2004年11月のレビュー

 

 2004年11月27日(土)  ムーンリット・ラプソディ

  リンクスロマンス   水壬楓子:作   白砂順:絵
 
全編書き下ろしのムーンリットシリーズ第4巻です。エクリプスロマンスで出ていた巻も新たに新装版としてリンクスで発売になっていて、装丁も揃えて(笑)楽しめるようになりました。今回の主人公は、前巻にてちらりと顔をだしていたコウモリくんのハルと、景都の第2皇子である香菅のお話です。香菅は第2皇子という気楽な立場で、いろんな国を旅してまわっていましたが、ある日行き倒れた少年を見つけ、介抱して食事を取らせて、宿屋のベッドに寝かせてやります。しかし翌日そのベッドにいたのは小さなコウモリで…。

前巻でもけっこうコミカルなキャラだったコウモリくんだったので、彼が主人公のお話をすごく楽しみにしていました。きっと天然ボケなキャラなんだろうなあと思っていたら、まったくもってその通り(笑)なかなかに最強なボケキャラでした。香菅も苦労するなあ…(笑)今までで一番ほのぼのとして可愛いお話だったかも。健気で可愛くていい感じです。…そーいや別のお話でもコウモリ姿のキャラが好きだったな私…(^^; いや、コウモリは多分苦手なんですが、人外モノだと平気なのかしら(滝汗)

私的評価 ☆☆☆☆
(このお話、7つの国が存在してるんですが、やっぱり7つ全てに変身可能な動物がいたりするのかしら…。これからも楽しみなシリーズです。)

 

 2004年11月27日(土)  タイトロープ・ダンサー STAGE 2

  リンクスロマンス   久能千明:作  沖麻実也:絵
 
楽しみに待っていた青の軌跡シリーズ最新刊です。前の巻でようやくバディとして登録し、しかもジュール・ベルヌ号から離脱して2人で行動しはじめた彼ら。元はといえば、三四郎が聞いたなにかの「伝言」がこの行動の原因であり、でも三四郎はなにも語ろうとはしません。隠し事をしている三四郎にカイはいらだちを抑えながら、それでも絶対に三四郎を1人で行動させまいと神経を尖らせていますが…。

久しぶりに青の軌跡の世界を堪能しました。とはいえ、今回はいろいろと沢山話が動いていて、通過地点という感じなので、またあまり間があくと辛いかな(^^;と思うお話ではありました。今回は次の大きなジャンプのための準備という感じで、心理戦というよりは肉弾戦な雰囲気でしたね(笑) 実動隊なカイは久しぶりかも。かっこいいけど、やはり心理戦の方が似合ってる気がします。黒幣での三四郎は、今までのイメージよりさらにガキっぽく(?)見えて、カイに感情移入してしまう私としてはちと面白くなかったりして(^^; カイの知らない三四郎なんかやだーとワガママを言いたくなってしまいました(笑)なにはともあれ、次が楽しみです。

私的評価 ☆☆☆☆
(グイドとサーシャにまた会うことになるとは全く思っていませんでした。意外だったなあ〜。)

 

 2004年11月27日(土)  純銀細工の海

    キャラ文庫   穂宮みのり:作  片岡ケイコ:絵
 
全編書き下ろしのジュエリー業界を描いたお話です。主人公は、小さなジュエリーショップの店員。主にシルバーを扱うそのお店で細々と修行を兼ねて頑張っています。その原動力になっているのは、高校時代にバイト先で出会ったことがある大手ジュエリー会社の社長。その時の最悪な態度が忘れられず、何とかして一矢報いるためにと頑張っています。そんな矢先、主人公の店が立ち退きを余儀無くされ、思いあまった主人公は、最悪な印象しかないジュエリー会社の社長へ自分たちの作品を使って欲しいと直談判しに行きますが…。

サラリーマンに限らず、仕事をする姿の描写が細かくお気に入りな作家さんなので、新刊予定が出てからずっと楽しみにしていました。その期待を裏切らず、とても楽しめる作品でした。とくに主人公の頑張りっぷりが好きですねえ。時々空回りはするけど、ちゃんと自分の足で立って、少しずつ成長して行く様子がすごく好感度高いです。もちろん社長の方も偉そうではあるけどちゃんと仕事していて、社長だからという職権乱用はほとんどしないし(笑)読み終えてとても満足感の残る作品でした。結構お気に入りかも、このお話。

私的評価 ☆☆☆☆★
(テンポのいい会話もとても好きです。社長秘書のキャラもいい感じ。そーいえば「無敵の三原則」に出てくる高千穂百貨店の名前もちらりと出ました。きっとそこでは彼らが頑張ってるんだろうなとなんだか微笑んでしまいました。)

 

 2004年11月27日(土)  恋愛小説のように

    キャラ文庫   春原いずみ:作  香雨:絵
 
全編書き下ろしで、幼馴染みもの…になるのかな?主人公は画家志望の美大生。父親が有名な小説家ですが、幼馴染みで有名画家でもある青年の影響を強く受け、自分も画家を目指しています。しかしある日高校時代の夏休みの宿題で書いた短編小説が父の編集の目にとまり、新人作家の登竜門として名高い賞にいつのまにか応募した形になってしまい、しかも大賞をとってしまいます。それでも絵を描きたいと望む主人公ですが…。

う〜ん…(^^; 面白かったといえば面白かったんですが、なんだかこれだけ長く分厚いページ数をかけてやっと主人公が自分の気持ちに気がつくってのもどうかなと思いつつ(^^; いや、読者にしてみればみえみえなんですが、ここまで大騒ぎすることかなと少々醒めた目で見てしまいました。主人公がそれだけお子様なのかも。…そしてお相手キャラはどうにも大人すぎる(良くも悪くもね)ということでしょうか。画家にとっての絵、小説家にとっての文章を描写しているあたりはとても共感を覚えたんですが…。ちょっとアンバランスな印象の作品でした。

私的評価 ☆☆☆
(ある意味キャラ萌えができなかったということでもあるんですが(笑)やっぱりキャラの魅力って大事だなと思いました。)

 

 2004年11月27日(土)  FLESH&BLOOD 7

    キャラ文庫   松岡なつき:作  雪舟薫:絵
 
待ちに待っていた、F&Bの続編が発売になりました!早くに1度発売予定が出ていたのですが延期になり、今回は無事発売とのことで、待切れずこれだけ先に買ってしまったという逸話つきです(笑)(あとは我慢してキャラオンラインショップを利用しました(笑)) タイムスリップして中世イギリスへ行ってしまった海斗は、紆余曲折あって危うく罪人になるところを助けられ、ジェフリーたちの本拠であるプリマスへ戻ってきます。海斗はジェフリーとプリマスへ帰ったら一夜を共に過ごそうという約束をしていて…。

ようやく平和(?)な日常がやってくるかと思っていたんですが、やっぱり一筋縄では行かないですなあ…。ここまでくるとジェフリーが不憫になってきたです。ナイジェルも健気だし、ビセンテのしつこさもある意味健気(?)だし、…そう考えたら海斗はすごいのかもしれない(笑)3人もイイ男に惚れられてるし。今度はビセンテの魔の手に落ちてしまった海斗ですが、これからどうなるのか、すごく気になります。新刊が出たばかりというのに、もうすぐ次が気になってしまうというのも、この本の魅力なのでしょうね。

私的評価 ☆☆☆☆★
(海斗と同じように現代に近いところからやってきた人もいて、なんだか話が動きはじめてきました。今後どうなるのか、海斗はもとの世界に帰れるのか、いろいろ気になることばかりです。)

 

 2004年11月25日(木)  Voice or Noise 2

    キャラコミックス    円陣闇丸:絵

動物と会話ができる大学助教授と、その事が縁で彼になつく(笑)高校生とのお話です。雑誌キャラで連載されたものに書き下ろしが収録されています。一応連載分は一段落してはいますが、今後も続刊予定のようで、読者にしてみれば「早くこの後が読みたい!」的なお話かもしれません(笑) 黒猫アフトが言葉を喋れなくなってから、やたらスキンシップ過多になってきた助教授成澤に段々慣れてきた高校生振一郎は、あるきっかけで成澤への気持ちを自覚してしまい…。

雑誌で全て読んではいるんですが、やっぱり雰囲気があって好きだなあ〜と。一応一段落とはいえ、すごく寸止め感が(笑)あるお話なもので読んでもちっとも満足までいかない(^^; もっともっと読みたい!という欲求にかられてしまいます。番外編はどちらかというとアフトと成澤の親友の獣医ネタなので(これも大爆笑させていただきましたが(笑))2人のラブ度合が気になる私には物足りなくて。ちょうど全プレで貰った小冊子に、このミニ番外編が載っていて、ちょっと萌えな内容だったりして(笑)ぜひぜひ、らぶらぶーな2人が見られるように、続いて欲しいなと切に願っております。

私的評価 ☆☆☆☆★
(結局のところ、SFチックな部分も少しあるのかもしれないなと思いつつ。だんだんアフトが関西弁だけじゃなくて他の言葉も混じってきてて笑えます(笑)次はいつ頃なのかなあ〜。)

 

 2004年11月17日(水)  嵐を呼んでくれ

  ビーボーイノベルズ  灰原桐生:作  安曇もか:絵

懐かしいシリーズが久々に登場です。「その男凶暴につき」のシリーズ最新巻は、相変わらずな悪徳弁護士オヤジキャラ秋一郎と恋人でホストクラブにつとめる千尋が、お家騒動を廻って事件に巻き込まれるお話で、1999年から2000年にかけて、小説b-Boyで3回連載されたものに加筆訂正を行ったものと、企画のショートストーリーが収録されています。主人公千尋は恋人の秋一郎と相変わらずラブラブに過ごしていましたが、そんなある日、秋一郎の父である勇虎会会長が引退して跡目を秋一郎に継がせると言い出して…。

そーいや雑誌で全部読んでるなと思いつつ。4年越しですが話自体はちゃんと覚えてたなあ(笑)加筆訂正がされているので、3分割されていたとは思えない流れで、読みやすかったです。目新しさはないのですが、久しぶりに懐かしく読みました。オヤジキャラの好きな人はぜひ。…まあ、ちょっと濃すぎるといえば濃すぎるキャラですが…(笑)個人的には秋一郎パパも気になるなあ〜。

私的評価 ☆☆☆★
(そーいえば、新刊予定でも一瞬上がってたような気がしなくもない…。無事出てよかったですね。)

 

 2004年11月13日(土)  新装版 誰もわるくない

   ダリア文庫   久能千明:作   蓮川愛:絵

月の砂漠殺人事件シリーズの2作目が文庫にリニューアルされて発売になりました。イラストや作品の加筆等はなく、あとがきが書き下ろしのようですね。ノベルズ版を持っていて、しかもついこないだ一気読みで全部読みなおしたので(笑)新鮮さがなくて感想が書きにくいなと思いつつ(^^; えー、前作で大事件を解決に導いた瑞貴たち4人は、全寮制の学校に戻り普通に生活していました。ある日、前作の事件の中心人物でもあった涼也が学校を訪れ、事件の全容を説明します。長い話も終わり、それぞれ自室に引き上げたとき、新たな事件が幕をあけて…。

個人的には、どの巻よりこの話が印象的です。断然瑞貴ファンな私は、正直涼也と夏彦の行動が許せない気もするんですが、でもこういう方法しか知らなかった彼らというのもわかるので、読めば読む程ジレンマに陥るんですよねえ。瑞貴がぽつりと漏らす「ままならないことが多すぎる…」という台詞がとても印象的でした。瑞貴も、夏彦もとても成長した巻でもあると思うので、彼らのターニングポイントでもあるこの作品が、私はやはり好きなんだろうなと思います。

私的評価 ☆☆☆☆
(一応「聞きたい言葉がある」で一段落とはいえ、大学に入った彼らにも会ってみたいと読み返す度に思います。続いてくれたら、嬉しいんだけどなあ…。)

 

 2004年11月10日(水)  三千世界の鴉を殺し 9・10

   ウィングス文庫   津守時生:作  麻々原絵里依:絵

イラスト交代後、なかなか文庫にならないなあと待っていたら、再度イラストレーターの変更があり(^^; ようやく再開の三千世界シリーズです。今度のイラストは麻々原先生ということで、2冊まとめて刊行されました。8巻で地下にとんでもないものを発見したあげくに狙撃されたりとさんざんな目にあうルシファ。ただの辺境惑星と思っていたバーミリオンはなにやらきな臭いとわかり、独自のプロジェクトを組んで捜査をはじめますが、マジメにやろうとすればする程にどうも路線がおかしな方向へ走ってしまい…(笑)

以前とテンポは変わりないと思うんですが、イラストが麻々原先生に変わった効果なのかな、どうもコミカルというか、アニメ塗りっぽいので、全体の雰囲気が弾けてるというか(笑)そんな感じの話です。相変わらず1日の話に2冊かかってまだ終わらないんですが(^^;やはり勢いがあって面白いです。通勤途中に読むとついつい吹き出しそうになって危ないったら(^^; 個人的にはちょっと「ん?(^^;」と思うシーンもありましたが、まあそれは個人的意見なので(笑)ノープロブレムかと。わははと大笑いしたい方はぜひぜひ読んで下さいね。

私的評価 ☆☆☆☆
(しかし、どんどんワルターが受くさくなってきてるのは気のせい…(笑)しかも某王様かというようなキャラ(いや中身は全然違うけど)もいるし、なんだかもう盛り沢山です。…いつ終わるか、想像もできない…)

 

 2004年11月02日(火)  ウスカバルドの末裔 (上・下)

 X文庫ホワイトハート  たけうちりうと:作 雪舟薫:絵

2ヶ月連続刊行のファンタジーのお話です。謎が多い上巻だったので、これは下巻と一緒にと思って先月には入れませんでした。ケルトの神話に繋がる名前と不思議な剣や槍、矢を持つ王を描いたお話です。主人公は、田舎の村に庭師の息子として育った少年カノン。父のお供をして赴いた王都で、黒髪の楽師バルと出会います。その後王の庭に行って手入れをしていたカノンは、時の王と図らずも結婚の誓いと同じ作法で、誓いをたてる事となってしまい…。

最初は王様とカノンがラブラブなお話かと思っていたのですが、どうも親子かもしれんという疑惑があり(笑) じゃあどうなるんだろう…とわくわくしながら下巻を心待ちにしていました。厳密には全くといっていいほど、「LOVE」部分はないんですが、それでもいろんな形の愛があり、読んでいても切なくなって少々涙が込み上げたりもしました。最後、カノンが共に行くことを選んだのは一体だれだったのか、最後までわからないのですが、わかってみたらすごくラブラブだったことに気がつくという(笑)なかなか楽しめた作品でした。ぜひ上下巻あわせて一気に、読んでみて下さい。

私的評価 ☆☆☆☆
(雪舟先生の幻想的な絵が、とてもぴったりで素敵です。上下巻の表紙を見比べると、なんだか表裏のようでした。)

 

 2004年11月02日(火)  雄飛の花嫁 涙珠流転

 X文庫ホワイトハート  森崎朝香:作   由羅カイリ:絵

新人作家さんの初文庫は、中華風な歴史物のお話です。イラストが由羅カイリさんだったので、なんとなくここのところお気に入りの某シリーズを彷佛とさせて(笑)ついつい手にとりました。主人公はある国の公主である少女。前王に寵愛された妃の愛娘でありながら、母親の出自が貧しかったため、前王亡き後正妃であった王太后から虐げられる日々が続きます。異母兄である現王への秘かな思いだけを頼りに生きる彼女のもとに、戦の知らせが届き、そして間もなく、その戦の相手から正式な使者がやってきます。なんとその使者は婚姻による和睦を申し入れてきて…。

いやはや、軽く考えて手にとったんですが、すごくシリアスでしっかりしたお話でした。政治的なお話だけでなく、男女の恋愛もからめていて、すごく読みごたえがあります。敵役である王太后の口汚さや異母妹の不自然なほどの純粋無垢さ加減はやりすぎっぽくはありますが、だからこそ主人公の健気な姿や清廉さが際立っていて、本当に面白かった。もともとは相当に長いお話で、いろんなところを省いたとあとがきにもあるんですが、シリーズで、この後の話なんか読んでみたいかも。久々に何度も何度も読み返したお話でした。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(まさかこんなに気に入るとは思ってもみなかったんですが(笑) すごく楽しんで読みました。ひょっとして由羅カイリさんのイラストで中国モノって無条件に私のツボなのでは…(大笑)あ、主人公の名前、珠枝というんですが「しゅし」と読ませるとわかっていても「たまえ」と読んでしまったバカな私です…(笑))

 

 2004年11月01日(月)  キャットウォーク事件簿 No.3

   パレット文庫  新田一実:作  富士山ひょうた:絵

キャットウォーク事件簿シリーズの3巻は、ペット泥棒をネタにしたお話です。動物の言葉を理解するようになってしまった主人公悠次は、世話になっている大学の先輩に頼まれ、先輩のバイト先の同僚に相談を受けます。その相談とは飼いはじめたばかりの幼いダックスフントが行方不明になったというもので、幼馴染みの将と一緒に、探しはじめる悠次ですが…。

そろそろちょっと中だるみっぽくなってたんですが、今回は全く別のところでウケてしまい(笑)ついついレビューに上がることに(笑) というのも、作中で出てくるダックスの名前が「チョコ」なんですよねえ〜(笑) まあ、もう亡くなってしまった子なんですが、その後にそっくりの子がやってきたということで「ショコラ」と名付けられたりしてて、個人的に他人とは思えない(笑)きっとちょこの子供できたりしたら、そういう関連の名前つけるだろうしなあ…(笑) というわけで、今回本編と別のところで萌えてしまったわけですが、まあ、作品のオチ自体は「それでいいんかい(^^;」な感じもする、いつも通りなお話でした。

私的評価 ☆☆☆
(もうちょっとストーリー的に、納得できるものならいいんですが…。事件の解決方法が毎回妙に中途半端なんだよな…。)