2005年7月のレビュー

 

 2005年07月30日(土)  束縛トラップ

    ルビー文庫   藤崎都:作   蓮川愛:絵

「トラップ」シリーズの最新巻は、脇キャラとしてかなり注目度の高かった、バーテンダーをしている美人の青年が主人公です。彼は小さいバーで雇われバーテンダーをしていましたが、ある日店でのトラブルに巻き込まれかけたところを、店の客である男性に助けられます。その助けた男性に気に入られ、店のオーナーの借金を肩代わりする見返りとして、店ごと彼のものになった主人公。戸惑いながらだんだん心惹かれていきますが…。

今まで出て来ていた主人公の姿は、この作品よりも時系列がかなり後なので、ある意味非常に初々しい姿が見られて楽しんだ半面、もっと毒舌系なキャラと思っていた期待感(笑)は半減してしまいました。私が毒舌美人受が好きなだけなんですが(笑)意地っ張りはかなりのものなので、彼らの話も今後続いて欲しいなと思います。個人的にはラストシーンが一番ツボにハマったかも。さり気なく強気に出れるようになった主人公が激烈好みです(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(蓮川先生の麗しいイラストも必見。このシリーズは最初から好きなんですよねえ。好みの受が多くて、読んでいてたのしいです。)

 

 2005年07月30日(土)  ボディーガードは口説かれる

    ルビー文庫   高月まつり:作  蔵王大志:絵

高月先生の初ルビー文庫は、ボディガードもののお話です。主人公は美形の新人ボディガード。無表情な彼は、実はものすごく情熱家で、ある有名外国人俳優の熱狂的ファン。ただ、表情がほとんど表に出ないため、感動していても他人には全く気づかれない特技(?)を持っています。ある日幸運なことに、先輩ボディガードと共にその俳優のガードをすることになり、俳優と早速顔をあわせますが…。

プラチナでの吸血鬼ものでタッグを組まれているので、ついふらふらと手にとってしまいました(笑) 今回も、ある意味無茶な要求をする攻キャラと、それに翻弄されつつ、しっかり尻に引いている受キャラという、高月先生の作品としては定番中の定番な展開ですが、コメディな流れとツッコミ所満載な無茶ぶりが、逆にいい味になっている気がします。

私的評価 ☆☆☆★
(いろんなつっこみ所は確かにあるんですが、でもあまり気にならないのも事実(^^; どこかで高月先生の作品はこういうものだ…という固定観念でもあるのかもしれません(笑))

 

 2005年07月30日(土)  彩雲国物語 欠けゆく白銀の砂時計

    ビーンズ文庫   雪乃紗衣:作  由羅カイリ:絵

ここ最近で一番のマイブームになっている彩雲国シリーズ最新巻は、舞台がまた王都に移ります。主人公秀麗は茶州州牧として同じく州牧の影月と忙しい日々を送っています。茶州の復興のため、走り回る秀麗たち。やがて復興のための足掛かりを掴んだ彼らは、その準備のためにもと新年の朝賀のために王都に行くことになります。諸事情から1人だけ州牧が参加する事になり、秀麗が赴きますが…。

やっぱりこのシリーズ好きだなあと実感しつつ読みました。秀麗がモテモテなのもあんまり気にしてないから余計に楽しめるのかも。そろそろ秀麗の嫁入ネタもちらほらとでてきて、面白くなってきましたし、なによりヘタレ王様びいきな私は、ラストあたりのシーンで久々の王様の見せ所があってすごく嬉しかったです。随分動きが出てきたので、次の巻ではかなり物語が大きく変わっていきそうです。次の新刊も、楽しみにしています。

私的評価 ☆☆☆☆☆
(CDも好評で第2段が発売予定ですし、マンガ化もされています。ますます注目したいシリーズになっていきそうです。)

 

 2005年07月27日(水)  レイトショーはお好き?

    キャラ文庫   佐々木禎子:作   明森びびか:絵

佐々木先生の新刊は、雑誌キャラセレクションに掲載された表題作と、その続編書き下ろしが収録されています。映画館を題材にしたお話です。主人公は映画が大好きで将来は映画監督になりたいと思い勉強している青年。ある日ラジオでお気に入りの映画館の持ち主が映画ファンにとって納得しがたいことを言っているのを聞いて憤ります。勢い余って(笑)その映画館の持ち主に会いに行きますが…。

自分で何かを作り出すというクリエイティブな作業をする人は、たしかにどこかエキセントリックなところがある気がします。主人公にしても相手役にしても、反応がこちらが想像しているものとは全然違って、それがなにより面白く感じました。テンポのいい作品で、楽しく読む事ができました。脇キャラもなかなか曲者ぞろいで、この辺りもちょっと気になるなあ。

私的評価 ☆☆☆★
(名前からくる愛称とはいえ、攻キャラの呼び名がなんだかユニークで、それも笑いのツボに秘かにハマッていました。いや、個人的にツボだったんだと思います。だって、甥っこのガールフレンドと一緒なんだよな、呼び方(^^;)

 

 2005年07月27日(水)  御所泉家の優雅なたしなみ

    キャラ文庫   神奈木智:作   円屋榎英:絵

最初は先月のラインナップだったのですが、ずれて7月の新刊になりました。神奈木先生の全編書き下ろしの文庫は、由緒正しい名家を舞台にしたマイフェアレディ(ボーイ?)もののお話です。主人公はバイトで生計を立てている一人暮しの少年。ある日バイト先のファミレスでトラブルに巻き込まれかけます。その窮地を救ってくれたのは、整った容姿をもつ偉そうな態度の青年で…。

かなりの分厚さの文庫で読みごたえがあるこの作品。もともと神奈木先生の作品は好みですが、この作品は特にツボにはまりました。主人公の少年の芯の強さや健気さ、そして相手役や回りの個性的な面々を次々とたらして(笑)いく様子はなかなか爽快な感じで楽しんで読めました。物事をきちっと見据えていて、いい加減じゃないところが凄く好みです。最後のシーンも、恋愛感情に惑わされずしっかり物事を見極められていて、カッコイイ(笑)これからも三銃士をしたがえて(笑)頑張って欲しいです。

私的評価 ☆☆☆☆
(ぜひ、今度は数年後に3人を鞘として認められる話をショートストーリーなんかで読みたいなあと思ってしまいました。)

 

 2005年07月25日(月)  アイはどこいった?

   ダリアコミックス   角田緑:絵

雑誌Dariaに掲載されていた、サラリーマンもののお話がコミックスになりました。主人公はゲイで製薬会社に勤める青年。そこそこ仕事のできる彼ですが、同期にとんでもなく有能で仕事の鬼のような青年がいて、密かに憧れの気持ちを抱いていました。主人公がゲイの遊び相手といるところを、その同期に見られた直後のこと、その有能なはずの青年がトラブルに巻き込まれてしまって、大きな契約を逃しそうになります。逆に問い合わせを受け仕事が上手くいきそうな主人公。八つ当たりをされて、いきなり強引に抱かれてしまいますが…。

最初こそかなり強引だし、攻がとんでもなくいばりんぼで傲慢なんですが、主人公の受キャラがたしかにめげないキャラで、意地を張るせいで強引にしか行動できない攻を理解してやっているからでしょうか、だんだん強引に見えなくなってきて、苦手と思えるストーリー展開なのに、楽しんで読めてしまいました(^^; 書き下ろしでは、さすがの主人公もちょっと弱気なんですが、それでも今度は攻が積極的で(笑)いいカップルだなと思います。


私的評価 ☆☆☆★
(コミカルな表情も、シリアスな場面も、けっこう好きなマンガ家さんなので、楽しく読ませて頂きました。続きが出たら嬉しいなあ。楽しみにしています。)

 

 2005年07月25日(月)  踊り場解放区

    eyesコミックス    後藤星:絵

雑誌コミックアイズに1回だけ掲載され、すぐに雑誌が休刊になってしまったため、半年に1度発売になるアンソロジーに続きが描かれたという、実に5年近い歳月を経て晴れてコミックスになった作品です。未来のある刑務所が舞台のお話。主人公は、なにをやったかなんと懲役120年というとんでもない量刑を受け、刑務所に服役中の少女。ここでは労働として「人力電力」を自転車こぎをしてつくり出すことになっていますが…。

もともと雑誌を読んでいなかったせいもあって、全く初めて読む作品でした。複雑な事情をもつ主人公の、めげない明るさと、その裏に潜んだ辛い気持ちや切実な思いに、なんだか引きずられてしまって、読み終えた後ホッとしたような悲しいような、とても複雑な気持ちになりました。



私的評価 ☆☆☆☆
(独特な世界観は、後藤先生ならでは。エンドマークの彼らを見て、その後を凄く読んでみたくなりました。)

 

 2005年07月22日(金)  シンデレラゲート 〜奇跡のしるし〜

  アクアノベルズ   氏野原鯖彦:作   麻々原絵里依:絵

麻々原先生のイラストに惹かれて手に取りました。どうやら、これが氏之原先生のデビューノベルズのようです。モデルの世界を描いたお話で、主人公は一人暮らしをして、バイトで生計を立てている目立たない青年。バイトしていたところが夜逃げをしてしまい、困っていたところを友人から誘われ、ファッションショーの手伝いに出かけます。そこで彼にとっての運命の出会いが待っていて…。

ちょっと、マイフェアレディちっくな感じもしてしまう(笑)お話でした。主人公がヘアスタイリストに見初められ、モデルとして大成するまでのお話なのですが、モデルになるまでの道が少々安易な感じに見えてしまうのは、しょうがない…かなあ(^^; けっこうなんでも苦もなくできてしまうのが「お話」チックでちょっと残念ですが、それでもめげずに頑張る主人公はとても好感がもてました。どうやら、麻々原先生とは古くからの御友人のようですが、これからもぜひイイ作品をつくり出して欲しいです。個人的には脇キャラカップル(この作品ではまだなってませんが)をぜひとも読んでみたいです。



私的評価 ☆☆☆★
(そういえば、2度目に読んだ時に気がついたんですが、イラストの位置がかなりの枚数入れ代わってしまってるんですね。せっかくのイラストなのに、違和感を感じてしまいます。これは出版社の問題なのかなあ?)

 

 2005年07月15日(金)  大好き

    アクア文庫   染井吉乃:作   南野ましろ:絵

一時期アイス文庫のほうでラインナップに上がっていたものの、雑誌の休刊と共に立ち消えになっていた、ノベルズの新装版が発売になりました!書き下ろしのミニストーリーも追加されての登場です。情報が出て以来、ずっと待っていたので嬉しいです〜。染井先生ファンとしての、原点となる作品だったので、心待ちにしていました。主人公は従兄弟同士で同居している淳と源。でも2人の関係はそれだけではなく、身体を重ねてもいます。しかし、心は決して重なってはおらず、不安定な状態の2人。そんな彼らのバランスを揺るがしたのは…。

たまに読み返したりしているから、余計にわかるんですが、かなりの加筆や修正がありますよね。シーンとしては同じなんですが、言い回しが変わっていたりとか、そのシーンにあまり重要でない部分が無くなっていたりとか、個人的にはかなりの変化を感じました。ああ、今のあーちゃんたちだなあ〜とほんとにしみじみしてしまったです。書き下ろしでは、とても自然にらぶらぶーな彼らが垣間見れて、それも嬉しいです。そういえば、この人たちみんな同年代だったっけ…(笑)というのは書き下ろしを見ての感想でした。



私的評価 ☆☆☆☆☆
(ニカバッタくんも、なつかしいなあ。彼の名前を見ると、どうしてもドリカムの曲が頭を過ります。…私だけじゃないですよね…?(^^; やはり私の原点だなと、痛感した作品でした。)

 

 2005年07月15日(金)  昼も夜も

  ルチル文庫   きたざわ尋子:作  麻々原絵里依:絵

デビュー作品の新装版が書き下ろし続編付きで発売になりました。主人公は甘やかされている、バイク大好きな少年。自分でもレースに参加しますが、なかなか結果が出ません。彼が目標にしているのは、かなりのキャリアを持つトップライダー。憧れのレーサーに会えると聞いて、珍しくやる気になった主人公ですが…。

たしかに、ちょっと今とは違う作風ですね。この作品は読んだことがなくて、初めてだったのですが、きたざわ先生らしさと、若さ?みたいなものを感じました。きっと今のきたざわ先生なら、ここまで突っ走った主人公は書かないのではと思います。どちらかというと思慮深いキャラの方がイメージなので(笑) でも、なかなか魅力的なキャラだし、最初はどうなることかと思ったのですが、段々と真面目にいい感じになってきて、書き下ろしも楽しめました。



私的評価 ☆☆☆★
(多分、イラスト効果もあると思いますが、すごくかっこ良かったです。…そして前のノベルズをなぜ読んでいないかも押して知るべしという感じですな(^^; イラストって結構重要なのだなと思いました。)

 

 2005年07月15日(金)  好きこそ恋の絶対

  ルチル文庫   いおかいつき:作   奈良千春:絵

いおか先生の新刊は刑事と検察官のお話です。天然で純朴な主人公は栄転で刑事として勤めることになりましたが、ラッキーが重なって犯人を捕まえてしまい(笑)栄転に結び付いたとあって本人はあまり自覚がありません。しかも、もともと機動隊に所属したかったというのもあって少々浮かぬ顔。しかし初めて出勤した捜査課の部屋でであったのは、美人でキレ者の検察官で…。

これぞヘタレ攻と言わんばかりに見事なヘタレっぷりで、なによりそれが楽しかったです。意外な二面性を持っている受も男前でカッコイイです。ヘタレだけど事件に真面目に向き合い、でも自分の知っている人間のためなら、事件を差し置いてでも行動してしまう、ある意味お人好しな部分もツボだし、恋愛が絡むとあわあわしてしまうのがとても主人公らしくてほほえましく読みました。


私的評価 ☆☆☆★
(そういえばあとがきに、いおか先生のペンネームの由来が書いてあって、なるほど!と納得。さぞかしこの作品の受キャラは愛情たっぷりに書かれたことでしょう(笑))

 

 2005年07月15日(金)  彼のあまい水

    ルチル文庫   神奈木智:作   奥田七緒:絵

神奈木先生の新刊は、全編書き下ろしの年の差カップルのお話です。主人公はわりとカッコイイとモテる部類に入る高校生。同級生の小悪魔美少年と付き合っていましたが、いきなりフラれてしまいます。ショックを受けたものの、すぐに気になる人が現れます。それは予備校の近くにある喫茶店のマスターの青年。七才年上ですが美人なマスターにほぼ一目惚れ状態だった主人公は、アプローチをしますが…。

ちょっとコメディチックな感じもあるどたばた恋愛劇です。やっとお互いの気持ちが通じ合ったと思ったら、次はどっちが下か(笑)という問題が振りかかるし、お邪魔虫が出てくるし、最後までどたばたとあがいているお話でした(笑)私は当然年下攻めと思って読みはじめましたが、さて、結果はいかに(笑)それ以外にもいろいろ壁が立ちはだかっていますが、多分主人公たちは思い悩んでぐるぐるしまくってるんでしょうけども、読んでいる側からしたら、些細なことなので(笑)全体的にほのぼのしていて、楽しんで読めました。


私的評価 ☆☆☆★
(取りあえず年下好きだとより楽しめそうです。小悪魔くんもなかなかイイ味だしてて好きだなあ。)

 

 2005年07月15日(金)  ひめやかな殉情

    ルチル文庫   崎谷はるひ:作   蓮川愛:絵

リーフノベルズで発売されていた「ひそやかな熱情」のシリーズがルチル文庫で発売になりました。リーフでは出会いから恋人になるまでが描かれていましたが、この作品は既に同居を始めて1年が経過した、ある意味落ち着いた彼らに振りかかる事件を描いています。主人公は刑事として日々走り回っている美貌の青年臣。新進気鋭の画家の青年慈英と共に暮らしています。ある日町中で連れ立って歩いていた二人に、慈英の大学時代の友人だという男性が声をかけてきますが…

リーフで出ていた話がすごく好きで、続編を読みたいと願っていた作品だったので、嬉しいです。書き下ろしがほとんどですが、慈英の高校時代を描いた同人誌「夏の日のトルソー」も収録されていて、慈英の変貌ぶりがわかってなかなか面白いです。どこか一般人とは異なるところを持つ二人の結びつきは、だからこそとても強くて、でもなんだか刹那的なものも感じさせる…、彼らの持っている心の中の傷や欠けた部分がそう思わせるのかもしれません。どうやら前作もいずれルチル文庫で発売になるようですし、続編も期待できそうなので、楽しみに待ちたいと思います。

私的評価 ☆☆☆☆★
(前作のサブタイトル「さらさら」がすごく印象的でした。今回サブタイトルがないのが残念な気がします。ヒゲネタも健在で(笑)とても楽しかったです。)

 

 2005年07月12日(火)  暗夜の獣 闇の抱擁・光のキス 3

    クロスノベルズ  洸:作  緒田涼歌:絵

ファンタジー「闇の抱擁・光のキス」シリーズの三冊目になります。今回は主人公ニコルと恋人の剣士ローランド、そして親友の預言者アルヴィンと傭兵クラウドの四人で、魔剣を捜す旅に出ることになります。不吉とも思える予知夢を見たニコルは、その予知夢をアルヴィンに相談します。アルヴィン自身も不吉な夢を見ていた事から解決に繋がるかもしれないと魔剣探しをすることになり、受2人に結託されてしまってしょうがなく(笑)ついて行く事になったローランドとクラウドですが、意外な事実が発覚して…。

最初は「獣」と聞いて絶対クラウドだとばかり思ってたんですが(笑)まさか彼とは思いも寄らず、びっくりしました。ニコルの粗忽さは相変わらずですが、素直さも相変わらずで(笑)ローランドでなくとも可愛くてしょうがないでしょうねえ。可愛がられてるんだなとしみじみ思う作品になっていました(笑)ローランドとクラウドも、なかなかのナイスコンビで、息が合ってるなあとしみじみ。…あんまりリアルには想像してませんが(笑)もしも万が一この2人、どうにかなったら、どっちが攻なんだろうと余計な事を考えてしまいました(笑)場数を踏んでいるのはクラウドだから、やっぱりこっちに軍配が…?(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(でも最強なキャラは実はアルヴィンだというのはファイナルアンサーでしょうか(笑)アルヴィンには、絶対誰も勝てそうにないです(^^;)

 

 2005年07月04日(月)  焦がれる愛のリミット

  X文庫ホワイトハート  和泉桂:作  高久尚子:絵

プライスシリーズで脇キャラとして存在感を示していた美貌の兄怜史のお話がようやく発売になりました。前回の新刊で同じ高久先生が挿し絵だったので期待していて違うお話だったという落胆を経験しているもので、嬉しさもひとしおです。主人公は老舗デパートを含め、様々な会社を経営する名家の次男。クールな美貌と優れた頭脳、有能な仕事ぶりで周りに注目を浴びる存在です。しかし、ある日偶然再会した従兄の威彦は、忘れたいのに忘れられない、高校時代の苦い思い出の相手で…。

兄キャラ好きな私はこの作品を正直一番待ち望んでおりました(笑)誰とカップルになるのかすごく気になっていたので、ようやく読むことが出来て嬉しいです。相手が今まで出てきたキャラではなかったのは残念ですが、意地っ張りな受はかなり好みで、楽しんで読めました。多少強引な展開と思えなくもないですが、それでも最後まで意地っ張りだった受が素直になる瞬間は、なかなか見ごたえがありました(笑)…なんかマニアな発言ですか…?これって(^^;

私的評価 ☆☆☆☆
(意地っ張り毒舌美人受はやはりツボストライクど真ん中だったようです(笑)威彦はあまりヘタレではないですが、結構蓋をあければ優しいキャラだったので、満足度も高いです。)

 

 2005年07月01日(金)  永遠に似た瞬き

   コバルト文庫   麻生玲子:作   片岡ケイコ:絵

ほのぼのカップル西野&白川シリーズの最終巻になります。大学生活もだんだん「就職活動」が中心になってきて、将来のことをいろいろと考えはじめた主人公たち。よき隣人の小池も就職が決まり、環境の変化が訪れます。久しぶりに白川は海外へ行く事になり、恋人同士になって初めて離れ離れになった二人は、今までとは違った思いでお互いのこと、自分たちのこれからのことに思いを馳せますが…。

最後までほのぼのは変わらないんですが、とても第1巻からは考えられないぐらいに、白川が成長していてちょっと感動(笑)よくぞここまで育て上げた!と、西野を褒めてあげたい気持ちです。他人より時間がかかったとしても、二人がゆっくり育んだ気持ちはきっと変わらないんだろうなと、安心と共にエンドマークを見守りました。ほのぼのしたとても柔らかい色調を感じる作品でした。多少焦れったいかもしれませんが、穏やかな作品が好きな方はぜひ読んでみて下さい。


私的評価 ☆☆☆★
(実は最後まで、ちゃんと本を見ないと「西野」とかけませんでした(通常レビューを書く時は記憶を頼りにしています(笑)あとから添削(笑))白川は書けたのになんでだろう(^^; 西だけは合ってたんですけどね。西野ごめんよ…(^^;)

 

 2005年07月01日(金)  緑のアルダ 龍の島

   コバルト文庫  榎木洋子:作   唯月一:絵

ようやく、ここまで来たなという感じのする「緑のアルダ」シリーズ。ミズベへ入り、ミズベの王リダーロイスと話し合って、守龍を得るだめに何をすべきかを相談したアルダたち一行。1千年の沈黙を破って何が起きたのかを語りはじめた地狼ヨールに、耳を傾けた龍たちは、かつて現実にあった悲しい出来事を知り、またくり返さぬためにも、厳しい試練をアルダたちに与えますが…。

うわーん(T_T)やっぱりヨール側からの目で見た彼らはとても辛いです…(T_T) 正直、ヨールの話の所で泣きそうになってしまいました。「龍と魔法使い」の時にはここまではっきり「呪い」の言葉が書かれてたかしら…と、またもや「読み返したい病」に取り付かれてしまいました。そして、アルダたちの頑張りも泣けてくるぐらい一途で、ラストシーンは本当に感動しました。龍と魔法使い、そしてリダーロイスシリーズを読んでいるからこそわかる感動かもしれません。もしこのシリーズしか知らない人は、ぜひとも全部まとめて読んで欲しいですね。この巻の感動は、全部読んでこそ、かもしれません。

私的評価 ☆☆☆☆★
(ついつい力が入ってしまいました(笑) なにより「龍にとって禁忌の場所」でなくなったのが本当に嬉しい。今まで読んできて良かったなあと実感しています。)

 

 2005年07月01日(金)  天鵞絨(ビロード)の仮面

   パレット文庫  松岡なつき:作 櫻井しゅしゅしゅ:絵

先月の発売予定になっていたのですが1ヶ月延びました、松岡先生の新刊です。…たぶん初パレット文庫ではないと思うのですが…他に既刊が載ってないですね(^^; お得意の中世を舞台にした騎士のお話です。主人公はフランスの国王直属の銃士隊に所属する青年アルノー。同じ銃士隊に所属している同僚であるジャンは、女性との噂が絶えず、また既婚者に限定しているせいもあって、配偶者との決闘なども日常茶飯事となっています。その介添えを頼まれたアルノーは、相手側の介添え人に失礼な態度をとられ、彼らも決闘する羽目になります。相手のひきょうな態度から、手加減ができず死にいたらしめてしまったアルノーは…。

ちょうどフランス王政の最盛期のお話で、複雑な人間関係や政治的手腕に翻弄されながらも己の信じた道を突き進もうとする主人公の男前っぷりが素敵です(笑) ある意味ヘタレ攻めな気がするこの作品ですが、いいコンビで読んでいてもワクワクできて楽しかったです。続編は難しいかもしれませんが、きっと彼らならば数々の名誉ある功績を打ち立て、2人で頑張っていく事でしょう。

私的評価 ☆☆☆★
(きらびやかなイラストがぴったりでした。当て馬になってしまったキャラが実は一番お気に入りで(笑)彼のお話も読んでみたいなあ。とくに過去の失敗ネタなんかぜひ(笑))

 

 2005年07月01日(金)  流れる星をおいかけて

   パレット文庫   染井吉乃:作  高久尚子:絵

久々!の染井先生の新刊が登場しました〜。最初情報が出た時には、「恋のしくみ」の続編とばかり思っていたのですが、実は全く関連はなく、新作とのことで、読んでビックリ(笑)でした。芸能界を舞台にしたお話で、主人公真知はある映画の撮影のため日本へやってきた若き俳優。個人的にとてもファンである共演の俳優大河が気になっているものの、事情があり親密な態度をとることができません。逆に熱い視線を送られつつ遠巻きにされることにだんだんと煽られていく大河は…。

多分、今までの先生の商業誌作品の中で一番たけなわシーンが多い作品になったのでは?と(笑)思いつつ。真知と大河の関係は実は異母兄弟なのですが、全然似ても似つかない(笑)ためでしょうか、苦手分野にもかかわらず、わりとすんなり読めてしまったです。作中での映画撮影シーンが、凄くかっこ良くて、「これ、映画で見たい…」と思ってしまいました。非常にビジュアルで浮かびやすい作品でした。今も、頭の中で彼らが動いている気がする。なんだか不思議な感覚の作品です。

私的評価 ☆☆☆☆
(ラストシーンの真知がそれまでとは全く違う印象で、思わず大爆笑。さすが真知、そう来るか!と最強っぷりを改めて感じさせてくれました(笑))