2004年7月のレビュー

 

 2004年07月31日(土)  彩雲国物語 花は紫宮に咲く

   ビーンズ文庫   雪乃紗衣:作  由羅カイリ:絵

ここのところすっかりマイブームになっている(笑)彩雲国物語シリーズの最新刊は、いよいよ国試の結果、官吏として歩み出す主人公秀麗の頑張りを描いています。国試で3位及第を果した初の女性進士となった秀麗は、すぐに官吏として配属されると思いきや、3ヶ月の試用期間として様々な仕事をまかされ、その出来次第で配属が決まるということで、新人教育が始まります。新人教育担当の副長官にあたる役人はこれでもかと仕事とは思えないことばかり言い付けてきます。負けず嫌いで根性のある秀麗は1位及第の影月と共に歯を食いしばって頑張り続けますが…。

どうしてこう、ツボにハマるんだろう…と我ながら不思議になるぐらいに、すごくすごくどの作品も心に響きます。ちゃんと「生きて」いる主人公たちがとても共感できるんですよね。たしかにキャラは多いし(笑)ところどころ「おいおい」と思う部分もありますが、それでもとても感動できる作品だと思います。モロ好みだった(笑)ヘタレな王様も、ヘタレはヘタレなりにとても「王様」らしくなっていて、その成長ぶりも嬉しかったなあ。なんだか読んでいて励まされる、そんな作品です。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(次回はあまり待たずにまた読めるようです。でも、舞台も朝廷から離れるようなので、ちょっと残念。でもぜひぜひ、頑張って朝廷に戻れるようになって欲しいです〜。)

 

 2004年07月30日(金)  うらはらな予感

   リンクスロマンス  坂井朱生:作  あさとえいり:絵

「でたらめなため息」シリーズの3作目は美術部部員の工東が主人公のお話で、時系列的にはこの作品が一番古くなります。前に番外編としてちらりと同人誌でもこのカップルが出ていたので、気になっていたので、楽しみにしていました。工東藍は幼馴染みの亮にずっと思いを寄せていますが、小さい頃に告白をして笑い飛ばされて以降その気持ちは押し殺しています。海外出張の親について中学時代を海外で過ごし、高校生になって日本に戻ってきた藍に、亮は「つきあってくれ」と口説きはじめますが…。

まさに「幼馴染みもの」の典型といえば典型なお話なのですが、どちらも前から相手への思いを抱えていたというあたりが、初恋テイストもあってほのぼのします。前2作ではかなりクールビューティーな藍が亮にかかるとすっかりころころところがされてる感じで(笑)楽しい。亮の強引さ加減も、藍への頭の上がらなさ加減(笑)もちょっとヘタレなとこもツボで、やはりこのシリーズは好きだなあと痛感いたしました。学生とは思えない行動力とやることの容赦なさ(笑)も見どころといえば見どころ。ぜひ3作揃えてどうぞ。

私的評価 ☆☆☆☆★
(イラストもすごく素敵です。亮がめちゃめちゃかっこいい!想像以上でうっとりです。一視と並ぶと義理だけど美形兄弟で迫力ありそうです〜。)

 

 2004年07月30日(金)  ストレイ・リング

   リンクスロマンス  水壬楓子:作  山岸ほくと:絵

小説リンクスに掲載された表題作とその続編書き下ろしが収録されています。「晴れ男の憂鬱 雨男の快楽」の脇キャラ編にあたります。大手総合商社の人事部につとめる青年は、実は4年もの間、ブランドマーケティング部という花形部署のトップである部長と愛人関係にありました。ひょんなことから飲み友達のようになり、部長の娘の家庭教師を経て愛人になった主人公ですが、だんだんとその生活に不安と疲れを感じており、別れようと決意します。別れ話を持ちかけた主人公に部長はこともなげに了承しますが…。

「晴れ男〜」の方でもクールそうだけど実は情熱的なキャラ、というイメージだったのですが、今回こうしてノベルズで読むと、やはり情熱的な部分が強いなあと思います。部長もイイ年してかなり大人気なく執着してて(笑)なまじ普通の若者より若い恋愛な感じです。続編書き下ろしのネタ自体はちょっと首をかしげてしまいましたが、でも楽しく読めました。なんだか続きが気になる終わり方で、続きがあるなら嬉しいのですが、どうなのかなあ…?

私的評価 ☆☆☆☆
(「晴れ男〜」のキャラと4人でダブルデートな話とかあったら面白いでしょうね。「晴れ男〜」と2冊あわせてぜひ。)

 

 2004年07月30日(金)  キャラメル・ハードボイルド

     ディアプラスコミックス   南野ましろ:絵

前作から待ちに待っていた、ましろ先生の新刊です。主人公は、前作にも登場した、強面な青年冴木。ヤンキーかと思いきやじつはそうではないらしく、しかも普通に生きようと抵抗(笑)した挙げ句文無し状態で行き倒れているところを怪しい会社の怪しいもの開発担当(笑)桃生に拾われます。初対面から桃生を気に入って告白まがいな言葉を言い放った冴木は、なんとかして桃生との距離を縮めようと毎日座り込みをしてまでがんばりますが…。

「わーい、クール系受だ〜」と楽しみにしていたら、…クール系ボケキャラだった…(笑)いや、これもまた面白くていいんですが、意外すぎるぐらいにボケボケキャラでした。まあ、ある意味天然といえば天然かな。おかげで、前作の受キャラは実は素でお花ちゃんなのかと思いきやかなり計算高い事まで判明した感じ。珍しい年の近い(笑)年下攻めで、でも相変わらずシュールな感じもある、ましろ先生らしい作品という感じでした。まだこのカップルのお話は続くそうなので、楽しみにしています。

私的評価 ☆☆☆☆
(個人的に大笑いしたのは書き下ろしのおまけまんが。80分語り尽くしてリピートできるのも愛でしょうが、私的には殺人的MDを80分ちゃんと聞き通したのも愛だと思う(笑)私なら消去してる、絶対(^^;)

 

 2004年07月29日(木)  みつばちの王様

   シャレード文庫  中原一也:作  こいでみえこ:絵

雑誌小説シャレードに掲載された作品と、その続編書き下ろしが収録されています。主人公はエリートコースを辿っていたはずなのに突然ドロップアウトし、今は喫茶店を経営している青年。ストレスがたまると理性が切れ、誰でもイイから関係をもちたがるという妙な癖があり、ドロップアウトの原因の1つでもありました。その彼が喫茶店で使いたいからと養蜂家のもとに蜂蜜を譲って欲しいと頭を下げにいきます。しかしこの養蜂家、とても気難しい青年で簡単には頷いてくれそうになくて…。

「養蜂家」なんていう特殊(笑)職業が題材ですが、意外と身近というか楽しく読めました。主人公の元エリートとは思えない短絡直球ぶりにも思わず苦笑をしつつ。…ちょっと「昔実は関係が…」というネタは強引すぎる気もするんですが、全体にユニークで楽しめました。読み終えてすっかり「蜂蜜たっぷりのホットケーキ」を作りたくなってしまって、衝動を押さえるのに苦労しました(笑)

私的評価 ☆☆☆
(スズメバチって、刺されたらヘタすると死ぬんですよねえ(^^; アナフィキラシーショックって、1回目でも症状でるのかな?)

 

 2004年07月27日(火)  名前のない約束

   キャラ文庫   火崎勇:作   香雨:絵

火崎先生の全編書き下ろしの文庫は、芸能界が舞台のお話です。主人公は、田舎出身でボクサーを目指していたものの夢半ばで諦めざるをえなくなり、無名の劇団に所属していた無口でぶっきらぼうな青年。ある日舞台を終えて楽屋をでた彼に、少年のような可愛い小柄な男が声をかけてきます。その彼はある芸能プロダクションのマネージャーで、主人公をスカウトすべく、毎日のようにやってきますが…。

無口で無気力な面をもつ主人公が、こんなにも変われたのは、マネージャーがいてこそ、という感じ。いろんなエピソードに深く同意の頷きをしつつ読みました。とてもマネージャーが「男前」なキャラで、しかもちゃんと「正しい事」を見極める力ももっていて、だからこそ余計に楽しめた気がする。いさぎいいんですよね、なにかと。もちろん、主人公もどんどんかっこよくなっていくし、なかなか将来楽しみなキャラで(笑)わくわくしました。キャラの魅力で読み切ったという感じの1冊。なんだか彼らのその後も読んでみたくなっちゃいます。

私的評価 ☆☆☆☆
(そういえば、主人公が「一歩」なんですよね。一応お相手キャラとの名前が呼応している形なんだそうですが、私はついボクサーということで別の一歩を思い出し(笑)最初は違和感が拭えませんでした。)

 

 2004年07月24日(土)  凛−RINー! 2

   キャラ文庫  穂波ゆきね:作画  神奈木智:原作

大人気だった原作付きコミックスが、アンコールにこたえて再度キャラにて連載され、ようやくコミックスになりました。雑誌掲載された前巻の続きが収録されています。最初は4話で終わる予定だったのがオーバーして、今回すべては収録できなかったらしく、今回ではまだ話の途中という感じ。主人公桂は弓道部に所属する高校生。弓の達人である兄と恋人の草は卒業し、桂と親友の香一は真新生弓道部の部長と副部長として初の夏合宿に向かいます。しかし問題続出で段々悩み深くなる桂ですが…。

やっぱり穂波先生のイラストは素敵ですねえ〜。作品自体は、ずっとキャラで読んでいた(というかこれがキャラの購入要因だった)ので新鮮味はないですが、やはり和みます。前作にもまして、桂の成長物語という感じなので、まるで母な気持ちで見てしまいます。嫉妬にかられて大人げなくなっていく(笑)草が笑えます。個人的には香一もなかなかイイ男になってきて好きなんですが、でもやっぱり草にはまけるかなあ〜。次の巻も楽しみです。

私的評価 ☆☆☆☆★
(10月にはCDが発売されます。まだキャストは現時点では未定のようですが、イメージ通りのキャストであることを心より願っています。)

 

 2004年07月23日(金)  BELIEVE −誓いの言葉はひとつだけ−

   アクアノベルズ   春原いずみ:作  櫻井しゅしゅしゅ:絵

小説エクリプスに掲載された、ブライダルコーディネーターとフリーのアナウンサーのお話を大幅加筆修正でノベルズ化になりました。主人公は来るもの拒まず去るもの追わずなモテモテキャラのフリーアナウンサー。ひょんな出来事から、ブライダルコーディネートの会社の専務である、美形の青年と出会います。見るたびに印象が変わる彼に、だんだんと興味を覚えはじめた主人公。不思議な二面性に惹かれていきますが…。

この作品、きっと結婚したことのある(結婚式を経験している)人と、まだ未婚の人とでは随分イメージが異なるんだろうなあと思いつつ。私はこの作品を読んでいて、なんだか結婚前のどたばたを思い出してしまいました(笑)いろいろ決めることばかりで、煩わしくて大変だったよなあ…とか(^^; ストーリーもちょっと謎めいた感じで、面白かったです。まあ、ラストのクライマックスシーンでは「…そのあと、どうやって収拾つけるんだ(^^;」と思わずつっこんでしまいましたが(笑) きっと、2人とも他人をせずラブラブなまんまなのでしょうね(笑)

私的評価 ☆☆☆
(案外遊んでいる人の方が、理想の人を見つけたら恋愛体質になっちゃうのかもしれないなあ。…という感じの作品です。)

 

 2004年07月16日(金)  摩天楼の恋人

    BBN   遠野春日:作   円陣闇丸:絵

「摩天楼に抱かれて」の続編が書き下ろしで登場です。主人公は有名ホテルのスタッフであり、ホテルを経営する一族の末子でもある青年。前作でホテルの顧客であるアメリカ国籍の実業家と恋仲になり遠距離恋愛を続けていました。ある日主人公はアメリカへ研修に行くことになり、恋人と再会できることになります。2人でいる幸せを噛み締める二人ですが、その幸せも長くは続かず、暗雲がたれ込めてきて…。

前作でもわりと「お手軽」というかあっさりくっついたイメージが強かったんですが、今回はお約束的な「浮気を疑う」ネタで(^^; しかも攻キャラが全く受を理解せず傷つける言動しかしないのに思わず切れそうになってしまった(^^; 受は受ではっきりしないし、当て馬キャラは沢山出てくるけどどうもすっきりしなくて、せっかくのニューヨークという舞台にもかかわらず、あまりその意味がなかった気がします。これ、日本国内でも良かったんでは…(笑)「摩天楼」というせっかくのタイトルがあるのだから、もうちょっと舞台に関連付けたエピソードとかがあったらよかったのになあと思ってしまいました。

私的評価 ☆☆☆
(イラストはとってもとっても素敵なんですが、勿体ない感じが強いです(^^; 無駄に美人&ちょっとワイルドな当て馬2人は、きっと意気投合した挙げ句にくっつくと思うのは私だけでしょうか(^^;)

 

 2004年07月16日(金)  四ッ谷渋谷入谷雑司ヶ谷! 2

  ウィングスコミックス    あとり硅子:絵

つい最近までこの発売情報をしらなかった(爆)あとり先生の久々の新刊です。小説ウィングスに掲載されているシュールなショートマンガの2冊目のコミックスになります。怪しいキャラ四ッ谷くんに振り回されまくり、とうとう妙な耐性まで身につけてしまった渋谷くんたちですが、今日も今日とて、四ッ谷くんにいぢられまくって…(笑)

回を重ねるごとにだんだん四ッ谷くんは人間ではなくなっていく気がするのですが(笑)最初はもっとこう人間くさい部分があった…気がしなくもない…んだけど、もうこうなると宇宙人か超能力者かって感じです。いや、面白いからいいんですが(笑)個人的に鶯谷くんと四ッ谷くん作のミニ鶯谷が好きだ〜(笑) 段々ネタがシュール度をましているので、今後どういうところにいきつくのか、楽しみです(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(そういえば久しくあとり先生のまともな(笑)ストーリーマンガは見てないなあ(^^;(少なくともコミックスは(^^;))もともと短編読みきり系の方なので、実は「2」とついたのはこのコミックスがはじめてらしいです(笑))

 

 2004年07月12日(月)  伯爵様は秘密の果実がお好き★

   プラチナ文庫   高月まつり:作  蔵王大志:絵

コウモリなイラストに惚れ込んでしまっている吸血鬼もの「伯爵」シリーズの3冊目は、エディのお里帰りがネタの作品です。主人公明はなんの因果か(笑)吸血鬼であるエディと恋仲になり、犬も食わない猫もまたいでとおるほどのラブラブカップルになって一緒に暮らしています。そんな彼らのもとに、エディの元婚約者が現れ、ぜひ一度里帰りをするようにと説得されて、イギリスにあるエディの城へと向かいますが…。

3冊目になっても勢いは留まらず…というか倍増し(笑)相変わらずおかしい人たちばっかりで面白いです。難点は濡れ場度大幅アップなうえに、どうもイラスト指定がたけなわ部分ばっかり(^^; コウモリの絵が見たかった私としては少々辛いところですね(笑) 口絵もかなり厳しい絵で、思わずカバーに挟み込んで隠してしまいました。…やばかった…(笑)可愛くてほのぼのしますが、しっかりがっつりHでもあって、個人的にはもうちょっと濡れ場少なくていいよう…と思いつつ。さて、明の決断の時は近いようですが、今後どうなるのかしら。楽しみです。

私的評価 ☆☆☆★
(この作品はもうイラストのコウモリ見たいがためだけに読んでいるといっても過言ではないです(^^; 今後ぜひともコウモリイラスト希望〜。)

 

 2004年07月09日(金)  ネメシスは恋に溺れる

   ショコラノベルズ   葉澄梢子:作  果桃なばこ:絵

葉澄先生の久しぶりのショコラノベルズは全編書き下ろしです。新気鋭の建築家である主人公は、実は女性に興味が持てない性癖で、気晴らしに飲みに出かけた先で好みの男性を見つけ、声をかけて意気投合し、一夜を共にしてしまいます。その後しばらくしてから飛び込んできた昔なじみからの住宅新築の依頼を受け、逢いにいってみるとその昔なじみこそが行きずりで一夜を共にした青年で…。

結構わがままぷ−な(笑)おぼっちゃまではありますがけっこう可愛いのと、主人公がちょっとヘタレちっくで笑えて好きですねえ。どちらかというと最初の方よりも、一旦おぼっちゃまが身をひくあたりからが読みごたえがあり、楽しめました。わがままと一途は表裏一体なんですねえ…(笑)ラストシーンもラストというよりラブラブな後日談的なので、オマケが読めたような感覚になります。わがままに振り回される廻りの人間は大変だけど、でもなんだか微笑ましい作品でした。

私的評価 ☆☆☆★
(こういうわがままなら、ちゃんと納得できるかなというレベルだからこそ微笑ましいのかも。わけのわからないワガママは辛いけどね(笑))

 

 2004年07月08日(木)  禅定の弓

    講談社ノベルズ   椹野道流:作

約2年ぶりでしょうか?鬼籍通覧シリーズの新刊がようやく登場です。すっかり龍村先生も準レギュラーとして定着しちゃったミステリー系なお話なのですが、今回も奇妙な焼死体から、事件は始まります。暇だったはずの法医学教室に運び込まれたのは火災現場からやってきた焼死体。解剖を勧めていくうちに、この遺体は火災に巻き込まれた形で死んだのではないとわかって…。

うううむ…。なんだかとっても後味がよろしくない事件でしたにゃ…。途中からそうくるだろうとわかってはいたんですが(靴の大きさだとかカッターナイフだとかでね(^^;)実際に読むとダメージ大。…きっとこれは小学校の子供をもつ親であるからこそダメージがでかいのだろうと思います。前半はすごく面白く読んでたのに、このショックでどこかへふっとんでしまった(苦笑) わりと鬼籍通覧は「読み終えると肩透かし(^^;」というイメージではあるんですが、今回もそんな感じでした。

私的評価 ☆☆☆
(いや、多分母親でなかったらそこまで拒否反応は示さないとは思うんですが、それでもやっぱりつらいなあ(^^;)

 

 2004年07月02日(金)  潮 −FLOW−

   X文庫WH   柏枝真郷:作  茶屋町勝呂:絵

硝子の街にてシリーズの最新刊はようやく、ミレニアムイヤーを迎えようとするクリスマスシーズンまで時が近付いてきました。主人公のノブは同僚の結婚式のためにスーツの新調や散髪をしろとせっつかれていました。そんな中、父からの連絡があり、久しぶりに顔をあわせることになりました。父との再会には「祖父が手術をしていた」という驚く情報と、さらに微妙に父と関係のある人間の殺人事件が絡んで…。

ノブ側の壁が1つまた壊れたかなという(笑)気がします。多分読者の方はびっくりするような思い切りのよさをノブが示していますが、やはりこれはノブにとってしっかりと乗り越えないといけないものだったんだろうなあと。なんだか随分しっかりして帰ってきた感じですね。一応起こった事件は事件として、読める展開だったもののアクセントにはなったのかなあ…とは思いつつ。ただ、ここまでくると、シドニーとノブの日常だけで事件なしでももう平気かも(笑)

私的評価 ☆☆☆☆
(段々速度が早まってきたなあ…という感じ。あと何冊ぐらいであの9.11のシーンになるのでしょうか。柏枝先生ならあのシーンをどう描かれるのか、読んでみたいです。)

 

 2004年07月01日(木)  疾走する月の眩暈

   コバルト文庫   麻生玲子:作  立野真琴:絵

「疾走」シリーズ(?)の最終巻になります。主人公は、中学時代に陸上の全国レベルだった少年。事故にあってしまいリタイアを余儀無くされ、今も実は全力疾走はしてはいけない彼ですが、紆余曲折を経て「全力疾走」を見守ってくれ、彼を理解してくれる恋人と付き合うようになります。高校卒業が近付くにつれ、進路の悩みもあり思い悩む日々が続く主人公ですが…。

なんだか、ちゃんと卒業まで書いてくれるとは思っていなくて、すでに終わっている感覚だったもので、発売されているのを見て思わず大喜びで手にとってしまいました(笑) やっぱり主人公の成長ものなので、こうして頑張って自分の夢を手にできるのは嬉しいなあと。ましてやいろいろ辛い思いもしているだけに、生き生きとして見える主人公と、それを支える恋人の度量の深さに感動。想像の世界だけでなく、こうしてちゃんと思った以上の未来を垣間見れてすごく嬉しいです。

私的評価 ☆☆☆☆
(一旦もう終わったと思っただけに、なんというかラッキーな感じが(笑)期待していなかった分余計に嬉しいのかも(笑))

 

 2004年07月01日(木)  夢に囁く天使の声

   パレット文庫   たけうちりうと:作  今市子:絵

先月に引き続き、ちょっと不思議なキャラクター祁内の登場するシリーズ2作目です。主人公は、結婚に失敗したほのぼのちょっと天然系な刑事。上司の頼みで、同じ警察官の不祥事を調べるために出かけようとして祁内というエリートコースまっしぐらな青年に出会い、一緒に事件を調べはじめます。その事件とは、上司が可愛がっていた品行方正な青年が、双子の弟を虐待していたというもので…。

前作もそうですが、ある意味神のような存在なんですよね、祁内って。ただ、なんでも自分で解決するのではなく、関わる人間に本当のものを見せたりして、見えていなかった真実に気づかせるという、万能の神というよりも神様のお使い的な感じでしょうか。今回も謎という程ではなく、多分こうなるだろうというイメージはもっていたのですが、それでもどきどきしながら見守ってしまいました。たけうち先生ならではのキャラクターですよね、ほんとに。なんだか読み終えて和んでしまったシリーズでした。

私的評価 ☆☆☆★
(まあ、かなり好き嫌いはあると思いますが(^^; 私はこういう作品も、キャラクターも結構好きなので楽しめました。)

 

 2004年07月01日(木)  熱砂の誓い

   パレット文庫   橘涼香:作  雪舟薫:絵

新人作家さんの2冊目の文庫になります。一応前回のデビュー作も読んでいたのですが、あまりはっきりは覚えていません(^^; 今回は砂漠もののお話で、正直なところイラスト買いしました…(爆) 主人公は帰国子女で学校でも孤立し、孤独な気持ちを抱えていた高校生。理解を示して支えてくれていた従姉への恋心を秘かにもっていましたが、その従姉はカメラマンの青年と恋愛をしており、あるアラブの国への旅行を従姉が誘ってくれたのですが、その誘いも実は恋人との隠れみののためで、傷心の主人公は砂漠の中1人でさまよい歩いた挙げ句に拉致されてしまいますが…。

遠野先生の先日の新刊に似通った作品ですね(^^; まあ、でもこちらの方がほとんど逃げようとはしないから(全くではないけど、意図的にはやっていないので)、まだましかしら。どうも砂漠ネタというのは取っ付きが悪くて(^^; 非現実的に思えてしまいます。結果的には王家の家督争いに巻き込まれた形ですが、幸せになって良かったね、というのが読み終えての感想。思ったよりもしっかり描かれてはいたものの、やはりネタとしては好みではなかったようです。

私的評価 ☆☆☆
(次回作はすでに来月発売予定とのこと。ただいま売り出し中という感じですね。)

 

 2004年07月01日(木)  キャットウォーク事件簿 No.1

   パレット文庫   新田一実:作  富士山ひょうた:絵

「ペット心理療法士事件ファイル」シリーズが新シリーズに突入しました。…といっても内容はあまり変わらず、ペットの話がきける特技を身につけた大学生悠次と幼馴染みの将、そして化け猫(笑)タマと前作で仲間入りしたシェパードのカイザーが繰り広げる事件解決へのどたばた劇が描かれています。今回は、悠次のバイト先やバイト仲間、そして将の家に怪しい脅迫の手紙が送りつけられ嫌がらせが続きますが…。

なんだか、新シリーズに入っても相変わらずですねえ…(笑) でも、ちょっと進展があったかな?と思わないでもないんですが、悠次が鈍感なので思った程の効果はなくて残念。…一応シリーズの最初でそういう雰囲気をにおわせているだけに、早く進展して欲しいと思いつつはや8冊目を数えてしまいました(^^; 事件も「そんなオチかい!」という感じもしましたが、まあヘタに大きな事件よりはこの程度で良かったかなと思います。次回こそは大きな進展を希望しつつ、次も楽しみにしています。

私的評価 ☆☆☆★
(どんどん人間離れしていってしまう気がする苦労性の悠次ですが、まあ就職先もきまったことだし(笑)将とのラブラブ生活のために頑張って欲しいものです。)