2004年1月のレビュー

 

  2004年01月30日(金)  月と茉莉花 −羞花閉月−

   リンクスロマンス   佐倉朱里:作  雪舟薫:絵

中華風時代物の続編が登場しました。小説リンクスに掲載された元服ネタのお話と、その後を描いた続編書き下ろしが収録されています。主人公はある国の世継ぎである太子の大牙。前作にて敵国から盲目のため幽閉されていた公子月心を連れ帰り、離宮に住まわせています。大牙は月心を想い、元服をしてやろうと心づくしをするが、月心はそれを拒んで…。

…とりあえず、大牙は話をちゃんとしなさい(^^; 月心もだまってないでちゃんと言葉にしなさい(^^; と言う感じのバカップル状態に近い2人でしたねえ。でも、ちゃんとシリアスなので読んでいても読みごたえがあって、少々ツッコミは入れつつも、楽しませて頂きました。大牙がかなり大人気なくて、さすが年下攻(今回初めて発覚(笑)しかも揉み消してます)って感じですね。無理矢理はやっぱりいかんと思いますが、まあこれも未熟者たるゆえんということで。とりあえず、月心が笑っていられるならそれで、私は満足です。

私的評価 ☆☆☆★
(リンクスの特集ページに載っていたキャラと作者の座談会が収録されているのですが、せっかくのシリアスムードぶちこわしでちょっと残念。座談会というよりは作者の語る作品秘話(キャラのコメント付き)ってとこでしょうか。これまで収録する必要がはたしてあったのか、少々疑問です。)

 

  2004年01月30日(金)  よろずやV(ファイブ)

   リンクスロマンス  高崎ともや:作  桜沙希:絵

久々の高崎先生の新刊は、小説エクリプスに掲載された、学園もののお話2編と、続編の書き下ろし短編が収録されています。主人公は、「よろず同好会」に所属する新入生たち。1人は部長の弟でもあり、天然キャラの春。その春にスカウトされ、面白そうだからと一緒に入部したのが想平。このよろず同好会、部費なんてものはもちろん支給されず、自分達で他の部の助っ人をしながら活動費を捻出するというようはお祭り大好きな集まり。そんな中で、新入生コンビはなかなかいいコンビネーションを見せますが…。

高崎先生お得意のアクション大好きコンビものですね(笑) 雑誌掲載の時も相変わらずのハイテンションぶりに楽しんで読んだ覚えがありますが、ノベルズでも楽しませていただきました。今までの作品では割とコンビのうちのどちらかが相手の歯止めになるという展開が多かったのですが、今回はそれはないなあ。青二才な「未熟ブルー」に大笑いしつつ、もう1つの年上寡黙攻×毒舌美人受も新鮮で楽しめました。次はきっと夏にーちゃんの恋愛のはずなので、ぜひとも続編を!楽しみにしています。

私的評価 ☆☆☆★
(戦隊ものチックなノリも面白くて、笑えます。想平、早く大人になれよ〜(笑))

 

  2004年01月30日(金)  FLESH&BLOOD 6

   キャラ文庫   松岡なつき:作  雪舟薫:絵

本来の発売日より少しだけ遅くなりましたが、無事発売になりました。楽しみにしていたF&Bシリーズの最新刊です。主人公カイトは前巻にて無実の罪を着せられ、牢屋へ放り込まれてしまいましたが、なんとか無事に助け出され、特例をもって恩赦を受け、ジェフリーたちのもとへ戻ってきました。最後に挨拶をするため、エリザベス女王に謁見したカイト達一行は、そこでフランスからの使者を送るよう命じられますが…。

なんだかすごく長い1日の話を読んでいるような、そんな焦れったいストーリーと、戦闘シーンのハラハラどきどきスリル溢れるスピ−ディ−な展開とに翻弄されまくってあっという間に読み終えてしまいました…(^^; ジェフリーとカイトの関係は進展したのやらしないのやら微妙な感じ(笑)でもイイ雰囲気で、はやくプリマスに帰って落ち着いてほしいものです。戦闘シーンやその後のカイトの頑張りも健気でかっこ良かったですねえ〜。大満足の1冊でした。

私的評価 ☆☆☆☆★
(どうやら次の巻は急転直下な展開になるもよう(あとがき参照) 今年はこの作品中心(これはかつくら参照(笑))ならしいので、早めに続きが読めるのかしら?と少々期待しています。)

 

  2004年01月27日(火)  バルコニーから飛び降りろ!

   キャラ文庫   水無月さらら:作  高塚カズイ:絵

水無月先生の久しぶりの書き下ろしです。主人公は、真面目であまり笑わず愛想のよくない市役所の市民課に勤める青年。市民課といえば出生届や死亡届、婚姻届などを受付けるところで、黙々と働く主人公。そこにあるカップルが婚姻届を出しにやってきます。そのカップルの男性の方は、なんと13回も結婚、離婚をくり返している有名人で…。

ううーん(^^; テンポはいいし、話は面白いとは思うんだけど、どうにも自分の中で受け入れ難いキャラクターだったらしく、どうも楽しめなくて残念でした。攻キャラがいわゆる傍若無人と紙一重な感じのキャラなので、「どこがどう好きになったんだよ…(^^;」って感じで納得できなかったらしいです(^^; あと、過去の14人の奥さんの存在というのもちょっとなあ(^^; キャラの好みはやはり作品の好みを左右するのだなあと思った作品でした。 

私的評価 ☆☆★
(あと、どうにも気になったのはあとがきでしょうか。…いくらなんでもひどすぎると思うんですが…。キッチンドランカーであろうが、別に関係ないと言えばないけど、それをあんな風に垂れ流すのはちょっと不快です。)

 

  2004年01月24日(土)  キスと手錠

  SHYノベルズ  たけうちりうと:作  北畠あけ乃:絵

なんと今月二冊目(^^; 最初の予定は年明けすぐでしたが、結局後半の発売日になっていたようです。主人公は教育委員会に所属する不登校の生徒のための学級につとめている天然系な青年。友人の宝石商に頼まれて、警察まで時価200億円もする宝石を運ぶことになります。しかし、運搬途中でなんと窃盗団に拉致されてしまいますが…。

…ある意味荒唐無稽度はこっちのほうが高いのかもしれません(^^; しかしこっちの方がツボだったのは、やはり「愛」の描き方だなあとしみじみ思いました。人がよすぎてひどい目にあってしまう主人公ですが、めげてないんですよねえ。ぽわぽわしていて情けなさそうだけど、しっかり自分がある感じで。クソマジメな攻キャラもユニークで、ボディーガードシリーズのグレイに繋がるものを感じます。そして作品全体に流れるいくつもの「愛」も私にとってはとても好みでした。ぜひともこの後の彼らが見てみたいと思いました。

私的評価 ☆☆☆☆
(あまり日をおかずに読んだせいもあるんでしょうけど、ゲンキノベルズの評価が下がり、こっちが上がったという気もします(^^; タイミングずらして読めばよかったかな(^^;)

 

  2004年01月23日(金)  うさしくんのいちねん

  新書館 絵本    南野ましろ:絵

毎年恒例になっています、うさしくんの3冊セットの絵本が今年も発売になりました。今年は「うさしくんさむい」「うさしくんちょうど」「うさしくんあつい」と大体の四季をテーマにした、ほのぼのしたストーリーの絵本です。

とりあえず、世俗の煩悩だらけな自分がふと心洗われるかのような(笑)そんな和み空間がこの絵本にはありました。うさしくんたちのほのぼのした優しさが身にしみるなあ…。人に優しくありたいものだと思いつつ、楽しませて頂きました。機会があったら、読んでみて下さいね。

私的評価 ☆☆☆☆
(うさしくんシリーズは、キャラの名前の付け方もなんだか普通につけるのとはちょっと違うんですよねえ。そういうフェイント的なところもツボだったりします。)

 

  2004年01月20日(火)  胸に手をあててみろ!

  GENKIノベルズ   たけうちりうと:作  山田ユギ:絵

たけうち先生の初ゲンキノベルズです。主人公はリサイクルショップを営むあまり熱心に仕事しない青年。叔父の消費者金融の取り立てを手伝ったりしながら、なんとか暮らしています。というのも実は彼には3つ子の娘が離婚した妻の元にいて、養育費を払うためなんとか頑張っているのですが、ある日工場へ取り立てに行くと、そこへ銀行の営業マンがやってきて、口論になりますが…。

突飛なキャラ設定とストーリーが、たけうち先生の特徴でもあるのは良くわかっているんですが、ちょっと今回のは空回りしている印象が強かったかなあ(^^; 必ず毎回私のツボにハマるのは「主人公同士の恋愛だけではない愛」を感じ取れるからだったんだけど、その辺りがあまりこの作品にはなかったような気がします。主人公同士の恋愛自体もどうも琴線に触れなかったというか(^^; もうちょっと受キャラが魅力的だったらまだ理解可能だったのかもなんですが、どう考えてもしおれたオヤジっぽくて、その受に攻が一目惚れ状態なのが読んでいても納得いかなかったというのも要因かもしれません。それとも2回3回重ねて読んだら味が出るのかしら(苦笑)

私的評価 ☆☆★
(多分、イラストのイメージもあるんでしょうね。ユギ先生の絵はある意味ぴったりだったんだけど、どうにも萌えられませんでした…(^^;)

 

  2004年01月16日(金)  逢えるかもしれない

    アクア文庫   春原いずみ:作  麻生海:絵

私が春原先生にハマった原点の作品が、新創刊のアクア文庫にて発売になりました。アクア文庫というのは、旧桜桃書房のレーベルからイラストを変えて文庫化という、アイス文庫とスタンスは似ている形のもので、エクリプスだけでなく、ヴァリオノベルズからも文庫化されています。今回は懐かしいシリーズ1作目をイラストを変えて発売で、以降続刊予定のようです。主人公は総合病院で整形外科医をしている吉永。ある日内科医として同じ病院へやってきた内海は、なにかと吉永とそりがあわずぶつかり合いをしています。そんな彼らにある転機が訪れて…。

「そうか、こういう話だったよなあ」と久々に読み返してしみじみしてしまいました。イラストが変わると雰囲気も微妙に変わるものですねえ。私も相当初期に読んでるので、今とは読み取り方も異なるし、それでもやっぱり好きだなあと思います。春原先生らしさが一番出ているシリーズだと思うので、今の先生の作品だけでなく、ぜひ一度読んでみて欲しいです。そういえば、ルーズショルダーと聞いて「浜中か、福原か」と一瞬思った私は阪神ファン(笑)←判る人は判るネタですな…(^^;

私的評価 ☆☆☆☆★
(イラストが変わって、なんだか色っぽいイメージが強くなった気がします。もともと色気より仕事な感じの作品なのだけど、変わるもんですねえ。)

 

  2004年01月15日(木)  ADコンプレックス

  ビーボーイノベルズ  岩本薫:作  蔵王大志:絵

小説b-Boyに掲載された広告代理店もののお話とその続編書き下ろしです。主人公はある業界3位の広告代理店に勤めるイケメンサラリーマン。実は彼は努力の人で、自分がイイ男に見られるための努力を欠かさず、しかもそれを他人に見せない水面下の努力をしています。勤め先の広告代理店が外資系の会社と合併し、抜てきされて新たなプロジェクトを動かす事になった主人公。同じチームになったのは、自分の「イイ男ナンバーワン」を脅かすような、まさにプリンスのような男で…。

…なんだか頭悪いあらすじでごめんなさい(^^;上手くまとめられなかった…。雑誌掲載の時も読んでいたのですが、ちょっと強引な感じもして微妙だなあと思いつつ、まあ最後までやってないからいいか、と思っていたんですが、結局1冊終わっても関係がちっとも進んでいませんでした。そう、この本実は続くそうです(^^; ラストかなりの佳境のシーンでいきなり終わってしまい、非常にびっくりしました(^^; しばらく間があいての続刊になりそうなので、とりあえずそれを待ちたいと思います。恋愛が進まないことには、達成感もなくてなんだかお預け気分になってしまった1冊でした。

私的評価 ☆☆☆★
(しかし意味深なシーンで終わりとは辛いなあ(^^; 次は少なくとも6月以降なので、続き物待つのが苦手な人は続きでてからの方がいいと思います。)

 

  2004年01月15日(木)  好きで好きで好きで

  ビーボーイノベルズ  高遠琉加:作  佐々成美:絵

シャレードで活躍されていた高遠春加先生が一字ペンネームを変えられて、ビブロスで登場です。全編書き下ろしで、同級生もののお話を、受視点、攻視点両方から2編に分けて描かれています。主人公は就職はせずにバイトをしている青年。ある花屋でバイトをし、今までで一番生き生きと働いていました。そんなある日、店にやってきたのは店主の娘の恋人。しかし、実はその恋人は主人公の高校時代の同級生で、告白をし今も思いを寄せている相手で…。

高遠先生ならではの心理描写抜群な、切なさ溢れる作品でした。健気な受の苦しい思いと、攻の戸惑いがすごく伝わってきました。そして、時期は少しずれてはいるものの、全く同じ時間軸の表裏を描いているため、2編両方読む事でわかってくる部分もあり、より楽しめました。店主の娘もちゃんと幸せになったし、読みごたえがあって満足感も得られる作品だったなと思います。ぜひ読んでみて下さい。

私的評価 ☆☆☆☆★
(先月発売の小説b-Boyで主人公2人の高校生時代の書き下ろしがあって、ノベルズを読んでからと思い待っていたので、今晩にでもじっくり楽しみたいと思います。)

 

  2004年01月15日(木)  恋愛詐欺師

  ビーボーイノベルズ   賀田まいと:作  不破慎理:絵

小説BEaSTに掲載されたサラリーマンものの作品と、その続編書き下ろしが収録されています。主人公は外資系のコンサルティング会社に勤める青年。マジメで不器用な主人公は、上司にあたるエリートサラリーマンに思いを寄せていますが、あまりにも世界が違うとその思いを押し殺して日々を過ごしています。そんな彼が有休をとってまでやろうとしたのは「恋を諦めるために、せめて偽者でいいから思い人と過ごしたい」ということ。200万という大金を手に、思い人とちょっと似ていた恋愛詐欺を働いた男に依頼して、バカンスを過ごしますが…。

雑誌掲載の時にもかなり気になっていた作品だったので、続編を含めて読めたのが満足度高いです。「普通判るだろう」とか、いろいろつっこみどころはあるんでしょうけど、テンポがよかったし、受も高ビーそうに見えてそうでもなかったり、けっこう尽くすタイプな攻がまたツボで(笑)楽しんで読みました。続編ではプロポーズまでしていますが、思っていたよりも普通な流れでホッとしました(笑) この後彼らがどう生活していったのか、その辺りも読んでみたいですね。

私的評価 ☆☆☆★
(王道と言えば王道なのかな。受の裏表があるのが、逆に面白く作用していて楽しかったです。)

 

  2004年01月15日(木)  恋はビターローストで!

    リーフノベルズ   宮本恭名:作  赤坂RAM:絵

宮本先生の初リーフノベルズです。主人公は新宿でぼんやりと佇んでいた青年。ある男性に声をかけられ、「幸せになれる場所があるんだ、一緒においで」と言われて、ついていきます。なんと辿り着いた場所はその男性の家で、そこには大学生の息子もいました。男性が誘ったのは身体目当てと思っていた主人公はびっくりしましたが、いきなりにもかかわらず受け入れてくれた彼らと、共同生活を始めることになりますが…。

こういうふんわかほわほわした作品はすごく好みで、読んでいてもとても和みました。誘った男性の家はコーヒー専門店の喫茶店を経営していて、その店が作品の舞台にもなっているんですが、コーヒーやケーキの描写が実に美味しそうで、ついついコーヒーが飲みたくなってしまいました。ただ、ちょっと気になったのが、時々作品中いきなり視点の移動があるというか、ずーっと受視点の文章の中でいきなり攻の感情が混じったりするところがあって、読んでいて引っ掛かることが…(^^; かなり好みな作品だけにそれだけが残念です。

私的評価 ☆☆☆☆
(赤坂RAMさんのイラストがとてもぴったりで、非常に柔らかな色調のお話でした。)

 

  2004年01月10日(土)  僕だけの騎士★

  プラチナ文庫   愁堂れな:作  夢花李:絵

イラストに惹かれ、あらすじも悪く無さそうだったので購入してみました。どうやらネット上で公開されていた作品と、その続編書き下ろしが収録されているようです。主人公は無実の罪で逮捕されてしまい、国選の弁護士を頼む事になります。やってきた弁護士は、本当にちゃんとやってくれるのかと不安になるほどだらしない格好で、不安を感じつつ公判の日を迎えますが…。

タイトルから受けるイメージはあまりシリアスではなくアホっぽいんですが、思っていたよりもかなりマトモでシリアスな作品でした。ハートマークがなかったらそんなイメージでもなかったのかな(^^; ツッコミ所はあるものの、全体に好感の持てる作品で、健気だけど少々ぼんやりしていて鈍い主人公と、それを支える度量をもち、でも一筋縄ではいかない弁護士とのやりとりがとてもいいコンビで面白かったです。

私的評価 ☆☆☆☆
(最初あまり期待をしていなかった分、なんだか得をした気分で読みました。イラストが可愛くて、それも見どころかな?)

 

  2004年01月10日(土)  SUGGESTION−暗示−

  ラキアS-EXノベルズ  崎谷はるひ:作  やまねあやの:絵

ANSWERの続編が登場しました。小説ラキアに掲載されたショートストーリーと、その後の書き下ろしのお話が収録されています。前作にて身体だけの関係からワンステップ登った真芝と秦野。ある意味バカップルとも言える蜜月を過ごしています。しかし、秦野はもう孤独に帰ることはできないと思い悩み、真芝に同居をせがまれつつもなかなかうなずく事ができなくて…。

4年ぶりの続編ということで、その間にずいぶん崎谷先生自身の作風に変化が生じていたというのもあるんですが、「こんなカップルになったのか」という感慨と、残念な部分とが組み合わさった感じの読了感でした。ストーリー自体は満足度も高いんですが、やはり濡れ場シーンの低年齢化がちょっと辛かったなあ。秦野は大人な感じだっただけに、余計にそう思いました。前作ではそこまで低年齢化してなかったからなあ。まあ、黒ラキなので、たけなわシーンだらけだから余計にという話もありますが(苦笑)思い入れがある分、ちょっと抵抗があったかな。

私的評価 ☆☆☆☆
(作品自体は好きなんですよ。もうちょっとたけなわシーン割り引きで普通に2人でいるだけでも、私は満足だったんだけどなあ。)

 

  2004年01月09日(金)  ディアスポラ 5

  ウィングス文庫   前田栄:作   金ひかる:絵

魔法と精霊の登場するSF(?)シリーズの5冊目になります。ようやく「SF」としての部分が見えかくれしてきて、段々佳境に入ってきた感じですね。ユリウスたち一行は、土の精霊王とその魔法使いヴィグナラージャにより、土の精霊王の居る大陸へと誘われ、クワンとユファだけが引き離されてしまいますが…。

やっと、なにやらSFチックな話になってきました。精霊というものの存在意義などが語られていて、なんだか全然思っていたのと方向性が違っていたのでびっくりです。そういう存在なんだ…(^^; かなりシリアスに展開していく話の流れの中で、なぜか虎ネタでいろいろ盛り上がるところがあって、それが秘かにウケました(笑) バターになるのは某絵本だろう!と思わずつっこみつつ。どうせならタイガースネタなんかあったら面白かったんですが、流石にそれはなかったなあ(笑)どんどん佳境に入っていって、これからラストスパートな感じです。来月発行の小説ウィングスで最終回だそうですが、きちんと風呂敷をたたみつつ(笑)楽しませて貰えたらと思います。

私的評価 ☆☆☆★
(炎の精霊王と土の精霊王の会話のシーンで、「なんだ、ちゃんと会話できるんじゃん(^^;」と思って一瞬炎王を見直した…のにその後のキャラは逆戻りしていた…(^^;)

 

  2004年01月09日(金)  熱砂の王

  ショコラノベルズ・ハイパー 小塚佳哉:作 緒田涼歌:絵

全編書き下ろしのアラブもの(?)の作品です。主人公はNGO団体に所属する青年。環境会議に出席するためパリに赴いた主人公は、そこで会議の重鎮である教授にヘンに気に入られてしまい、口説かれます。挙げ句の果てに薬を使われ危うく乱暴されそうになった所を逃れ、なんとかエレベーターまで逃げ出した主人公。そこに居合わせ、助けてくれたのは中東の若き王でした。しかし不幸な事にその王にも男娼と間違われてしまい、抱かれてしまいますが…。

さすがハイパーですなあ(^^; 濡れ場の濃さは相当なものですが、意外とそれだけ、ではなく内容もしっかりしていて、読みごたえはありました。主人公の片割れの王様の「恋は盲目」度合いとか(笑) 流されてしまわずにしっかり主張はする主人公の男前度とかが楽しかったです。この国の将来をちょっと憂慮したくはなるのですが、でも幸せそうだからいいのかな。なんだか最後はすっかり和んでしまうそんな作品でした。

私的評価 ☆☆☆★
(ただのハッピーエンドじゃなくて、ちゃんと2人が納得した関係としてエンドマークがあるところが一番気に入ったのかも。設定負けしてなくていい感じです。)

 

  2004年01月06日(火)  ここが僕らのお城です

  シャレード文庫  嶋田まな海:作  せら:絵

全編書き下ろしの学生寮もののお話です。主人公は、両親の海外赴任にともない、中途入寮した1年生。甘えん坊なところのある主人公は、同室の無愛想でとっつきにくそうな同級生に世話になりっぱなしです。でも同室の彼は外見とは裏腹に面倒見が良く、いろいろと助けられていて…。

上記の2人のお話と、脇キャラで寮長副寮長カップルのお話の2編が収録されていますが、私はどちらかというと寮長たちの方がツボだったかな。初々しい主人公キャラとは対照的にいい感じにかっ飛んでいて、ちょっと誘い受け風なのもツボでした(笑) コメディちっくなんですが、腰砕けになるほどではなくて、読みやすかったなという感じ。主人公の片割れの従兄と先生という別のカップルもいるので、それも読んでみたいなあ。

私的評価 ☆☆☆★
(ほどよいコメディ路線と言う感じでした。最近コメディというと果てしなくトンデモ路線が多いからなあ(笑))

 

  2004年01月01日(木)  ミルククラウンのくちびる

   ルビー文庫   崎谷はるひ:作  高久尚子:絵

すみません、年末発売にもかかわらず忘れてました…(^^; というわけで新年1冊目ということで元日日付でアップいたします。ミルククラウンシリーズの番外編風な1冊です。主人公たちはもちろんそのままですが、今までよりも脇キャラにポイントを置いている作品、という感じですね。主人公希は恋人高遠との仲もよく、楽しい日々を過ごしていましたが、学校でいろいろ手助けをしてくれる友人内川に、一度バイト先へ連れていってくれと言われ、しょうがなく連れていくと…。

番外編なだけに、日常を切り取った感じの作品になっていて、面白かったです。脇キャラの活躍っぷりも面白かったし。ただ、主人公2人がもうどうにも恋愛体質にどっぷりハマっているというか(笑)お互いしか見えてなくておかしいぐらいで、それゆえに濡れ場シーンがやたらと長く、しかも受キャラがまるで幼児かというぐらいに低年齢化になってしまっているのが気になるところでした。最近の崎谷先生作品の特徴といえばそうなんですが、できれば大人な感じにして欲しいなあと思う、ショタ苦手な私でした。

私的評価 ☆☆☆★
(高遠の大人気なさ加減も段々加速してきましたねえ(笑) 周りの呆れ方が良く判るバカップルぶりで、なによりそこが一番面白いのかも(笑)次から始まる叔父さん編が凄く楽しみです。)