2006年2月のレビュー

 

 2006年02月28日(火)  官能小説家

   ルビー文庫   藤崎都:作   蓮川愛:絵

藤崎先生の三ヵ月連続刊行の文庫一冊目です。主人公は文芸誌の編集部に勤める新人編集者。幼い頃のトラウマで男性接触恐怖症になっています。ある日編集部の上司に連れられて気難しい作家に挨拶に向かいます。しかし向かった先はなんと主人公の実家の温泉旅館。そこで運わるく作家に怪我を負わせてしまった主人公は…。

ストーリー的には割と解りやすくて(笑)展開が読めてたというのもあって、安心して読んでいました。主人公のトラウマの原因はたいしたことではないのですが、そんな程度で恐怖症がなくなるというのは安直すぎますね(^^; まあBLマジックと言うことで(笑) 意外に作家の性格が可愛かったのが笑えました。しかし、エロシーンの口述筆記なんか、考えただけでありえない…(笑)


私的評価 ☆☆☆★
(蓮川先生のイラストが相変わらず麗しいです〜。今までのシリーズよりも年齢があがっているから、しっとり系な感じです。)

 

 2006年02月28日(火)  その手に夢、この胸に光

   シャレード文庫   椹野道流:作   唯月一:絵

ラブラブバカップルな(笑)メス花シリーズもはや5冊目になりました。アメリカでの江南の留学も一段落したことから、日本へ帰国することになった江南と篤臣。元の職場に復帰した2人ですが、復帰早々江南の所属する消化器外科での教授選が始まってしまいます。江南は自分の信念を曲げられないと、下馬評では圧倒的に不利と言われている助教授側につくことを決めていて…。

アメリカにいた間は、のほほんとしていた2人ですが、日本に帰って来たとたんに生臭くなりましたねえ(苦笑)まあ、「白い巨塔」じゃないけど、やっぱり学閥というのは本当に存在してしまうものなので(^^; 妙にリアルに感じてしまいました。いろいろ父の話を聞くから余計かな。どうなるんだろうと思っていたら意外な収束の仕方をしたのがあっけなくてびっくりでした。…っていうか、こんな教授やだよなあ…(笑) 書き下ろしの夏祭り編もほのぼのしていて楽しかったです。

私的評価 ☆☆☆★
(やはりホームドラマよりはしっかり医療現場が舞台の方が読みごたえがあって満足度も高いです。すれ違ってても、ちゃんと「医者」な2人が男前でいい感じ。)

 

 2006年02月25日(土)  FLESH&BLOOD 9

    キャラ文庫   松岡なつき:作   雪舟薫:絵

ようやく発売になった、人気シリーズ「FLESH&BLOOD」の9巻です。どうやら延期になっていたのはイラストの雪舟先生の事情なのか、表紙、扉絵ともに同じ雑誌掲載のイラスト(扉絵は表紙のモノクロバージョン)なうえ、本文にはいっさいイラストがありませんでした。少し寂しい気もしつつ…。前作で、ビセンテの手に落ち、スペインへと連れ去れられてしまった海斗。なんとかして助け出そうとジェフリーらも手を尽くし、助けが来るのを待ち望みながらスペイン王宮へと足を踏み入れる海斗ですが…。

すっかりビセンテの独壇場になっていて、ジェフリーファンにはちと寂しい展開です。ちょびっとしか出番がなーい!(笑)ビセンテが必死に優しくなろうとしていて、海斗も状況が状況だけに、だんだんビセンテの優しさにほだされていて気が気じゃないです。はやくジェフリー助けに行ってくれ〜と思いつつ。まだまだ続きそうなので、早く続きが出てほしいなと切に願っています。

私的評価 ☆☆☆☆
(雪舟先生、体調でも崩されているのでしょうか?ほかの本の予定もずれているようです。雪舟先生のイラストも込みでの「F&B」シリーズなので、早期復帰を心からお祈りしています。)

 

 2006年02月25日(土)  花婿をぶっとばせ!

    キャラ文庫   愁堂れな:作   高久尚子:絵

全編書き下ろしのサラリーマンもののお話です。主人公は自動車会社に勤める青年。大学時代からつきあっていた恋人がいましたがいきなり「結婚することになった」と別れを告げられます。納得できずにもう一度相手のマンションへ向かった主人公は、恋人のマンションの部屋で一人の男と鉢合わせしてしまいます。状況が状況だっただけにてっきりその男も自分と同じ境遇だと思い込んでしまった主人公。同じ境遇のよしみで…と飲みにいくことになりますが…。

主人公も思い込みが激しい感じですが、相手もそれを逆手に取ってなんとか振り向かせたいとじたばたしていて、面白かったです。主人公の気持ちが変わるのが思っていたよりもかなり早かったりするのはちょっとだけ不満ですが、まあ許容範囲内…かな?と思います。最初こそ「なんてやつだ」と腹立たしく思っていた元彼も、最後の顛末を読むと思わずニヤリとしてしまい、許せてしまいました。意外な展開もある、ちょっとサプライズなお話です。

私的評価 ☆☆☆
(高久先生のイラストがすごくハマっていて良かったです。個人的にラストシーンでの痣つき元カレに大笑いでした。)

 

 2006年02月21日(火)  夜情にゆだねて

   花丸文庫   秀香穂里:作   ヤマダサクラコ:絵

秀先生の新刊は、旅館が舞台のお話です。主人公は、旅館を経営する家の次男として生まれ育ち、東京で大手出版社の編集者として働いていた青年。兄が男と駆け落ちなんていうものをやらかした挙げ句、そのショックか父親が倒れ、急遽老舗旅館の主人として働くべく実家へと戻ります。四苦八苦しつつ主人として頑張る主人公に、最初は辛くあたっていた料理長の青年も、段々態度が変わって来て…。

着物満載な(笑)和風のお話でした。最初こそあまりやる気が見えない主人公ですが、だんだんと主人としての責任も出て来て、真面目に旅館経営に向き合う気になってくるので、読んでいても好感がもてます。料理長も仕事に対して誠意があるし、2人で二人三脚で頑張って、旅館経営が上手く行くといいねえ…という感じでしょうか。当て馬キャラはとんでもなく嫌なやつでしたが(^^; もっとこてんぱんにやっつけてもかまわなかったのでは、というぐらい私は気に入らないキャラでした(笑)ざまあみろ〜。

私的評価 ☆☆☆★
(兄カップルもなかなか好みな感じの2人だったので、もし続きが出るなら兄カップルのお話が読みたいなあと思いつつ。)

 

 2006年02月21日(火)  追いつめたい

    花丸文庫   きたざわ尋子:作  赤坂RAM:絵

「だまされたい」シリーズのなんと9冊目になりました。もともとの本編は1冊しか出てないのにねえ(笑)片瀬の籍に入り、紆余曲折ありつつもラブラブな(本人は否定しそうですが(笑))生活を楽しんでいた深里。派遣会社の仕事もやりがいがあり一生懸命頑張っています。そんな中、またもや片瀬にトラブルが発生したようで、本人の「巻き込まれたくない」希望は関係なく、思いっきりトラブルに巻き込まれてしまう深里ですが…。

とりあえず、やはしトラブル召喚体質なのだなと(笑)<深里>まあ、相方が片瀬じゃしょうがないんでしょうけど、定番化してきてますね、片瀬のトラブルに深里が巻き込まれて片瀬が助けるという…(笑)そしてどんどん片瀬の助け方がなんでもありになっていってる気がします(笑)2人とも素直じゃないからなあ…。今回の深里はモロ被害者だったけど、まあ、片瀬の傍にいる限りしょうがないんでしょう。進展があるのかないのか、ギモンなカップルですが、それが味なのかもしれません。

私的評価 ☆☆☆★
(個人的に、今回本編カップルが出番が多くて楽しかったです(笑)信乃が好きなので、イラストもあって嬉しい♪)

 

 2006年02月10日(金)  臆病な背中

  ディアプラス文庫  おのにしこぐさ:作 夏目イサク:絵

小説ディアプラスに掲載された表題作と続編書き下ろしが掲載されています。大学生同士のお話です。主人公は愛想が良くて元気印な大学生。気さくな人がらで皆に好かれています。そんな彼が、いきなり友人から「好きだ」と告白されていまいます。告白したものの「気にしなくていいよ」とあまり返事を期待していないようすの友人に、却って気になってしまい、だんだんと惹かれていく主人公ですが…。

等身大の大学生、という感じが非常に出てて、読んでてとても楽しかったです。主人公の気持ちがとても良く伝わってくるし、相手の躊躇もわかるし、非常に感情移入しやすい作品だったなと思います。テンポもいいし、読み終えて「楽しかった〜」という満足感がしっかりあってなんだか得した気分です。キャラの男前度も高いからかな?

私的評価 ☆☆☆☆
(初文庫とのことなのですが、デビューは6年ぐらい前なのだそうです。今回の主人公たちも素敵だったので、できたらまた続きが読んでみたいなあ…と思いつつ。)