2006年3月のレビュー

 

 2006年03月31日(金)  藍より出でて青 彩雲国物語

  ビーンズ文庫   雪乃紗衣:作  由羅カイリ:絵

アニメ化もされて人気沸騰中の中華風王宮ファンタジーの番外編2作目です。茶州の混乱が一段落したということで雑誌「The Beans」に掲載された短編に加筆訂正をして書き下ろしと一緒に収録されているようです。雑誌掲載分は、会試直前に王都へやってきた龍蓮を巡る大騒ぎと茶州での一コマを描いたお話、書き下ろしは茶州の件が一段落した後、龍蓮が秀麗たちを誘って出かけたピクニック(?)のエピソードになります。

前作までが果てしなくシリアスだっただけに、ホッとするような、拍子抜けするようなそんな1冊になってしまいました。相変わらず王様が健気に一生懸命で適度にヘタレで、マイツボを押しまくってくれていて彼らのこれからがすごく楽しみでなりません。ただ、文中に少し不安材料があって、心配なんですが…。秀麗もどう考えても王様への思いがあるみたいなのに、なんで「ダメ」なんだろう?かなり気になる言葉だったので、心配もしています。王様には幸せになってほしいんだけどなあ。

私的評価 ☆☆☆☆
(アニメも見ました。声優さんも3爺以外はほぼCDと同じキャストで、安心して見ることができました。…静蘭だけは声が甘すぎてちょっとイメージとは違うんですが…(^^;)

 

 2006年03月31日(金)  恋は上手にあどけなく

   ルビー文庫   崎谷はるひ:作  高永ひなこ:絵

白鷺シリーズの最終巻になります。40年前の確執の決着と、志澤と藍の2人に降りかかる災難とが描かれています。主人公藍は有名日本画家の祖父を亡くし、絵の管理や相続も含めて、志澤グループに世話になることになり、それがきっかけで恋人である知靖と知りあい、同居をはじめて付き合うようになります。その過程の中で、自分の祖父の絵と自分の父に執着する老人がいて、知靖が実害を被っていることを知った藍は…。

シリーズのスタートとラストでは、全く印象が違う藍ですが、知靖と一緒にいることで成長したんでしょうねえ。世間知らずでとんでもない行動にでてしまうのは変わらないけど、大人になったなとラスト部分を読んで思いました。偏執的な執着を見せた福田も、真実と藍の言葉にすっかり毒気を抜かれたようで、これ以上えげつないことにならずにすんでほんとによかったなと思います。2巻を読んだときはどうなることかと本気で心配していたので(笑)

私的評価 ☆☆☆★
(とりあえず完結の白鷺シリーズ。気になるのは弥刀のお相手ですが、また番外かなにかで読めるといいな。個人的には朋樹が良いなと思ってるんですが…。)

 

 2006年03月31日(金)  甘美な謀略に堕ちて

  リンクスロマンス  高崎ともや:作  稲荷家房之介:絵

1ヶ月発売が遅れましたが、無事発売になりました、高崎先生の主従もののお話です。主人公は酒造会社の二代目の青年。秘書で幼馴染みの部下の陰謀で、社長代理を勤めていたにもかかわらずその座を追い落とされてしまいます。「なんでなんだ」と問いかける主人公に秘書は…。

主従ものではあるんですが、道具あり緊縛ありなどっちかというと調教ものチックで「…あれ?(^^;」という感じでした。嫌いではないんですが好みともいいがたいんですよね、こういうお話。微妙だなあ…。多分、受の方はいいんですが、あまり攻が好みじゃなかったんだなと。もうちょっとヘタレだったらよかったのに、妙に完璧なタイプで、だからこそ調教的なシーンがつらかったです。最近こういう完璧だけどちょっと偏執狂的なタイプが増えて来たかな?ま、個人の好みの問題なので、こういうのが平気な人はおいしく戴けるかと思います(笑)

私的評価 ☆☆★
(ある種閉じられた空間での愛とも呼べる2人の関係ですが、一歩間違えたら大変なことになりそうですよね…(^^; )

 

 2006年03月31日(金)  ラブシーン

  リンクスロマンス  水壬楓子:作  水名瀬雅良:絵

エスコートシリーズが一段落して、新しいシリーズが始まりました。芸能界が舞台のお話です。主人公は、人気俳優の青年。切られ役の時代劇役者と同居しており、セックスフレンドでもあります。甘やかしてくれる同居人に寄り掛かりつつも、過去の辛い恋愛から、本気になれない主人公。ある日映画のオファーがあり、しかも主人公が好きな監督ということで出演を決めた主人公。しかしその映画にひどい別れ方をした相手も出演が決まっていて…。

うーーん、これは、かなり賛否両論だったのではという作品ですね。キャラとしては、クールビューティー受で、しかも微妙にヘタレなわんこ攻なので、好みのストライクど真ん中なんですが、それでも絶賛するわけにいかないのは、作品後半に主人公が受けた試練のせいかなと。人気俳優だった彼にとっては社会的に抹殺されたと同じぐらいのダメージを受けてしまったら、このあとどう続けようがきれいごとになってしまいそうな気がします。あまりにショッキングな内容で辛かったです。

私的評価 ☆☆★
(本気でボロボロ泣いてしまったシーンもありましたが、でもやっぱりそれまでの不快感を払拭するものではなかったですねえ…。続編があるようですが、でも微妙な気がするなあ。別キャラならいいんですが。)

 

 2006年03月31日(金)  花の檻

  リンクスロマンス  華藤えれな:作  佐々木久美子:絵

雑誌「小説リンクス」に掲載された表題作とその続編書き下ろしが収録されています。「花隠れ」に出て来た能楽師のお話になります。主人公は、東京に住んでいる美貌の能楽師の青年。もともと京都にいましたが、刃傷沙汰になった過去の醜聞のせいで、京都にいられなくなっていました。しかし宗家に呼び戻され、宗家の息子である若手の能楽師と共に舞台にあがることになります。その宗家の息子は、「子供の頃からあなたを手に入れることだけを考えてきた」と主人公に関係を求めるようになりますが…。

前作に出て来た美人能楽師のお話だったので、楽しみにしていました。…とはいえ雑誌で読んでいたので、どちらかというと書き下ろしが楽しみだったんですが(笑) 主人公が苦労をしたのも、ひょっとしたらこうして幸せな時間を得るために必要だったのかもしれないなと、思います。続編でも辛い目にあってますが、最後の幸せそうな2人を見たら、なんだかほっとしてしまいました。

私的評価 ☆☆☆
(個人的には元彼も好みなんですよね。彼の話があったら読みたいかも。)

 

 2006年03月25日(土)  蜜のように毒のように

   アルルノベルズ  杏野朝水:作  佐々木久美子:絵

杏野先生の新刊は、再会もののお話です。主人公は保育園に勤める保育士。美形なためアイドル的存在です。そんな彼が仕事先で再会したのは、10代の頃に付き合って夢中になった相手。世界的に有名なカメラマンの彼は、甥の送り迎えのため保育園に来ていて、しばらく日本に滞在するとのこと。今度は自分が相手を翻弄してやろうと日本にいる間だけの恋人になろうと持ちかけますが…。

本当は思いを残しながらも別れた2人だっただけに、「期間限定」とはいってもやけぼっくいに火がつくのは当たり前です。でも、ただ付き合うだけではなく、受が幼くて昔はわからなかったことが、新たに付き合うことでわかって来て、新たな形の付き合いができるようになって、攻の気持ちも変化していくのは読んでいても気持ちよくて、その後の幸せな彼らも垣間見れて、とても読みごたえのある1冊でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(もともと杏野先生のお話は好きなんですが、これもツボにはまりました。とくに続編の穏やかさがすごく好きです。)

 

 2006年03月25日(土)  オトコにつまずくお年頃

   キャラ文庫   水無月さらら:作  汞りょう:絵

サラリーマンもののお話です。主人公は美形で「王子様」と呼ばれるぐらいの美形の青年。会社が借り上げているワンルームマンションに住んでいますが、ある日玄関先で修羅場を目撃してしまいます。どうやら女性が2人鉢合わせしたらしく、しかし当の男性はそれを悪いこととは思っていない鬼畜っぷり。その男性は大阪から転勤して来た先輩エリートサラリーマンで、その修羅場を目撃して以降なにかと主人公に話し掛けてきて…。

こいつら仕事してんのかなと思うぐらいに仕事のシーンがほとんどありません(笑)かなり鬼畜な攻ですが、実は彼にもなにやら過去があるようで、だからこそ受に執着したのかな、とも思います。身体から始まる関係ではあるけれど、なにかお互いに響きあうものがあったのかもしれないですね。イイコンビではあるので、きっと幸せになることでしょう。

私的評価 ☆☆★
(実はおもいっきりイラスト買いな1冊でした。汞先生のイラストが麗しいんですよ〜。美形のツーショットばかりで垂涎ものです。)

 

 2006年03月25日(土)  ノワールにひざまずけ ダイヤモンドの条件 3

    キャラ文庫  神奈木智:作   須賀邦彦:絵

「ダイヤモンドの条件」の三作目になります。一応これで完結なのだそうです。主人公は素人ながら人造宝石「ジェット」の専属モデルとして活躍している少年。恋人はその彼をモデルとして見い出したカメラマンです。今回は、ジェットのCM撮影のため、初の海外ロケへ向かいますが、なんとそこで再会したのは主人公に恋心を抱いている、カメラマン。今回は2人がコンペをすると聞かされた主人公は…。

毎度ながら主人公の乗り越えなければならないハードルの高さがすごいですねえ…。今回は自分の恋人と自分に恋心を抱いている恋人の親友の2人に、しかも全く正反対のテーマで撮影されるというとんでもなく難しい仕事をやらなければいけないんですが、ちゃんと乗り越えてさらにカメラマンたち2人の上を行くのが偉いなと思います。恋人としてだけではなく、お互いにしのぎを削りあっているんだなあとしみじみ。こういうがんばる主人公が大好きなので、大満足の1冊でした。

私的評価 ☆☆☆☆
(余韻を残した終わり方なのもいいですね。これからもきっと活躍してくれるんじゃないかと思える、お話でした。3冊まとめて再読しようかな。)

 

 2006年03月25日(土)  コーセルテルの竜術士物語 3

     ゼロサムコミックス    石動あゆま:絵

可愛い子竜ちゃんたちが大活躍するコーセルテルの竜術士物語もはや3冊目になります。前の出版社からなら通算5冊目になるのかな?今回は、7人の子竜たちがやってきたときのお話や他の竜術士のお話などが収録されています。相変わらずどたばたで大騒ぎで和気あいあいなマシェルの家ですが…。

可愛いなあ〜(ほわーん)とくに卵から孵った子竜たちの可愛さといったら!たまらんです。個人的にはアータの孵り方がツボでした。きっと私が竜だったら地竜だろうな…(笑)それぞれいろんな過去があって、だからこそキャラに深みが出るのではと思います。これからも子竜たちの活躍を楽しみにしています。

私的評価 ☆☆☆★
(最初は嫌なやつっぽかったカシがいいやつになってるのも面白いですねえ。というか、夏の精霊がオバカなだけか…(笑))

 

 2006年03月17日(金)  恋をしてはいけない

  ビーボーイノベルズ  吉田ナツ:作  高永ひなこ:絵

吉田先生のデビュー作になるのかな?小説b-Boyに掲載された表題作とその続編書き下ろしが収録されています。タイトルのとおり、恋をしてはいけない相手の恋愛が題材です。主人公は自宅でトレーダーをしている青年。ゲイの友人から出張の間3週間だけ恋人の少年を預かってほしいと頼まれ、最初は断っていたものの、断わりきれなくて預かることになります。その少年との生活は、主人公が驚くほどに心地よく、だんだん少年に惹かれていきますが…。

いろいろ突っ込み所はあるんですが、でもとても切ない気持ちを細かく描写していて、読んでいて泣いてしまったシーンもありました。雑誌掲載分は実はハッピーエンドではないので、雑誌で読んでいた気はするのですが、「これで終わりかい(^^;」とつっこんだ覚えがなきにしもあらず…(笑)それでも続編でなんとか幸せの入り口までたどり着けたのは、良かったなあと本当に思いました。まだまだ先は長いかもしれませんが(^^;

私的評価 ☆☆☆★
(こういうお互いがお互いを気づかいあって悩む話も最近減ってきたよなあ…としみじみ思いつつ。これからの作品も楽しみにしています。)

 

 2006年03月15日(水)  おまえは、愛を食う獣

   ルチル文庫  神奈木智:作   金ひかる:絵

「やさしく殺して、僕の心を」の続編になります。今度はモグリの外科医と暴力団の次期組長のお話ですが、前作のあとのお話でもあるので、前作のカップルのその後もちらりと垣間見ることができます。主人公の外科医である優哉は、友人である室生を介して知り合った暴力団の組長の息子、響を一目みた瞬間、自分より8才も年下であるにも関わらず「これは俺のものだ」と直感して誘惑し、響が15才の時から6年間、身体の関係を続けています。しかし、周りの環境も変化し、響の2代目襲名が現実のものとなってきて、2人の関係も変化してきますが…。

前作のあとがきで予告があったので楽しみにしていたシリーズ2冊目ですが、思ったよりも響がわがままで強引だったのでちょっと減点(笑)もうちょっと優哉のことをわかってる大人だと思ってたのに〜!優哉が好みのど真ん中だっただけに残念。好きだからこそ身を引こうとする優哉の気持ちが切なくてたまらなかったです。でもお話としては、思っていたところとは全く違う場所に着地しましたけども(笑)こうくるとは思わなかったなあ…。

私的評価 ☆☆☆★
(まだあと2冊はシリーズで出るようです。次は朴念仁刑事と病弱な響の兄のお話なので、打って変わった雰囲気になりそうですね。)

 

 2006年03月15日(水)  恋愛証明書

   ルチル文庫  崎谷はるひ:作  街子マドカ:絵

「黒ラキ」こと「LAQIA Super EXtra」に雑誌掲載された表題作と、その続編書き下ろしが収録されています。主人公は、カフェレストランのウェイターをしているゲイの青年。カフェの常連客であった男性と現在月に2度だけの逢瀬を重ねています。その常連客は、もともと夫婦でかわいらしい男の子を連れて来ていたのですが、離婚してしまいます。落ち込む相手に身体だけの関係を持ちかけた主人公。その月に2度の逢瀬の日が子供と母親の面会日で、慰めるまま1年が過ぎてしまいますが…。

受が非常に後ろ向きなキャラで(^^; 思わず後ろから突っ込みを入れたくなるほどに自虐的というか人の話を聞かないというか(笑)お互いに全く相手とのコミュニケーションがとれてないですねえ…。しかし、やることだけはやってるんだよなあ…。さすが黒ラキだよなと思いつつ。続編では攻キャラ側からの苦悩も垣間見ることができますが、それでもやはり会話が足りないともどかしさを感じます。なんだかすっきりしないのは、2人ともが遠慮しあってるからなのかな〜。

私的評価 ☆☆★
(離婚した元妻の名前が、実は前の会社の上司と同じで(^^; …わかっていてもどうも現実に引き戻されてしまってつらかったです。あと離婚ネタもちょっと辛いかなあ…(^^;)

 

 2006年03月15日(水)  わがままな束縛

    ダリア文庫  愁堂れな:作  富士山ひょうた:絵

タイトルに「わがまま」がつくのが続きますね(笑)愁堂先生の新刊は、サラリーマンと売れない劇団員のお話です。主人公は、美形のエリートサラリーマン。高校時代から付き合っている恋人がいますが、その恋人は、実は売れない役者をやっていて、主人公のところに居候をしています。そのせいもあって、アメリカ駐在の話があったのに断った主人公は、東北へ異動を命じられてしまいます。ちょうど同じころ、恋人は有名劇団との合同公演の主役になり、主人公とのすれ違いの日々が続きますが…。

いわゆる「共依存」の典型な2人ですねえ…(笑)「俺がいないと」と思うことで自分の存在価値を確かめている主人公と、主人公に依存していないと生活出来ないというもどかしさを、なんとか名をあげることで挽回したい恋人とのすれ違いが、読んでいても両方の気持ちが分かって、もどかしくてしょうがなかったです。最後ちゃんと乗り越えることができたのは、「良かったなあ」としみじみ思いました。

私的評価 ☆☆☆
(これからは遠距離恋愛になってしまいますが、まあ東北新幹線もあることだし(笑)きっとしっかり乗り越えてくれることでしょう。)

 

 2006年03月11日(土)  我が儘な食卓

    プラチナ文庫  秀香穂里:作   緒田涼歌:絵

秀先生の初プラチナ文庫です。主人公は週刊情報誌の編集者をしている青年。仕事が落ち着いたこともあり、同期と一緒に食事に出かけます。美味しいと評判という店に行くことになり、実際にその料理を口にした主人公は、あまりの美味しさに全く残さず気持ちよく食べてしまいます。お礼が言いたいと、オーナーが挨拶にやってきますが、なんとそのオーナーシェフは主人公の昔の恋人で…。

再会愛というやつですね。昔気持ちを残しながら振ってしまった負い目もあり、でも素直になりきれない主人公(しかも美形で毒舌な受!←すごくツボです)と昔の傷もあって傍若無人にふるまっている…ように見えて実はとても主人公に思いを寄せているシェフとの丁々発止なやりとりが。たのしかったです。ひそかに同人誌でシリーズ化しているクラブキラも出てきて、大胆な店長のトークにわくわくしたのは内緒です(笑)クラブキラのお話も、読んでみたいんだけどなあ〜。

私的評価 ☆☆☆★
(なんだか読み終えた時にほっとした気持ちになります。2人がちゃんとお互いを大事にしているのが良くわかるラストシーンだからでしょうか?)

 

 2006年03月10日(金)  華やかな迷宮 3

  ディアプラス文庫   松岡なつき:作  よしながふみ:絵

中世フランスを舞台にした王宮シリーズの3冊目になります。主人公ガブリエルは禁欲の誓いを立てていて、女性と同衾することができないのですが、紆余曲折あってベルナールからの求愛を受け入れ、とうとう2人は一線を超えてしまいました。自分の気持ちを押さえてきたベルナールは、片時もガブリエルを離したがらず、すっかり。ラブラブな2人。しかし時代の波は2人にも押し寄せてきて…。

えー、世界史はとってなかった(正直苦手でもあります(^^;)ので、このあたりのことがあまり詳しくわからないのが残念でもあるのですが、なんだかこむずかしい感じの政治的な話と、ラブラブすぎる主人公たち2人の落差がはげしく(笑)大丈夫なのかと心配してしまいます(^^; うつつを抜かしていて大変なことにあならなければいいんですが…。ここからどんな話になるのか、これからの展開が楽しみです。

私的評価 ☆☆☆
(どちらかというとフランスよりイギリスのほうがわかりやすいので、やはりF&Bシリーズの方が好み…かな…(^^;)

 

 2006年03月04日(土)  この手の中に堕ちてこい

   オヴィスノベルズ  牧山とも:作  葛井美鳥:絵

ついついイラストに惹かれて手に取りました。牧山先生の新刊は、着物姿な書道家と幼馴染みのお話です。主人公はかけ出しの書道家である青年。祖父がやっている書道教室で教えながら、日々研鑽しています。ちょっと天然ボケ風味な彼にしきりとモーションをかけてくるのは、幼馴染みで親友の弟である大学生。身体も大きく、生意気なのにも関わらず、主人公にとっては可愛い弟分のままです。しかしとうとう我慢の限界にきた彼に押し倒されてしまって…。

主人公のお相手は、どこをどう見たら可愛い子供系なのかと問いつめたいぐらいに一癖ありそうなキャラなんですが(笑)主人公にとっては可愛いらしいです(笑)そのすれ違いっぷりが凄く笑えました。我慢の限界に来て押し倒されてさえ、まだ可愛いというのはどうだろう(笑)私は個人的に兄の方が好みなんですが、兄とカップルだと嫌味すぎる気もするので、これでちょうどいいのかな。兄の相手はひょっとしたら文中に出て来た彼でしょうか。気になるなあ。

私的評価 ☆☆☆★
(葛井先生のイラストが凄くぴったりで、イメージ倍増でした。着物も萌えですが、私は膝枕が一番萌えました(笑))

 

 2006年03月03日(金)  斎姫繚乱 8 夜啼姫神

    X文庫WH   宮乃崎桜子:作   浅見侑:絵

斎姫繚乱シリーズの8冊目になります。火龍を身の内に封じ込めたような形でようやく記憶を取り戻した義明。未だ不安定な義明を案じて宮もあまり傍を離れずにいます。御代が変わって若き帝が立ったものの怨霊の祟りによってノイローゼになり、また東宮御所では不穏な噂や人死にがあったりとトラブルは絶えなくて…。

せっかく義明の記憶が戻ったのに、火龍なんかもってたら一緒じゃないか(^^;というぐらいに宮と義明が離れていたお話でした。まあ、だんだんと距離は縮まってるんですが…。しかし、いったいこのお話はどこへ突き進んでいくのか、だんだんわからなくなってきました。蜻蛉もとんでもない目にあって、その後どうなったのかもわからないし…。ゆっくり進むお話なのは承知しているものの、少々もどかしくなって来たのはナイショです(笑) とりあえず、原点に戻るために一度一気読みしてみるか…(笑)

私的評価 ☆☆☆
(結局の所、怨霊退治よりも宮と義明が一緒にいて和んでるところが読みたいらしいです(笑)分かりやすすぎますね。)

 

 2006年02月28日(火)  その手に夢、この胸に光

   シャレード文庫   椹野道流:作   唯月一:絵

ラブラブバカップルな(笑)メス花シリーズもはや5冊目になりました。アメリカでの江南の留学も一段落したことから、日本へ帰国することになった江南と篤臣。元の職場に復帰した2人ですが、復帰早々江南の所属する消化器外科での教授選が始まってしまいます。江南は自分の信念を曲げられないと、下馬評では圧倒的に不利と言われている助教授側につくことを決めていて…。

アメリカにいた間は、のほほんとしていた2人ですが、日本に帰って来たとたんに生臭くなりましたねえ(苦笑)まあ、「白い巨塔」じゃないけど、やっぱり学閥というのは本当に存在してしまうものなので(^^; 妙にリアルに感じてしまいました。いろいろ父の話を聞くから余計かな。どうなるんだろうと思っていたら意外な収束の仕方をしたのがあっけなくてびっくりでした。…っていうか、こんな教授やだよなあ…(笑) 書き下ろしの夏祭り編もほのぼのしていて楽しかったです。

私的評価 ☆☆☆★
(やはりホームドラマよりはしっかり医療現場が舞台の方が読みごたえがあって満足度も高いです。すれ違ってても、ちゃんと「医者」な2人が男前でいい感じ。)

 

 2006年02月25日(土)  FLESH&BLOOD 9

    キャラ文庫   松岡なつき:作   雪舟薫:絵

ようやく発売になった、人気シリーズ「FLESH&BLOOD」の9巻です。どうやら延期になっていたのはイラストの雪舟先生の事情なのか、表紙、扉絵ともに同じ雑誌掲載のイラスト(扉絵は表紙のモノクロバージョン)なうえ、本文にはいっさいイラストがありませんでした。少し寂しい気もしつつ…。前作で、ビセンテの手に落ち、スペインへと連れ去れられてしまった海斗。なんとかして助け出そうとジェフリーらも手を尽くし、助けが来るのを待ち望みながらスペイン王宮へと足を踏み入れる海斗ですが…。

すっかりビセンテの独壇場になっていて、ジェフリーファンにはちと寂しい展開です。ちょびっとしか出番がなーい!(笑)ビセンテが必死に優しくなろうとしていて、海斗も状況が状況だけに、だんだんビセンテの優しさにほだされていて気が気じゃないです。はやくジェフリー助けに行ってくれ〜と思いつつ。まだまだ続きそうなので、早く続きが出てほしいなと切に願っています。

私的評価 ☆☆☆☆
(雪舟先生、体調でも崩されているのでしょうか?ほかの本の予定もずれているようです。雪舟先生のイラストも込みでの「F&B」シリーズなので、早期復帰を心からお祈りしています。)

 

 2006年02月25日(土)  花婿をぶっとばせ!

    キャラ文庫   愁堂れな:作   高久尚子:絵

全編書き下ろしのサラリーマンもののお話です。主人公は自動車会社に勤める青年。大学時代からつきあっていた恋人がいましたがいきなり「結婚することになった」と別れを告げられます。納得できずにもう一度相手のマンションへ向かった主人公は、恋人のマンションの部屋で一人の男と鉢合わせしてしまいます。状況が状況だっただけにてっきりその男も自分と同じ境遇だと思い込んでしまった主人公。同じ境遇のよしみで…と飲みにいくことになりますが…。

主人公も思い込みが激しい感じですが、相手もそれを逆手に取ってなんとか振り向かせたいとじたばたしていて、面白かったです。主人公の気持ちが変わるのが思っていたよりもかなり早かったりするのはちょっとだけ不満ですが、まあ許容範囲内…かな?と思います。最初こそ「なんてやつだ」と腹立たしく思っていた元彼も、最後の顛末を読むと思わずニヤリとしてしまい、許せてしまいました。意外な展開もある、ちょっとサプライズなお話です。

私的評価 ☆☆☆
(高久先生のイラストがすごくハマっていて良かったです。個人的にラストシーンでの痣つき元カレに大笑いでした。)

 

 2006年02月21日(火)  夜情にゆだねて

   花丸文庫   秀香穂里:作   ヤマダサクラコ:絵

秀先生の新刊は、旅館が舞台のお話です。主人公は、旅館を経営する家の次男として生まれ育ち、東京で大手出版社の編集者として働いていた青年。兄が男と駆け落ちなんていうものをやらかした挙げ句、そのショックか父親が倒れ、急遽老舗旅館の主人として働くべく実家へと戻ります。四苦八苦しつつ主人として頑張る主人公に、最初は辛くあたっていた料理長の青年も、段々態度が変わって来て…。

着物満載な(笑)和風のお話でした。最初こそあまりやる気が見えない主人公ですが、だんだんと主人としての責任も出て来て、真面目に旅館経営に向き合う気になってくるので、読んでいても好感がもてます。料理長も仕事に対して誠意があるし、2人で二人三脚で頑張って、旅館経営が上手く行くといいねえ…という感じでしょうか。当て馬キャラはとんでもなく嫌なやつでしたが(^^; もっとこてんぱんにやっつけてもかまわなかったのでは、というぐらい私は気に入らないキャラでした(笑)ざまあみろ〜。

私的評価 ☆☆☆★
(兄カップルもなかなか好みな感じの2人だったので、もし続きが出るなら兄カップルのお話が読みたいなあと思いつつ。)

 

 2006年02月21日(火)  追いつめたい

    花丸文庫   きたざわ尋子:作  赤坂RAM:絵

「だまされたい」シリーズのなんと9冊目になりました。もともとの本編は1冊しか出てないのにねえ(笑)片瀬の籍に入り、紆余曲折ありつつもラブラブな(本人は否定しそうですが(笑))生活を楽しんでいた深里。派遣会社の仕事もやりがいがあり一生懸命頑張っています。そんな中、またもや片瀬にトラブルが発生したようで、本人の「巻き込まれたくない」希望は関係なく、思いっきりトラブルに巻き込まれてしまう深里ですが…。

とりあえず、やはしトラブル召喚体質なのだなと(笑)<深里>まあ、相方が片瀬じゃしょうがないんでしょうけど、定番化してきてますね、片瀬のトラブルに深里が巻き込まれて片瀬が助けるという…(笑)そしてどんどん片瀬の助け方がなんでもありになっていってる気がします(笑)2人とも素直じゃないからなあ…。今回の深里はモロ被害者だったけど、まあ、片瀬の傍にいる限りしょうがないんでしょう。進展があるのかないのか、ギモンなカップルですが、それが味なのかもしれません。

私的評価 ☆☆☆★
(個人的に、今回本編カップルが出番が多くて楽しかったです(笑)信乃が好きなので、イラストもあって嬉しい♪)

 

 2006年02月10日(金)  臆病な背中

  ディアプラス文庫  おのにしこぐさ:作 夏目イサク:絵

小説ディアプラスに掲載された表題作と続編書き下ろしが掲載されています。大学生同士のお話です。主人公は愛想が良くて元気印な大学生。気さくな人がらで皆に好かれています。そんな彼が、いきなり友人から「好きだ」と告白されていまいます。告白したものの「気にしなくていいよ」とあまり返事を期待していないようすの友人に、却って気になってしまい、だんだんと惹かれていく主人公ですが…。

等身大の大学生、という感じが非常に出てて、読んでてとても楽しかったです。主人公の気持ちがとても良く伝わってくるし、相手の躊躇もわかるし、非常に感情移入しやすい作品だったなと思います。テンポもいいし、読み終えて「楽しかった〜」という満足感がしっかりあってなんだか得した気分です。キャラの男前度も高いからかな?

私的評価 ☆☆☆☆
(初文庫とのことなのですが、デビューは6年ぐらい前なのだそうです。今回の主人公たちも素敵だったので、できたらまた続きが読んでみたいなあ…と思いつつ。)