2003年6月のレビュー

 


2003年06月28日(土)   地には「マ」のつく星が降る!

   ビーンズ文庫   喬林知:作   松本テマリ:絵

2ヶ月連続刊行でカロリア編の一応決着がついた巻ということになるのかしら(^^; 主人公でなぜか魔王になってしまったユーリは、カロリアの領主を助けるため、親友の村田(実は大賢者)たちと大シマロンの武道会に参加し、そこでショックな事にコンラッドと戦うはめになってしまいます。しかし、実際にユーリが剣を交えたのはアーダルベルトという困ったやつで…。

一体全体どうなっちゃうんだ!…と言っている間に試合が終わり、妙なキャラも出てきたままで、なぜかあんなエンディング…(^^; ちょ、ちょっと待て!それでいいのか!と盛大につっこみましたとも。でもこういう勢いこそが、持ち味なのかなあとも思うし、なんだか微妙(笑)そして今回もすごく局地的なネタが多くて(笑)私は大笑いしましたが、ちょうど私ぐらいの人かよくてその3年ぐらい後までしか許容範囲がなさそうなネタだらけで、実はターゲットはその辺りなのかもしれないと本気で思いはじめております(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(カロリア編が終わったとはいえ、全くなにも問題解決してないので(笑)これからもテンポよく笑える作品を楽しみにしたいと思います。)


2003年06月28日(土)   耳にメロディ、唇にキス

  シャレード文庫   椹野道流:作   唯月一:絵

「右手にメス、左手に花束」のシリーズ3巻めになります。雑誌掲載された表題作と、書きおろしでその直後のバースデープレゼント旅行のいきさつが収録されています。紆余曲折を経て恋人同士になった江南と篤臣。江南が研究のため渡米するのにあわせ、篤臣も仕事を辞めて語学留学という形で同行し、ラブラブな結婚式まであげて(笑)幸せに過ごしています。そんな彼らのもとにいきなり篤臣の父の訃報というショッキングな知らせがやってきて…。

いわゆるカミングアウト編です(笑)雑誌掲載の時も、びっくりしましたが、落ち着いて読んで、やはりこうして2人で生きていく覚悟を決めていったのかなあと、しみじみしてしまいました。…私なら自分の子供にこんな事言われたら卒倒してしまいそうなんですが(^^; 篤臣のお母さん、肝の座った人だなあ(^^; 書きおろしでは、思わぬ江南のヘタレぶりに大笑いしてしまいました。でも、こういう時ほど愛情って判るよね、たしかに。

私的評価 ☆☆☆★
(どうやら、また雑誌の方で続きも書かれるようです。これからの彼らがどうなるのか、楽しみですね。イラストが今回から変わられてて残念なんですが、諸事情あるようで、しょうがないですね…。)


2003年06月28日(土)   遥山の恋

  リンクスロマンス   六青みつみ:作   白砂順:絵

六青先生のデビュー作です。平安のころの人里離れた山を舞台にした、時代物のお話です。主人公は、身体中に不思議な痣を持つ少年。その痣ゆえに寂しい山里で1人きりで暮らしています。そんな彼はある日酷い傷を負った戦装束の青年をみつけ、献身的に世話をしますが…。

前半部分については、主人公の切ない気持ちや、だんだんと青年が主人公に惹かれて行く様子がとてもいい感じでした。時々青年の言動に怒りは覚えましたが(笑)まあ、世間知らずということで、情状酌量かな?ただ、後半の部分は、かえって主人公ののびのびした部分を畏縮させてしまったのが勿体なかったような…。まあ、こういういきさつがあってこそラストシーンが光るんだとは思うんですが、せっかく幸せを掴んだはずの主人公なのにと思うと可哀想になってしまいました。…どうしようもなく主人公に感情移入してるらしき私がここに…(苦笑)

私的評価 ☆☆☆★
(全編書きおろしなのだそうですが、どうにも似たような作品を読んだような覚えが…(^^;違うものなんだろうとは思うんですが、読んでいてなんだか懐かしいような気分になりました。)


2003年06月28日(土)   月と茉莉花

  リンクスロマンス   佐倉朱里:作   雪舟薫:絵

佐倉先生の初ノベルズは、今はなき雑誌小説エクリプスに掲載された、中国風時代モノのお話と、その続編書きおろしです。つい最近、リンクスになってから続編が雑誌に載り、記憶に新しい方もおられることと思います。主人公は、盲目のため幽閉されていたある国の皇子。隣国から攻め入られて捕虜となったその盲目の皇子は、隣国の太子に気に入られて…。

雑誌で読んではいたものの、かなり前で記憶も薄れていたので、ノベルズでしっかり読みかえして、ちょっと余韻に浸ってしまいました(笑)どうしても育ってきた環境ゆえに自分を押さえてしまう主人公と、太子という立場上、上手く自分の気持ちを伝えられず傍若無人に行動してしまう太子とが、まさに割れ鍋にとじ蓋という感じで(笑)いいカップルだなと思います。太子がカッとしやすいのが難点ではありますが(笑)続編の雑誌掲載の作品も、すごく良かったので、できたら続編も書きおろしありでノベルズ化してほしいなあ…。

私的評価 ☆☆☆☆
(今度出るリンクスでは特集が組まれているらしいので、それもちょっと楽しみなのです。)


2003年06月27日(金)   FLESH&BLOOD 5

   キャラ文庫   松岡なつき:作   雪舟薫:絵

最初予定表に載っていなかったので、出ると知らずまぎわに出たキャラで知って大喜びした(笑)人気シリーズFLESH&BLOODの最新刊です。主人公海斗は前巻ラストで罠にはめられ、大司教を毒殺した罪で刑務所に入る羽目になります。彼の無罪をなんとかしてはらすために、ジェフリーとナイジェルは大司教のいた街へと急ぎますが…。

最初は海斗がどうなることかとヒヤヒヤしつつ、まあでも命に別状はなくてすむだろうと思っていたのですが、途中で海斗の意識が混濁して、現代の様子が垣間見れたあたりでは「ああ、ひょっとした海斗は帰ってしまうのかしら(^^;」と改めて危機感を抱いてみたり(笑)それ以外にも、ジェフリーとナイジェルが海斗について語らう場面があったり、ラストシーンでは進展?しそうだったりと、ほんとに読みごたえのたっぷりな作品でした。もちろん5巻がめちゃめちゃたのしみなので、できたら早めに続きが出てくれたらと思います。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(今月で一番楽しんで読んだ、オススメの作品です。ほんとに続きが楽しみ。次が出るまでまってられないよう〜。)


2003年06月27日(金)   王朝冬陽ロマンセ

   キャラ文庫   秋月こお:作   唯月一:絵

最初の想像どおり、やはり4巻完結でした(笑)秋月先生の平安王朝シリーズ最終巻になります。文庫にあるまじき分厚さな第四巻は、主人公千寿丸の受難の作品です(笑)たいしたことはないとはいえ、なんだかいろいろ些細なケガの絶えない千寿丸。どうやら拓尊という、1巻で主人公が寺を抜け出す原因となったエロ坊主による呪詛らしくて…。

とりあえず、拓尊がやっていた呪詛に関しては「なんじゃその些細でエロいだけの呪詛は(^^;」と思わずつっこみを入れつつ、どんどん話が膨らんで行くのでいったいどこまでいくのかと最終巻なのにも関わらず目がはなせませんでした(笑)…まあ、その割にはエンディングがちょっと力不足な気もしますが(苦笑)とりあえずなんとか終わったなという感じです。いつのまにか業平にお相手ができているのが謎…(笑)主人公カップルよりもその辺をじーっくり読みたいと思うのはきっと私だけではないと思います。

私的評価 ☆☆☆★
(業平編が出たら絶対読んでしまいそうだなあ。どういう気持ちでそういう関係になったのか、凄く気になります。)


2003年06月27日(金)   天使はうまれる GENE 9

   キャラ文庫   五百香ノエル:作   金ひかる:絵

何ヶ月か前に1度予告が出た後、しばらく延期になっていましたが、ようやく発売になりました。長く続いたファンタジー大河ドラマ(笑)もとうとう完結です。ここにきてやっとシリーズタイトルのGENEが意味をなしてくるという最終巻ならではな作品になりました。主人公のイリは、前巻にて真天空帝国の皇太子ラカに拉致されてしまいました。そのイリを助けるために、今までイリに関わった全ての人が集結し、真天空帝国に乗り出しますが…。

「うーむ、こうきたか」と思わずうなってしまった(笑)エンディングでした。ある意味とっても御都合主義ともとれるけど、私は「なるほど」と思う方が強かったなあ。イリの存在価値とヤンアーチェとの愛が育んだものの素晴らしさを感じることができて、満足でした。ラストシーンでは「おいこら、いつのまにそういうカップルになってるんだ(^^;」というのがいくつかありましたが(笑)とにかくイリが幸せで、ヤンアーチェと共に居られるというそれだけで、読んできた甲斐があったなと思います。また9巻通して読み返そう。

私的評価 ☆☆☆☆
(あのラストは賛否両論でしょうねえ。ボーイズラブかと言われるとたしかに難しいけど(^^; でも、イリだからこその幸せの形なのかもしれません。)


2003年06月25日(水)   Voice or Noise 1

  キャラコミックス     円陣闇丸:絵

ベテランというイメージが有るのに、実はこれが円陣先生初のコミックスです。今も雑誌キャラに連載されている動物と会話できる大学教授と、その教授に弟子入りを申し込む天真爛漫な高校生とのお話で、以下続刊予定です。自分のペットである犬が無駄ぼえをしたり、急に攻撃的になって困り果てていた高校生は、行き着けの獣医にアドバイスされ、大学教授のもとへ弟子入り志願をしにいきます。その教授のところには、なんと言葉をしゃべれる猫がいて…。

ペットの言葉を理解できたら…というのは私も日々切に思う(笑)ことではありますが最近わりとこういう作品がよくある気がします。この作品はどちらかというとちょっと切ない感じの作品ですね。聞こえるからこその苦悩もあり、聞こえるからっていいことばかりじゃないのだなと思いつつ。厭世感ただよう大学教授がだんだんと少年の影響で変わってくるあたりが楽しいので、続編を期待しています。

私的評価 ☆☆☆★
(最近いろんな雑誌で連載をされていますよね。オーバーワークにならないことを祈りつつ、これからも素敵なお話を楽しみにしています。)


2003年06月25日(水)   チルドレンズタイム

  キャラコミックス   二宮悦巳:作画   菅野彰:原作

雑誌キャラにて連載されている「毎日晴天!」シリーズのマンガ版5冊目は、「子供は止まらない」でくっついた末っ子真弓と連れ子(笑)勇太のジレンマだらけのその後と、これも同じく雑誌掲載されたオリジナルストーリー(原作付き)の勇太が花屋のバイトを始めるまでのお話が掲載されています。

雑誌掲載のオリジナルはつい最近に掲載だったと思っていたのですごく早くコミックス収録されたなあと思わず感心してしまいました。やはりみんな読みたい作品だろうという配慮があったからなのかな?雑誌ももちろん読んでいるんですが、本編にない部分をしかも絵で楽しめるというのは想像以上に面白く楽しかったです。このオリジナル部分だけでも十分買う価値はあるかと(笑)雑誌は買わない派の方はどうぞコミックスで楽しんで下さいね。

私的評価 ☆☆☆☆
(ひそかにオリジナル部分の龍兄萌えな私(笑)ふとした時の表情がたまりませんな(笑)大河との連携プレーにも大爆笑でした。)


2003年06月20日(金)   雲上楼閣綺談 1〜5

  ホーム社漫画文庫     後藤星:絵

ほんとは3ヶ月かけて刊行されたものですが、まとめてレビューさせて頂きます。私の大好きなシリーズ「雲上楼閣綺談」がマンガ文庫になって再び発売になりました。文庫化記念と言う事で、口絵等の描きおろしにくわえ、文庫だけのオリジナルショートストーリーも収録されていて、コミックス派の人にも2度美味しい(笑)文庫になっています。

とくに5巻目のオリジナルストーリーは、エンドマークその後のちょっとした風景を描いたもので、これがなにより嬉しかった私。思い描いていた通りの、本当に幸せそうでラブラブな三日月さまとかすみちゃんが読めて、本当に嬉しい。ぜひともコミックスを揃えた人も読んで幸せ気分に浸って欲しいです。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(正直なところ、4巻まではレビューしなくてもいいかなと思っていたんですが、5巻の描きおろしに思わずレビュー(笑)同じ気持ちよ!という方がいるといいなあ。)


2003年06月20日(金)   竜の紋章 −SEASON− 上下巻

  エクリプスロマンス   新田一実:作   霜月かいり:絵

発売予定をみて「あれ?」と思ってしまった(笑)エクリプスロマンス復活です。雑誌小説エクリプスにて掲載されたSFもののシリーズ作品を大幅加筆訂正でノベルズ2冊になりました。本来、掲載されていた時の一番最初の本編は戦闘竜のいる星の出身であるボディーガードと予知視のできる種族の少年とのお話なのですが、この2冊に関しては、その脇キャラである宇宙船の持ち主の気まぐれな主人とその昔なじみが主人公になります。

たしか本編はまだノベルズになってないので、非常に人間関係に戸惑うというか(笑)本編を読んだからこそ判る部分というのがすっぽり抜け落ちていて、勿体ない気がします。雑誌で読んでいてすらこの脇キャラ2人の作品ということに違和感を感じるというのに、初めて読む人はもっと判らないんじゃないだろうか。この世界観自体はすごく好きで、面白いと思っているからこそ余計に、このノベルズ化が不可解です。ただ、単独で読んでも面白いのは面白いので、試してみて下さいね。

私的評価 ☆☆☆★
(楽しんだ作品だからこそ、順番通りに出して欲しかったなあと思います。あと、なぜ撤退したはずのエクリプスロマンスが出るのか、それも不思議と言えば不思議…(笑))


2003年06月19日(木)   爆走する男たち

    花丸文庫    李丘那岐:作   黒江ノリコ:絵

李丘先生の新作は、交通機動隊が舞台のお話です。主人公は美人な外見の割には意外と熱血タイプな交通機動隊の青年。ある日パトロールで暴走バイクをみつけて追跡します。そのバイクに乗っていたのは近所を走り回る暴走族の総長。ひょんなことから彼らの更正を仕事にすることになり、相棒として同じ交通機動隊にいる親友と一緒に行動を始めます。しかし実は主人公はその親友に思いを寄せていて…。

時々コメディっぽくなるので、ハードボイルドとまではいきませんが、非常に硬派な印象の作品でした。バイクチェイスのシーンなどはかなり生き生きと描かれていて(笑)きっと李丘先生は相当モータースポーツが好きなのではと推測しつつ(笑)どちらかというと恋愛よりもそれ以外の部分に重点が置かれていて、恋愛だけに注目するなら少々中途半端な感じはするものの、全体にかなり読みごたえのある作品だったのではと思います。一度お試し下さい。

私的評価 ☆☆☆☆
(黒江先生の透明感溢れる制服のイラストが素敵です〜。なんだか続きの気になる、そんな作品でした。)


2003年06月17日(火)   ラインに乗って会いに来て

  ビーボーイノベルズ   佐野屋一美:作  ねこ田米蔵:絵

小説b-Boyに掲載されたゲームデザイナーと電話秘書サービス会社の青年とのお話と、その続編書き下ろしです。雑誌掲載時にもわりと面白く読んだ作品で、最初こそ「ラインって工場生産ライン?(笑)」と思ってたのですが、意外性とテンポの良さで凄く楽しんだ作品だったので、こうしてノベルズで読めて嬉しいです。主人公の電話秘書サービス会社の青年は、電話で話せばキリリと「デキる」秘書なのですが、実は対面恐怖症で、面と向かっては人と会話もろくにできません。そんな彼が電話を通して知り合ったのはカリスマゲームデザイナー。ある日どうしても必要なものを探しに訪れた秋葉原で偶然そのゲームデザイナーと出会ってしまい…。

主人公の健気さが(少々方向性が違う時もあるけど(笑))とにかく可愛いという印象で、特に書き下ろしの作品なんか、ほんとに一生懸命でいいなあと思います。お相手キャラも誠実で、多少強引なところがあっても微笑ましいカップルでした。読み終えた後になんだか充足感があって、とても楽しんだ1冊でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(佐野屋先生の初ノベルズなのですが、これからどんな作品が出てくるのかとても楽しみです。)


2003年06月13日(金)   可愛いひと。 7

   ラキアノベルズ   高岡ミズミ:作   御園えりい:絵

可愛いひとシリーズももう7冊目になるんですねえ(^^; 少々マンネリ化しつつあったりしますが(^^; 今回は春と各務のお話。意外とこのカップルが好きな方は多いようです(笑) 私も結構すきと言えば好きですね。相変わらず仕事が忙しい各務を待ちつつ、絢一と遊ぶのが何よりたのしい春。よくいくカフェの店員と仲良くなりますが、なんだかその彼はいろいろ悩みごとを抱えているようで、見兼ねた春はゲイバーに付き合ってみたりと相談に乗りますが…。

「各務にかぎって絶対浮気はあり得ない」と思っているあたり、実は私の一番贔屓なのは各務ならしい(笑) あり得ないと思っているのになぜそこで春はぐるぐる悩むんだろう…と今回のテーマを根底から覆すようなことを考えておりました(笑)どうしてもこれだけ続けば、ネタ切れとまではいかなくともパターンは似てきますよね(^^; 春が春らしい元気なキャラではなく、乙女キャラになってたのが残念だけど、割と楽しく読めた気はします。

私的評価 ☆☆☆★
(欲を言えばもうちょっと濡れ場シーンは短くていいから、2人の気持ちの部分を書いて欲しかったなあ。春視点だからしょうがないんだけど、各務がどうにもわかりにくいです(笑)一度各務視点でってのもいいかも(笑))


2003年06月12日(木)   恋のカケラ

    アクアノベルズ   小川いら:作   高久尚子:絵

前にも似たようなタイトルのノベルズがありましたが、それとは全く関係ない読みきりのノベルズです。主人公はゲイの青年。恋人が結婚することになって泣く泣く別れを決意します。1人で寂れた映画館に入り心置きなく泣いていた主人公に、声をかけてハンカチを貸してくれた青年は、話してみるととても人なつこくて、だんだんと親しくなっていきますが…。

ほのぼの路線まっしぐらという感じの作品でした。主人公の思考回路がちょっと乙女ですが(笑)気になるほどではないし、相手の青年のまっすぐさがなんだか微笑ましくて、楽しく読みました。主人公の元カレも酷いことはやっている(結婚しても続けたい、とかね)のですが、その後のいきさつからそう悪い印象はないし、気持ちよく読めたのではと思います。最近わりと小川先生のほのぼの路線は私の中ではヒットが多いなあ。

私的評価 ☆☆☆★
(典型的な年下攻の作品ですね。まっすぐでなかなかかっこいい年下の彼が私の好み路線だったのかしら…(笑))


2003年06月12日(木)   スローステップがお似合い 1

    アイスノベルズ   高月まつり:作  桃八号:絵

雑誌小説アイスに掲載された作品です。ミニミニ書き下ろしを含め、2ヶ月連続刊行。来月も続きがでます。主人公は苦労を重ねたせいもあってやたら「父性溢れる」高校生。いつもなにかと同級生たちに懐かれまくっています。そんな彼の所に「友達になってくれ!」といきなり言ってきたのは苦労知らずのおぼっちゃまな1年上の先輩。最初こそ少々めんどくさくおもっていた主人公も、だんだんと無邪気な先輩にほだされていきますが…。

高月先生お得意のコメディです。雑誌掲載時も大笑いしてましたが、やはりノベルズでも笑える…(笑)会話これ全てボケツッコミという感じの話なので、何も考えずにワハハと笑えます。ところどころつっこみ所はあるものの、勢いで読ませる作品という感じに仕上がっています。来月に2巻が出て完結予定です。そう引きの強い1巻ラストではないので、安心して読めるとは思いますが、でも気になるという人は来月をまった方がいいでしょう。

私的評価 ☆☆☆★
(雑誌掲載の時とはイラストの方が変更になってますね。某車アニメ同人をされてる方だったせいもあって、イラストがイマイチ受け付けなかったので、ノベルズで変わっててちょっとホッとしました…(笑))


2003年06月10日(火)   あなたのキスも心も全部

   ビーボーイコミックス    蓮川愛:絵

蓮川先生の2冊目のコミックスです。MBBやZipsに掲載されたマンガと表題作のショートストーリーが書き下ろしで収録されています。表題作は中学時代の同級生と再会したサラリーマンのお話。会社でうっかりケガをしてしまい、慌てて飛び込んだ医院で偶然であったのは中学時代に仲のよかった友人。実は主人公は彼に思いを寄せていた過去があって…。

最初の作品は98年の掲載なので、たしかにかなり絵が変わってるなあと実感しつつ(笑)前のコミックスに収録されていなくて残念だった作品が表題のシリーズなので、こうしてちゃんと読めて嬉しい。…というかこれでやっとあのアンソロジー処分できるわ…(笑)(おい)どの作品もほのぼのしていて、ちょっと笑えてという蓮川先生らしい作品でした。欲をいえば書き下ろしがもうちょっと多かったらもっと嬉しかったんだけど(笑)まあそれはしょうがないですね。お忙しい方だし…。

私的評価 ☆☆☆☆★
(ラブラブモード全開な感じの作品ばかりで和みます。そしてやっぱり蓮川先生の絵は好きだなあ〜。)


2003年06月07日(土)   サマ−タイムブルース

   ディアプラス文庫   桜木知沙子:作  山田睦月:絵

小説ディアプラスに掲載されたサッカー部の先輩後輩のお話と、その関連キャラが出てくる続編というよりは番外編の書き下ろし、そして表題作の書き下ろしショートストーリーが掲載されています。多分雑誌で読んでる…はずなんですがどうも記憶にないのは、真面目に読んでなかっただけなんだろうなあ(だって雑誌は確実に手元にあるし(^^;)主人公は高校の時にサッカー部に所属していた大学生。1つ上の先輩に些細なきっかけから憧れ、告白して振られ、しかもその後に2丁目で先輩と遭遇するというシュールな体験をしています。しかしどうしても先輩を思い切れない主人公ですが…。

ちょっと鈍いかもしれない主人公と、顔に出ない分相当辛い思いを隠していた先輩との焦れったい関係がなかなかよかったです。番外編は、いったいどうなるのかとラブストーリーらしからぬ展開に心配しつつ(半分ホームドラマだったので(笑))主役キャラの切ない感情に思わず引きずられて涙が浮かんでしまいました。とりあえず、どうやら自分にとってのツボにはまったらしい1冊でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(どこがツボにハマったのかつらつら考えてたんですが、多分主人公の一生懸命な性格によるものかと。マジメでいいやつなんですよ、ほんと。)


2003年06月07日(土)   秋霖高校第二寮 2

   ディアプラス文庫   月村奎:作  二宮悦巳:絵

前作からどのくらいたったんだろう(^^; 物凄く久しぶりに出た月村先生の秋霖高校シリーズ第2弾。相変わらず家事一般の労働をさせられつつそれが当たり前になってしまっている主人公と、こき使うだけこき使ってそれが当たり前っぽくふるまう王様な先輩とのラブストーリー…だったと思ったんだけど…(笑)とりあえず少しだけは進展したっぽい2人のお話です。…もちろん寮生である双子や寮監の先生もいますが。

月村先生らしいといえばそうなんでしょうけど、どうも堂々回りになるんですよね。同じ事でぐるぐる悩んでちょびっと進んでまた戻って。で、1冊完結ならそれで納得して終われるんだけど、シリーズになると「またそんな所で悩んでるのか(^^;」と思ってしまう。結構待ってただけに進展が亀のごとく遅いのはちと辛いです。あと1冊あるそうですが、できるだけ進展して欲しい、ちゃんと気持ちを(推測でなく)通じ合わせている2人が読みたいと切に願います。

私的評価 ☆☆☆★
(個人的に、主人公の兄が面白くて好きだったんですが、でもちょっとアクが強くて2人の進展には邪魔といえば邪魔だったかもしれん…(苦笑))


2003年06月03日(火)   ささやかな 愛しい翼

   コバルト文庫   麻生玲子:作  せのおあき:絵

麻生先生のデザイナーのシリーズ完結編になります。…実は完結編とは思っておらず、あとがきをパラっと見てびっくりしました。前のモデルシリーズもたしかに4冊完結だったけど(^^; もうちょっと長いかと思ってました。主人公は高校生ながら覆面PNでハートフルなデザインをする少年。兄のデザイン事務所経由で仕事をして注目もされています。恋人は広告代理店に勤めるサラリーマン。学業との両立やデザイナーとしての矜持に思い悩む主人公ですが…。

今までの2冊にくらべると波が低いというか、起伏があまりなくて穏やかな印象でした。地味ともいいますが(笑)主人公が自分の進路を考えて思い悩むのはいいんですが、その割にはあまりに安直で考え無しな行動をとってしまったのがちと残念(^^; まあ、若さゆえの思い込みとも言えなくはないんですが…。どっちかというとその辺りよりも、苦労して大成する彼が見たかった気がします。この作品の一番のツボはどんどん大人気なくなっていく攻キャラかも(笑)最初はもうちょっと大人な性格だった気がするのですが(笑)

私的評価 ☆☆☆
(前2冊の方がパワーがあった気がして、ちょっとフェイドアウト風ですね。主人公の決断部分に相当悩まれたみたいなので、そのせいもあるのかな?)


2003年06月03日(火)   ペット心理療法士事件ファイル

    パレット文庫   新田一実:作  富士山ひょうた:絵

新田先生の初パレット文庫かな?仮タイトルが「聞き耳頭巾事件帖」になっていたので、てっきり時代物だと思っていたらふつーに現代のペット関連のお話でした(笑)主人公はちょっと朴訥な感じの大柄で普通の大学生。幼馴染みで美人の青年の実家に下宿しています。とかくペットに懐かれる主人公は、ある日突然動物の声が聞こえるようになってしまい、それをなにか役立てないかと「猫が何か訴えかけてるようで困っている」とコンパで相談された女子大生のもとへ赴きますが…。

今の私にはペットネタは弱いわ〜(笑)少なくとも動物を少しでも飼った事があって、動物の表情を知ってる人はかなり共感する事請け合いです。今回は起承転結のまさに「起」の部分で、まだまだお話はこれからなのですが、ボーイズラブネタもさり気なく折り込んであって、楽しく読みました。事件の解決が少々強引で御都合主義っぽいのはまあ御愛嬌ということで(笑)ぜひとも続きが読みたい作品です。

私的評価 ☆☆☆☆★
(あとがきを読んで、さらに共感度を深めた私です。ドリトル先生、私は尊敬してましたとも!そして今ときどき(とくに朝)特異体質が無性に欲しくなるです…(苦笑))


2003年06月01日(日)   夜には甘く口説かれて

    リーフノベルズ   遠野春日:作   蓮川愛:絵

一応シリーズものになる…のかな?「金のひまわり」の主人公の友人である弁護士が主人公のお話です。主人公は、元判事の経歴をもつ若手弁護士。友人である白石(金のひまわりの主役キャラの1人)に依頼されて弟を殺害した罪に問われた女性の弁護を引き受けます。その裁判で検察側に立つのは、美形で若く経験もあまりないタイプの判事。一目見て心惹かれた主人公は、さり気なくアプローチをしかけますが…。

金のひまわりよりもとっつきやすい感じの弁護士ものでした。主人公の信念の強さにどんどん受キャラが惹かれていく様子が楽しくて、なんだかどきどきしながら読んでいました。固い殻を被っていた受が主人公のアプローチや優しい気持ち、強い思いにほだされてだんだん変化していって、最後は見事な美人受けの出来上がりという(笑)事件も題材的がハードなわりにはオチが大した事なかったですが、まあ事件にばかり重点を置き過ぎるよりは、ちゃんと主人公たちの恋愛が描かれていたのでOKかなと思います。

私的評価 ☆☆☆☆
(「金のひまわり」はタイムリーにCDが発売になりました。また夏ごろにはいろいろリンクした作品も出るらしいので、楽しみにしています。)