2004年6月のレビュー

 

 2004年06月29日(火)  愛できつく縛りたい(上・下)

   ルビー文庫  きたざわ尋子:作  高永ひなこ:絵

珍しく上下巻で登場のきたざわ先生の作品は、実はリーフノベルズで発売されていた4冊シリーズを加筆修正しての発行だそうです。実はリーフノベルズ時代は全く知らず、全くの初めて読む作品だったのですが、読んでいて「どうも時代が今どきではない気がする…」と思っていて、上巻を読み終えた時に記載されていて気がついたという(自爆)お家騒動に巻き込まれた兄弟たちを主人公にしたお話です。最初の表題作は主人公がお家騒動に巻き込まれ、普通の少年だと思っていた自分の生活を変えられてしまった少年で、あとの3編分は表題作の主人公の兄とそのお相手のお話(言わば番外編が主流に…(笑))になっています。

最近には珍しい、どろどろした家督争いネタだったし、きたざわ先生にしては妙にしつこい感じがするなあ…と思っていたら実は昔の作品だったというオチで、納得でした。リーフの頃のイラストさんがとても苦手だったため、全くといってイイ程読んでいませんでしたので、今回とても新鮮に読めた気はします。…が、やはりこう無理矢理だったり脅されたりというのは読んでいても辛いなあと。シリーズなので、それぞれのキャラの成長が微笑ましいというのはあるんですが、やはり沢山の本が出て、今と昔では流れが変わっているのだなあと痛感した作品になりました。

私的評価 ☆☆☆
(面白いといえば面白いんですが、私の苦手要素もかなり入っていたのでやはり自分の中の評価は低めかなあ。…たぶんリーフ時代は見事にスルーしてた作品だと思います。あらすじさえ知らなかったもの(^^;)

 

 2004年06月29日(火)  ビターショコラの挑発

   ルビー文庫   崎谷はるひ:作  高久尚子:絵

「ミルククラウン」シリーズの番外編で、主人公希の叔父にあたる玲二と恋人の義一のお話が書き下ろし文庫で登場です。玲二はジャズバー「3.14」のマネージャーとして忙しい日々を過ごしています。最愛の甥である希はミュージシャンの高遠と恋愛関係にあり、それも釈然としないまま、認めざるを得ない状況でいます。しかも、「3.14」のオーナーであり恋人でもある義一は、副業のこまった仕事に手を取られており、いい加減ガマンの限界になってきた玲二は…。

心秘かにまっていた玲二&義一のお話で、すごく嬉しいです(^^) アダルトチーム担当の割には、ある意味純情というか(笑)希たちよりも純愛路線っぽい気がしなくもないなあ。玲二が相当な意地っ張りで、その意地っ張りぶりをわかっていながら上手く操縦していて、義一の思いがよくわかって微笑ましいです(笑)スケジュール上厳しかったのか、残念ながら文中のイラストはなく、口絵と表紙しかイラストはなかったのですが、でもその2枚のイラストもとても麗しく、堪能いたしました。また続きが出ると嬉しいな。次回のルビー文庫は別の作品のようですが、続編を切に希望いたします。

私的評価 ☆☆☆☆★
(ラストあたりで玲二がやられてばかりの義一に意趣返しするシーンがなんだかとてもお気に入りになってしまいました(笑))

 

 2004年06月28日(月)  恋愛派閥

  リンクスロマンス  華藤えれな:作  佐々木久美子:絵

小説エクリプスに掲載された国会議員もののお話と、その続編書き下ろしです。雑誌掲載時にある一文が非常に物議をかもしていたのを思い出しつつ(笑) 主人公は与党の二世議員。父親は総理に手が届くと言われていたにもかかわらず、病気になってしまい引退。しかし今も政界を動かす人物として君臨しています。主人公は、国会審議中に質問にたった野党の若手議員が気になって…。

けっこうドロドロした感じの永田町ネタ(笑)と妙に古臭い習慣に笑いつつ、王道のライバル関係ものを堪能したと言う感じです。上記のある一文というのもある意味王道で(笑)濡れ場シーンというのに笑ってしまいました。…ひょっとしたらシリアスと思っていたけどこれはギャグ…?(笑) 続編では随分主人公のキャラが変わっていてびっくり。可愛くなり過ぎではないかというぐらいに、きりっとしつつも可愛い印象になってしまっていました。まあでも、ある意味これもいじっぱり毒舌受なのかも(笑)舌打ちしつつも主人公をフォローし、ささえる攻もいい感じで、雑誌掲載よりも続編のほうがオススメな作品に仕上がっているようです。

私的評価 ☆☆☆★
(今後このシリーズの番外編(主人公が変わるようです)を雑誌に掲載予定とのこと。彼らのその後も読めるかしら?楽しみにしています。)

 

 2004年06月28日(月)  いとしい罠

  リンクスロマンス  きたざわ尋子:作  金ひかる:絵

きわどい賭シリーズの最終巻になります。朝比奈と双葉のお話も佳境を迎えました。主人公双葉は大学生。機械いじりが好きで、恋人の朝比奈が勤める民間の特別調査会社へ入りたいと思っています。前作で自分の父親かもしれない存在を知り、いっそう複雑になった彼の環境ですが、今回はその父親の行動を廻って事件が起こってしまい…。

最後というわりには、なんだかすっきり終われなかった感じがするのは、脇キャラのお話がないままだったからなのかしら(苦笑)個人的に一押しなのは脇キャラカップルなので、出番が少なかったのはちょっと残念です。事件自体も、今までにくらべれば規模が小さくて、朝比奈がしょっちゅう双葉をいいように可愛がっていた印象ばかりがのこった感じの最終巻でした。さすがに4冊ずっとこのペースだと、主役カップルは食傷気味ですねえ(^^; 穂村&布施カップルの方が意外性もあって、やはり好みのようです。多分、年の差があって、大人側がいいように操るのはなんだか年を盾にしているようで気に食わないんでしょうね(笑)<私

私的評価 ☆☆☆★
(同じ年の差な話でも、大人側に包容力があるタイプはオッケーなんですけども(笑) そしてそれよりも毒舌美人いぢっぱり受が好きなんだなと痛感した作品でもありました。出てきたとたん脇キャラなのにすっかり一押しになったしね(^^;)

 

 2004年06月26日(土)  いつか青空の下で

   キャラ文庫    月村奎:作   夢花李:絵

「そして恋がはじまる」の続編の文庫が登場しました。小説キャラに掲載された続編と、そしてその後を描いた書き下ろしが収録されています。主人公未樹は伯母夫婦に育てられ、実の母とも交流はあるものの自分に自信が持てず「イイ子」を演じながら大きくなり、そんな中であった司法書士の恋人浅海は、その未樹の内面をきちんと理解し、受け止めてくれました。家族に気を配りつつ、大切にしてくれる浅海ですが、未樹のある行動から、家族に恋人が男であることがバレてしまって…。

続編は「カミングアウト編」という感じですね。前作は前作で非常にある意味しんどい作品だったんですが、今回のほうが上かしら(笑)悩んでばかりの未樹ですが、最後にはけっこうしっかりした様子も見られて、頼もしくなってきたかな?書き下ろしの途中で、カミングアウトを受けての実の母の態度に、どうしても怒りが込み上げ(^^; 「母親」は免罪符じゃない!と不快感でいっぱいになってしまいました。どうやら私個人的な感情の逆鱗部分に触れた模様です(苦笑)母親なら何をしても、何を言っても許されるわけではないし、自分の感情に精一杯の母親というのもとてもしんどくて(^^; だから言い返す事ができた未樹の成長ぶりにちょっとホッとしたのかもしれません。

私的評価 ☆☆☆
(この母親のエピソードさえなければ…というのはほんとに私の個人的感情なんですが(^^; こういう押し付けこそ母親のエゴだと思うんですよねえ。ただでさえ齟齬を感じている相手に、そんな態度とるなよ…。)

 

 2004年06月26日(土)  ヤバイ気持ち

   キャラ文庫   鹿住槇:作   穂波ゆきね:絵

原作付きコミックとしてキャラに掲載され、コミックスも発売された「ヤバイ気持ち」が原作部分とアンソロジー掲載された続編、書き下ろしを収録して文庫で発売になりました。原作つきコミックスの原作小説があとから発売になるのは初めてかな?ほとんどは先に文庫が出てからマンガになっていた気がします。主人公は普通の高校生。気になる同級生がいて、心秘かに想っています。その同級生からいきなり「お前を見ると欲情する」ととんでもないことを言われて…。

コミックスも、アンソロジーも読んでいたのですが、マンガと原作とでは感じ方が違うんだなあとしみじみ。いつもは原作があってマンガを楽しんでいたのですが、逆パターンは初めてだったので、なんだか新鮮でした。知っている作品なんだけど、初めて読むみたいな感覚で、しかも頭の中ではキャラクターがきっちり動いてくれるという…(笑) 続編では相変わらず少々傍若無人な攻キャラですが、書き下ろしではちゃんと相手を思いやることができている気がするので、これも成長のうちでしょうか。書き下ろしが唯一未読作品というのもあるんでしょうけど、一番好きだなと思いました。先輩キャラも2人の親友キャラもイイ味だしていて、とても楽しんで読みました。

私的評価 ☆☆☆☆
(あとがきによると、鹿住先生は現在闘病中とのこと。無理をせずに、じっくり治してまた素敵な作品を書いて下さると嬉しいです。どうぞお大事に…。)

 

 2004年06月26日(土)  王朝唐紅ロマンセ

   キャラ文庫  秋月こお:作   唯月一:絵

王朝ロマンセシリーズの外伝にあたる作品が書き下ろしで登場です。本編で大活躍で人気のあった、業平と国経が主役になってのお話で、国経視点のため、彼の初登場時から4巻ラストぐらいまで一気に1冊で描かれていて、本編と表裏一体という感じですね。主人公国経は名家藤原氏の嫡子。自分にそっくりといわれる千寿丸にちょっかいをだし、業平たちとの確執を抱えていました。そんな彼のもとになんと業平から恋文が届けられて…。

個人的に業平も国経もすごく好きで、本編でも主役2人そっちのけで活躍を楽しんでいて、4巻で無事ラブラブ(?)になったのでぜひともこの2人のお話が読めたらと思っていましたので、この外伝はとっても嬉しいです。楽しそうに国経にちょっかいをだす業平がいい感じで(笑)なるべくしてなったカップルと言う感じですね。一応4巻以降もある程度幸せに過ごしているようで、それも垣間見れて嬉しかったです。

私的評価 ☆☆☆★
(CDも収録が終わったようです。どうやら2枚組らしく、聞きごたえがありそうですね。)

 

 2004年06月25日(金)  子供の言い分 1

   キャラコミックス  二宮悦巳:作画  菅野彰:原作

雑誌キャラで連載されている「毎日晴天!」シリーズのコミックスは、とうとうお子様カップルたちの佳境ともいえる(笑)「子供の言い分」に入りました。原作でも、かなりシリアスモードの作品で、楽しさ半分、心配半分という感じだったんですが、これをどうマンガにしていくのか、楽しみにしていました。

実際、個人的に落ち込みそうな系統のつらいシーンは後半部分ぐらいなのですが、やはりシリアスモードが絵だと倍増しちゃって、引きずられてしまいます(^^; これからの展開も知ってるだけに、余計にね(苦笑) そんな中小さいコマやあとがきなどで繰り広げられるギャグなネタに癒された感じがします。まだシリアスモードは序の口なのですが、今後気楽に読めなくなりそうで、覚悟をしつつ(笑) 私的に一番辛いのは龍兄ネタなんですけどね(笑)その分思い入れも一番強いです。

私的評価 ☆☆☆★
(「親子」のあり方というか人間関係のあり方というか、この辺りから原作もギャグよりシリアスよりになってきたんですよね。そういえば、文庫の新刊はいつになるんだろうなあ〜。)

 

 2004年06月22日(火)  スクランブル・ゲーム

   ダリアコミックス     かんべあきら:絵

雑誌ダリアに掲載されていた、大学を舞台にしたお話です。主人公は元気な大学生。若手のハンサムな教授をとても尊敬していて、一生懸命に授業を受け、少しでも近付きたいと思っています。そんな彼にある美形の同級生があらわれ、しかも「教授を落とすゲームがある。僕達のどちらが落とせるか賭けよう」という話にまで発展してしまいます。どうしても負けられない!と意気込み、アプローチを始める主人公ですが、教授に相手にしてもらえず…。

ストーリーの脈絡はちょっと唐突な気もしますが、全般に可愛い絵なのと、続編の書き下ろしがあって、ちょっと意外な教授の姿も垣間見えるのが楽しかったです。このシリーズとは全く別のダリア掲載作品も1編収録されていますが、私的に一番の見どころはやはり書き下ろしされた続編のような気がします。傲慢そうに見えて、じつは優しい教授も、健気な主人公もいいコンビだなと。…まあ、健気すぎて乙女チックな気もしますが(笑)<主人公

私的評価 ☆☆☆
(やはりかんべ先生の絵は好きだなあ〜。ちょっといぢわるっぽい表情の教授が秘かにツボです(笑))

 

 2004年06月16日(水)  犬と小説家と妄想癖

   ビーボーイノベルズ  高遠琉加:作  金ひかる:絵

小説b-Boyに掲載された表題作と、その続編書き下ろしが収録されています。主人公は学校の先生をしている普通の青年。大学時代の同級生と今も仲良くしていますが、駅であやまって転落しかかり、それを助けてくれた同級生のほうが骨折してしまいます。彼の仕事に差し障るからと頼み込んで手伝わせてもらう事になった主人公。しかし実はその同級生の職業とはエロ小説書きで…。

雑誌掲載の時も結構好みで、チェックしていた作品だったので、ようやくノベルズになって嬉しい限りです。高遠先生といえば、シャレードのデビュー作などのシリアス系のイメージなんですが、これは随所に笑えるネタがちりばめられていて、でもギャグというほどきつくもなく、微笑ましい感じです。主人公の悩みモードも、それをわかっていてちゃんと対応しようとする誠実な同級生もいい感じ。楽しんで読めた作品でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(そういえば、この作品にでてくる脇キャラが主役のお話もあるんですよねえ。あれも面白かったなあ。ぜひノベルズ化を希望したいですね。)

 

 2004年06月11日(金)  貴族と熱砂の皇子

   SHYノベルズ   遠野春日:作   蓮川愛:絵

貴族シリーズと銘打っての「テーマシリーズ」もの、今回は砂漠が舞台です。主人公は名家の次男坊。両親の反対を押し切り、兄が大使館で勤務している某アラブ系の小国を訪れます。その道中の飛行機でずっと主人公を見つめ、話しかけてきた青年がいましたが、主人公はあまり相手にしませんでした。そして訪れた小国で、護衛をつけずふらふらと出歩いた主人公は、拉致されてしまい、砂漠へ連れていかれますが…。

今回は「貴族」というよりは「砂漠」ものですね。とりあえず、読んでいてあまりの主人公の迂闊さ加減に少々イライラしてしまいました(^^; 無謀にもほどがあるというか、見てられない(^^; イラストはかっこいいんですが、あんまりキャラに魅力が感じられなかったなあ(^^; あ、攻キャラはちゃんとかっこよかったです(笑) できれば主人公をもうちょっと思慮のあるキャラにして欲しかったなと思います。大体逃げ出そうとして1人で砂漠に向かうなんて、ちょっといくらなんでも自殺行為だと思うのでした。

私的評価 ☆☆★
(主人公の行動が目について、あとがかすんでしまいました(^^; よっぽど私にとっては許容範囲外だった模様…(笑))

 

 2004年06月11日(金)  ずっと、初恋

   クリスタル文庫  名倉和希:作  赤坂RAM:絵

名倉先生の初クリスタル文庫は、幼馴染みもののお話です。主人公は、東京の大学に通う酒屋の1人息子。中学2年の時のいきさつが元で同級生だった少年に恋をし、今もそれを引きずったまま、報われない初恋を胸に秘めて大学生活を過ごしています。そんな彼に父親が入院したと言う知らせが入り、急ぎ実家へ向かうと、なぜか実家の酒屋で働いていたのは初恋の相手である幼馴染みで…。

イラストの効果もあるんでしょうか、なんだかほのぼのした作品でした。テーマが初恋というのもあり、何かにつけて初々しい感じで、和みます。3編収録されていて、進むにつれてラブラブっぷりも倍増していて(笑)読み終えると幸せな気分になりました。…まあ、最後にはバカップルかというような展開もありますが(笑) のんびり楽しんだ感じの1冊でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(作品のほんわかぶりとイラストの雰囲気がぴったりでした(^^) ちゃんと主人公が美人さんで嬉しい〜。)

 

 2004年06月10日(木)  あなたに落ちていく

  クロスノベルズ   麻生玲子:作  北畠あけ乃:絵

麻生先生名義ではひさしぶりのノベルズです。全編書き下ろしで、主人公は大学生。ゲイであることを公言しており、のんびり大学生活を満喫しています。そんな主人公がある日相手を探しに、出会いの場であるクラブを訪れると、1人のサラリーマンらしき男が声をかけてきます。誘いを受け入れ、一夜を共にする2人。いつもならば1度だけの関係のはずだった主人公ですが、どうしてもそのサラリーマンが気になってしょうがなくて…。

傲慢なサラリーマンと一途(といえば聞こえが良いですが、要は下手するとストーカー(^^;)な主人公との切ない関係を両方ともの視点から描いてあって、なかなか読ませる作品だったなあと思います。主人公の一途さと必死さ、サラリーマンがわの傲慢な気持ちとそれでも相手を思う気持ち。淡々と書いてあるからよけいに切ないというか…、最後のシーンでは思わずほろりとしてしまいます。一生懸命だっただけに、報われて良かったなあと思いつつ。…いや、多分アンハッピーエンドだと読んだ後暴れたとは思うんですが(笑)幸せになった2人も読んでみたいなあと余韻を感じた作品でした。

私的評価 ☆☆☆★
(最初はすっごくイヤなやつなんですが(笑)<サラリーマン>どうにも憎み切れないなにかがあります。キャラ萌えもあったのかもしれない(笑))

 

 2004年06月09日(水)  ヴァージン・クルーズ

   ショコラノベルズ  春原いずみ:作  せら:絵

春原先生もひさしぶりのノベルズですね。全編書き下ろしで、豪華客船を舞台にしたお話です。主人公は幼いころをイギリスで過ごし、まるで母国語のごとく英語をはなせるバイリンガルなホテルの新米コンシェルジュ。先輩から誘われて、ホテルの親会社が所有する豪華客船のクルーズスタッフとして乗り込むことになります。その船のスタッフの1人、カクテルピアニストの青年は、なにかと主人公にちょっかいをかけてきますが…。

最初の出会いと、2度目の出会いが同一人物というのはわかったんですが、その後がどう繋がるかというところでは最後までわからなかったので、とても謎とき気分で楽しめました。豪華なクルーズの描写も読んでいて楽しかったし、久しぶりに春原先生らしい作品で堪能させて頂きました。先輩たちのカップルもちらっと出てきてますが、彼らのなれそめやいきさつもとても面白そうなので、ぜひともなんらかの形で読みたいものだと思いつつ。…密かに好みなんだけどなあ。

私的評価 ☆☆☆☆
(ただ「舞台が豪華客船」なだけではなく、随所に描写があるのが春原先生ならではですね。そういえば「…」が少なかった気がしたのは気のせいかしら?)

 

 2004年06月09日(水)  笑わない恋人

   ショコラノベルズ   池戸裕子:作  小路龍流:絵

池戸先生のひさしぶりの書き下ろしノベルズです。主人公は、健康食品会社の営業をしているサラリーマン。ある日アシスタントの勘違いで自分の得意先ではないところに行く羽目になります。おそるおそる訪れた先で出会ったのは、サプリメント漬けな無表情な青年実業家。あまりに不健康な彼の生活にびっくりした主人公は、体質改善のための協力を申し出て、実業家のもとへ日参しはじめますが…。

なんだかほのぼのした和み系の作品でした。暗いものを抱えているがゆえに無表情で笑わない実業家と、その彼をなんとか癒してやりたい主人公の少しずつ近寄っていくかのような関係の変化は、読みごたえがあります。脇キャラもけっこう面白くて好きですねえ。最後2人の関係が変わるまでは、油断できなくて(笑)なんだか目がはなせませんでした。ある意味実業家が鈍感といえば鈍感なので、ヘタレ…なのかも?(^^; 

私的評価 ☆☆☆★
(ヘタレ攻好きのツボが半押しぐらいはされてるかも(笑) けっこうしたたかな脇キャラのお話も読んでみたいなあ。)

 

 2004年06月04日(金)  としうえのひと

    ピアスノベルズ   高崎ともや:作  逢坂みや:絵

ひょっとしたら初ピアスノベルズ(笑)です。小説ピアスに掲載されていた作品とその続編、という形で2種類の年下攻めなお話が収録されています。1つはガテン系青年とサラリーマン、もう1つはマンガ家を目指す学生と定食屋のマスターのお話で、ちなみに表題作は定食屋のマスターの話ですね。そういえば、この「としうえのひと」を読みたいがために小説ピアスを初買いして、あまりにあまりな雑誌ぶりに愕然とした覚えが…(笑)

とりあえず、いつもの高崎節健在なんですが、いかんせんレーベルがレーベルだけに、いつもよりも下品度が上がって見えてしまいますねえ。まあ、やってることもいつもより濃いんでしょうけども。根底に「愛」のある濡れ場を書く方なので、それがなにより好きだったんですが(いや、一応今回もあるんですけども)どうもその盛り上がりをイラストがそいでしまうというか、絵柄がどうこうというわけではなくて、コミックスみたいにふきだしつきでコマ割りもしてあるのが気になってしょうがない。正直言えば邪魔になる(^^; 小説読む時は、ある程度頭の中で想像しているので、そこにマンガの手法が出てくるのが気になってしまうんでしょうね。とりあえず、やはりピアスのレーベルは、どうにも私には苦手のようです。

私的評価 ☆☆★
(お話自体はけっこうコミカルで面白いんですけどねえ…。)

 

 2004年06月01日(火)  君の心に天使の輪

    パレット文庫  たけうちりうと:作  今市子:絵

たけうち先生の新シリーズ、というか一応来月発売の分もあわせて同シリーズだそうです。別名「祁内シリーズ」というらしいです。今回の文庫には2編収録されていて、自然界の動物達を撮影する新人カメラマンのお話と、あと研究者のお話になっています。2つの話はまったく別ですが、祁内という人物が共通して登場します。主人公の新人カメラマンは、自分を見込んでくれた企画部長の期待にこたえるような野生動物の映像を撮る事ができずに、ダメだしをされてしまいます。たかが野生動物と思っている主人公の前に、不思議な男が現れ、まるで手品のようなことを次々やってのけた挙げ句に、「デートをしよう」と言い出しますが…。

なんだか不思議なお話でした。超自然的なんだろうなあと思いつつ、きっと祁内は「自然界にいるものたちの神」に近い存在なんだろうなあと思います。なんでもできてしまうため、御都合主義と言われればそうなんですが、普段は忘れているような大切な事を思い出させてくれる、そんな作品です。続編も楽しみにしています。

私的評価 ☆☆☆★
(まあ、多分とても好き嫌いはわかれるんじゃないかなと思う。恋愛よりも、なにかもっと大切なもの、を伝えたいというイメージなので(^^;)

 

 2004年06月01日(火)  恋のしくみ

    パレット文庫   染井吉乃:作   高久尚子:絵

染井先生の久しぶりの文庫です!一応先月発売で最初は予定が上がっていたのですが、諸事情でイラスト変更の上今月に延期になったそうです。全くの新シリーズ書き下ろしというのは随分久しぶりな気がしますね。主人公は兄と2人ぐらしの士峰学園高等部の少年。星のマークを胸にもった黒猫「アクセル」を飼っていて、家事をしながら一生懸命に日々を暮らしています。ある日、アクセルがいきなり姿を消し、懸命に捜しまわる主人公。雨の中をしょんぼり座り込んでいたところに、青空の傘を貸してくれた男性がいました。その後も猫を探し続ける主人公は、だんだんと猫の関連する事件に巻き込まれていきますが…。

染井先生節健在!という感じの、先生ならではの優しさ溢れる作品だったなあと思います。健気でがんばりやの主人公誓は、さり気ないけどめちゃめちゃ頭がいいようです。対する攻キャラの千尋は、大人な面と子供っぽい面を両方もっていて、友人の西崎が全面的に大人部分を担当している分、普段はどうも子供っぽいところが表に…(笑)西崎の名前がわかった時点で主人公の兄との関係もわかったんですが(笑)私はまた兄ちゃん好き病にかかっておりまして(^^; 万里にーさんがすごく気になっております(笑)これからもシリーズとして続くのかな?他のキャラのお話もぜひとも読んでみたいです。

私的評価 ☆☆☆☆★
(意表をついて西崎とにーちゃんカップルってのも…(どっちが受だ(^^;) たくさんあるにゃんこの描写も可愛くて可愛くて、無性ににゃんこを撫でたくなってしまいました(笑) かわりに犬を撫でてこよう〜。)