2003年7月のレビュー

 

ハ2003年07月30日(水)  狼男だもんっ!

  アズノベルズ   津堂遠海:作   ひだかなみ:絵

津堂先生の2冊目のノベルズになります。ひょっとしたら同人誌で展開していた作品かもしれません(なんとなく読んだ事がある気がするので)が、前にだされた「FAN FAN FAN」(ラキアノベルズ)とある意味共通する作品ですね。主人公は普通…ではない高校生。実は彼には大きな秘密があります。年齢よりも幼く見られがちで、実際行動も幼い主人公ですが、無口で強面な同級生がどうしても気になって…。

なんでなのか、この人の作品は凄く好きですねえ。前の作品でも描写が凄く可愛くて、ハマったのを覚えていて、だから今回も同じようなシリーズと知って嬉しかったんですよね。想像に違わずほのぼのしていて和みムードたっぷりな作品で、楽しめました。ラブリーなもの好きな人はぜひ。ただしちょっと絵がラブリーと言う感じではないのですが、文章の描写は十分ラブリーです(笑)どうにも可愛いものに弱い私のツボをくすぐってくれた1冊です。

私的評価 ☆☆☆☆
(前は「オトナと子供」でしたが、今回は子供同士なので、その辺りもまた印象が違っていて面白かったです。)

 

ハ2003年07月30日(水)  新装版 青の軌跡(上・下)

  リンクスロマンス   久能千明:作   沖麻実也:絵

幻冬舎への移行に伴い、青の軌跡シリーズが最初からイラストを一新し、新装版として発売されることになりました。…イラスト一新という言い方があってるのかどうか(笑)取りあえず表紙は新たに書きおろしされていて、あといくつか中のイラストも手を入れられているようです。文章自体はそのままだとは思うのですが、ラストに雑誌掲載された短編が収録されています。あとがきも書きおろしですね。

久しぶりに読み返しました〜。やっぱりおもしろーい。最新巻を読んでからこちらを読んだので余計になんだか感慨深いというか、今のカイがどれだけ人間らしい感情を出すようになったのかというのが良く判りますよね。こうして同時期に比べて読むとよりいっそう面白いです。短編は雑誌を知らない方はぜひ読んでみて下さいね。全部追いかけてる方は知ってる作品ですが、でもちょっとした初期のエピソードが楽しいです。

私的評価 ☆☆☆☆
(前の作品を持ってる方でも、揃えたくなってしまう(笑)ある意味罪作りな新装版。…新旧並べて本棚に置く人もきっと多いはず(笑))

 

ハ2003年07月30日(水)  タイトロープ・ダンサー Stage1

  リンクスロマンス   久能千明:作   沖麻実也:絵

丸2年以上も空きましたが、ようやく発売になりました!いろいろトラブルもあったようですが、なんとか幻冬舎リンクスロマンスで再開の「青の軌跡」シリーズの最新巻です。…というか今回のタイトルを見る限り、新章が始まる、そのスタート地点と言う感じが…(笑)主人公三四郎とカイは、さまざまなトラブルを乗り越え、なんとかジュールベルヌ号の乗り組み員として仕事をこなしていますが、前作「ファントムペイン」にて自分の退行現象を知ってしまったカイは、なにかをたくらんでいるようで…。

いやはや、2年以上のブランクがありながら、それでもこれだけのテンションを保ち、さらにパワーアップするというのがほんとに凄いと思う。前作読了後「どうなるのかなあ」と個人的に想像もしてみましたが、その想像を遥かに上回るものでした。…まさか、という感じ。そして「とうとうやったわ!」という妙な達成感があるのも否めません(笑)だって、7冊目にしてやっとですよ(^^; これで1つ、2人にとって切れない絆ができたという安心感もあり、どうなるのかというハラハラ感もありで、読みごたえのある作品でした。楽しかった〜!

私的評価 ☆☆☆☆☆
(これだけ間があいたら、さすがに読みにくいかもと思っていたんですが、そんな心配いらなかったです(^^; すぐに没頭してしまいました。次は年内と言う話も聞きます。できるだけ早く、読みたいですね。)

 

ハ2003年07月30日(水)  失恋のあと恋は始まる

  リンクスロマンス   義月粧子:作   雪舟薫:絵

一応「恋はこれから始まる」のシリーズになるのかな?小説エクリプスに掲載された表題作の大幅加筆訂正と、続編の書きおろしが収録されています。主人公は「恋は〜」シリーズの主人公たちの親友にあたる秀才で冷静沈着なタイプの少年。慕っていた叔父が亡くなり、ショックを受けつつ参列した叔父の葬儀で、主人公はある男性に出会います。その男性は、どうやら過去に叔父と恋愛関係にあったらしく、そんなに似てもいないのに主人公を叔父と間違えてキスをしてきて…。

雑誌掲載の時にちょうど「恋は〜」のノベルズが出て、両方美味しかったような記憶が(笑)主人公のキャラがけっこう好きで、だからこそ楽しみにしていました。雑誌掲載の時よりも加筆部分がかなり多く、随分別物の印象がありますね。まるで新しいものを読んだような感覚に…(笑)書き下ろしでは妙に割り切っててオトナな主人公と、どんどんヘタレになっていってる(笑)攻キャラに大笑い。これも義月先生の作品では特徴的な部分でしょうか。あまりぐるぐるうじうじしていない受と強引なくせにヘタレな所のある攻がいいコンビです。男前な受が好きな方にはオススメかな。

私的評価 ☆☆☆☆
(ちょっとだけ「恋は〜」のキャラも出てきて、しかもかなり重要なシーンに絡む(笑)ので、もし前作未読の場合は、ぜひとも読んでからがいいと思います。)

 

ハ2003年07月26日(土)  顔のない男

  キャラ文庫    剛しいら:作   北畠あけ乃:絵

ひさしぶりに買った剛先生の新刊。…いや、何冊も出てますが、どうも趣味にあいそうなのはキャラ文庫ぐらいだったので…(^^; 書きおろしで、映画界を舞台にしたお話です。主人公はあまり売れていない新人に毛の生えた程度の俳優。ある日ある映画監督に呼び出されて映画の仕事を貰います。そのかわり、ある条件を出されますが、その条件とは兄弟役である天才俳優と同居しろというもので…。

これもある意味トラウマものになるのかなあ…。猟奇的とまではいかないけど、なんだか一歩踏み外したらどこかすごいところへ落ちて行ってしまいそうな、そんなアンバランスなイメージを受けた作品でした。面白いけど「楽しむ」という感じではなく、スリルを味わうという感じの作品。ちょっと精神的にしんどい部分もあるし、監督の変人ぶりがちょっと辛いけどね(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(一応かなりのシリアス作品です。どうも私の剛先生の好みポイントはシリアスに固まってるらしい…(^^;)

 

ハ2003年07月26日(土)  カラッポの卵

  キャラ文庫   火崎勇:作   明森びびか:絵

全編書きおろしの新刊は、サラリーマンもののお話です。主人公は高校時代に大会常連レベルの剣道をやっていた青年。高1の時の大会で荒削りだけれど強い選手を見つけ、知り合いになりたいと思い、3年かけてやっとゆっくり話ができるようになります。でもその相手は高校で剣道を辞めてしまい、余計に印象的に記憶に残っていましたが、なんと勤務先であるデパートの同僚としてその思い出の彼と再会した主人公。しかし、そのころの面影とは全く正反対にサボってばかりで…。

「おっとこまえ(男前)な主人公やなあ〜」というのがとにかく第一印象。一応はトラウマものと言えなくはない…かな。でも悲愴感とかはあまり強くなく、とにかく主人公のがんばりっぷりにほれぼれしました。逆に攻がヘタレという話もある(^^; どうしても自分の殻を破れなかった攻を救ったのは、傷付いても真実を伝えたかった主人公の思いなのかもしれない。私はけっこうお気に入りになりました。途中やたら文中にかぎかっこで括った単語が多く、ちょっと説明くさくて気になりましたが(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(火崎先生の受キャラは時々とんでもなく男前ですな(笑)落ち込んで泣くあたりは少々乙女ですが(笑))

 

ハ2003年07月25日(金)  星霜綵絵 1

  ウィングスコミックス   佐久間智代:絵

確か他にシリーズが出ていたと思ったんですが、いきなり1巻発売(笑)ウィングスに掲載されてるのかな?雑誌はチェックしてないので判らないのですが(^^; 学園もののお話です。主人公は有名私立中学に進学した中学生。そこは中高一貫教育で進学校でもあります。いきなり入学式に遅れてすっかり強面(今どきパンチパーマ(^^;)な担任に目をつけられた主人公。なにか事情がいろいろあるのか、妙に不審な行動が目についたり、トラブル召喚体質だったりしますが…。

全くノーチェックだったので「あら、出るのね」程度にしか知らなくて、あとがきを読んで始めてディアプラスの「LOVELY STYLE」から静が出張してきてるのに気がついたという(^^; ひょっとしたら少年☆周波数とも繋がるのかもしれません。まだまだ問題定義の一番最初という感じで、しかも学園もの特有なテーマもありそうで、このままシリアスな方に行くのかそれともギャグに落とすのか、気になるなあ。

私的評価 ☆☆☆★
(過去の作品がいくつか「そんなエンディングありかい(^^;」というものなので、少々警戒しつつ…(笑)とりあえず、早く続きが欲しいです(笑))

 

ハ2003年07月22日(火)  スペル

  ダリアコミックス   富士山ひょうた:絵

桜桃書房のアンソロジー「GENEROUS KISS」に連載されていた大学生もののお話と書きおろしショートストーリーが収録されています。主人公は田舎から出てきたということもあり、顔はけっこういいのにあまり洗練されていない感じの印象のある大学生。合コンの数あわせを頼まれ、美味しいものが食べられるならと参加します。その席で話し掛けられ意気投合した同級生が実はゲイだったと知った主人公は…。

これであのアンソロジーが処分できるパート2(笑)これだけのために本棚を占拠していたので、すごく嬉しいです〜。主人公たちが何気ないやり取りのようにも見えるのに、その表情の中にいろいろな気持ちが見えかくれしていて自然でいいなと思います。一応お相手キャラには恋人がいたんだけど、恋人と言うよりもセフレ程度なのであんまり気にもならなかったし。ちゃんとお互いの事を考えて向き合えるのはいいですね、うん。書きおろしも読みたかった相手側視点のお話で、これを読んでからラストあたりを読み返すとより幸せかも(笑)

私的評価 ☆☆☆☆★
(やはりひょうた先生の作品は心にダイレクトに来るなあ〜。好きだなあと思いました。この調子で他のもぜひコミックスに(笑)<アンソロジー掲載作品)

 

ハ2003年07月22日(火)  B級グルメ倶楽部

  ダリアコミックス   今市子:絵

雑誌ダリアに掲載された表題作と、その続編の書きおろしが1編、それと 1992〜98の間に同人誌に載っていた作品が収録されている、言わば短編集です。最初は表題作関連のみかと思っていたのですが、かなり昔の絵柄だったり、病気の手術の際のエッセイもあったりと意外に盛り沢山でびっくりでした。表題作はサラリーマンもの。主人公は入社したての新米でいつも残業の時の夜食買い出し係です。ある日、隣の部署の派遣社員として、高校時代の先輩が来ているのに気づいて…。

表題作はけっこういいところで終わっていて、雑誌掲載時に「続きが読みたい〜」と思った作品でした。今回書きおろしで続きが載っているのですが、なんだか思ったよりもかなり「スマートじゃなくて不器用」な感じの恋愛になってて(笑)だからこそより面白くなってる気がします。ただ、あとの同人誌再録に関しては、微妙だったなあ…。どちらかというとボーイズラブよりもホラーちっくだったのもあるし、絵柄もふるいので、まるで今先生の作品ではないように見えてしまいました(^^; あ、でも病院日記は笑いました(笑)

私的評価 ☆☆☆
(ファンになったのがかなり後期なので(苦笑)どうも初期の絵に違和感を感じてしまうんですよねえ…。でも、表題作は凄く好きです。)

 

ハ2003年07月18日(金)  熱砂の夜にくちづけを

  GENKIノベルズ   高尾理一:作  富士山ひょうた:絵

高尾先生の新刊は、ちょっと予定が遅れたのかな?無事発売になりましたが。アラブ地方の砂漠の国が舞台のお話です。主人公は、ある国の第六王子であり、サラブレッドの育成のための会社を経営して成功をおさめている若き実業家でもある青年。ある日ボディーガードの隙をついて抜け出し、馬の市へとお忍びで出かけたところ、勝ち気で物おじしない日本人の青年と出会います。ぜひとも彼が欲しいと思った主人公は…。

上のあらすじは王子側からですが、ほとんどが日本人の青年視点のお話なので、どっちかというとそっちが主人公かな(^^; 最初こそまるで人格を無視した強引なやり口で関係を持つのですが、それでも自分の意志をがんばって貫こうとする日本人の青年が健気なのと、それにつれてだんだんとヘタレっぽくなっていく王子が笑えて(笑)楽しく読めました。こういうヘタレ気味な攻はけっこう好きかも。最後にはすっかり立場が逆転してて(笑)面白かったです。ラストに高尾先生原案のひょうた先生のミニショートマンガがあって、それがなにより一番大受けしました。なんだか2人の関係の全てを物語ってるかも、この漫画(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(最初は苦手な路線だったんですが、途中からは大丈夫だったのは、やはり高尾先生の作品がもともと好みに近いものだからかしら…。さりげなく馬ネタなのも嬉しいです。)

 

ハ2003年07月16日(水)  好きの鼓動(ビート)

  ビーボーイノベルズ   岩本薫:作  円陣闇丸:絵

「不器用な純情」のコドモ編にあたる作品。雑誌掲載された表題作と、その数年後を描いた書きおろしが収録されています。主人公は普通の高校生。でも実は彼には秘密があって、その秘密とは幼馴染みが超人気俳優だということ。そしてその幼馴染みに熱烈に口説かれまくっていて、短いオフの合間を縫ってはデート(?)を重ねていることで…。

こちらの方が雑誌掲載の時期も早いんですが、先にオトナ編を読んでいるせいか余計に子供っぽい感じが…というか子供か(^^; でもそれだけに一途で無我夢中な感じがして、子供ならではという感じでしょうか。ちらほらとオトナ編の主人公たちも出てきて、それも嬉しかったです。ただ、書きおろしのラストシーンはどうだろう…。すっかりそれまでの感動的シーンとは印象が正反対になってしまったので(笑)これを「オッケ−ナイスオチ!」と思うか、「台なしだ!(怒)」と思うかは、個人の好み次第でしょうか。

私的評価 ☆☆☆★
(まあ、私がどっちだったかというのは伏せておきましょう(笑)そして、ぜひともオトナ&コドモ編(2カップル共演)で続編を希望です。)

 

ハ2003年07月11日(金)  夜空には満天の星

  ラキアノベルズ   小塚佳哉:作  あさとえいり:絵

今月2冊目の小塚先生書きおろしノベルズです。高校の地学部を舞台にした作品で、主人公は部長をしている物静かな少年。星好きな父の影響で、地学部に所属し、部長としてクラブ勧誘をしたのですが全く新入生が入ってきません。嘆く主人公に「入部したい」と声をかけてきたのは、実は1年先輩だったはずの同級生。元バスケ部で人気者だった元先輩の影響もあり、大盛況となった地学部ですが…。

なんだかほのぼのした、イイ作品だったなあと思います。こまごましたエピソードが凄くはまりました。…個人的にかなりくるネタもありましたが(苦笑)だからこそ凄く慰められるエピソードでした。意外とヘタレで純情な(笑)攻キャラとと、物静かだけどだからこその器の大きさで相手を愛せる主人公がとてもいいコンビだなと思います。とても和める作品でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(今月の2冊のうちでは、こちらの方が断然オススメ。…というかこっちを読んでしまったのでもう1つの方の評価が下がったとも言う(^^;)

 

ハ2003年07月11日(金)  ジンクスのゆくえ

  ラキアノベルズ   今泉まさ子:作  松平徹:絵

今泉先生の書きおろし新作は、元おぼっちゃまの大学生と元シルバーアクセサリーのデザイナーとのお話です。主人公は大きい建築会社の社長の息子。放蕩息子とまではいかないものの、親のすねをかじって好き勝手に大学生活を送っていました。…しかし彼が旅行から帰ってきた時に目にしたのは、父親の逮捕という衝撃的なニュース。少し前に知り合っていた青年とのやり取りの中で知り、自分のマンションにも帰れない主人公に同情し、とにかく家へくるよう誘ってくれる青年ですが…。

裕福な生活から急転直下、厳しい侘びしい生活を強いられる主人公ですが、裕福な時でもあまり嫌味な感じではなく、鷹揚なイメージなので読みやすかったし、大変になってからはすごくがんばり屋さんなのがツボで、凄く可愛く思えてしまいました〜。…図らずも攻キャラの気持ちが良くわかったわ(笑)最後はバカップルっぽくなりますが、でもそれもまたいい感じのバカップルなので、非常に読んでいてもすっきりしている、読了感が爽やかな作品でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(今泉先生は他の作品もわりと好きなんですが、これもいいなあ。…ところで彼はいつまであのアパートに住むんだろう…(笑))

 

ハ2003年07月11日(金)  スロ−ステップがお似合い 2

  アイスノベルズ   高月まつり:作  桃八号:絵

2ヶ月連続刊行の雑誌「小説アイス」に掲載された高校生モノのお話の後編です。主人公は父性フェロモンを周りにまき散らし懐かれまくっている高校生。先輩から「友達になって!」といわれ、受け入れて親しくしているうちに、なんだか自分の中でも不思議な感情がうまれてきて、どうやらこれは恋らしいと自覚をしますが…。

前作に引き続き笑わせてくれました(笑)雑誌で読んではいるんですが、それでも面白いです、ほんと。今回の場合は、主人公たちカップルの始末編みたいな感じで半分ぐらいと、あとは受の兄&攻の叔父カップルのお話で、雑誌の時はあまり印象がなかったぐらいだったので、こうしてしっかりノベルズで読めると嬉しいです。いろんな所につっこみしたい部分は存在しますが、そういう部分があってもしっかり「読んでしまえる」勢いを持った作品ではないかなと思います。前後編あわせてどうぞ。

私的評価 ☆☆☆★
(私は高月先生のこういう妙な勢い(笑)が大好きなのだと思います。シリアスもいいけど、やっぱり高月先生はコメディのイメージだなあ。)

 

ハ2003年07月11日(金)  最高の恋人

  プラチナ文庫   小塚佳哉:作   片岡ケイコ:絵

今月同時期に2冊刊行の(笑)小塚先生1冊目です。最初ちらっと見て「小学生!?(^^;」と引きかけたんですが、イラストの方が某ゲームジャンルで割と好きだったというのもあり(しかも大人な絵の人だった…)まさかショタではあるまいと望みをつなぎ(笑)購入しました。結果は…まあ、ショタ…ではない、かな、うん(^^; 主人公はやたら恋愛遍歴の多い美人の大学生。どうしても「自分を甘やかしてくれる大人」な人が相手に多く、自然と不倫だったりして自分だけを愛してくれる相手と出会えません。そんなある日学園祭でイイ目つきをしている少年に出会い、心惹かれますが…。

正直なところ、あまりにわがままな主人公にはちょっとマイナスポイントがついてます(苦笑)が、攻キャラの可愛さと一生懸命さにほだされてしまいました…(笑)逆光源氏というイメージなのだろうけど、自分だけいろいろ要求している感のある主人公だけはちょっといただけないかなあ…。もっと一途なキャラの方が攻には合ってる!と思わずブーイングを(笑)ただただ、攻の健気な純愛にほのぼのしちゃった感じの作品でした。

私的評価 ☆☆★
(お話自体は、そう悪いものではないんですが、どうにも受が守備範囲外だったなあ…(^^; ワガママ小悪魔系受は苦手なんでした(^^;)

 

ハ2003年07月10日(木)  失恋マニア

    GUSHコミックス    葛井美鳥:絵

桜桃時代のGUSTに掲載されていたクラブの若きオーナーのお話です。前後編が2つ分収録されていて、最初のお話はオーナーの家にやってきた昔の男の恋人と思われる少年に恋をするオーナー(ややこしいな(^^;)の恋愛模様を描いています。2作目はその後のお話で、描きおろしでさらにその後のお話が載っています。

意外性でもなんでもないのはないんですが、さすがにネタバレはいかんかなと思ったので2作目の内容は伏せておきましょう(笑)私は1作目のほうだけGUSTで読んでいて、その後GUSTを買わなくなったので、2作目は全くしりませんでした。…そして2作目のほうがより好みだったという話も(笑) ほのぼのしていて、なんだか幸せな気分になる作品でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(そして今レビューの為に手元においたコミックスを見て改めて気がついた(^^; なんだ、2作目のほうが本編になっちゃってるんじゃん…(笑))

 

ハ2003年07月08日(火)  ディアスポラ 4

   ウィングス文庫  前田栄:作   金ひかる:絵

魔法と精霊が織りなすファンタジーものSFの第4弾。小説ウィングスに雑誌掲載された作品と短い書き下ろしが収録されています。前作にて風の精霊王とその主である少女を見つけ、氷漬けにされていた風の精霊王をなんとか助け出したのはいいものの、その後とんでもない事態に陥ってしまったユリウスたち一行。なんとかその場はおさめたものの、またもや難問が目の前に立ちふさがって…。

受難ユリウスとこまったお子ちゃまたちという感じの4巻です。辛い思いをしてきただけの成長を遂げているクワンが健気で愛しいですねえ。それにひきかえワガママお嬢ちゃんはちとあさはかすぎて感じ悪過ぎ(苦笑)ユリウスが心底可哀想に思ったです。ユリウスの師匠にあたる老人との邂逅や対決など、見どころが多く、読みごたえもあって楽しめました。書きおろしはユリウスの小さいころの話が読めます。けっこうこれもお気に入りになってます。

私的評価 ☆☆☆★
(しかしやっぱり火の精霊王は墓穴掘りだよなあとつくづく思ったり(笑)だんだんと謎が解けてきた感じなので、今後どう続くのかが楽しみです。)

 

ハ2003年07月08日(火)  秘密の恋を伯爵城で

   ショコラノベルズ  松幸かほ:作  かんべあきら:絵

松幸先生のデビューノベルズです。多分書きおろしです(^^;(未確認…だけど多分商業誌掲載はないはず)フランスを舞台にした玉の輿チックなお話です。主人公は小さい頃に両親が離婚して母子家庭に育った普通の青年。営業の仕事をしながら、毎日を一生懸命過ごしています。そんな日常が破られたのは一通のエアメール。それは主人公の父が亡くなったと言う知らせで、しかも相続人として遺産や遺品整理にフランスまで主人公に来て欲しいと言う内容。仕事を気にしつつもフランスへ赴く主人公ですが…。

内容は全く一緒ではないけど、ちょっと真船先生のパレット文庫と印象が被ってしまって、出版のタイミングが悪かったなあという感じでしょうか。でも、思っていたよりもかなりテンポがよく、面白く読みました。ところどころ「どうだろう(^^;」と思うツッコミ所はあるものの、全体的にはわりと楽しめた作品でした。これがデビュー作とのことなので、また雑誌やノベルズで活躍して欲しいですね。

私的評価 ☆☆☆★
(特殊職業玉の輿タイプの作品が多いようですね。次の雑誌掲載予定作品も、そういう感じらしいです。…というか調べたんかい私(笑))

 

ハ2003年07月08日(火)  桜のように

   ショコラノベルズ  火崎勇:作  本間アキラ:絵

雑誌小説ショコラに掲載された年の差モノのシリアスなお話と、その続編書きおろしです。主人公は早くに父をなくし、母子家庭に育った大学生。母親の再婚と大学入学を機に独立して一人暮らしを始めます。一人暮らしの条件としてきちんと家の事をこなすことと言われ、その一環として料理教室に通いはじめた主人公は、そこでちょっと不器用な自分の父親ぐらいの年代の男性と知り合い、だんだんと親しくなっていきますが…。

親子ほどの年の差ということで、雑誌掲載の時も結構興味深く読んでいたので、続編も読む事ができて嬉しいです。主人公の悩み苦しむ姿と相手の男性の包容力&大人気ないとも言える主人公への思いは本当に読みごたえがありました。昨今あまり悩みもせずすぐに恋人同士になってしまうカップルの話が多い中で、カップルになってからもこれだけの苦悩を感じつつ、それでもお互いを選ぶ2人に好感がもてました。なんだか「大人の恋愛」という感じでした。途中まで憎まれ役だったキャラも、そのままの印象ではなくきちんとイイ方向に向かってくれたし、とても満足できた作品。読むとしんどいところもあるけど、私はとても好きです。

私的評価 ☆☆☆☆
(そういえば最近こういうシリアスな作品が減ったなあと思いつつ。こういう包容力のあるおじさん、好きだなあ〜。おじさんフェチの方はぜひ(笑))

 

ハ2003年07月04日(金)  針は何処に 黄金の拍車

   X文庫ホワイトハート  駒崎優:作  岩崎美奈子:絵

中世のイングランドを舞台にした歴史(?)モノの新シリーズ第3巻です。ストックスブリッジの城主として雑用をこなすリチャードは、自分の領地内で暴漢に襲われていた紳士を助け、一夜の宿を提供します。翌日には旅立っていってしまったが、その後従弟のギルフォードがやってきて、「トビーがいなくなった」と告げるが…。

やっぱり面白いなあ〜。新たに出てきた人物も非常に興味深いです。何処の誰かというのはネタバレになるので書かずにおきましょう(笑)この設定だからこそのキャラなのだなあと思わず後から納得しちゃいました。城主という仕事が大変だけどがんばっているリチャードも、やっぱりどうにも墓穴掘りな(笑)ギルフォードも生き生きしていて楽しいです。ただ事件性としては前シリーズの方が面白かったかな。…これはやはりリチャードの立場が変わったからなのかな?まだまだ彼らの活躍は続きそうです。楽しみにしています。

私的評価 ☆☆☆★
(今回のエンドマーク直後の阿鼻叫喚な邂逅(笑)ぜひとも見てみたいですよねえ。とくに切れかけてるギルフォードを詳しく描写希望(笑))

 

ハ2003年07月04日(金)  塵 〜WINDROW〜

   X文庫ホワイトハート  柏枝真郷:作  茶屋町勝呂:絵

硝子の街にてシリーズもはや14冊目になります。作中ではようやく2000年を迎えようとしている、1999年年末のアメリカが舞台。主人公ノブとシドニーは相変わらずラブラブな生活を過ごしていますが、やはり「湾岸戦争」という見えない重荷をシドニーが背負っていることに、ノブは心を痛めています。そんな彼らの友人が大きな火災に巻き込まれてしまいます。友人は無事でしたが、しかしその火災が事件の発端になり…。

どちらかというと、事件よりも「シドニーの心の闇」に重点が置かれていた気がしますね。普通に読んでいても入ってくる重要度が違うというか、シドニーの苦悩と同じ思いをしている湾岸戦争当時の戦友達の苦しみが、随所に描かれています。それだけに時々しんどいし、やりきれない思いもしますが、ノブのいたわりや天然ボケっぷりに癒され、最後まで読み終えることができました。事件はちょっと中途半端というか、解決に至るあたりにあまり脈絡がなかったのですが、それでも読みごたえのある作品だったなと思います。

私的評価 ☆☆☆★
(冊数が多いからこその重厚さを感じます。どうしてもマンネリになりそうですが、それでもやはりノブもシドニーも、一歩ずつ進んで行っている気がする、そんな作品です。)

 

ハ2003年07月01日(火)  うそつきな瞳

   パレット文庫   朝香祥:作  穂波ゆきね:絵

主にコバルトなどで活躍されている朝香先生の初パレット文庫。ボーイズラブというよりは、ちょっとかすっているだけという恋愛未満友情以上みたいな感じの高校生モノのお話です。主人公はサッカー一筋な高校生。ある日不良に絡まれていた女の子を助けようとして、ピンチに陥ってしまった主人公。しかしその窮地を助けてくれたのは1人の少年が蹴ったサッカーボールでした。並のレベルとは思えないそのボールさばきに惚れ込み、なんとかして入部してもらおうと口説きまくる主人公ですが…。

最初こそ単なるサッカーモノっぽく思って読んでたんですが、途中からかなり違う方向にシリアスになってきて、びっくりでした。ちょっと突飛な話ではありますが、非常に読みごたえがあるし、人間関係も魅力的でした。一部「このカップル読んでみたい〜」と思う(ほんとはカップルにあらず)2人もいたりしてね(笑)部分的に消化不良なところもあるので、ぜひとも続きを出して、その辺りをじっくりと読ませて欲しいなと思います。

私的評価 ☆☆☆☆
(穂波先生の透明感あふれるイラストもぴったりでした。思ったよりもかなりツボにハマった作品なので、どうぞお試し下さいね。)

 

ハ2003年07月01日(火)  伯爵はラブゲームがお好き

   パレット文庫   真船るのあ:作   明神翼:絵

真船先生の新刊は貴族モノハーレクイン風(笑)なお話です。タイトルだけ見て少々引いていたのですが(苦笑)まあ真船先生だから大丈夫かなと購入しました。主人公は親の離婚を聞きショックを受けつつ、最後の思い出にと海外旅行に出かけて手に入りにくいワインを購入しようと考えている大学生。あるレストランに食事に入った彼は、隣の席の青年が手に入れたいと思っていたワインを飲んでいるのを見つけます。その視線に気付き一緒に飲もうと誘う青年。だんだん口説き口調になる彼に思わず逃げ出す主人公は、慌てたせいでとんでもない目に…。

王道だなあ…(笑)主人公が割と直情的でお子様なのが残念といえば残念なんですが、でも苦手そうなネタのわりには楽しめたなという感じでしょうか。主人公も、一生懸命で健気だし、攻キャラも強引さはあるものの、いろいろ過去を抱えていて、それがあるからこそ主人公にいやされているあたりはいいなと思います。…ただ、賭はやめようよ賭は(^^; あまりに展開が見え見えで笑ってしまいました。

私的評価 ☆☆☆★
(イラストが明神先生ということで、主人公が大学生にはちょっと見えないなあ…(^^; でもけっこう面白かったです。古城を舞台にしたシリーズ(?)なようですが、次はどんなのかな?)