は気になったポイントも、別にオッケーよという人には絶対オススメです。

私的評価 ☆☆☆★
(とくに後半で出てくる主人公と作家とのやりとりは、ちょっと励まされている気分になりました。…これが、テーマかな?とちょっと思った私。)


2003年04月25日(金)   デッドリー・デッドエンド

    パレット文庫  五百香ノエル:作  なるしまゆり:絵

五百香先生のひさしぶりの新刊は、近未来もののお話です。主人公はある悲しい事件で妹を傷つけられ、それ以降人が変わったみたいに攻撃的になってしまった青年。今は問題のある学校に派遣される教育委員会の監査官として仕事をこなしています。暴走する彼をとめる役目を担う相棒はシンパシーヒーリングをする物腰柔らかな青年で、2人で新しい仕事先へ赴きますが…。

やはり五百香先生はこういうトラウマ系のシリアスものの方が読みごたえがあるなあ〜。はたしてこれがボーイズラブかと問われたらひょっとしたら違うかもと思ってしまうぐらいに恋愛とは全く別のところでストーリーが展開します。ある意味今の世界の子供達にも共通するかもしれない厭世感や絶望感も描かれていて、ちょっとブルーになってしまいました。シンパシーヒーリングとはいえ、それが効果的になにか改善されるわけではないので、主人公たちの悔恨や焦燥感もなんとなく理解できて、どうにももどかしい作品。…というかイマイチ救われてない感じなんだな、きっと(^^;

私的評価 ☆☆☆
(一応ラストシーンちかくではラブシーンもあったりしますが、なんとなく「ラブ」というより傷の舐めあいっぽいのは気のせいだろうか(^^;)


2003年04月25日(金)   ちょー薔薇色の人生

    コバルト文庫   野梨原花南:作  宮城とおこ:絵

「なんだかラストっぽいタイトルだよなあ」と思いつつ手にとって読んでみたらほんとにラストだった(笑)元はCDになったのを機会に手にとったこの「ちょー」シリーズもこれが大団円です。とうとう魔王が復活してしまい、世界の律の崩壊に加速度がついた状態で、自分達ができることを成し遂げようとする主人公たちですが…。

いやあ、結果的にはめでたしめでたし…だけど、かなり力技な感じもする(笑)終わり方でした。ただ、それが面白くなかったというわけではなくて、「ああ、らしいなあ」と納得できちゃえるのはこの作品ならではの勢いと作品の底に流れる信念、世界観のおかげかなと。少々御都合主義でも、ファンタジーなんだからなんでもあり。みんな幸せになれたらそれでオッケーじゃないかなと思います。ラストシーンの宝珠が受けた感動と、ダイヤが宝珠に語った言葉が、きっとなによりこのシリーズで大切なポイントだったのかなと思いつつ。途中で読むのをやめちゃった人も、このラストだけは、読んで欲しいなあ。

私的評価 ☆☆☆☆
(このラストシーンは、読み続けてきたからこそ感動できるポイントかも。これもまた、読み返したくなるなあ〜。ちなみにスマートは最後の最後まで、中田さんの声で変換していた私(笑))


2003年04月25日(金)   緑のアルダ 荒れ野の星

    コバルト文庫   榎木洋子:作   唯月一:絵

リダーロイスや龍と魔法使いのシリーズに連なるファンタジー作品の2作目です。主人公で石による占いをする娘アルダと、無実の罪を着せられて追っ手を差し向けられ、アルダと共に旅をする事になったウルファ、そして地狼のヨールの旅路はまだはじまったばかり。まずはウルファの無実の罪をはらすために、危険を承知で事件があった街に滞在する彼らですが…。

やはりそこかしこに懐かしい名前が出てきてて嬉しい〜。アルダとウルファがだんだんと距離を縮めてきているのにも和みつつ読んでおりました。そして今回出てきた新キャラがけっこう好きな私(笑)こういう飄々としたキャラにどうも弱い(^^; 事件解決に向けて物語が動き始めましたが、どうやら次の作品にはあのとても懐かしい名前が出てきそうで、それがなにより楽しみ。読み返したいと思いつつまだ叶っていないので、この連休中にでもどどんとリダーロイスと龍と魔法使い、読み返そうかなあとひそかに企み中だったりするのでした。

私的評価 ☆☆☆★
(今までの2シリーズにくらべると、ちょっと絵の感じが幼くて、その分余計にキャラが幼く感じられるかも。…いや、私が年をとったといえばそうなんですが…(^^;)


2003年04月18日(金)   星明かりの魚たち

  グラスブルーノベルズ  島みのり:作  富士山ひょうた:絵

思わずイラストで手にとりました(^^; 一応サラリーマンもののお話…かな(^^;主人公は、会社社長の秘書として勤務することになった青年。昔姉がその会社の秘書として同じように働いており、心に傷を負う形で仕事を辞めた後引きこもっていて、叶うならその原因を突き止めたいと思っています。そんな彼の前に現れたのは昔親しくしていた社長の御曹子。変わらない姿に心を揺さぶられつつ、真実を突き止めていく主人公ですが…。

なんとなく納得のいかない作品でした。いろいろ思う所はあるんですが、一番疑問なのは、簡単に「思う相手とは別の人と関係をもった」ことと、各キャラの行動があまりに思慮が浅いとしかおもえない所あたりでしょうか。ちょっととってつけたかのような展開が多く、共感できなくて辛かったです。もうちょっと考えて行動してほしいなあ…(^^;

私的評価 ☆☆★
(多分生理的に社長が好きじゃないんだろうなあ、私。それが一番の原因のような(^^;)


2003年04月18日(金)   鬼流島カノン

   花丸文庫   三岐ともき:作   石原理:絵

雑誌掲載作とその続編書き下ろしです。近未来モノのお話。主人公は医療事故の責任を擦り付けられ、無実の罪によりエリートコースから外れて罪を犯した人間が放り込まれる流刑の島へ赴任されることになります。その島で彼が目にしたものは…。

雑誌掲載のものも全く知らなかったのですが、これがけっこう面白くて楽しんで読みました。ハードな内容とちょっと笑えるような主人公たちキャラクターの面白さはかなりオススメかと。近未来モノということですが、そう違和感もなくて、かなり面白い作品だったです。ある意味バカップルですが(笑)シリアスな所はちゃんとシリアスで、こういう「いいコンビ」なお話も好きだなと思います。

私的評価 ☆☆☆★
(意外に楽しめた作品。石原先生のイラストもぴったりでした。)


2003年04月18日(金)   八月の傷痕

   花丸文庫   美樹静:作  如月弘鷹:絵

ラインナップをみてびっくりして、しばらく悩んだんですがまあいいかと手に取りました。完全にイラスト買い(苦笑)な1冊です。雑誌掲載のものを改訂…したらしい(^^; 主人公はカメラマンの叔父をもつ高校生。両親を海外での事故で亡くして、その後の状況などからトラウマになってしまい、今も夏…とくに八月の夜、そして血や殺人などの言葉にショックを起こしたり、悪夢を見たりしています。そんな彼を支えつつ一緒に暮らしている叔父に、美人モデルが近付いてきて、主人公に「おじさんと結婚してもいい?」と聞いてきます。主人公は絶対嫌だとはねつけますが、なんとその後そのモデルが刺殺されて…。

お話としては割と完成度も高く面白い…にもかかわらずなんだか不完全燃焼な読了感。なんでかなあと思ってたんですが、これ恋愛要素が却って余計な感じになっていて、バランスが悪く感じてしまうのではないかと思います。ストーリーのシリアスさや解決に繋がる糸口に、もう少し恋愛が絡んだりしてたら納得できたのかなあ。恋愛ネタやその後の関係の変化に脈絡が少ないので、恋愛の方がストーリーから外れたものみたいな感じになってて、ちょっと残念。却ってプラトニックとかの方がよかったのかもしれないなあ。

私的評価 ☆☆☆
(キャラ的にはどっちも好きな感じだし、好み路線には近いんですが…上手くいかないもんだなあ…(^^;)


2003年04月16日(水)   こんな男でよかったら

   ビーボーイノベルズ   義月粧子:作  紺野けい子:絵

小説b-Boyに掲載された表題作と、その続編書き下ろしです。主人公は普通の高校生。困ったちゃんな従弟にいつも振り回されています。今回の従弟のお願いは、身替わりデート。自分のかわりにデートに行って欲しいと頼まれ、しぶしぶ出かけた先に居たのはなんと主人公が片思いをしていた相手で…。

うーん…、相変わらずの小気味よさと面白さはあるんだけど、どうにも納得がいかなかったのは、攻キャラのわがままさ加減のせいでしょうか。「憎めない攻キャラ」をよく書かれますが、それはある程度年齢を経ているからこそだったりもするので、今回の高校生の攻の強引さと感覚の合わなさ加減はちょっと辛かったかなあ〜。目の前にもしいたら、胸ぐら掴んでゆさぶってやりたい心境でした。…相当な受への感情移入が行われていた模様…(苦笑)

私的評価 ☆☆☆
(従弟キャラもちょっとしんどかったなあ。まあ、これも義月先生ならではなお話ではありましたが…。タイトルに「…よくない(^^;」と思った人がここに1人(苦笑))


2003年04月11日(金)   彼と彼氏の事情

   プラチナ文庫   可南さらさ:作  黒江ノリコ:絵

プラチナ文庫第2弾。同人誌で展開されていた高校生ものの再録と、その続編短編の書き下ろしです。同人誌で全部読んではいたのですが、イラストが付くというのと、やはり短編であっても続編が読めるということで迷いなく手に取りました。主人公はちょっと落ちこぼれ気味で引っ込み思案な少年。なにかと委員長をしているしっかりものに迷惑をかけて余計におどおどしてしまいます。実は中学の終わり頃にこの委員長とある出来事があって以降、関係を修復したいと思いつつもどうしてもできない日々が続いていて…。

ほのぼの可愛いお話ですよね。最初の誤解っぷりといい(笑)その後の妙に甘やかし放題なところといい、ちょっとコミカルで面白いです。同人誌だとバラバラに読むので、なんとなく続いて読む文庫とはイメージが違っていて、もっとシリアス調なイメージを抱いていたので、こうして読みなおして「ギャグだったんじゃん(笑)」と思ってたりして(笑)視点が各章で変わっているせいで、なかなか話が進まないっぽいけど、でも面白いのでぜひともいちゃいちゃな続編も読んでみたいです〜。

私的評価 ☆☆☆☆
(けっこう好きなシリーズだったので、再録でも私は十分満足です。可南先生の作品って、やっぱりツボだよなあ〜。)


2003年04月10日(木)   RED ROSE 2

   GUSHコミックス    りぎあ・もーりす:絵

2ヶ月連続での刊行。SF作品のRED ROSE完結編になります。あと、同じ世界観なのかな?という短編が収録されています。前巻で拉致されてしまったローズ。その拉致される際に手引きをした男をでも憎めないまま、逃げ出そうとしてショッキングなものを見てしまいますが…。

ある意味とってもボーイズラブとはかけ離れてる気がするんですが、だからこそ面白いと思える作品でもあるんです。ただ「男性同士」というだけじゃなくて、いろんな単位での「愛」と「気持ち」がきちんとある気がして、そういう繋がりが読みたくて、私はこの作品を手に取ったのかもしれないなと思います。…どうも上手く言えないんですが…。

私的評価 ☆☆☆★
(この主人公たちには、ほんとに幸せに穏やかに生きて欲しいと願ってしまう。どこか自分の中で共感するところがあるのかもしれません。)


2003年04月10日(木)   大人への階段

   GENKIノベルズ  高槻かのこ:作  片岡ケイコ:絵

リーフでデビューした作家さんが早くも2冊目のノベルズです。デビュー作がちょっといい感じだったのとイラストレーターに反応して(笑)購入しました。主人公は穏やかで大人しい高校生。小さい頃に半ば親に売られるような感じで、親の経営する会社の親会社の社長の家へ御曹子の遊び相手としてやってきて以降、ずっと御曹子と一緒の暮らしをしています。しかし、だんだんと2人の関係が変化してきて…。

展開や話の内容はどうかなと思うところがちらほらあったけど、最初あらすじを読んでイメージにあった「無理矢理な主従もの」ではなくて、主人公がどちらも一途で健気なので好み路線ではあったかなと思います。それと個人的に主人公のにーちゃんたちがいい味だしてるよなあと思ったりもしました。蓋を空けてみればけっこういいコンビの2人、結局のところお互いしか目に入ってなくて、そこが可愛いのかもしれないなあ。この作家さん、デビュー作でも思いましたが、かなりきちんと心理描写を書かれる方だなと思います。今後がますます楽しみです〜(^^)

私的評価 ☆☆☆★
(ちなみにイラストさんは、商業誌自体はほとんど初めてだと思いますが、某ゲームの某カップリングで好きだった方なのです〜。必死だったり健気だったりするキャラの表情がとくにが好みなのだ(笑))


2003年04月10日(木)   こぼれそうなハニー

   ラキアS-EXノベルズ  菱沢九月:作   桃山恵:絵

「溺れる体温」の番外編になるのかな。脇キャラで出てきたちょっと軽い刑事が主人公のお話です。来るもの拒まずな色男タイプの刑事である主人公が、事件に関わったある青年を自分の家で保護することになります。この青年、「バイクで一人旅しつつフリーターをやっていた」というわりとハードに聞こえることをやっている割には天然ボケタイプの不思議ちゃんで(笑)自分がゲイであるといきなりカミングアウトした挙げ句、主人公の帰りを珍妙な混ぜこぜ飲み物を作って待つようになって…。

今までの2作品とくらべるとかなりギャグ要素が強い気がします。主人公の刑事の思考回路も笑えるし、天然な青年に振り回されまくってドタバタしていてこの2人のやり取りがほんとに可笑しい。前作まではマイペースに見えた主人公がまるで別人に見えますね(笑)最後にはきっちりとバカップルに出来上がるのですが、その過程も結果もけっこう笑えました。

私的評価 ☆☆☆☆
(きっと前作のカップルと4人でいつまでもいちゃいちゃバカップルやってるんだろうなあ(笑)ほのぼのした雰囲気とアダルトな雰囲気が入り交じった、ちょっと不思議な作品です。)


2003年04月09日(水)   チープシック

   ディアプラス文庫  うえだ真由:作  吹山りこ:絵

うえだ先生のアイス以外での初作品ですね。小説ディアプラスに掲載された表題作とその続編書き下ろしが収録されています。主人公は進学校に通いまあまあいい成績をおさめている高校生。なんとなく始めたバイトに今は夢中で、それが元で随分周りの同級生が子供っぽく見えて余計にバイトに重点を置くようになっています。そんなバイト先で流動調査のバイトを頼まれ、その担当社員の青年の手際の良さや人当たりの良さに憧れの気持ちを抱きますが…。

ネタとしてはありきたりかもしれませんが、受の一生懸命さと可愛さはいいかも。所詮高校生だなという悩みではあるけど、それなりに真剣に一生懸命考えてるっぽくて好感はもてます。子供っぽいといえばそうなんですけどね(笑)いろいろつっこみたい部分もあるけど、全体にほのぼの可愛い作品で楽しめたのでいいかなと。うえだ先生らしい作品だったなと思います。

私的評価 ☆☆☆★
(表題作よりも書き下ろしの方がラブラブ度もバカップル度(笑)も高いです。)


2003年04月09日(水)   おおいぬ荘の人々 4

   ディアプラス文庫  菅野彰&月夜野亮:作  南野ましろ:絵

おおいぬ荘シリーズの4巻目。しかし登場人物がかなり増えてきて、段々わかりにくくなってきた感じもします。雑誌小説ディアプラスに掲載された、菅野先生と月夜野先生の作品が1編ずつと、書き下ろしの月夜野先生の話、ましろ先生の書き下ろしの超ショートマンガが収録されています。おおいぬ荘という下宿屋を舞台に繰り広げられる人間模様も段々複雑さを増してきて…。

いろいろ複雑になってきたので、どれか1つのカップルにしぼってのあらすじがかけません(笑)しかしやはり微妙に不幸テイストなのは菅野先生が書く作品ですねえ。あまりのやりきれなさに少々気持ちがしんどくなるお話でもありました。月夜野先生の作品の場合はシリアスになりきれなというかどこかキャラがずれてて(笑)コメディ路線まっしぐらになってるんですよね。お2人の落差もあって、面白いです。…しかし広げた風呂敷はあとどのくらいで収集がつくのだろうか…。読んでいてもどういう終わり方が理想なのか判らなくなってきました(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(もう1度1冊目からじっくり読み返して、復習しようかな(^^; でもどのキャラクターもしっかり立ってる感じで好きなんですよね。)


2003年04月09日(水)   ニューヨークの恋人

 ショコラノベルズ・ハイパー  久遠カンナ:作  麻生海:絵

すいません、最初は買う気がなかったのにイラスト効果で手に取りました(笑) サラリーマンものの作品です。主人公は海外赴任が決まった青年。ゲイで恋人もいましたが、海外赴任を機に別れをつげて心機一転赴任地のニューヨークへ向かいます。そこで出迎えてくれたのは実は赴任先の上司で、時差ぼけの暇もなく仕事をさせられてしまいますが…。

一応展開的には無理矢理といえなくもないけど、でも二人が幸せそうなのでまあいいかという作品(笑)本来攻側のキャラが受になるというあたり、もうちょっと最初に葛藤があってもいいかとは思いますが、けっこうほのぼのしたシーンもあって楽しめました。ただやはり攻が受の気持ちを試すような事をしたのだけは生理的に受け付けなかったなあ(^^; あれだけラブラブベタベタカップルなのに、なんで試す必要があるんだ(^^;それさえなければ全体にはわりと読みごたえもあったし面白かったんですが…。

私的評価 ☆☆☆
(イラストの麻生さんは某ゲームの原画をされる前から割と好きだったので、なかなかないノベルズのイラストも、ついつい見ると買ってしまうのでした(^^;)


2003年04月09日(水)   TEA FOR YOU

   ショコラノベルズ   春原いずみ:作  甘野有記:絵

雑誌「小説ショコラ」に掲載された作品とその続編書き下ろしです。主人公は小さな喫茶店を営む3姉弟たち。主に厨房担当なのは無口でぶっきらぼうで人と関わる事が苦手だけどケーキにかける熱意は人一倍つよい双子の兄。弟は同じ顔だけど社交的で、フロア担当です。(ちなみに姉は看板娘担当(笑))そんな彼らの店に入ってきた男性客は、美味しいはずのケーキをひとくちも口にしなくて、パティシェの兄の怒りを買いますが…。

一歩間違えるととんでもなく押し付けがましいかもしれない話の流れなのにそう感じさせないのはひとえにキャラの性格だと思います。人と関わるのが苦手なのにも関わらず、相手の事を思いやる主人公と、かなりの天然ボケなのに押さえる所はちゃんと押さえている相手キャラはまさにいいコンビかと。ほのぼのしてて可愛い作品です。…ときどき作中に出てくるケーキや食べ物の描写にお腹が鳴りそうになります(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(ただ1つだけ、前から気にはなってるのですが「……」が多いですよねえ…。最近とくにやたら多く感じて少々邪魔に感じるようになってきました。)


2003年04月09日(水)   名も無き烏の飛ぶ夜明け 2

    あすかCL−DXコミックス   如月弘鷹:絵

雑誌CIELに連載されているファンタジーマンガの二冊目がようやく出ました(笑)私はCIELは購読してないもので、「いつ出るのかな〜」とのーんびり待っているという作品なのです。主人公は天使と悪魔で、悪魔は神への忠誠を誓い、天使は悪魔に惚れて神への反逆行為になる行動を起こしてしまいます。神や悪魔の元主人からの追っ手から逃げ回りながら、お互いに惹かれつつも複雑な感情を持て余す彼らですが…。

見た目だけだと天使が悪魔、悪魔が天使に見えるんですよね。それも面白いなと思うし、天使が堕天してしまう危機を乗り越えるあたりも面白いです。なんというかゴージャスな絵で(笑)羽根がたくさんたくさん飛んでいて、如月先生の本領発揮という感じの作品です。どうやら3冊目で終わりのようなので、そろそろCIELではラストスパートなのかな?

私的評価 ☆☆☆★
(最近イラストを描かれる回数が減った気がします。その分マンガに専念されてるのかなあ?)


2003年04月05日(土)   王子さまLv.1 1

  ゼロコミックス   桑原祐子:作画  アリスブルー:原作

原作のゲームはやってないのですが、各所から「可愛いよ〜」だの「面白いよ」だの感想を聞いていて気になっていたのでコミックスで読んでみました(笑)主人公は甘やかされて育った第2王子のカナン。冒険者になりたいといいだし、冒険者ギルドに登録したからさあ大変。従者のセレストはお目付役として大変な目にあわされていますが…(笑)

た、確かに可愛いぃ〜(笑)可愛いものすきな私としては、ほんとはぜひともゲーム自体をプレイしてみたいんですが、いかんせんMacだとそれが不可能なのが残念。ところで、あのモンスターの数々、ほんとにあんなキャラなんでしょうか。それだけでも見てみたいかもしれん…(笑)創作だったとしたら桑原先生ブラボーって感じでしょうか(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(とりあえず1巻ということで、続くようなので楽しみです。一応イメージ的に声も想像できるしね(笑))


2003年04月04日(金)   琴姫奇談

  X文庫ホワイトハート  椹野道流:作  あかま日砂紀:絵

奇談シリーズの最新刊は、ちょっと不思議テイストがいつもよりも強めなお話になりました。主人公敏生と同居人でどうやら恋人と呼べるような感じの関係になってきた天本のお話です。インフルエンザにやられて高熱を出し、寝込んでいた天本ですが、回復に向かったこともあり、敏生は前から予定のあった旅行へ天本を置いて向かいます。その旅行の間になぜか天本は姿をくらましていて、しかも「出かけた」のではないようすで、パニックする敏生ですが…。

同じファンタジーちっくということもあってか、アズノベルズの作品のキャラが出てきて活躍してて(笑)びっくりでした。そうか、骨董品の店ってところで気が付かないとだったのね…(笑)展開として「そ、それってすでに現実離れ…(^^;」と思いつつも感動してしまいました。そしてラストシーンのラブラブっぷりにも感動…しつつ、やはり敏生らしすぎる展開で大笑い(笑)一歩進んで一歩半下がった感じかしら…(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(CDも一緒に(…というか何日か遅れで)発売になりました。まだCDは聞けてないのですが、前作の出来がよかっただけに、楽しみです。)


2003年04月01日(火)   たおやかに恋は香る

   リーフノベルズ   高槻かのこ:作   祭河ななを:絵

同じくリーフデビューの新人作家さんの青田買い(笑)です。主人公は、香水会社につとめる営業サイドの青年。それなりの実力をもつ彼が手掛ける今回の仕事は、香作りで有名な青年が初めて作る香水というもの。その依頼と仕事内容の確認のために青年の元を訪れた主人公ですが、いきなり「たばこの匂いがするからシャワーをあびてきて」とシャワー室へ放り込まれ、どうにもペースに巻き込まれてしまいますが…。

各エピソードこそちょっと疑問なところもあったけど、全体にいい印象の作品でした。多分二人の心理描写が比較的しっかり描かれているからなのではと思います。香や香水にかける情熱や、クリエイティブな世界に身をおく人特有のエキセントリックな言動や行動がけっこう可愛く、面白く書かれていて楽しめました。もともと青田買いのつもりでいたので、予想よりも楽しめました。今後も頑張っていい作品を作って欲しいです。

私的評価 ☆☆☆★
(気になるところはもちろんけっこうあったけど、それでもいいなと思える作品でした。デビュー作以降が大事だと思うので、今後も注目したいです。)


2003年04月01日(火)   裏切りロマンス

   リーフノベルズ  あすま理彩:作   史堂櫂:絵

新人作家さんのデビュー作…らしいのですが、この人たしかプラチナ文庫の創刊メンバーだったよなあ(^^; というわけで、リーフ期待の新人と書いてあるのに違和感を感じつつ(笑)とりあえず青田買いしてみました。主人公は、ある会社の専務に付くことになった秘書課につとめるサラリーマンの青年。昔約束した恋人と事情があってわかれてしまい、今もその相手が会いに来るのを待っています。そんな主人公を見てどうやらなにか思う所のあるらしい副社長の青年は、あまり好意的な態度ではありませんが…。

うーん、なんだかもう一歩と言う感じ(^^; 最初こそハラハラしたんですが、途中から「…あれ?バカップル?ひょっとして…(笑)」って流れになってきて、しかもオチが大した事なかったりもして(苦笑)思い込みで行動せずにちゃんと会話しろよという典型なお話でした。初恋の相手ならもうちょっとであった時に疑問をもってくれい…。無理矢理関係を持つと言う私の苦手路線だったのもあって、ちょっと残念な作品でした。

私的評価 ☆☆★
(こんな副社長だの専務だのはどうだろう(笑)とりあえずなんで副社長がそんなに実権を握ってるのかが非常に疑問だったりして(苦笑))


2003年04月01日(火)   校医様は夜の暴君

     ルビー文庫  水壬楓子:作   せら:絵

学園ものシリーズの3作目になります。主人公はジャーナリスト志望の高校生。一応禁止になっているものの、自分のカメラを手に入れるためにバイトをしています。バイト先でゴミ捨てをしていた彼は、偶然学校の校医をしている青年を見かけ、後をつけます。好奇心から後をつけた彼ですが、厄介ごとに巻き込まれてしまい…。

学園モノというよりどうにも大人っぽいイメージがあるのはひとえに校医のキャラゆえでしょうか(笑)好奇心猫を殺すということわざをまさに地で行くような主人公の迂闊さと(笑)それが可愛くてしょうがないらしい校医が割れ鍋にとじ蓋って感じでした(笑)蓋をあけてみれば「やっぱり」という感じのオチではあるんですが、楽しんで読めました。前々作や他の作品のキャラも出てきていて、とくに他の作品のキャラは意外でした。

私的評価 ☆☆☆★
(どうやら3部作というか、3冊で一旦終了のようですが、1冊読みきりでキャラも違うので、それぞれで楽しめる作品ですね。個人的には某警視キャラの話もぜひとも読みたいです〜。)