2003年9月のレビュー

 

ハ2003年09月30日(火)  リリカル・リップ・ノイズ

   ディアプラスコミックス    南野ましろ:絵

今月3冊目のコミックス。主人公が同じ世界観で持ち回りになっている(笑)シリーズ最新作です。今回の主役は、前作「プリンセス・シールド」で迷脇キャラになっていた犬屋の主人波留。偶然であった可愛い女装癖(笑)の保育士朱羽になぜか懐かれる主人公。犬屋のバイトで前作主人公の滋有と知り合いらしい朱羽は、実は波留の幼稚園時代の同級生で…。

いやあ、3冊の中では一番シュールというかフェチ度高いよな…(^^; 一番マトモだと思っていた犬屋のおやぢが、一番変態っぽかったですがな(笑)朱羽もちょっと天然すぎるぐらい天然キャラで、ちょっとツボから外れていたのですが、まあ幼稚園描写がほのぼのしてて可愛かったからいいか。濡れて帰って来た時の滋有作「タオルロードでお風呂へどぼん」はちょっとツボでした(笑)あれ、いいよなあ。ちびっこだからできるんだよなと思いつつ。甥っこさんたちがおられるましろ先生だからこその発想?

私的評価 ☆☆☆★
(ラスト近くでの妙な交信を見て「…つ、次はこのカップルか?(^^;」と思ったバカは私。…しかし、良く考えればボーイズラブじゃないやん(^^;(ふつーのノーマルカップルリングです))

 

ハ2003年09月30日(火)  お嬢様とは仮の姿!

   ビーンズ文庫   喬林知:作   松本テマリ:絵

「マ」シリーズのようで「マ」シリーズでない(笑)という不思議な感じの作品。新シリーズなわけではなく、一応世界観としては「マ」シリーズに被るんですが…。主人公は第二次世界大戦前のころ、アメリカに住み、祖母に跡継ぎと決められてある仕事をする少女。中国系のパートナーのおじさん(笑)と共にドイツへ「箱」の「鍵」を探しに出かけます。その先で自分と同じものを狙うナチの青年将校に出会いますが…。

うーむ、これが「マ」の現在のあたりにどう繋がるんだろう…(^^; とりあえずきっとそのうちこの作品でも彼とか彼がでてくるんだろうなあと思ってはいますが、…にしても不思議なスタンスですねえ。ただ、作品の中の様々なところで出てくるエピソードや主人公たちの思いは、なにか伝えたかったのかなあと思わせます。時代が時代だけにね。もっとオバカな感じかと思っていたのですが、ちょっと真面目かもしれない作品でした。一応「マ」シリーズとあわせて読まれた方がいいのかな?なしで単独でも平気ですが。勢いの有るギャグの好きな方にオススメです。

私的評価 ☆☆☆★
(「マ」シリーズもえらいことになってるし、しかもこんな別話まで出てくるし、いったいどうなっちゃうんだろう(^^; 気になる〜。)

 

ハ2003年09月30日(火)  ミルククラウンのためらい

   ルビー文庫   崎谷はるひ:作  高久尚子:絵

ミルククラウンシリーズの一応ラストの巻ということになるようです。昔アイドルだった過去を持ち、その過去ゆえに辛い体験をしてきた主人公希(のぞむ)と恋人の高遠との話。主人公の希は両親と不仲で、叔父と一緒に暮らしています。今は恋人の高遠もいて、それなりに穏やかで幸せに暮らしていましたが、そんな矢先叔父から「親が自分を引き取りたいと思っている」という話を聞き…。

今までハラハラしつつ「なんでもっと主張しないんだろう」ともどかしい思いをしていたんですが、なるほどここまで来るための過程だったのだなあと思うと、納得です。前2作品ではどうしようもなく腹が立った希の両親の描写も、希が大人になった目で見てみれば実は決して彼にとっての脅威ではなくて、むかつくと思っていたはずなのに、その気持ちがどこかへ消えてしまっていました。ある意味この3冊目があってこその作品と言う感じですねえ。文庫だと短いからかなあ(^^;とりあえず、3冊もう一度しっかりと読み返したくなったシリーズラストでした。

私的評価 ☆☆☆☆
(ラストとはいえ、まだこの作品は続くようです。個人的に気になっている叔父さんと店のオーナーの話も読めるようで、楽しみです。)

 

ハ2003年09月29日(月)  眠る体温

   GENKIノベルズ    麻生玲子:作  富士山ひょうた:絵

麻生先生の書き下ろしのノベルズです。主人公はフリーライターをしている青年。風俗関連中心ですが、女性向け雑誌の仕事もしたりします。そんな彼が偶然仕事先で出会ったのはストイックな雰囲気のバーテンダー。店はもちろん、バーテンダーが気に入り通いつめる主人公は、とうとう一緒にお酒を飲むところまで持ち込めましたが、なんと急展開なことに、お酒が入った彼はまるで人が変わったようになって、主人公に誘いをかけて来て…。

オトナな作品というイメージ。主人公も相手もしっかり仕事をしていて、その上での恋愛を楽しんでいて、読んでいても好感が持てます。ラスト近くでストーカーネタが出て来ますが、その対策自体はどうかなと思いつつも(苦笑)読みごたえのある作品だったと思います。ひょうた先生のイラストがまたイメージぴったりで、落ち着いて読める作品でした。盛り上がりには少々かける所はあるかもしれないけど、私はこういう作品が好きなので、大満足です。

私的評価 ☆☆☆★
(そういえば、叔父さんネタですが、私は最初から「そうだろうなあ」と思っていました。けっこう見え見えだった気がしますが…どうかな?)

 

ハ2003年09月29日(月)  好きじゃないけど愛してる 4

   花音コミックス     南野ましろ:絵

今月2冊目のましろ先生のコミックス。シリーズ最終巻だそうです。雑誌花音にのんびりゆっくり掲載されていたバカップル(笑)とその家族(?)のお話。実はましろ先生の作品の中では一番しっかりHなのではという(笑)話もあります。朝陽と光基のカップルと、光基の甥っこスーパーベイビー旭と犬の「いぬ」(笑)が織りなすバカップル炸裂な日々を描いています。

なにかとシュールだったり笑えたり切なかったり、ほのぼのしている反面、ものすごく濡れ場シーンが多いなあ(^^;とも思ったり。これは雑誌掲載なので、雑誌掲載ごとに1回あるからかしら(笑)<濡れ場 とりあえず、この作品は「旭といぬが可愛い!」と前から思っていましたが、最終巻にして、実は光基が本気で朝陽にラブラブなんだと気がつき(おい)可愛いなあといまさらながら思っておりました。シュールでギャグが好きな人はぜひ(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(しかし、やはり私の一番好きなネタは犬関連だった…(笑)おるすばんな犬ネタはツボです〜。)

 

ハ2003年09月27日(土)  きわどい賭

   リンクスロマンス   きたざわ尋子:作  金ひかる:絵

雑誌小説リンクスに掲載されたお話が早くもノベルズで登場です。主人公は民間の警察のような会社のエージェントをしているエリートの調査官。有給をとってのんびりしようかと思った矢先に、血の繋がっているだらしのない弟に間違えられて少年に声をかけられます。おもしろがった主人公は、その少年に話を聞きますが…。

雑誌掲載時に結構好みだった作品で、ノベルズで読めて嬉しいです。続編は彼らのその後の日常と言う感じで、ほのぼのしてますねえ。しっかりしてるけどちょっと天然な受と、それに付け込む大人気ない攻がいいコンビです。一応舞台は日本じゃない日本(笑)らしいですが、実際にこういう民間の会社が出て来たら、もっと殺伐としてるんだろうなあといらん感想ももちつつ(笑)どうやら別キャラの話や続編もあるようなので、また続きが出るのが楽しみ。

私的評価 ☆☆☆★
(金先生のイラストもいいですよねえ。いたいけな少年がほんとそんな感じに見えるし、あかんたれなキャラはどうしようもなくあかんたれで(笑)楽しいです。)

 

ハ2003年09月27日(土)  ブライトン・ロック 2

   シャレード文庫   椹野道流:作  宮本イヌマル:絵

シャレードに掲載されていた、イギリスが舞台のお話とその続編書き下ろしです。主人公の航洋は医学生でしたが、あるきっかけで思いきって自分のためにと医学部を退学し、単身イギリスへ語学留学にきて、ジェレミーと出会いルームメイトになり、そして紆余曲折を経て恋人になって、幸せな日々を過ごしています。しかし、そんな彼らに大きな試練がやってきます。なんと、航洋の元彼女で、「イギリスへ来るきっかけ」になったナツメが彼らの前に現れて…。

相変わらずラブラブですなあ〜(笑)前作ではジェレミ−がトラウマを克服するまで、という感じの作品でしたが、今回は航洋の順番ってことでしょうか。読んでいても大きな大きな壁を乗り越えたと言う感じでした。元彼女も「自分勝手な!」と思う反面、女心も垣間見えて、嫌いきれないのがもどかしいです。なんだか2人の成長物語を読んでいる感じの作品。書き下ろしはひじょーに美味しそうな描写で(笑)お腹が減ってる時には読まない方が利口かもしれません(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(さりげなくイギリスの風習とか、食べ物のこととか書かれていて面白いです。でも2人であれだけ多くのものは食べられないのでは(笑))

 

ハ2003年09月27日(土)  くちびるに銀の弾丸

   キャラ文庫   秀香穂里:作   祭河ななを:絵

秀先生の初キャラ文庫。グラスブルーノベルズがデビュー作だったようですが、すいません、そちらは未読でした(^^; 全編書き下ろしで、ゲーム会社の宣伝企画を担当する青年と、天才的なゲームディレクターとのお話です。主人公の青年は、来るもの拒まず去るもの追わずの典型的なタラシ系で、ゲーム会社の宣伝企画を担当しています。ある有名ゲームディレクターがその会社に移り、新しいゲームを立ち上げるということで会議にのぞみますが、そのディレクターは美人な癖にやたらと仕事に厳しくて…。

基本的に、きちんとお仕事しているというのは、それだけでも私にとっては好みなんだろうとは思うのですが(笑)こういう「しっかり仕事もこなして恋もする」という作品はやはり読みごたえがあるなあとしみじみ思います。性格的に少々攻が強引なところもありますが、私の好みなちょっとヘタレなとこもあるし、受キャラも意地っ張りだったり頑張ってたり、なんだかとても魅力的で、楽しんで読みました。次はどんな作品になるのかな?今からちょっと楽しみです。

私的評価 ☆☆☆☆
(作っているゲームの内容もほのぼのしてて可愛かった。やったことはないけど、「ぼくのなつやすみ」が元ネタかな?)

 

ハ2003年09月27日(土)  氷点下の恋人

   キャラ文庫   春原いずみ:作   片岡ケイコ:絵

春原先生の書き下ろし新刊です。生命保険会社の保険調査員と整形外科医とのお話。主人公は新米の保険調査員。保険が適正に支払われるために、診断書や保険の請求の内容を調査する彼が上司にまかされたのは、故意に長く治療をしていると思われる診断書ばかりを出す整形外科医の調査。口のたつその外科医にこれでもかというぐらいにやり込められる主人公ですが、それでも負けずに積極的に関わろうとして…。

春原先生らしい作品でしたねえ。私はこういうお話の方が好きなので、ここ最近の新刊では満足している方かも。主人公の意外な経歴や、相手の外科医の信念も、好感が持てました。しかし、味方だと思っていたあのキャラが違ったのにはちとショック。…っていうか過去になんかあったんかいと思わずつっこみを入れてしまいました(笑)イラストも綺麗で、個人的に片岡先生のイラストが好きな私としては嬉しい1冊。しかし、イラスト見れば判るのに、どうしても受攻逆に思っていた私は、やはしクールビューティー毒舌受が好きなんだろうか…(笑)でも「コンプリート」はどうかと思うよ、うん(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(そういえば、オークラから文庫で「吉永&内海シリーズ」が出るらしいですね。これが私にとっての春原先生の原点なので、改めて出るのは嬉しいなあ。)

 

ハ2003年09月24日(水)  秘密は白薔薇の下に

   SHYノベルズ   遠野春日:作   夢花李:絵

遠野先生の書き下ろしの新刊です。発売予定時は「童話シリーズ」と書かれていたので、ほんとに童話というかファンタジーなのかなと思っていたんですが、現代風(笑)でした。舞台は、ヨーロッパの小国。湖水の周りには貴族たちの別荘が立ちならんでいます。ある国の伯爵の跡継ぎがその別荘にやってきて遠乗りを楽しんでいるときに、ずぶぬれになった少年を見つけ、つれて帰って介抱しますが…。

まあ、ファンタジーちっくといえばそうかもしれませんね。受キャラの境遇とか出会い方とかはかなり定番中の定番という感じでした(笑)ただ、遠野先生の作品にはわりと多いんですが、女性キャラがきっついんだよなあ…(^^; 受いぢめが好きというか…(笑)まあでも今回は主人公同士があまり無理矢理な関係ではなかったので、まだ読みやすかったのではないかしら。途中は受が不憫でしょうがなかったけど、ラストまで読んでみればけっこう甘々で、ほのぼのしていました。

私的評価 ☆☆☆
(夢花先生のソフトフォーカスがかかったようなふんわりしたイラストがぴったりでした。まさに適材適所(笑))

 

ハ2003年09月24日(水)  神異伝 新装版

    バーズコミックス    蓮見桃衣:絵

なんとなく手にとって、思わず買ってしまいました。作品自体は割と古く、2000年に雑誌「きみとぼく」に掲載されていた中華風ファンタジーの作品です。今回幻冬舎より新装版という形でコミックス化されたみたいですね。主人公は天界から妖魔討伐のために人間界へやってきた仙人でもある少女夕佳(せつか)。神獣である天狗(てんこう)と共にさまざまな経験をしていきますが…。

ほんとにふと手に取りぱらぱらとめくってみただけだったんですが、ある一部のページがめちゃめちゃツボにハマってしまって思わず買いました(笑)夕佳は幼い頃に両親を妖魔に襲われて失い、仙界で育てられていて、その一シーンでやられたんですよね…(笑)妖魔退治ということで、ちょっとアクション活劇風なところもありますが、全体に落ち着いていて、楽しく読める作品でした。なんだか得した気分(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(「天狗子育て編」(上のツボにハマったマンガですね)とあとがきの四コマは大笑いでした(笑)これ、続編とかあるのかなあ〜。読んでみたいかも。)

 

ハ2003年09月24日(水)  真綿の王国 2

    ルチルコレクション    南野ましろ:絵

可愛いましろ先生ワールド再来(笑)というか、今月はこれを含めて3冊もコミックスが発売になります。すごいですねえ。雑誌ルチルに掲載されている不思議なぬいぐるみの麦太と、麦太の飼い主…もとい持ち主…兼恋人?(笑)な無愛想な徹太とやかましくてオバカな隣人(笑)の織りなすドタバタコメディです。今回も麦太大活躍。洗濯物をピンクに染めてみたり(笑)いろいろと騒動を巻き起こしますが…。

やはし天然キャラ麦太最強ですな(笑)なにより一番ぶっとんでるのは書き下ろしでしたが、なんともはや、いい味だしてます。そしてファンシーフェチにはたまらないぬいぐるみの麦太もめちゃめちゃ可愛い〜。ついついCDで聞いた効果音が頭に響きわたってしまいました(笑)ほのぼのしていて、和みます。…のわりにはけっこう濡れ場度も高いまではいかなくともそこそこあったりして、いろんな意味で楽しめる作品でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(そういえば、花音ではあの懐かしの「天使をください」が登場してるらしいですよね。…うーむ、雑誌チェックするべきか悩む…。)

 

ハ2003年09月18日(木)  オリジナル・ラブ

    アイスコミックス     葛井美鳥:絵

最初の予定はもうちょっと早かったような気がするんですが(笑)葛井先生の久々に出たアイスコミックスです。雑誌掲載されていた作品で、先日発売された失恋マニアに出てくるキャラも登場する、ちょっと近未来モノのお話。主人公はクローン技術で産まれた少年。精神的に不安定な「オリジナルの元恋人」と一緒に暮らしています。オリジナルは早くに亡くなっていますが未だにその死を引きずっているらしい同居人と実は関係も持っていて…。

うーん、作品的にはショタ属性かしら(^^; いくつか章が別れていますが、前半はちょっとショタ苦手な私には厳しいかもしれない…(^^; ただ、葛井先生らしい感じの「男前な受」と「尻に敷かれているヘタレ攻」はツボでした(笑)どんどん主人公が成長していくので、後半あたりはまさに好みだったなあ。作品としてはちょっと切ないシーンや、辛いシーンもあるけど、でも概ねほのぼのした感じで、読みやすかったです。

私的評価 ☆☆☆★
(今月末にはもう1冊発売予定があるようで、嬉しいです。なんだかまとめて出るなあ(^^;)

 

ハ2003年09月18日(木)  俺サマな恋してる

    花丸文庫    真舟るのあ:作    蓮川愛:絵

「俺サマな愛なんだ」の続編で、雑誌小説花丸に掲載されていた作品が文庫になりました。学園もののお話で、別キャラも登場するハワイ旅行編が書きおろしで収録されています。主人公一千翔は1年後輩で大手企業の御曹子である彗と付き合っていますが、あまりにも帰国子女らしく(笑)テレもなければなりふりかまわない感じの彗に、もともと意地っ張りな一千翔は素直になりきれません。そんな彼ら2人ともに「親との再会」という転機が訪れますが…。

ちょっとだけ好みとは外れるものの、楽しいキャラクターばかりでなんだか気持ちよく読めました。最初こそ一千翔の母親像も、彗の父親像もあまりいいものではなくて、どうかなあと感じていたんだけど、こういう展開なのならいいかも、と思います。あと特筆すべきはやはり書きおろしでしょうか。意外なカップリングが1組出来上がりますが、実は私にとって一番のツボがこれでした(笑)ガタイのイイ受け系になるのかなあ(^^; でも蓮川先生のイラストは美人っぽいので(笑)全然オッケー。このカップルのお話、もっと読んでみたいです。

私的評価 ☆☆☆☆
(…そして生徒会室にはホモだらけという…(笑)まあ、どちらかといえばどたばたコメディ風なので、気にはなりませんでしたが。弟カップル(未満?)もどうなるのか気になるし、続きが読みたいなあ〜。)

 

ハ2003年09月18日(木)  マネキンは恋を運ぶ

 ビーボーイノベルズ  夢乃咲実:作  果桃なばこ:絵

多分雑誌掲載された作品だと思うのですが、すいません、今手元になくて未確認です。主人公は苦労をしてきた青年。親の借金を返済しながら爪に火を灯すような節約をして生きてきました。そんな彼には悪癖があり、お酒が入るとなにか拾い物をしてしまうというやっかりなものでした。ある日主人公が目を覚ますと、横にはなんと人間が寝そべっていて…。

雑誌掲載の方も見てたのかな、ごめんなさいはっきり覚えてないですが(^^; ほのぼのしていて、ギャグで面白い反面、あまりにも御都合主義でどうかなとかなり思う部分もあり、微妙です(^^; とくに続編の方ではあまりにも話が上手くころがりすぎて、嘘くさくなってしまっています。ある程度までは平気なんだけど、ちょっとやりすぎかな。

私的評価 ☆☆★
(今までの中では一番物足りなく感じました。もうちょっとひねってくれたらなあと思う。テンポなどはよかったのになあ(^^;)

 

ハ2003年09月18日(木)  きみがいなけりゃ息もできない

 ビーボーイノベルズ  榎田尤利:作  円陣闇丸:絵

どうしようかなあと迷ったのですが、円陣先生効果で手に取りました。榎田先生の書きおろしの初ビーボーイノベルズです。主人公は家業である美術商の仕事をしている青年。彼には幼馴染みが1人います。その彼は実は寡作のマンガ家で、まさに「生活不適合者」という感じに主人公がいないとなにもすることができません。そんな彼を案じて主人公はまだ幼馴染みの隣の部屋を出ることができず、今日も彼のためにつくしますが…。

とりあえず、1冊しか読んでいないけど、でも魚住君シリーズと確かに似てるかなと思いました。ただ、こちらの方がギャグ要素が強いため、ちょっと楽に読めたかな。基本的に私の好みとして「社会不適合者のだめな受」と「それを支える万能選手な攻」というカップルが一番苦手なようで、それもあってかあまり楽しくというわけにはいきませんでした。魚住くんが好きだったら大丈夫なのかな。でもある意味これはインプリンティングであって恋愛ではないと思ってしまうのは私だけではないと思います(^^;

私的評価 ☆☆☆
(難しいなあ…。そんなに悪い作品ではないんですが、やはり好みから遠く外れるとつらいですね。)

 

ハ2003年09月12日(金)  ノックは夜中に

  ラキアノベルズ  坂井朱生:作  西村しゅうこ:絵

坂井先生のひさしぶりのノベルズです。予定がいろいろ遅れていたのですが、遅れていたものではなく、新規に出たもののようです。主人公は飲食店に勤めていた青年。ある夢があり、そのために日々バイトで稼いでいましたが。大会社の御曹子のお目付役という仕事を頼まれ、一億やると言われて思わずそれを承諾してしまいます。しかしいろいろと難点も多そうで迷いながらもその御曹子と対面しますが…。

うーん、久しぶりだけどやっぱり坂井先生だなあという感じでしょうか。ほのぼのしていて、主人公も相手キャラも面白かった。ただ難点なのはやたら「気持ちを自覚してから」が加速度がつくというか、あっという間に展開してしまうため、物足りなくなるということでしょうか。とくに「え、いつの間にそんなことに?(^^;」という感じの展開が多くて(苦笑)これがもうちょっとゆったりゆっくり展開してくれたなら言う事はないんだけどなあとちょっと残念な気持ちです。どうしても中途半端なまんまで放り出されたような、そんな心境になってしまう。どの作品もそんな感じがあるので、基本的に中編〜長編体質の作品ということなんでしょうか。

私的評価 ☆☆☆★
(というわけで、これはやはり続きを出すか、補足のお話を出していただきたいですね。でないと欲求不満で(苦笑))

 

ハ2003年09月11日(木)  永遠では長すぎる

   アイスノベルズ  ふゆの仁子:作  雪舟薫:絵

ふゆの先生のアイスノベルズは、書きおろしで、いわゆる犯罪心理学を専門としている「プロファイリング」が題材の作品です。たしか先月の発売予定だったと思うのですが、1ヶ月延びました。主人公は、プロファイリングを専門にしている科捜研の研究員。元同僚の青年と、恋愛という感じは持っていないものの、関係を持っています。彼自身は幼い頃に母親からの虐待を受けて育ち、父は警察官から保護司になり、その後事故で両親を失っています。そんな彼は今でも悪夢に悩まされていますが…。

うーん、なんだか凄く感想の書きにくい作品だ(^^; まず、ほとんどネタバレになってしまいそうで、あとがきにこれ以上の人物紹介ができないのと、話についてつっこんでかけない(^^; ただ、1つ思う事は、同じ時事ネタ的なものを利用するにしても、もうちょっとそれを昇華できる作品、はっきり言えばハッピーエンドに繋がるような、そんな作品にして欲しかったなあと思います。途中までは読みごたえがあるなあと思っていたけど、これではなんだか納得がいかない(^^; あまりに読後感がよくなくて、ある意味ショックでした。いくらなんでも、この結末ではあんまりです。

私的評価 ☆☆★
(結末が納得行かない作品って、読んでいて「いいな」と思っていればいるほど落胆度も高く(^^; なんというかやるせない気持ちになった作品でした。ネタがネタだけに、やっぱり微妙だった模様…)

 

ハ2003年09月09日(火)  別れのない国

  ショコラノベルズ・ハイパー  剛しいら:作  柏木ヒロサ:絵

剛先生の書きおろし新刊です。裏のあらすじを読んで、「うん、シリアスモード」と確認して買いました(おい(^^;)主人公は、今年大学を卒業し、就職活動をしている青年。なぜか雑誌で見たある会社の若社長が気になり、そこの就職試験を親に黙って受けました。結果は合格で、しかも希望していた職種ではなく、社長秘書としてという話。親にその話をすると、大反対をされてしまいます。彼は家を飛び出し、なぜかその社長の元へ行きますが…。

「なぜかは判らない、だけど全ては彼の元へ」という感じですね(笑)もちろん、それには大きな意味があって、すこしずつすこしずつそれがわかって行くのですが、だいたい中盤ぐらいからは予想がついていたのだけど、かなりの読みごたえのある作品でした。ハイパーレーベルにも関わらず、そう濡れ場シーンもどぎつくはなかったし。難を言うならただ1つだけ、「話し言葉が違和感を感じる」という部分だけでしょうか。どうにも「無理に若い喋り方に見せている」感じがしてしょうがないんですよねえ…。別に読む分には、あまりにひどくなければ、少々古風な話し方をしてた所で気にならないんですが。

私的評価 ☆☆☆☆
(久々に、じっくり楽しんだ作品でした。結末は予想通りと言えばそうなんですが、予定調和という感じに段々と真実に近付いて行く姿は、どきどきしてしまいました。)

 

ハ2003年09月02日(火)  ネクロマンサーは高校生!

    パレット文庫   椹野道流:作  明神翼:絵

椹野先生の初パレット文庫は、ファンタジーもののお話です。どちらかというと和風(笑)ファンタジー(陰陽道とかですね)が主流だった椹野先生ですが、今回は死霊と戦うネクロマンサーが主役です。…しかも、とんでもないシーンから始まる(笑)作品です。主人公は普通の高校生。けっこうやんちゃで言葉遣いもそこそこ悪い(笑)彼ですが、ある日「プールで遊ばせてやるから掃除に参加してみないか」という担任の誘いにのり、プール掃除をします。その後水の中で遊んでいて、いきなり溺れてしまい、気がつくと自分は宙に浮いていて、下を見ると溺れて息のない自分がいて…(^^;

…思わず顔文字をつけてしまいましたが(笑)いや、これはギャグなんですよね、基本的に…たぶん…(笑)でなかったらびっくりします。いきなりこれだし、しかも自分の葬式まで見送るし(^^; どうなることかと思っていたので、この後の展開は御都合主義と取るべきなのか、意外と取るべきか、思わず悩みました(笑) とりあえず、なんだか今回は「起承転結の起のさらに最初」という感じだったので、今後彼ともうひとりの彼が、どういう風に成長し、変わって行くのかそれが楽しみです。

私的評価 ☆☆☆★
(意外な作品ではあったけど、でも随所に「椹野先生らしさ」が見受けられてそれも楽しかったです。このままだとなんだかすっきりしないので、ぜひとも続編を希望します…。)

 

ハ2003年09月01日(月)  世界のすべてが敵だとしても

    リーフノベルズ   ふゆの仁子:作  海老原由里:絵

ふゆの先生の久しぶりのリーフノベルズは、書きおろしのボディーガードもののお話です。かなりの腕をもつ警察官の主人公は、美人でもあることから、自分の身を守るためにもさまざまな護身術を身につけています。そんな彼がある日、亡き祖父が助けたという大会社の会長である男性に招待され、その人の元を訪ねたところ、なぜか門の前であやしい男に話しかけられ、しかもその後何者かに襲撃を受けます。その襲撃をかわして、無事対面を果した主人公。そこでひょんなことからその会長の孫である跡継ぎ(しかし、家督相続の問題で彼の姿や名前は秘密にされている)の替え玉を演じる事になり…。

最初から誰が跡継ぎかはけっこう見え見えだったんですが(笑)お話自体はけっこう楽しめました。ただ、最初になぜか強引に関係が結ばれるあたりや、ラストでわかった会長の思惑は「おいおい(^^;」と思わずつっこみもしてしまいましたが。プロセスや設定を細かく書き込まれるタイプのふゆの先生、というイメージがあるからでしょうか、なんだか物足りない気持ちになってしまいました。

私的評価 ☆☆☆★
(ラストまぎわまでは満足していただけに、「おいおい(^^;」とつっこむ度合いが大きくなった気もします。でも、これ一冊で結構満足度はある作品だったのでは。)