2006年1月のレビュー

 

 2006年01月30日(月)  彩雲国物語 光降る碧の大地

   ビーンズ文庫   雪乃紗衣:作   由羅カイリ:絵

2ヶ月待ち焦がれていました、彩雲国物語の茶州編…というより影月編のクライマックスとなる8巻が発売になりました。デビュー作がもう8冊目を数え、4月からはアニメになるというのも、すごいですよね。それだけ支持があつまっているんだろうなと思います。前作で影月の意外な過去、そして彼のもつ宿命と、奇病が発生し、王都にいた秀麗はできるだけのことをして、茶州へと向かいますが…。

いやはや、今回はいろんな意味でハードでした…。秀麗の決意もつらかったし、影月たちの気持ちもつらくて、半分以上べそかきながら読んでた気がします。解決…というか、結局の所は仙人ネタに行ってしまうのはちょっと残念ではあるんですが、きっと一番言いたいところはラストシーンだったのかな…と思いつつ。本気で泣いてしまいそうになった、ほんとうに胸に来るシーンでした。…相当秀麗に感情移入してるんだな、私(^^;

私的評価 ☆☆☆☆★
(次の新刊は4月で、番外の短編集のようです。アニメも始まるし、楽しみですね。)

 

 2006年01月28日(土)  コルセーア 〜風の暗殺者〜

   リンクスロマンス  水壬楓子:作   御園えりい:絵

雑誌「小説リンクス」に3回連載された「コルセーア」シリーズの続編になります。前作にて育ての親セサームとの再会も果たし、アヤースとの幸福な日々を過ごしていたカナーレ。しかし、あるきっかけでセサームがまたもや自分が属していた暗殺集団シャルクに命を狙われていることを偶然知り、なんとかして助けたいと独りで船を離れセサームの元へ向かいますが…。

なにがって途中に出てくるショッキングなシーンに本気でびっくりしたのを今でも覚えています。「そんなわけはない」とわかっていても、カナーレに感情移入していると本気で泣きそうになったりして(笑)ちょうど2回目の連載のラストシーンでもあったので余計ですね。今回は待たされることもなく、すんなり読めたし知ってるし、そこまでショックはありませんでしたが。書き下ろしで事件直後のラブラブっぷりがわかるエピソードも掲載されているので、雑誌掲載を読まれている方にもオススメです。

私的評価 ☆☆☆☆
(だんだん、バカップルちっくになってきているのもおかしいです(笑)3日も部屋から出ないってどうよ(^^;)

 

 2006年01月27日(金)  スーツのままでくちづけを

   キャラ文庫   池戸裕子:作   横井里奈:絵

雑誌「キャラセレクション」に掲載された表題作と、続編書き下ろしが掲載されています。主人公は一流の男性向けブランドショップにつとめる青年。ショップの先輩にあたる青年と恋人同士ですが、新店舗立ち上げのため転勤していて、1年の間遠距離恋愛を続けていました。無事に新店舗も開店し、晴れて戻ってくることになった恋人。嬉しい主人公なのですがなぜか微妙に距離感を感じ、不安を抱いています。そんな最中、新入社員が入って来ますが、なんとそれは恋人を慕って無理に転勤してきたという事情らしくて…。

完璧な恋人なんてものはこの世に存在しないと思ってもいいと思うんですが(たまにBLの世界には存在しますが(笑))そのイメージにどうしても固執してしまう攻の躊躇と、そんなこととは思いも寄らなくて一生懸命に攻を恋い慕う受の一途さがすれ違うというある意味定番な展開ながらも、やはり楽しませてくれる作品でした。定番ならではの「安心できる展開」というのはあるので、こういう定石なお話もたまにはいいよな、と思います。

私的評価 ☆☆☆★
(ワガママな外人の専務にはちょっと腹が立ちましたが(^^; 仕事のシーンもしっかりかっこ良かったし、読んでいて楽しい作品です。)

 

 2006年01月27日(金)  灼熱のハイシーズン

   キャラ文庫   秀香穂里:作   長門サイチ:絵

秀先生の全編書き下ろしの新刊は、旅行会社が舞台のお話です。主人公は念願通り、大手旅行会社に就職できた新人サラリーマン。しかし専門外な地域の担当になってしまい、しかも上司は過去に一度酔っ払った勢いでとんでもないことをしでかしてしまった相手。どうしてもその時の記憶を忘れられない主人公は、厳しくあたられながらも上司に興味を抱きはじめますが…。

ちょっと主人公が考えなしすぎていたたまれない感じです(苦笑)まあ、新人だから仕事ができない部分はさておき、あまりに感情垂れ流しすぎて段々恥ずかしくなって来ました(笑)仕事の描写はけっこう好みなんですが、主人公もっとしっかりせーよと思ってしまうあたり、どうも好みからは外れていた模様です。攻キャラと脇キャラは好みだったんだけどなあ…。お話のテンポはよくて楽しかったので、脇キャラ主人公のお話も読んでみたいなと思いつつ。

私的評価 ☆☆★
(タヒチに行ったりするシーンがあるから「灼熱」なのかな?タヒチというとどうしても絵画が頭に思い浮かぶ私です。)

 

 2006年01月27日(金)  刑事はダンスが踊れない

    キャラ文庫   洸:作    香雨:絵

雑誌Charaに掲載された表題作とその続編書き下ろしが掲載されています。L.A.を舞台にしたちょっとサスペンスちっくなお話です。主人公はL.A.の市警殺人課に所属する有能な刑事ジャック。大学生の不審死を捜査している際に、日本人の大学助教授に出会います。捜査の中で疑う要素の多い人物であるにも関わらず、動じない彼に興味を抱き、だんだんと惹かれていくジャックですが…。

L.Aが舞台とはいえ、ナチュラルに銃を撃つ話が出てくるぐらいであまり特別な感じはないですね。飄々としていて、なんだかつかみ所のない受に振り回されつつ惹かれていくのを止められない主人公が楽しいです。もうちょっと単細胞でない主人公ならもうちょっと好みだったんですが、直情的すぎて残念。キャラの好みの問題ですね(苦笑)続編も紆余曲折あって、トラブル招き猫(笑)な受が笑えました。

私的評価 ☆☆☆
(ここ最近ずっともうキャラを買ってないので、実は初めて読みました。こんなところで「雑誌買ってないんだなあ…」と実感(笑))

 

 2006年01月25日(水)  傲慢な純愛

    ショコラコミックス     宗真仁子:絵

宗真先生の初ショコラコミックスです。雑誌「小説ショコラ」や「COMICショコラ」に掲載された読みきりを収録した短編集が発売になりました。ほぼサラリーマンを扱ったお話で、キャラの年齢層は高めです(笑)表題作はゲイであることを隠しているごく一般的なサラリーマン。最近上司になった男前のエリート部長が、終業と同時にやってきては誘いをかけてきて困惑しているのですが…。

主にイラストでのイメージがつよい宗真先生なのですが、やはり大人の男性を描かせたらぴか一ですなあ…。スーツ姿のキャラがどれもかっこよくて素敵です。お話の中で、けっこうオヤジな年代と思われる攻キャラも出て来たりするし、大人なお話の中でもけっこうバラエティ豊かで、楽しんでよめました。

私的評価 ☆☆☆★
(宗真先生のイラストといえばどうしても私は千歳さんが浮かんでしまうのですが(笑)私の宗真先生の原点のようです。)

 

 2006年01月17日(火)  不遜で野蛮

  ビーボーイノベルズ   岩本薫:作  円陣闇丸:絵

岩本先生の新刊は、「不器用な純情」のシリーズになります。警察が舞台のお話です。主人公は有能ではあるものの型破りでゲイだとカミングアウトをしている刑事。やむをえない事情から、過去に一度同い年の上司として過ごしたことのある警察庁のエリート警官と一緒に張り込みの捜査をすることになります。過去にいろいろといきさつがあったせいもあって2人ともぎこちない再会でしたが…。

シリーズとはいっても、主人公がシリ−ズ最初の攻キャラの弟というだけで、一瞬そのお話が出てくるぐらいなのでほとんど独立したお話として考えていいので、前のお話をしらなくても大丈夫だと思います。1月はビーボーイノベルズが「ツンデレフェア」だったらしく(笑)まさしくそんな感じの受キャラで、楽しく読めました。意地っ張りで美人で、でもけっこう純情なところもあって可愛げがあります。攻キャラもかっこいいんですが、ヘタレ要素も満載(笑)でかなりツボにはまりました。円陣先生のイラストも色っぽくてぴったり。ぜひまた続きが読んでみたいです。

私的評価 ☆☆☆☆
(ちなみに、「眼鏡受」も同時フェアだったそうです(笑)<ツンデレフェア 受はメガネかけてますね、たしかに(笑))

 

 2006年01月17日(火)  しなやかな熱情

   ルチル文庫   崎谷はるひ:作  蓮川愛:絵

リーフノベルズで発売になっていた「しなやかな熱情」の出会い編がルチル文庫で再版になりました。同人誌になっていた出会いの後のお話も収録されていて、お得な(笑)1冊になっています。主人公慈英は新気鋭の画家でしたが、営利的な考え方をする画商と合わず、初めての個展で失敗し、傷心のままN野へと足を運びます。その先で刑事である臣と出会います。綺麗なくせに乱暴な臣に惹かれていく慈英ですが…。

シリーズの最初ということで、リーフノベルズの時から好きな作品だったのでこうしてまとめて読めるのは嬉しいです。蓮川先生の麗しいイラストと相乗効果で凄くお気に入りだったので…。以前の作品そのままではなくて加筆訂正されているようですが、濡れ場シーンは以前の方が淡白(?)だったので、その辺り書き換えてある…のかなあ…。私はあまり濃い感じでない方がすきなんですが(笑)まあ、ある意味刹那的な2人の今後を、楽しみにしたいと思います。

私的評価 ☆☆☆☆
(すっかりストップしてしまったと思っていた作品だけに、こうしてシリーズとして読めるのは嬉しいです。)

 

 2006年01月17日(火)  やさしく殺して、僕の心を。

   ルチル文庫   神奈木智:作  金ひかる:絵

最初は11月の新刊予定でしたが、遅れて1月発売になりました、神奈木先生のシリーズもののお話の1冊目です。主人公は美貌を武器に男専門のジゴロとして生きて来た青年。しかし、トラブルに巻き込まれてしまい、刺されそうになったところをエリートっぽい男性に助けられます。その場はそのまま別れたものの、またもやトラブルで今度は実際に刺されてしまった主人公。前に助けてくれた男性がまた助けを差し伸べてくれますが、実はその男性は暴力団幹部で…。

勝ち気でいじっぱりで美人な(笑)トラブルメーカーくんが好みでいい感じです(笑)相手の暴力団幹部も、男前でクールなんですが、微妙に主人公に振り回されているので、落差があって楽しいです。個人的に好みだったのはほかのキャラなんですが(ヘタレ攻ですな(笑))これも今後のシリーズの中でお話がありそうなので楽しみです。金先生のイラストもワイルドで素敵です。ついつい「真夜中〜」シリーズと被ってしまいそうですが、特別ゲストで出て来てくれたりしないかな(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(次回は暴力団の次期組長予定の青年と幼馴染みのモグリの医者(笑)だそうです。3月発売予定かな?楽しみです。)

 

 2006年01月13日(金)  恋花は微熱に濡れる

   ダリア文庫   崎谷はるひ:作  冬乃郁也:絵

ダリア文庫としては、初なのかな?崎谷先生の新作…というより、同人誌のリライト作品です。元は「春恋歌」というタイトルの同人誌で、「恋はあせらず」の脇キャラ本だったようですが、当然恋はあせらずのキャラたちは全て削っているため、全く違う作品になっている…らしいです。実は元の同人誌はもっておらず、比べようがないです(笑)主人公は茶道や華道の師範の孫息子。小さい時から虚弱体質のため、あまり運動もできず引っ込み思案でした。その彼の世話をよくしてくれたのは近所の年上の友人。いつしか彼に憧れの気持ちを抱きますが…。

兄貴分の青年との距離を図りかねて悩む主人公ですが、ちょっと後ろ向きすぎな感じはあるものの、共感はできるなと思いつつ。いろいろ気をまわせちゃう周りの機転は効きすぎかもしれませんな(笑) 兄貴分としての庇護欲と恋愛としての欲とに振り回されてるにーちゃんもヘタレちっくな感じで笑えます。内容はけっこうハードなんですが、蓋を開けてみれば誰もがわかっていたのに本人たちだけ知らなかった恋のお話になっていました(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(冬コミで先行発売していたのをお願いして買ってもらっていたので、正規の発売日より早くレビューするとこだった(^^; 2週間も早かったんですよねえ。)

 

 2006年01月13日(金)  ある日 空から突然に。

     アクアコミックス    暮越咲耶:絵

アンソロジーに掲載されていた表題作のシリーズがコミックスになりました。主人公はごく普通の少年。しかし、家路を急ぐ彼に雷が直撃し、病院で目が醒めます。幸い怪我はなかったものの、ヘンな人間が見えるようになってしまい、しかもそのヘンな人間は雷獣で、主人公が自分の真名を奪った巫女の生まれ変わりだと言い出しますが…。

すごくファンタジーなネタなんですが、わりと読みやすいです。テンポが良くコミカルな感じなので、随所でくすっと笑ってしまいます。まだ続刊予定のようで、ようやく全員キャラが登場して終了なのですが、これからどうなるのか、楽しみです。個人的には書き下ろしのお話が凄く好きだ(笑)とくにてるてる坊主で錯乱してるあたりが凄く面白かったです。

私的評価 ☆☆☆☆
(もともと暮越先生の絵も好きですが、テンポのいいお話も好みなんですよね。キャラクターが可愛くて楽しいです。)